黒木昭雄の「たった一人の捜査本部」

小原勝幸を容疑者とするこの事件は、言いようのない不正義な社会構造を見せつける事になった。遺作小説『神様でも間違う』完成。

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4 昇任試験制度のカラクリ
  実務能力主義を標榜する警察の大ウソ
 
キャリアとノンキャリアはこんなにもちがうp173-177
 
 全国の都道府県警では警察庁の指導のもとに統一的な警察官教育がおこなわれている。その警察官教育の基礎となっているのが、厳然たる階級身分制度だ。採用から退職まで、警察官人生のすべてがこの階級によって支配されていると言っても過言ではない。
 
 警察官の採用試験に合格し任官すると、まずは『巡査』の階級が与えられ、その後「巡査部長」「警部補」「警部」『警視』『警視正』『警視長』「警視監」「警視総監」と上がっていく。
このほかに『巡査長』という職名があるが、これは巡査経験の長い警察官に対して士気高揚を目的に与えられたもので、階級上の身分ではない。また、警察機構の頂点に立つ「警察庁長官」も階級でなく職名にすぎない。したがって、日本の警察の階級上のトップは警視庁(東京都警)の長たる警視総監ということになる。
 
 もっとも、警察庁長官の俸給は指定職十一号(月額百三十四万六千円賞与は別)で、すべての警察のなかでいちばん高い。つぎが警視総監の十号、警察庁次長の九号とつづく。
 
 各都道府県警単位で採用されるノンキャリア警察官は地方公務員だが、前に述べたように、警視正以上になると自動的に国家公務員となり、警察庁の人事下におかれる県警のトップは県警本部長だが、大きな県警と小さな県警では本部長の階級もちがう。大県警なら警視監、小県警なら警視長といった具合である。
 
 私が任官したての二十数年前は「『あなたも努力しだいで警視総監になれる』というキャッチフレーズにだまされて警視庁に入っちゃったよ」という先輩も少なくなかった近ごろは、「「三十歳前後で警部になれる」と錯覚させられるケースが多いという。さすがに、いまは十年以上前の採用パンフレットのような詐欺的誇大広告に惑わされる人はいないと思うが、察官募集の「甘百」を額面どおりに受け取ると、大切な人生設計を狂わせることになる
 
 警察にはその採用システムによって三種類の人間がいると考えるとわかりやすい
 
 が、最近よく話題にのぼる「キャリア警察官」であるキャリアは国家公務員試験1種に合格した警察庁採用のスーパーエリート警察官だ。世間では彼らの昇進スピードを。般警察官と比較して「新幹線並み」と表現されているが、二十三年警察官の職にあった私に言わせれば、ぞれはとんでもない話である。キャリアの昇進スピードは「新幹線並み」どころか「スペースシャトル」のようなものだからだ。
 
 
 

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