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1990年5月、栃木県足利市で4歳の女の子を殺害したとして逮捕された「足利事件」の受刑者(無期懲役確定)が、6月4日、服役中の千葉刑務所から釈放されました。
東京高検による再審決定前の刑の執行停止は異例の判断によるものだそうです。
受刑者の名前は菅家利和さん(62) 。
この事件については大々的に報じられているので、事件内容などについては割愛しますが、執念とでも言うべき警察の惨たらしすぎるほどの取り調べの数々が菅家さんの証言で明かされています。
警察官がなぜ執拗に自白を強要したのかなどについては後述しますが、まずは、本日アップした画像に注目して下さい。朝日新聞社の「志布志事件」取材班がドキュメントとして発表した単行本『虚罪』の装丁です。帯には「これは『冤罪』ではない、『警察の犯罪』だ」と書かれています。
これは間違いなく警察の組織犯罪です。
それを証明したのが、12人の被告全員に無罪判決を下した鹿児島地裁でした。
ところが、鹿児島県警は、事件にかかわった警察官を一人も処分しないまま幕を引いたのです。その辺りについては本書のP267でコメントしているのでご覧ください。
ともかく警察というところは、志布志事件が証明するとおり、事によっては、トップの判断如何ですぐにでも組織的に犯罪を実行する所なので、「警察は正義。警察は絶対に間違ったことはしない」等といったカビ臭い「無謬性」をそのまま信じ込んではいけません。
例えば、毎年必ずどこかで繰り返されるパトカーの追跡事故で死者がでると、警察は必ず無辜の死人に過失があったと主張します。そして、司法書類の「調書」や「実況見分」さえも改ざんするから手におえません。数年前に週刊文春で書いた「長野パトカー追跡死亡事件」(こんなタイトルだったと思います)や、週刊朝日で発表した「岩手県警パトカー追跡事件」はとりわけ悲惨でした。信じられない事に警察は、多くの目撃証言の中から警察に有利な証言者の調書だけを検察庁に送りそれ以外のものは全て隠していたのです。それどころか、目撃者とマスコミ(遺族)を分断させるために、「関わりにならない方が良い、あとが厄介だから」などと目撃者を言い含め、運送業に関わる目撃者には、「仕事柄事故もあるだろから、困ったことがあったら連絡しなさい」などと、取引めいた事までいう刑事までいたのです。
ともかく警察という組織は、将来の国賠を念頭に事故の調べを進めるのだから、公正なはずはありません。
治安を守る警察官が法律に認められた警察活動で人を死なせたなら、行政が遺族に補償するのは当然です。しかし、行政は必ずと言って良いほど応訴し、守られるべき遺族が99パーセント敗訴するのです。私は、そうした取材の中で、あまりにも冷酷で冷徹な警察という組織のやり方に辟易としました。
さてさて、逮捕から18年ぶりに保釈され菅家さんですが、そもそも菅家さんはなぜ捜査線上に浮上したのでしょうか? ご本人によると、いきなり刑事が来て「お前が殺したことはわかっているんだ」などと詰め寄り、胸ぐらを掴むなどの暴力を振るいながら無理やり警察に連行されたと言います。ですが、実は、そこが一番大事なところなので、もしチャンスがあったら是非ご本人に取材させて頂きたいと思います。
では、なぜDNAで犯人を特定したはずの「足利事件」が大冤罪に発展したのでしょうか。
報道されている情報を基に私なりに組み立ててみました。
1. 警察は何らかの事情があって菅家さんに目星をつけ、初めから菅家さんが犯人だと決めつけていた。(警察が菅家さんに目星を付けた理由は不明ですが、刑事は高度な蓋然性を感じていたに違いありません。だからこそ恫喝して強要すれば菅家さんが自白すると思ったのでしょう。しかし菅家さんは必死に否認を通しました)
2. 次に警察は、被害者の下着に付着していたDNA(体液)と菅家さんのDNAが一致すると勝手に思い込んでいた。
(これがDNA鑑定を行った根拠です。そして鑑定結果を基に菅家さんを逮捕。ところが鑑定結果に誤りがあることに気づいた警察は、どうしても菅家さんの自白が必要になりました。当時の科学技術の粋を集めたDNA鑑定の間違いを認めたら「誤認逮捕」どころか、多額の予算をつぎ込んだDNA鑑定自体に傷をつける事になるからです。要するに、責任問題が見え始めたこの頃から組織犯罪が始まったと言うわけです)
3. それからというもの、警察と検察庁が結託して菅家さんの人生を食い物にした。
(弁護士による94年の独自鑑定で犯人のDNAと菅家さんのDNA不一致。2002年の再鑑定でもDNA不一致、それでも審理が進んだのは検察のプッシュに裁判所が負けたからではないでしょうか?)
以上は、推測です。
ですが、そう考えると不思議と辻褄があうのです。
推測のついでに、「岩手17歳女性殺害事件」と「足利事件」をすり合わせてみました。
岩手県警は初めから小原勝幸を佐藤梢さん殺害の犯人と決めつけていました。菅家さんの「DNA鑑定」の例えで言えば、警察に隠すべき事があったからです。だからこそ警察は必要な捜査をせず、小原勝幸が提出した被害届けを握りつぶし、あまつさえ8人もの事件関係者が提出した情報さえ黙殺したのです。
みなさん
「岩手17歳女性殺害事件」と「足利事件」は どことなく似てませんか?
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