黒木昭雄の「たった一人の捜査本部」

小原勝幸を容疑者とするこの事件は、言いようのない不正義な社会構造を見せつける事になった。遺作小説『神様でも間違う』完成。

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私は、何度も何度も遺族のお宅を訪ねました。
すると、寡黙だった遺族が重い口を開き始めたのです。

被害者の父親は一貫して
「小原勝幸が娘を殺した犯人だ。どうであれ、勝幸さえ娘を連れ出さなければ梢は殺されることはなかった」
と言って譲りません。小原勝幸が梢さんを連れ出したと視て、ほぼ間違いないからです。

だから、被害者を連れ出した小原勝幸自身、誰かに殺害されている可能性があると視る私と対立します。
私は、仮に、小原勝幸が梢さんを殺害した真犯人だとしても、必ず共犯者がいると確信しているからです。

 ※ ※ ※

今でも、私と梢さんの父親の意見が交わる事はありません。
でも、
「情報提供書」を岩手県警と岩手県公安委員会に提出する前日の夜、「大事な孫が殺されたんだから、私だって情報提供するよ」と情報提供書の署名欄に目をやった祖母の喜久子さんが、意を決したように息子である梢さんの父親に言うと、父親は、「好きにすれば良いさ、ばぁさんの勝手だ」と、半ばなげやりに言いながら、棚の上から印鑑箱を取り出し、印鑑に朱肉を付け、情報提供書の下に新聞紙を敷いてくれたのです。
私は心の中で、お父さんに手を合わせました。


大事な娘が殺されて一年、梢さんの父親は娘を連れ出した小原勝幸だけに憎しみを向けることで、折れそうになる心を補強してきたのだと思います。でも、真実を知りたいはずです。だからこそ父親は、「俺は署名しない」と言いつつ、情報提供書に署名する喜久子さんの手助けをしたのでしょう。


「情報提供書」提出後の2009年5月23日、殺害された佐藤梢さんの祖母がカメラに向かって警察やマスコミへの心境を語りました。
そして最後に、小原勝幸に関する情報の提供をみなさんに呼びかけています。
ぜひ、ご協力下さい。

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