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署内にもある縄張り意識p194-195
もっとも、一般市民の目には管轄警察の境界線などわかるはずがない。そんなことより、市民は、真摯に市民の安全を願い、日夜警察活動を展開してくれる警察官ならば、何署のおまわりさんでも歓迎する。つまり、この「管轄」という名の縄張り意識は、市民の思いとはまったく別の次元で存在するといってもいい。
さらには同じ管轄内でも「部門」における縄張り意識が存在する。
仮にAという警察署の地域課の外勤警察官が覚醒剤を所持していた男を職務質問で逮捕したとする。この「覚醒剤所持」という逮捕容疑の場合、まず最初に事件を取り扱うのは、生活安全課の保安・薬物対策係だ。
しかし、その被疑者が暴力団構成員であった場合は、刑事課・暴力団対策係にも主管係となる権利が発生する。さらに被疑者が少年だった場合は少年係、暴力団員であっても右翼構成員を自称する者なら「オマケ」をねらって公安係が顔を突っ込んでくる。
こんな感じで各課が「それぞれの権利」を主張し、同じ署員同士であっても収拾がつかなくなるケースがある。まして逮捕容疑が大量の薬物や拳銃などの銃器類であった場合、個人の実績につながるので、その傾向はさらに強まる。
本来なら各係の関係を調整する立場にあるのは警務課長もしくは副署長であるが、慣例的に当該課長間の力関係が犬きく影響をするためその調整がむずかしく、しばしば警察組織内部に醜い人間関係が生まれることになる。
そして、組織が肥犬化し、分担が細分化されるほど所轄意識は強くなり、組織全体に対して悪影響をおよぼすことになる。
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