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非常な長文であるが、私の最も信頼する評論家 嶋中雄二氏の貴重な論文を転載する。 尚、私は
既に底入れを宣言し、銘柄としては、メガバンク及び、売り込み銘柄の急騰を予測し、このブログにて
3月17日 (土)午前 9:50 に発表している。 いずれ、詳細に検証しようと思っている。
4月 14日 6:41 ・・・・・ 黒田半兵衛。
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●1.景気見通し:「GDPは、4-6月期にプラス化」
日本の景気は、基本的に生産動向によって決まる。鉱工業生産指数は、2月の速報値では前月比9.4%減
と、5ヵ月連続で減少しただけでなく、1月の同10.2%減に次ぐ大きな落ち込みとなっている。しかし、同
時に発表された製造工業生産予測指数(主要メーカーの生産計画)は、前月比で、3月が2.9%増、4月は
3.1%増と堅調な増加を示している。これは、在庫調整に目処がついてきた自動車や電子部品・デバイス
などの基幹産業が、前年比ベースでの減産ペースを緩和することを決め、これに伴なって、季節調整済み
の前月比では増産の計画となり始めていることによる。特に自動車は、最新の生産計画(日本自動車工業
会による。4月5日号の「自動車産業ニュース」の原数値での生産台数を当研究所で季節調整)によれば、
各々前月比で、3月10.6%増、4月2.8%増、5月23.8%増、6月0.6%増と、実に4ヵ月連続の前月比での増
産を計画しているのだ。
こうして、生産が4-6月期に、1年ぶりの前期比プラスとなるのであれば、有効需要を表す実質GDPも5
四半期ぶり(1-3月期は前期比年率9.9%のマイナス成長と想定)の前期比プラス(年率2.3%と推定)と
なってもおかしくはあるまい。4兆元の経済対策が出始めた中国やその影響下にあるアジアNIES向け輸出
数量が、既に2月より、各々前月比4.9%増、5.9%増と久々にプラス化し始める中、米国の7,872億ドルの
経済対策がいよいよ4-6月期から出てくることなどもあり、輸出の立ち直りがまず期待されよう。また、
国内でも08年度2次補正による高速道路料金の引き下げや定額給付金の支給、09年度本予算での住宅ロー
ン・エコカー減税などの実施が4-6月期から、本格化する。1-3月期までの大きな落ち込みの反動もあり、
GDPは4-6月期からプラスが期待できる。
●2.金融環境:「『水準』論の日銀は、緩和スタンスを維持」
だが、1-3月期が今回の景気の谷になるであろうとの観測は、いくら妥当性が高いといっても、現時点
では観測にすぎない。内閣府発表の2月分の景気動向指数を見ても、CI(コンポジット・インデックス)
は一致指数のみならず、先行指数も下げ止まっていないことから、当の内閣府でさえ、「回復の兆しは見
えない」などとコメントしている状況だ。ただ実際には、景気の谷付近での先行指数の先行性は乏しく、
遅行することさえあることが、一般には理解されていない。また、日銀短観3月調査の業況判断DI(「良
い」-「悪い」)は、大企業・製造業で過去最悪のマイナス58まで転落した。もっとも、先行き6月までの
予測はマイナス51と、7ポイントの上昇となっているものの、中小企業では製造業・非製造業を問わず、
なお悪化が続く予測となっており、ここから景況感の改善を確信をもって読みとる向きは、まだ多くな
い。
それどころか、設備判断DI(製造業。「過剰」-「不足」)や雇用人員判断DI(全産業。同)は、と
もに大幅な「過剰」超となっており、消費者物価指数や地価の当面の方向性も、低下であることがはっき
りしている。日銀短観の設備・雇用人員判断DIを掛け合わせたものと近似的な動きをする、いわゆるGDP
ギャップ(マクロの供給能力から現実のGDPを引いたもの)で見ても、08年10-12月期には、内閣府の推計
で21.5兆円、そして09年1-3月期には、この期のGDPの落ち込みを勘案すれば、36.2兆円ものデフレ・ギャ
ップが発生していることになる。
以上のように、「変化の方向性」としての景気は、既に足元で回復に向かおうとしている公算がある
が、その「確証」が現段階では多くは得られていない中、「水準」としての景気の悪さについては、遅行
的なところもあって、当分の間厳しさが強調されやすい。日銀は、7日の金融政策決定会合で、資金供給
の担保対策を拡大したが、日銀のような政策当局は、「水準」論的判断に立つ傾向があり、今後とも金融
緩和方向でのスタンスを維持しよう。
●3.注目点:「原油価格の底入れは、景気回復を示唆」
景気の先行きに関して注目されるのは、足元で原油価格の下落が止まり、むしろ上昇の動きが優勢に
なってきていることである。原油価格には「二面性」があり、原油価格が高騰してしまうと、輸出物価を
輸入物価で割った「交易条件」が悪化する。交易条件の悪化はタイム・ラグを伴なって企業収益を悪化さ
せ、景気後退の原因となる。しかし、同時に、原油価格がそれまでの低迷を脱して回復し始めるとき、景
気も上がり始めているということが多い。
実際に、原油価格の前年比を逆サイクルで描いて、交易条件の前年比と比べてみると、後者が原油以
外にも為替の影響等を受けているはずであるにもかかわらず、前者の描く軌跡とほとんど重なり、原油価
格の低下=交易条件の改善、となっていることがわかる。一方で、原油価格の前年比を日本の景気の谷と
比較してみると、1993年10-12月期、99年1-3月期、02年1-3月期と、いずれも谷の付近で底入れし、上昇
に転じていることが確認される。
つまり、原油市況は、その他の商品市況一般と同様に、景気が底入れして需要が上向けば上昇し、ま
たその上昇自体が、企業サイドに仮需要的な在庫投資を生じさせるという相乗作用を景気との間に醸成す
るものの、その上昇がある段階に達すると、今度はコスト圧迫要因となって、景気を脅かす。逆に、景気
後退に伴なって下落した原油価格は、交易条件の改善を通じて将来の景気の回復をもたらす。そして、
今、原油価格は緩やかに上昇し始めており、景気の回復が、既に足元で進行しつつあることを示唆してい
ると考えられるのである。
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