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シンとチェギョンは福寿宮を訪問していました。
チェギョン :「ジュン、それはウンジのお人形でしょ」 ジュン :「ウージー」 ジュンは抱えていた人形をウンジに渡しました。 ウンジ :「ねー」 ウンジは、人形をつかむとミン妃のほうに歩いて行きました。 ウンジ :「まま、はい」 ミン妃 :「ウンジ、遊ばないならジュンに貸してあげたら?」 ウンジはジュンをじっと見ると、トコトコ歩いて行きました。 ウンジ :「じゅー、はい」 ジュン :「あーと」 ジュンは人形を抱えると積み木の前に座りました。 チェギョン :「東宮でもアルフレッドを抱えていて・・・」 ミン妃 :「ふふふ、シンも抱えていました。 大丈夫、ジュンはまだ幼いですから、すぐに別のものに興味を持つでしょう。 シンとは違うでしょうから」 チェギョン :「シン君と違う?」 ミン妃 :「シンはよく話しかけていました。 誰にも話せないことを話せるよりどころだったのでしょう」 ミン妃はさびしげに微笑みました。
チェギョン :「母上・・・」 チェギョンはさびしげにミン妃を見ました。
ミン妃は、そんなチェギョンの手を握ると、優しく微笑みました。
ミン妃 :「そんな顔しないで・・・。 そうだわ、シンも幼いころはヘミョンの物ばかり興味を持って、取り合いになって大変でした。
もしかしたら、ジュンも、シンの持っているものに興味があるだけかもしれませんよ」 チェギョン :「そうかもしれませんね。 シン君も大人げなく、ジュンと取り合いしそうです」 ミン妃 :「まぁ、ふふふ」 チェギョンとミン妃は見合って笑いました。 ♪♪♪
シンはヒョン殿下の書斎にいました。 シン :「父上、来月の渡英では結果が望めないと、おっしゃるのですね」 ヒョン殿下 :「シン、結果を焦ることはない。 先方の思いは強い。 今は、誠意を尽くす時だ」 シン :「わかりました。 代々交渉していることを、無駄にはできません。 慎重に対応します」 ヒョン殿下 :「頼んだぞ」 シン :「はい、父上。 それとジュンの件ですが・・・」 ヒョン殿下 :「イリもいることだ、今回は東宮で過ごすという宮殿の意向にそってみてはどうだ」 シン :「はい、しかし、乳母のもとで育っていたのなら、2歳となり稽古も始まった今の時期に、 一人東宮で過ごすことは、たやすいことかと思いますが・・・」
ヒョン殿下 :「心配はない。 皇太后様が過ごしてくださる。 本来の姿はそうであろう」 シン :「・・・」 ヒョン殿下 :「シン、私は天に感謝している。 こうしてお前たちのそばにいて、見守ることができる。 そして、見守ることで、天から与えられた私の使命があると思っている」 シン :「父上・・・」 ヒョン殿下 :「本来の宮殿の姿に導くこと、これが私の使命だ」 シン :「・・・」 キム内官 :「ユル様がおみえになりました」 シン :「ユルが?!」 ヒョン殿下 :「ユル、入りなさい」 ユルは一礼したまま、部屋に入ってきました。 シンは、姿勢を正しました。 ユル :「このたびは、先日のミン妃様へのご無礼に対し、謝罪に参りました」 ヒョン殿下 :「こちらにかけなさい」 ユルは頭をあげると、ソファに座るシンに気付きました。 ユル :「シン・・・」 シンは軽く頭を下げました。 ユルはシンの正面に座りました。 シン :「では、私は退席いたします」 ヒョン殿下 :「シン、待ちなさい。 二人に話があって、呼んだのだ」
シン :「私たちに話し?」 ヒョン殿下はうなずきました。 |
..Ep76 披露宴
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チェギョンは中庭でジュンと遊んでいました。
チェギョン :「ジュン、いくわよ〜」 ジュン :「はーい」 チェギョンは、ビニールボールをジュンに向けて転がしました。 ジュンはきゃっきゃと嬉しそうにボールを追いかけました。 ウンジ :「じゅー」 ミン妃と手をつないだウンジは、ちょこちょこと歩いてきました。 チェギョン :「ウンジ姫、こんにちは。 午後の衣装もかわいいわね」 ウンジ :「はーい」 ミン妃 :「まぁ、ふふふ」 ウンジは、ミン妃の手を放すと、ジュンのほうへ歩いていきました。 ウンジ :「ころころ!」 ジュン :「ころころ〜」 ジュンはボールを抱えると、そばに控えているイリに渡しました。 イリ :「ジュン様、転がしてみますか?」 イリはボールを置くと、ジュンの手を持って、ボールを転がしました。 ジュン :「ころころ!」 チェギョン:「ふふふ、ジュン、上手ね〜」 ウンジ :「うーもー」 チェギョン:「はいはい、じゃあ、次はウンジね」 ウンジ :「はーい」 チェギョン:「ふふふ、返事はよろしい!」 チェギョンはボールを転がすと、ボールを追うウンジと、あとを追うジュンを眺めていました。 ♪♪♪ シンは向かいに座るユルを見ていました。 ユルは、うつむいていました。 ヒョン殿下 :「ユル、今日ここに来るまで、何を思っていた」 ユル :「・・・」 ユルは困ったようにヒョン殿下を見ました。 ヒョン殿下 :「ふっ、何も思わなかったのか? 出向いて、小言を言われるか、もしくは、至らぬ婚約者に 同情されるとでも思っていたか・・・」 ユル :「ヒョン殿下、そのような・・・」 ヒョン殿下 :「シン、私は、ユルとソヨンを国外追放が妥当だと思っている」 シン :「えっ?!父上・・・」 ヒョン殿下 :「先の皇后に不愉快な思いをさせたばかりか、皇太弟妃を 欺くなど、許しがたい」 ユルは、うつむいて拳を握りました。 シン :「父上、あの場は、皇族の立場ではなく、ただ買い物を楽しむ ために参加したはず。 そのような場で無礼があったとしても、国外追放など行き過ぎ ではありませんか」 ヒョン殿下 :「シン、なぜユルをかばう。 お前らしくない。 ならば、皇太弟妃は、買い物を楽しんでいたのか? ミン妃からは、皇太弟妃を一人にして、申し訳なかったと 聞いている」 シン :「それは・・・」 ヒョン殿下 :「楽しいはずの時間を壊したのはソヨンではないのか」 シン :「・・・」 ヒョン殿下 :「とはいえ、私は退位した身、陛下へは皇太弟から報告しなさい」 シン :「そのような報告はできません」 ヒョン殿下 :「なに?!」 シン :「今一度、お考えください」 ヒョン殿下 :「ユル、どんな気持ちだ。 このままでは、また路頭に迷うことになる。 不本意な結果ではないのか? 言ってみろ!」 ユルは、ヒョン殿下をにらみました。 シンはヒョン殿下を冷ややかに見つめました。 シン :「ユル、答えることはない。 父上、何をお考えですか? 何を試しておられるのですか?」 ヒョン殿下 :「ふふ、さすがに、シンには見破られたか」 ユル :「・・・」 ヒョン殿下は、ふーっと息を吐きました。 |
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ユルは、うつむいていました。
シンは、ヒョン殿下を見つめていました。 ヒョン殿下 :「本来、王族が出向いてまで許しを請うなら、相当の覚悟があってのこと。 しかし、私をはじめ、ミンもシンも、ユルに対してあいまいな立場をとってしまっている」 シンはうつむきました。 ヒョン殿下 :「シン、お前とユルがお互いに寄り添っていることは、これからの皇室にとって、よいことだと 思っている。
私は皇族と王族はお互いを助け合い、けん制し合ってこそ存在し続けるものだと、思っている からだ。
しかし、ユルには王族となっても皇太子として生まれ、育った気質が根付いているとは思わない か」 シン :「・・・」 ヒョン殿下 :「私から責められて、気落ちするどころか、睨み返すなど、その証拠だ」
シン :「父上は、何を懸念されているのですか」
ヒョン殿下 :「ユル、お前は皇太子を陥れ、その座を奪おうとしたことを、忘れてはいないか?」
シン :「父上、それはすべてファヨン様の企み・・・」
ヒョン殿下 :「ユル、お前にはわかるはず。 すべて母の言いなりであったと言い切れるのか?」 ユル :「それは・・・」 ヒョン殿下 :「ユル、お前はファヨンに育てられた。 つまり、宮殿への憎しみと野望を植え付けられているのだ。 お前は自分が野望に満ちていたことを忘れてしまったのではないか?」
ユル :「野望・・・」 ヒョン殿下 :「深く根付いている気持ちは、ふとした時に芽を出すものだ」 シン :「父上、いかに深く根付いていたとしても、一度朽ちた野望は、再び芽吹くものではありません」 ヒョン殿下 :「シン、今のユルのまなざしをみて、それでもそう思うのか?」 シンは、ユルを見つめました。 ユルは、ただじっと床を見ていました。 ヒョン殿下 :「ユル、お前はすべてをあきらめて暮らしていると思っているかもしれないが、再び私の前に
こうしていることが、どういうことか考えなさい」
ユルは顔をあげると、ヒョン殿下を見つめました。
ヒョン殿下 :「ユル、お前はもっと冷酷で、策士だ。
己を知らぬものは、己に滅ぼされる」 ユル :「僕が冷酷・・・」
ヒョン殿下 :「そうだ。
このままで、シンを抑え込むことができる唯一の存在になれると思うか?」 ユル :「殿下、王族の長になったとて、シンの言いなりでは意味がないということですか?」
ヒョン殿下 :「そうだ」
ユルは、シンを見つめました。
シンはふふっと笑っていました。 シン :「お手並み拝見だな」
ユル :「シン・・・」
ヒョン殿下は、お茶を一口飲みました。
ヒョン殿下 :「ユル、話はここまでだ。
ソヨンのことは、ミンと相談し、ファヨンに報告をしておく」 ユル :「承知しました」
ヒョン殿下 :「さがりなさい」
ユルは、立ち上がり一礼すると部屋を出て行きました。
シン :「では、僕も失礼・・・」
ヒョン殿下 :「まだ話は終わっていない」
シン :「・・・」
シンは、ヒョン殿下を見つめました。
ヒョン殿下 :「シン、ユルの気質は無理に抑えられるものではない」
シン :「父上・・・」
ヒョン殿下 :「お前も感じることがあっただろう。
絶対的な力を」 シンはうつむきました。
ヒョン殿下 :「無理に抑えなくともいい方法はある」
シン :「いい方法ですか?」
ヒョン殿下 :「あの気質を王族の長になるという野望に向けさせれば、結果抑えることになるとは思はないか」
シン :「確かに・・・」
ヒョン殿下 :「従弟として弱い立場のユルを支えることは、もうやめなさい。
本来、皇族にとって王族は支えるものではない」 シン :「はい、父上」
ヒョン殿下 :「楽しみだな。
ユルがその気になったとき、王族はどうなるのだろう」 シン :「そうですね」
ヒョン殿下 :「シン、ユルの力に抑え付けられぬよう、お前も精進しなさい」
シン :「はい、父上」
シンは、立ち上がると一礼して部屋を出て行きました。
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♪♪♪
チェギョンは、ジュンが蹴ったボールを探していました。
チェギョン :「確かこのあたりに・・・」
ユル :「妃宮様、お探しのものはこちらですか?」
ユルは、ボールを手に、微笑んでいました。
チェギョン :「ユル君?!どうして・・・」
ユル :「ソヨンの無礼を謝罪に来たんだ」
チェギョン :「そう・・・」
ユルはチェギョンにボールを渡しました。
♪♪♪
シンは、ジュンがおやつを食べている子供部屋に戻ってきました。
シン :「母上、チェギョンは?」
ミン妃 :「ジュンがなくしたボールを探しに庭に・・・」
ジュン :「ぱぱ、まま?」
シン :「そろそろ戻る時間なので・・・、イリ、準備を」
イリ :「かしこまりました」
シンは、チェギョンを探しに庭に出ました。
♪♪♪
ユルとチェギョンは近くのベンチに座りました。
チェギョン:「ソヨンは、元気にしてる?」
ユル :「あぁ、イギリスに帰って、母上に絞られてるころだよ」
チェギョン:「ソヨンなら、大丈夫よ。
名家のお嬢様だもの・・・」
ユル :「名家の御嬢さんでも、王族じゃないし、韓国の暮らしも知らないから・・・」
チェギョン :「優しいユル君がそばにいて慰めてくれるんだもん、大丈夫よ。
そうでしょ?」 ユル :「優しい・・・か・・・」
チェギョン :「どうしたの?ヒョン殿下に何か言われたの?」
ユル :「まあね」
チェギョン :「ユル君・・・」
ユル :「チェギョン、僕は忘れていたんだ。自分がひどい奴だったこと」
ユルはさびしげに微笑みました。
チェギョン :「ユル君がひどい奴?
はははは、じゃぁこの世にいい人なんていないわ」 ユルは、ふふっと笑うと、空を見上げました。 ユル :「僕は皇太子となるためにシンにひどいことをした。
チェギョンに執着したのもそうだ。
シンの気持ちがヒョリンに戻れば、シンに片思いのチェギョンの心も僕に向くと思っていたし・・・」
チェギョン :「ユル君・・・」
ユル :「僕は皇太子になったら、ヒョリンを入廷させるつもりだった。
そうすれば、シンはヒョリンのもとに行くと思って・・・。
ヒョリンもそれを望んでいたし」
チェギョン :「・・・」
ユル :「僕はヒョリンを利用して傷つけたんだ」
チェギョン :「ユル君は、悪くないわ」 ユルは、頭を横にふりました。 ユル :「チェギョンが学校で倒れた日、シンは今までと違ったんだ。 いつもなら、遠くから見ているだけのシンが、チェギョンを支える僕の手を払って、
抱え上げて、連れて行った。
あの時、ヒョリンは不安がっていたんだ。
シンが自分を見なかったって・・・。
シンの心変わりに不安がるヒョリンに、僕は必ずシンはヒョリンのもとに戻ってくるとけし
かけた・・・」
チェギョン :「ユル君、ヒョリンにそんなことを、言ったの?
シン君は必ずヒョリンの元に帰るなんて・・・。 私がヒョリンの存在にどれだけ悩んでいたか知っていたじゃない、なのに・・・」 ユルは、ふっと鼻で笑うと、目を閉じました。 ユル :「だから、チェギョン、僕は優しい奴じゃないっていっただろ。
自分の望むものを手に入れるためなら、家族だって陥れる、そんなやつなんだ」
チェギョン :「聞きたくないわ、そんなこと・・・」
チェギョンは立ち上がりました。 シン :「おい、チェギョン、こんなところで何してる、ジュンが探してる」
チェギョン :「シン君・・・、今戻るところよ・・・」
チェギョンはうつむくと、さびしげに歩いて行きました。
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シンはユルの隣に座りました。
シン :「ユルと話しているチェギョンは、いつも楽しそうなのに、珍しいな」 ユル :「僕の本当の姿を知って、がっかりしたんだろう」 シン :「本当の姿か・・・。 お前はいい奴だよ」 ユル :「・・・」
シン :「あのソヨンを望んで嫁にもらうんだからな」 ユル :「ふふ、ひどい言われようだな」 シン :「俺は皇族として品格のかけらもないチェギョンが気に入らなかった。
それなのに、チェギョンの失態は、俺のせいだと言われて、嫌で仕方なかった。 お前は嫌じゃないか?」 ユル :「育った環境と違うんだから仕方ないよ。
それに、ソヨンの努力を僕は知っている。 努力が実を結ぶように、手助けしたいと思ってる」 シン :「ほら、やっぱりお前はいいやつだ」
シンはふふっと笑いました。
ユル :「・・・そんなことないよ。
シンだって、チェギョンのために陛下に逆らっていたじゃないか」 シン :「逆らったところで、結局海外に追い出された。
あの時、俺に『力』があれば、追い出されることもなかったのに・・・」 ユル :「『力』・・・」
ユルは、つぶやきました。
シンはそんなユルを見て、冷ややかにほほ笑みました。 シン :「『力』があれば、誰にも文句を言われない。 そうだろ?」 ユル :「・・・」
シン :「でも、お前の場合、難しいな」
ユル :「難しい?」
シン :「王族で力があるのは長老だ。
だが、次期長老を狙うやつは、かなりいる」 ユル :「そうなのか?」
シン :「調べてみればわかる」
ユルは、ふふっと笑いました。
シン :「どうした?」
ユル :「シン、そんなに僕は重要か?」
シン :「何が?」
ユル :「なんだか、けしかけられている気がしたから」
シン :「ははは、そんな訳ないだろう。
お前が、落ちぶれるのをどれだけ心待ちにしていることか」 ユル :「残念だな。
僕を連れ戻したことを後悔させてやる」 シン :「後悔?
俺の辞書にない言葉だ」 シンは、立ち上がりました。
シン :「ユル、チェギョンにうまく弁解して、仲直りしろ。
チェギョンにとって、お前は癒しなんだから・・・」 シンはポケットに手を入れると、屋敷のほうに歩いていきました。
ユル :「シン、弁解するつもりはないよ。
それにしても、妃宮の癒しが僕だなんて、皇太弟に言わせるなんて、僕ってすごいな」 シン :「ふん、言っておけ」
シンは、振り向きもせず、歩いていきました。
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