ふすま(衾)メモ

もう1月も半ばを過ぎてしまった。と考えると複雑になる歳。極悪なインフルエンザが収まらない。風邪には、くれぐもお気をつけて下さい。

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追っかけお会式・上総妙厳寺

 ネットで見つけた上総妙厳寺。路線で調べたら自宅から三時間あまり。廃線が云々される夷隅鉄道終点二つ手前の総元駅で下車して約徒歩三十分のところであった。しかも、ヤフー路線で見ると、東京駅から直通で総武線大原までで行って夷隅線に乗り換え、終点上総中野の二つ手前の総元(ふさもと)でおりれば歩いて十五分か、二十分で行ける。午前十時に家を出ればOKらしい。何とも簡単に行けると思えるところだった。

 ところが、ちょっと家を出るのが遅かったら、東京駅の直通に間に合わずなんだかんだで六時間?、もかかり、夷隅線に乗ったら、山際の夕焼けが綺麗である。電車は一両連結で乗客は私を含めて四人、普通だったら会社帰りのサラリーマンで満員のラッシュアワー、なのに乗客が四人。廃線がうわさされているのが分かったように思った。

 車内の棚には、ムーミンキャラクターのクリスマスがぶら下がり、車窓のガラスにはムーミン谷のクリスマスが色とりどりに貼られている。リースも壁に飾ってあり、モールが車内一面に張られている。どーやら夷隅線沿線がムーミン谷をイメージして売っているらしい。

 暫くして夕焼けの山頂に城影が黒く浮いて見えた。大多喜城である。徳川四天王のひとり、本多忠勝を初代城主とする城である。
 大多喜の駅についた。駅いは武将や城のパネルが飾られている。忍者もいる。そして「上総の小京都・・・」とも書かれている。昼間来て、ゆっくり見て歩きたい。


 何とも不安になって土地の人と思われる古老に地図を見せて聞くと、「総元(ふさもと)は終点の二つ手前、私は終点で降りるが、終点だけ三台のタクシーがあって、他の駅や総元には無い。妙厳寺までは暗くなったから歩きは無理、タクシーで行ったほうがいい」と教えてくれた。

 駅は無人らしく駅員は見えない。古老は無言で改札を出て行く。そして振り返り私を誘う。
 タクシーは一台だけで、真っ暗な商店に横付けにされていた。車内灯が点いている、が、人影は見えない。さっきの古老と車内を覗いた。運転手は背もたれを倒して寝ている。古老がトントンとゲンコで窓を叩いた。ガバッと跳ね起きた運転手が降りてきて、「どうぞ」と自動ドアを開けてくれた。
 ふと振り返り親切な古老を探すと、駅の方へすたすたと歩って行く。「あぁ、お礼を言い損なった。だけど、駅へ戻るって、もしかしたら、私を心配して行過ぎたのだろうか」と心配になった。

 「妙厳寺、今日はお会式だった。昼間は大変な人で、タクシーも忙しかった」と言いながら暗闇を走りだした。数軒の商店は何処も真っ暗である。ところどころの街灯がやたら静かさをつくる。やたらスピードを上げている。だが、すれ違う車は無い。そして人影もない。

 二十分ほど山の中を走ったろうか、灯りが見えてきた。運転手さんが玄関のガラス戸を開けるとお二人のお坊さんが立っておられた。
 運転手さんが「お会式を見に来たんだって」と言うと、「二時に終わった」と言って怪訝に私を見ている。「目黒からきました。実はお会式を追っかけ見学して回ってるんです。ちょっと時間の計算を間違えて、遅くなってしまいました。申し訳ありません。ちょっと御縁起だけでもいただければ、ですが、お上人様は、何処かでお会いしたように思うんですが」というと「私は目黒の常円寺に数年いました」と言う。「あぁ、で会いしたんですね、常円寺は私の壇寺ですから」、「あぁ、私も何処かで会ったような気がしました」「御住職、こちら衾常円寺の檀家さんです。どうぞお上がりください」と本堂へ案内くださり「お会式は昼間の二時に行いました。お稚児さんも出て、たいそう賑やかでした」と御本堂と御宝前の電気を点け、御宝前御本尊の錦の幕を上げて下った。本堂横には万灯の造り花が積まれていた。

 恭しく参拝、よくよく拝見すると木彫の御祖師日蓮上人である。驚いてお聞きすると「先代御住職は仏師さんで、手彫りの御祖師さんです」とおっしゃって、欄間の長い墨跡を指差してくださる。綺麗な毛筆で書かれた長さ四メーターほどの巻紙が広げて飾られている。私には到底読めない。

 「何か、御由緒が書かれたものなぞございませんか」と言うと「あぁ、パンフは作ってないんですが」とおっしゃってB5版の御由緒を下さり、『南無手帳(南無の会編。発行人中島教之。水書坊発行。2008年第五版)』をご案内下さった。

 私は恭しく頂き、何がしかのお札を御賽銭箱に入れた。
 帰り際「お会式で配ったものです」と、お弁当と紅白餅を下さった。紅白餅はまだ柔らかい。また是非、昼間に参詣したいお寺である。

 御由緒は、その昔は真言宗の名刹不動寺と言い、全国から山伏が集まる修験の寺であった。約五百年前の文明九年、池上本門寺第八世常住院日調聖人がこの地方を布教した時、住職の法印善慶律師と問答、善慶律師は日調聖人の高い学識に敬服、日調聖人の弟子になり日賞聖人と名乗って日蓮宗の寺とした。その記念として祖師堂を建てた。その棟札は当寺の寺宝になって現存している。そして、日調聖人を開山第一世、日賞聖人自らを第二世となった。

 永禄年間に妙厳院日諦聖人の時、安房上総の頭領里見安房守が日諦聖人に帰依、天正年間に大多喜領主大木大善を奉行に祖師堂を改築、同時に境内四丁四方を寄進十万石の格式を与えた。そして、大正時代まで、歴代大多喜城主は黒塗りの籠に四人を供奉させ往来した。

 当時からある大杉は日諦聖人入山の時に」記念植樹されたもので樹齢四百五十年を超える。日諦聖人は不動寺を妙厳寺に改め山号を法受山称し、以来上総の名刹平沢大坊、上総の身延とも言われ、人々の信仰を集めた。

 また、当寺を「枕飯(まくらめし)霊場」とも言われることについて、江戸時代、当山山麓に、おさんという老婆が身よりも親戚も無く、当山祖師様を唯一の寄り処として一人で住んでいた。
 ある朝、この老婆が天寿をまっとうして亡くなった。日ごろ早朝に戸を開ける老婆だったが、戸が開いて無いのを不振に思った村人が家に入ると、不思議なことに、老婆が常に祖師様に供える霊膳が枕元におかれていた。そのことを村人が住職に話と、「そういえば、今朝の勤行に、お厨子の中から明るい光が差し、不思議なことと思った。それは、身寄りも無く死水を取ってもらえないお婆さんを哀れに思った祖師様が、自らの御霊膳をお婆さんの枕元に置き供養したもの」と言って、改めて祖師様のありがたさに合掌したといわれる。その時から当山を「枕飯に霊場」と呼ばれるようになって、人々は自らの心安き臨終を願うと同時に、末永く子孫の繁栄を願った。

 そしてまた、萩の寺とも呼ばれることについては、当山に萩の柱があると言われる。それは、このお婆さんが祖師堂改修に、山から萩お幹を採り市で商い、そのお金で一本の柱を寄進したことによる。

 身延山と枕飯霊場については、いつの頃からか身延山参詣の締めくくりとして当山を参詣、砂払いをするようになった。それは、当山が臨終正念を祈る霊場であることからで、遠く身延山を参詣、仏縁を深め帰郷した旅の終わりに当山に参詣仏祖の御加護に感謝し旅の締めくくりとするからである。

 日蓮聖人は「まず臨終のことを習うて後に他事を習うべし」と、この一生を有意義なものとするために、まず最初、人生の締めくくりをきちんと解決しておくことが大切である、と教えられておられる。当山のお祖師様に二世安楽・臨終正念を祈念し、信仰に励み安心な毎日を送り、臨終はこのお婆さんのような安らかに霊山浄土に行きたいものである。と記されていた。
 
 帰りの夷隅鉄道は私一人である。沿線には大多喜城と小京都と言われる城下町、そして、沢山の緑。きっとムーミン谷の人々が一杯いるのだろう。見るとこ一杯の夷隅鉄道沿線だろう。昼間、ぶらぶらしたいものである。

 この稿最後に、夜分にかかわらずお厨子を開けて、先代御住職手彫りの日蓮聖人を拝見させていただいた御住職とSお上人に心からの御礼を記し、「追っかけお会式・上総妙厳寺」を終える。
 
 
 

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こんなたびもアリアリですね。

2009/12/2(水) 午前 5:49 [ moriizumi arao ]

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[ moriizumi arao ] さん。まぁ、年のせいですか、お寺参りがすきで、こんな目的を作ってお参りして回ってます。お恥ずかしいようにも思うんですが・・・。

2009/12/2(水) 午前 7:58 kur*kur*bo*bo*2000


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