シンは東宮のバルコニーから空を見上げていました。
チェギョン:「シン君、何してるの?」
シン :「刺繍は完成したのか?」
チェギョン:「今日の課題は完成したわ。
皇后様に教えてもらって、細かい模様もできるように
なったのよ」
シン :「そうか」
チェギョン:「刺繍は楽しいけど、朝早くて、課題が完成するまで終われないから
こんな時間になっちゃった。
夕食はまだかなぁ」
シン :「ハハハ、急いでもらうか?
でも、休憩のお茶のお供をお代わりしただろ」
チェギョン:「なんで知ってるの?」
シン :「あのシフォンケーキは、ふわっと軽くて、お前なら
ホールで食べそうだからな」
チェギョン:「もしかして、シン君の差し入れなの?
かわいい妃のために?」
チェギョンは、嬉しそうにシンの腕をつかむと上目づかいで言いました。
シン :「なっなんだ?!
ちっちがう、勘違いするな。
皇后様がお好きなんだ、あのシフォンケーキを」
チェギョン:「あーそーですか!
まったく、マザコン皇太子なんだから」
チェギョンはフンっとそっぽを向きました。
シンは、チェギョンを見てふっと笑いました。
シン :「おい、夕食まで、散策に行くぞ」
チェギョン:「散策?
嫌よ、行くならおひとりで どうぞ!」
シン :「夕食を待っている時間は長く感じる。
でも、散策なら一回りしている間に準備ができているさ」
チェギョン:「・・・わかったわよ」
シンは、チェギョンの手をひいて、中庭に向かいました。
♪♪♪
チェギョン:「わぁ、星がきれい。
そうだわ、今日は七夕ね」
シン :「今年は天の川がきれいに見える」
シンは芝生の上に座ると、そのまま仰向けに寝転びました。
チェギョン:「えっ、シン君、ダメよ・・・」
シン :「このほうがよく見える。
首が痛くない。
そうですよね、コン内官」
コン内官は、微笑んで頷くと、少し離れた木の陰に控えました。
シン :「チェギョンもここに、ほら」
シンは、腕を伸ばしました。
チェギョンは、恥ずかしそうにチェ尚宮の方を振り返りましたが、
チェ尚宮もコン内官の隣に控えていました。
チェギョン:「・・・では、お邪魔します・・・」
チェギョンは、シンの腕を枕にして、横になると、空を見ました。
チェギョン:「すごい!
星が降ってきそう」
シン :「ははは、そうだな。
天気がいいと天の川の水がなくて、船が出せないと
聞いたことがある」
チェギョン:「そうね。
でも、それなら、川を歩いて渡ればいいのに」
シン :「そうだな。
船で渡るより時間はかかりそうだがな」
チェギョン:「ふふふ、早く会いたいから、馬に乗ってきたりして」
シン :「・・・」
チェギョン:「ん?シン君、どうしたの?」
シン :「・・・必ず会いに行くから」
チェギョン:「・・・」
シン :「水がなければ、馬で渡り、船がなければ泳いで・・・」
チェギョン:「シン君、泳げるの?」
シン :「お前!今いい雰囲気だったのに・・・」
チェギョン:「シン君、天の川は漢河より大きいのよ。
まさか、犬かきとかで渡る気じゃ・・・」
シン :「おい!
誰が犬かきだ?
俺は、何でもできる皇太子だぞ。
バタフライだってできるのに・・・」
チェギョン:「いいわよ、泳いでまでこなくても」
シン :「なに?!
1年に1日しか会えないんだぞ」
チェギョン:「だって・・・」
チェギョンはシンの胸に顔を寄せました。
チェギョン:「シン君に何かあったら、嫌だもん。
シン君が無事なら、会えなくてもいいわ。
次の年には、会えるんだし・・・」
シン :「チェギョン・・・」
シンはチェギョンを抱き寄せました。
チェギョンは恥ずかしそうにシンの顔を見つめました。
チェギョン:「会えないときは、お詫びの品を送ってね。
今日のシフォンケーキぐらいおいしいケーキ!」
シン :「なっ!お前って奴は・・・ははははは」
チェギョン:「へへへ・・・ケーキの話をしたら、また、おなかがすいてきた〜」
シン :「はいはい、わかりました」
シンは腕にのったチェギョンを起こすとそのままチェギョンをお姫様抱っこしました。
チェギョン:「えっ!」
シン :「おなかがすいているからか、今日は軽いな」
チェギョン:「ちょっと、何よ!
憎たらしいんだから、おろして!」
チェギョンは足をバタバタとしました。
シン :「ははは、暴れるなよ。
でも、こうやって、チェギョンも一緒なら、天の川を歩いて渡っても
楽しいだろうな」
シンはチェギョンのおでこにKissしました。
チェギョン:「もう、シン君ったら・・・。
でも、私は楽だけど、シン君は大変だから・・・
そうだ、シン君が疲れないように、私が歌を歌ってあげるわ」
シン :「えっ?!」
チェギョン:「シン君、リクエストは?
やっぱり元気になる歌がいいわよね?」
シン :「いや、歌って、声が出なくなっても困るから、歌わなくていい」
チェギョン:「あら、私喉は丈夫だから、気にしないで」
シン :「いや、気持ちだけで十分だ」
チェギョン:「いいのよ、じゃぁ、今流行りの・・・」
シン :「歌うな!いいから、歌うな。
寝てろ」
チェギョン:「何よ!寝てろって!」
言い合う二人の後ろを、コン内官とチェ尚宮は微笑みながら歩くのでした。
〜 おしまい〜