黒木昭雄の「たった一人の捜査本部」

小原勝幸を容疑者とするこの事件は、言いようのない不正義な社会構造を見せつける事になった。遺作小説『神様でも間違う』完成。

連載 警察はなぜ堕落したのか

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追いつめられたあげくの事故死
(p66)



 一方、飛び降りであろうとなかろうと、京都府警の主張する「岡村容疑者が死のうとしていた」という根拠だ。

 まず「自殺説」を否定する根拠になり得るのが岡村容疑者の死亡時刻だ。岡村容疑者が捜査員の追跡を振り切ったのはおおむね正午前後で、死亡時刻は十二時四十分ごろだから、警察発表を鵜呑みにすれば、岡村容疑者は転落するまでの四十分間、公団住宅の中をさまよっていたことになる。

しかし、前に述べた捜査員の配置状況(地割検素)を考えれば、十四階建て公団住宅の中で四十分間も死に場所を求めていたとは考えにくい。岡村容疑者がはじめから白殺を目的として公団住宅に上がったとするならば、彼はもっと早い段階で自殺を遂げることができたはずだ。むしろ、この時問は岡村容疑者が逃げ延びようとしていたことを物語っている、と考えるのが自然だ。

 さらに、京都府警は「遺書」らしき文書の存在を、まるで自殺説を決定的に裏づけるものとして断続的に発表したが、これもどこか不自然だ。

事件当夜の記者会見では、京都府警は岡村容疑者の転落死を「覚悟の自殺」であると、現場もわからずに早々と断定したが、二月十五日に私が京都府警本部に取材した際、広報官は「捜査をはじめた直近の出来事だったので、自殺と認めた遺書めいたものが発見されたということではない」とわけのわからない説明をしていた。

しかし、京都府警は自殺説の根拠を見つけたようで、二月二十二日の会見では、容疑者が公園に残したリュックサックから発見された手紙のなかに「自殺をほのめかす内容」があったからだと発表を訂正した。

 たしかに、自殺の根拠とされる手紙を読むと、そこには「僕はこの手紙を出して、自殺を決行しようと思います」とある。しかし、岡村容疑者が死んだときこれらの手紙はまだ投函されていない。

この手紙はむしろ、岡村容疑者の死は自殺でなかったという根拠ではないだろうか。おそらく、彼ははじめから自殺など考えていなかった。逃走中の彼の頭にあったものは、「怖い警察からただ逃げつ延びること」だけで、岡村容疑者は捜査員に追いつめられたあげくの事故死である可能性が高い。

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