全体表示

[ リスト ]

教会が歩むべき道

 1970年以降、教会は大きな転機を迎えました。あの万国博覧会でのキリスト教館の問題と、ベトナム。あの時代、この二つの問題を多くの教会が考えていました。しかし、「教会は心の問題を扱うところだ」といって、あの二つの大きな問題を考えることを拒否した教会もあったのです。その方が多かったかもしれません。しかし、あの問題が40年近く経った今の時代に、大きな影を落としているのも事実ではないでしょうか。
 経済的な発展が停滞しはじめて聞こえたのは「オゾン層の破壊」「地球温暖化」という言葉です。1980年代を最後に、北国では大雪が降ることが止まっている。ここ10年くらいは、シベリアの寒気団(高気圧)の勢力が強くなることが少なくなりました。南へ下りてきません。あの大阪万博は、日本という国の経済的発展のシンボルでした。ある意味では、日本中がそれに浮かれていたかもしれません。日本中に高速道路が張り巡らされ、新幹線の建設が始まりました。しかし、その蔭で、地方の過疎化・高齢化は始まっていたのです。それだけではありません。あの大阪万博の会場があったところに住んでいた方々はいまどうしていらっしゃるでしょう。また、情報化社会とよばれる、秒刻みの世界が始まりつつありました。季節のない都市(まち)に住む人々にとっては、昼間と夜の区別が消え始めていました。グローバリズムの妖怪です。夜中でも、世界は動いています。

 そして、ベトナムは悲惨でした。沖縄からも、B52がベトナムに向かって離陸していました。近隣国が戦争を起こすと自国の経済が繁栄するという、近代になって常識化したことが日本でも起こっていました。朝鮮戦争(ユギオ)特需とでも言える状態まではいかなくとも、あのアメリカにとっても「悲惨な戦争」は、日本にとっては、景気に対するプラスの影響が大きかったのではないでしょうか。「共産主義の防波堤」という言葉を耳にしたことがありました。しかし、それを言う人々は、マルクスもエンゲルスもレーニンもスターリンもトロツキーも読んでいませんでした。それどころではありません。「共産主義は悪魔だ」という思い込みが、アメリカの中で根深く残っていることに対するクリティカルな分析を日本の「まともな」学者はしていませんでした。ナパームが町や村を焼き、オレンジ剤が森を枯らしていました。それだけではありません。そのナパームやオレンジ剤で、人々が、子供たちが、傷つき倒れて命を失いました。

 しかし、歴史は人間の思い通りにはなりませんでした。「テト攻勢」以降のベトナムの歴史を考えることなく、ある意味では日本中が狂った大阪万博。教会はあの時代に何をしていたでしょうか。日本聖公会は何を押し進めていたでしょうか。戦後民主主義の中で、実は多数派が少数派を「イジメ」、バブルが始まると、豊かさが正義になっていなかったでしょうか。明治以降に、外国の宣教会が手に入れ、日本聖公会に寄贈された財産を、有効に活用することもなく、ただ「その日暮らし」的なは発想で処分し、そのお金がいつの間にか何かに使われてきてしまっていなかったでしょうか。私が耳にしている範囲でも、教会員のいなくなった教会が、未来に対する何のプロジェクトもないまま「処分」され、お金に替わってしまっています。日本聖公会は、何を考えていたのでしょうか。「地元の方が土地を欲しがっている」というのを言い訳にして‥‥‥

 日本聖公会の主教や司祭は、あの有名な「フルメタル・ジャケット」という映画をもう一度見た方がいい。そして、そこで感じたものを自分の中でしっかりと再構築し、その視点から、日本聖公会の歴史を見直し、日本聖公会が真実の意味でキリストの教会であることを考えなければ、一連の金銭問題という不祥事も、原田文雄司祭による12歳以下の少女に対する継続的な性的虐待行為も、その根元がどこにあったのかということを考えることは出来ない。あの大阪万博が何を意味していたのか。そして、ベトナムが象徴しているものが何であったのかを考えなければ、現在の日本の悲惨な情況を考えることは出来ないだろう。そして、その悲惨な情況に対して、聖書はどう語りかけているかということを抜きにして、様々な問題に口を出すとき、日本聖公会はまた過去と同じ道を歩み始めてしまう。そいえばあの年、各駅停車の車窓から太陽の塔を遠望しながら、友人達とヒロシマへ向かっていた自分を覚えている。大阪万博を非難している人の中に、大阪万博に出掛けた人々がいることに、言葉に出来ない悲しみを想いながら‥‥‥


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事