黒木昭雄の「たった一人の捜査本部」

小原勝幸を容疑者とするこの事件は、言いようのない不正義な社会構造を見せつける事になった。遺作小説『神様でも間違う』完成。

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熱心であること

熱心であること

警察を辞めて10年、私は2つの目的のために、ともかく必死に生きてきました。
ひとつは、子どもたちを育てあげること。
これについては、いちおう達成したと思います。娘も息子も自立してそれなりに頑張っているからです。
もうひとつは、自分の仕事を確立させること。
じつは、これが一番難しい。

「元警察官」という肩書でコメントするだけでは、自己を確立したなどとは言えません。
だから私は、苦労しながら感性を磨き、苦しみながら研究し、自分だけをたよりに地道に事件を追ってきました。
表からは見えないけどきっと何かがある。
何かがなければこうした結果にはならない。
そこに何があるのか、誰が、何を隠しているのか。真実はなにか。
そうしたことを考えながら事件を追い続けることで、私は、「元警察官」と言う肩書きでコメントする人たちとの違いを確立したつもりです。だから、不良高校しか出ていない無学な私でも、何冊もの本を書くことができたのだと、思っています。

とは言うものの、フリージャーナリストという自由な仕事は孤独なもので、煩わしい組織から離れたあと、無性に人恋しくなりました。
そんなある日、かつての同僚が松下幸之助氏の書いた詩集をプレゼントしてくれたのです。
それ以来私は、壁にぶち当たったり、悩みにはまったり、逃げ出したくなったりしたとき、きまってこの詩集を広げました。


警察の圧力がどれ程の驚異なのでしょか。
警察の不正を暴くことが、マスコミにとってどれほどの不利益なのでしょうか。
マスコミの大幹部は、過ちをおかした警察を擁護し続けることの方が自分たちの利益になると本気で信じているのでしょうか。
これは殺人事件です。
そして、捜査が尽くされぬまま一人の人間が指名手配され懸賞金までかけられたのです。
たとえ相手が誰でも、不自然なことを追及することこそがマスコミの使命ではないのですか。
詳しいことはいえませんが、もし見ているなら、マスコミの大幹部の方にもこの詩を読んでほしいです。
雨が降ればずぶ濡れになり、風が吹けば飛ばされそうになる。それでも頑張り続ける熱心なフリージャーナリストはたくさんいるのです。


熱心であること
チャンスを掴むといっても、普通の程度の努力をしていただけでは、チャンスをチャンスとして見きわめられない。
やはり熱心であること。
熱心な上に熱心であること。
その熱心さがチャンスを見分ける目を養っていくのである。

アイディアを生むといっても、口先だけでは生まれない。
これもやはり熱心であること、寝てもさめても一事に没頭するほどの熱心さから、思いもかけず良き知恵が授かる。
アイディアは、人間の熱意、熱心に対する神の報奨である。

どんなに賢く生まれついたといっても、
熱心さがなかったら、その賢さが賢さとして、自他ともの恵にはならない。
賢いといい愚かといっても、人間におけるそのちがいは、神の目から見ればタカがしれている。
それよりも熱心であること。
何事にも熱心であること。
誰よりも熱心であること。
熱心から生まれる賢さが、自他ともに真の幸せを生むのである。
熱心は、人間に与えられた大事な宝である。
そして、この宝は、誰にでも与えられているのである。


松下幸之助 著

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