黒木昭雄の「たった一人の捜査本部」

小原勝幸を容疑者とするこの事件は、言いようのない不正義な社会構造を見せつける事になった。遺作小説『神様でも間違う』完成。

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取材妨害:会見出席拒否は裁量内 仮処分申請を却下

 国家公安委員長の記者会見への出席を妨害されたとして、ジャーナリストの寺沢有さん(43)が国に妨害禁止を求めた仮処分申請で、東京地裁(葛西功洋裁判官)は26日付で、申し立てを却下する決定を出した。
 寺沢さんは2月、警察庁に定例会見への出席を申し入れたが、庁舎管理などを理由に断られた。決定は「取材の自由は尊重されるべきだが、取材を受ける側に記者の要望に応じる法的義務が課されるものではない。庁舎内への出入りを認めるかは、裁量に委ねられている」と指摘した。
(毎日新聞 2010年3月30日 東京朝刊)
 
 
 
 
 
平成22年(ヨ)第810号 取材妨害禁止仮処分命令申立事件
            決           定
        当事者の表示   別紙当事者目録記載のとおり
            主           文
        1 本件申立てを却下する。
        2 申立費用は債権者の負担とする。
            理           由
 
第1 事案の概要
 1 本件は、フリーランスの記者である債権者が、国家公安委員会委員長の記者会見に出席して取材するために東京都千代田区霞が関二丁目1番2号所在の警察庁庁舎内の同記者会見に使用する会議室・記者室に出入りすることを債務者に妨害されていると主張して、債務者に対し、報道・取材の自由(憲法21条1項)又は平等権(憲法14条1項)を被保全権利として、債権者が上記会議室・記者室に出入りして取材することを妨害してはならない旨の仮処分命令を求める事案である。
 2 当事者の主張は、それぞれが提出した主張書面に記載のとおりであるから、これらを引用する。
 
第2 当裁判所の判断
 1 後掲各疎明資料及び審尋の全趣旨によれば、以下の事実が一応認められる。
  (1) 債権者は、警察、検察、裁判所などを対象として取材活動するフリーランスの記者である(甲1の1ないし11)。
 
  (2)国家公安委員会委員長は、毎週木曜目、国家公安委員会が終了した後に、同委員会の開催状況等を迅速かつ正確に国民に伝えるため、警察庁庁舎内の会議室において、同委員会が主催する定例の記者会見(以下「本件定例記者会見」という。)を行っている(乙1、乙4)。
 
  (3)警察庁長官は、国有財産法5条の2に基づき、警察庁庁内管理規程を定めており、同規程において、霞が関合同庁舎2号館のうち警察庁が使用する部分についての庁内管理者を警察庁長官官房会計課長とし(2条)、庁内管理者は、庁内管理に支障があると認める場合は、警察庁庁舎への人の出入り等を禁止又は制限し(4条)、庁内管理者等は、警察庁庁舎に立ち入ろうとする者又は警察庁庁舎にある者に対して、質問その他の措置をとること(6条3項)を定めている。また、警察庁長官官房会計課長は、警察庁庁内管理規程に基づき、警察関係者以外の一般人が警察庁庁舎に入庁する場合について、「警察庁に来訪する部外者の警察庁通行証の着用について」(平成3年11月18日付け警察庁丁会発第610号)及び「警察庁に来訪する部外者の警察庁通行証の変更について」(平成12年11月22日付け警察庁長官官房会計課長事務連絡)により、警察庁に来訪する約束のある者については、警察庁通行証を貸与の上、警察庁庁舎への出入りを認めている。(乙8ないし10)
 
(4) 債権者は、平成22年2月1日、警察庁長官官房総務課広報室(以下「警察庁広報室」という。)及び国家公安委員会委員長の事務所に対し、「次回以降の国家公安委員長の記者会見に出席し、取材いたしますので、関係職員に指示し、支障がないようにしてください。」との文言が記載された「取材申入書」と題する書面を、ファクシミリで送信した(甲2の3及び4)。
 
(5)債権者は、同日、警察庁記者クラブに対し、「次回以降の国家公安委員長の記者会見に出席し、取材したいと思いますが、これに対する警察庁記者クラブのご見解、とりわけ出席を拒否したり、質問をさせなかったりする意思の有無をお聞かせください。ご回答は本日中に文書(ファクシミリ)でお願いします。」との文言が記載された「質問書」と題する書面を、ファクシミリで送信した(甲2の5)。
 
(6) 警察庁記者クラブは、同日、債権者に対し、「警察庁記者クラブとしては、会見は原則的にオープンという立揚です。質問をさせないというつもりもありません。」との文言が記載された「質問書への回答」と題する書面を、ファクシミリで送信した(甲2の6)。
 
 (7)警察庁広報室係員は、同日、債権者に電話をかけ、本件定例記者会見については、庁舎管理及びセキュリティの観点から出席者を制限しており、フリーランスの記者の出席の要望には応じられない旨伝達し、債権者の本件定例記者会見への出席を拒否した。
 
 
2 取材・報道の自由の侵害の有無について
 
 (1) 債権者は、本件定例記者会見に出席して取材するために警察庁庁舎内の本件定例記者会見に使用する会議室・記者室に出入りすることを債務者に妨害され、憲法21条1項の報道・取材の自由が侵害されていると主張する。
 
 (2)報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の「知る権利」に奉仕するものであるから、事実の報道の自由は、憲法21条によって保障され、また、このような報道機関の報道が正しい内容を持つためには、報道のための取材の自由も、憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値するものというべきである(最高裁昭和44年(し)第68号同年11月26日大法廷決定・刑集23巻11号1450頁)。
 
   しかしながら、この取材の自由は、いわゆる消極的自由(報道機関の取材行為に国家機関が介入することからの自由)を意味するものであり、この取材の自由から国に対して一定の行為を請求する積極的な権利まで当然に導き出されるものではない。したがって、取材の自由によっても、取材を受ける側に、取材に応諾する法的義務が課されるものではなく、また、記者会見に出席して取材したいという記者の要望に応諾する法的義務が課されるものでもない。
 
   また、前記認定事実13)のとおり、警察庁長官は、国有財産法5条の2に基づき、庁内管理規程を定め、警察庁長官官房会計課長は、同規程に基づき、警察庁庁舎の管理に関し、警察庁通行証を貸与することによって、警察関係者以外の一般人の警察庁庁舎への出入りを管理しているところ、上記のとおり、取材の自由がいわゆる消極的自由を意味するものであることによれば、取材の自由によっても、警察庁庁舎の管理権者に対し、警察関係者以外の一般人が取材をするために警察庁庁舎内の会議室等に出入りすることを受忍する法的義務が課されるものでもない。
 
 (3)以上によれば、本件定例記者会見に出席して取材をするために警察庁庁舎内の本件定例記者会見に使用する会議室等に出入りする権利は、報道・取材の自由によっても保障されていないと解すべきである。したがって、本件定例記者会見に出席して取材するために警察庁庁舎内の本件定例記者会見に使用する会議室・記者室に出入りすることを債務者に妨害され、憲法21条1項の報道・取材の自由が侵害されているという債権者の主張は、その前提を欠くものであって、理由がない。


http://blogs.yahoo.co.jp/kuroki_aki/13571231.html
へつづく

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