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前編では、愛の名のもとに、支配と暴力が家庭内で起きてしまうメカニズムについて話をしていただきました。理想の家族や夫婦像を抱くと、あるべき正しい姿を基準に判断しがちになります。それが暴力を誘発する原因にもなるのではないかと思います。
信田:DV(ドメスティック・バイオレンス:家庭内暴力)加害者の論理は、見事に「愛と思え、受け入れろ」です。加害者の夫の話を黙って聞いていたら、「おっしゃる通り。それができない妻がやっぱり変なのでは」と、思いそうになるくらい正論なのです。でも、待てよと思うのは、夫は常に「どちらが正しいか」を問題にしているからです。「正しいのは俺で、おまえの言い分は正しくない」といったように、家庭で常に“裁判”を行っている。そういう環境で育つ子どもは、生き延びるために「勉強さえしていたらいい」という正論を実行します。それだけは絶対に親から批判されない正しい行為だからです。成績のいい子は、いつも裁かれるだけの家族の中で、勉強という安全地帯をもうけて、生き延びていくのです。
親密さや愛が家族同士の保つべき距離を失わせてしまうなら、何をもって家族を運用すればいいのでしょうか? 信田:思いやりです。それは他者性によって生まれます。家族といえども別の人間なのですから。日本の家族は気遣いばかりを女性に要求しますが、親切な思いやりは少ないのです。
会社でも家庭でも、「境界を作って他者と接する」という意識を持つことが大切なのですね。 信田:妻や家族が自分と相容れないことを言ったとき、夫が激昂するのは、そこに境界を認めないからです。 たとえ夫婦の間柄でも本当のことは分かりません。だからこそ親切にもなれるし、思いやることもできます。境界を作るのは、他者は理解不可能だからです。人間関係のストレス軽減のコツだと思います。
※出典:日経ビジネスオンライン
信田さよ子(のぶた・さよこ) 1946年生まれ。臨床心理士。原宿カウンセリングセンター所長。お茶の水女子大学大学院修士課程修了。駒木野病院、嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室を経て1995年に原宿カウンセリングセンターを開設。各種の依存症やドメスティック・バイオレンス、子どもの虐待などに悩む本人や家族へのカウンセリングを行う。 |

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