黒木昭雄の「たった一人の捜査本部」

小原勝幸を容疑者とするこの事件は、言いようのない不正義な社会構造を見せつける事になった。遺作小説『神様でも間違う』完成。

連載 警察はなぜ堕落したのか

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儀式にすぎない部下への指導 p195-197
 
 この「縄張り意識」とともに、警察という大企業に染みついている困ったものに、「ただやっただけ主義」がある。
 
民間企業なら、こうした組織の弛緩は倒産の危機につながりかねないからおのずと自浄作用がはたらくことになる。しかし、親方日の丸の警察は、行きつくところまでいってしまう傾向がある。「ただやっただけ」は、その最たるものといえる。
 
 警察組織は、その性質上、極端な縦割り命令社会となっている。この命令社会を維持するのに欠かせないものに、上司が部下に対しておこなう一般的「指導・教養」というものがあるが、これがまさに「ただやっただけ」の代表的な存在だ。
 
 警察の「指導・教養」は、警察本部がつくったシナリオに従い「部下に指導した」という実績を残すための、たんなるセレモニーでしかない。なぜこんなものが存在するかというと、不幸にして不祥事などが発生した場合、「あのときたしかに指導したのですが……」と、それが言い訳になるからだ。
 
 「指導・教養」を受ける部下にとっては何の役にも立たないわけだが、「指導・教養」をする上司も、さらに「上」から言われて立場上しかたなくやっているわけだから、お互い「被害者」といえなくもない。いずれにしても「指導・教養」をする側もされる側も「ただやっただけ主義」に陥っているので、過去の教訓など生かされるはずがない。
 
 警察の「指導・教養」がまったく効果を発揮していない例をあげてみよう。
平成十二年六月中句に起こった警察官の不祥事である。
 
 それは警視庁本富士警察署刑事課の三十一歳になる女性警察官が被害者調書を偽造したというものだ。強制わいせつの披害を訴えた被害女性が印鑑を所持しておらず、被害者署名欄に押印できなかったため、「次回、印鑑を持参して押印」ということになったのだという。ところが、この女性警察官は白分で勝手に指印を押して処理してしまったのだ。
 
 同署の調べに対して女性警察官は、「ふたたび来てもらうのでは被害者に負担がかかるので自分の人差し指で押印した」と押印の偽造を認めたというのだが、この女性警察官は当初、被害女性に対して、「あなたが押したんでしょ」と言いくるめようとしていたのだ。
「被害女性の利便を思うあまり」とは、言い訳にすぎないのだ。
 
 警視庁に限らずこの種の不正はたびたび起きていて、そのたびごとに関係者が処分され、それに関する「指導・教養」がなされてきた。
 
この女性警察官も当然、過去に上司からこのたぐいの不祥事に関する「指導・教養」を受けていたはずである。にもかかわらず、こんな不祥事を引き起こすのだから、彼女に対しておこなわれた「指導・教養」は「ただやっただけ」だったことになる。
 
警察官である以上(警察官でなくとも、常識的に)、指紋は各人固有のものであり、もし不審が特ちあがって書類が確認されれば指印された印影が誰のものかは瞬時に判読され、自分のウソが露呈するぐらいはわかるはずだ。
 
 結果としてこの女性警察官も、「過去の不祥事警察官」の仲問入りをし、今後、「指導・教養」の場に末永く持ちだされることになったわけだ。しかし、「ただやっただけ」の「指導・教養」がつづくかぎり、似たような事件が起こる可能性が高いことを警察上層部は理解すべきである。
 
 
 

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