黒木昭雄の「たった一人の捜査本部」

小原勝幸を容疑者とするこの事件は、言いようのない不正義な社会構造を見せつける事になった。遺作小説『神様でも間違う』完成。

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キャリアによる一党独裁体制 p156-157
 
 
 警察杜会は完成された共産主義と同じである。これが、二十三年間におよぶ警察経験から得た私の結論である。
 
 少数のエリート(キャリア)による一党独裁。警察学校からはじまる洗脳教育。
 
組織の命令には絶対服従するように訓練され、反論することをいっさい許さない。
 
知らず知らずのうちに管理されることがあたりまえで、この社会に見放されたら生きていけないのだと思い込まされるのである。
 
警察組織は、みずからにとって都合のよいだけの、しかも現実離れした、とうてい遵守できるはずのない内規をつくりだし、さらにその内規をもとに、監察・公安の秘密組織が二本柱となって得体の知れない恐怖心を警察職員に植えつけ、支配し、絶対に抵抗のできないロボット人間をつくりあげるのである。
 
(監察・公安については、本書の「おわりに 警察は立ち直れるか」で詳しく述べる)。
 
 警察官はこんな共通の幻影を抱いている   現場の警官は疑問を持たず言われるまま組織=キャリアのために働き、さらに一生秘密を守り通せば、その身分∴地位に応じて将来を保証される。
 
反対に、組織に刃向かい、わずかでも謀反を起こせば、現在の地位はもとより将来の安泰もなく、仮に形式上、円満に退職したとしても、その後の活動は秘密組織によってマークされる。組織上不利益な事態を引き起こせば、本人はもとより、子供、孫、親戚に至るまで累は及ぶ、と。
 
 しかし絶対支配階級のキャリアも、じつは彼らの世界では想像を絶するほど長期にわたる警察的洗脳教育が施される。前述した警察官僚OBの偉大な権力(警察組織に対する強力な影響力)も、じつはこの幻影支配に一役買っている。
 
しかも、政治の世界は一寸先は闇である。
 
それゆえに絶大な権力を握る現役キャリアにとって、警察OBの政治家はいっそう恐ろしい存在なのだろう。
 
 警察の組織構造はキャリア独裁による共産主義国家体制に似ていると書いたが、じつは警察官僚OBが陰の黒幕集団として警察組織を牛耳っているのだ。
 
彼らに比較すれば現職の警察庁長官など木っ端者にすぎない。
 
歴然と存在する警察の裏金問題や、選挙違反の摘発指示、さらには事件のもみ消しなど、警察組織の最高幹部が腹を決めて直接指示を下せば改善・自浄できる事柄がいくつもあるにもかかわらず、それが改まらないのは、そうした黒幕集団の権益保護があるからにほかならない。
 
 
 
 

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