定年銀行員のボランティアあれこれ

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 腐敗認識指数(CPI)と日本の状況

2007年9月26日
                     NPO法人トランスペアレンシー・ジャパン
                              理事長 黒田達郎

日本は昨年の17位(163カ国中)から今年は17位(180カ国中)になり、対象国数が増えた中で順位は変わりませんでした。
ただし、得点は7.6点から7・5点とわずかながら悪化しました。

1、CPI(Corruption Perception Index)とは?
    公務員と政治家がどの程度腐敗していると認識されるか、その度合を国際比較し国別にランキングしたものです。これは各種のアンケート調査の報告書から複合して統計処理して作成されますが、報告書の数は去年の12種類から今年は14種類に増えましたので、精度は一層高まりました。1995年から毎年実施され今回で13回目です。

2、これまでの推移
    調査開始の当初は調査国も41カ国、調査種類も7種類と小規模でしたので、結果については各国共に不満のようでしたが、調査の回数を重ねるに従って内容の信頼性が高まりました。例えば過去はアンケートに答えるのは先進国の人々ばかりでしたが、今では対象国のビジネスマンなども約4割含まれるように改善されました。アンケートの対象者は世界中のビジネスマンと国の分析専門家などです。

3、よく出る疑問

(1)なぜ「認識」だけで指数を出すのですか?
    国の腐敗レベルを実証的なデータに基づいて比較することはできません。例えば起訴や裁判の件数で比較しようとすれば、それは実態を反映したものではありません。これは腐敗を暴露する検察官、裁判所そしてメディアの質の高さを反映するものなのです。実際に実務などで腐敗の現場に直面している方々の経験や認識から国別比較データを出すしか方法はないのです。


(2)なぜ一般市民でなくビジネスマンや専門家を選ぶのですか?
調査対象に一般市民ではなくビジネスマンや専門家を選んでいるのは、彼らがストリートレベル腐敗、いわゆる小口の汚職・腐敗よりも、政治資金、談合など大口の腐敗を、より熟知しているからです。表面的な腐敗だけでなく、暗部に隠された腐敗も含めてその国の状態をより客観的に把握しようとしているからです。

(3)CPIは信頼性の高い指数といえますか?
  腐敗の認識度としては信頼性の高いツールと言えます。しかし、信頼性は国によって異なります。それは主として使用する調査の数が原因です。調査資料が少ない場合は得点でもランクでも信頼性が低くなることがあります。それをカバーするために 統計処理によりConfidence range(信頼範囲)が出してあります。これは90%の確率度での得点の範囲を示します。

(4)CPIの時系列比較は出来るのですか?
その都度、過去2年間の調査結果から出されますので、時系列的な推移を必ずしも正確に捉えることは出来ません。比較は原則としては国のランキングではなく、得点に基づくべきです。ただし、調査のサンプルが変わったり、方法が変わったりした場合には得点に影響を与える可能性もあります。

4、日本は中期的には改善傾向
少し長期の視点からこの数値を追って見ます。
  統計の信頼性が高まってきた7年前からの日本の推移を見ます。
 年度    ‘01  ’02   ‘03  ‘04  ‘05  ‘06  ‘07(今回)
 使用調査数 11 12 13 15 14 12 14
  得点数   7.1点 7.1点 7.0 点 6.9点 7.3点 7.6点 7.5点
  順位(A) 21位 20位 21位 24位 21位  17位  17位
  総対象国(B) 91国 102国 133国 146国 159国  163国 180国
(A)/(B) 23.1% 19.6% 15.8% 16.4% 13.2% 10.4% 9.4%
  (上位から占拠率)

順位変動
総対象国が増えている中での順位変動は、そのままでは実態を捉え難いので、総数に占める上位からの占拠率(%)を出してみますと、ほぼ傾向的に下降しています。これは良い傾向ではありますが、総数が増加したのは実はこれまで統計の入手が困難だった発展途上国が新たに加わったからです。これらは通常、腐敗度の高い国ですから占拠率が下降するのは当然と言えます。


   得点数
傾向は原則として得点数の変化で判断しますが、3年前が6.9点、1昨年が7.3点、昨年は7.6点と改善傾向にありましたが今年は7.5点とやや後退しました。
それにも拘わらず、TI-Jでは日本は中期的にCPIの改善が見られると評価しています。今回の調査では得点の高い方から20位までの国のうち15カ国が0.1から0.2点の悪化を示していますので、これは新たに加わった調査報告書の影響とも考えられるからです。
昨年にTIが発表した別の指数である贈賄指数(その国の企業が海外で賄賂を使う傾向値のランキング)でも日本が2002年の21カ国中の第13位から2006年が30カ国中の第11位に改善しました。もし、これら別の統計でも日本の後退傾向が現れる場合は、TI−Jとしての評価を変更する必要があるでしょう。

主要7カ国内での地位
   G7グループの順位(180カ国中)はどうでしょうか?
カナダ9位 英国12位 ドイツ16位 日本17位 フランス19位
米国20位 イタリア41位
カナダが昨年の14 位から今年9位へと大幅な改善をして英国と順位が代わりました。他の国ではイタリアが45位から41位へと改善しました。
 
5、メディアの役割
CPIの評価者はビジネスマン、分析専門家ですから、日本の警察・裁判所や公正取引委員会の活動、メディア・市民団体などの動きをよく見ていると推測されます。新聞紙上で汚職・腐敗がスキャンダルとして大きく報じられることはこれらの機関、団体が腐敗撲滅について真剣に取り組んでいることの証明です。一層の期待がメディアに掛けられています。
以上




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