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(画像は、徳間書店アニメ絵本17「もののけ姫」より)
「もののけ姫」と「天皇の官僚」 (1) 「もののけ姫」は精霊であった。
白い狼にのって野山を駆けめぐる「もののけ姫」の美しさは現世のものではなかった。
大当たりしたこの映画は、日本人の宗教心の原点をあまねく描き出している。
日本人はむかしから自然や動植物に霊魂があると考えて、これらの精霊を神として崇
拝していた。また一方で、この神を怒らせると、自然災害や疫病のたたりがあると恐れ
おののきながら、農耕を続けたのである。
神の怒りを静め、現世利益の願いをかけるために人々は祭壇を作った。やがて、自分の
祖先を祭ったり、たたりの神を静めるために神社を立てるようになった。
大和朝廷は、その末裔がいまの天皇であるが、奈良時代初めになって朝廷につたわる
伝説を原始神道に結びつけ、政治を宗教的に権威づけた。すなわち、皇室の祖先は
伊勢神宮に祭られるアマテラスオオミカミで、天皇はその神勅を受けて国を統治する
とした。
つまり「皇室に逆らうと恐ろしい神のたたりがあるぞ」という恐怖心を植えつけたの
である。
平安時代に入ると、反逆や冤罪で亡くなったものの精霊が災害や疫病をもたらすとの
怨霊信仰が全国に広まり、精霊への恐怖心がいっそう定着していった。太宰府に流され
た恨みで数々の災害を引きおこして、北野天満宮に祭られた菅原道真もまた精霊だった
のである。かくして天皇制度は精霊信仰に支えられて、長期にわたって存続してきた。
(これは1998年に発表したものです。 −つづくー)
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