黒木昭雄の「たった一人の捜査本部」

小原勝幸を容疑者とするこの事件は、言いようのない不正義な社会構造を見せつける事になった。遺作小説『神様でも間違う』完成。

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1栃木リンチ殺人事件        
 栃木県警はなぜ、リンチ恐喝を放置していたのか


栃木県警は事件の共犯者(p8)
 平成11年(1999)年12月5日、栃木県市貝町の山林で日産自動車栃木工場に勤める男性の惨殺死体が発見された。

殺害されたのは栃木県黒羽町で理髪店を営む須藤光男さん(49歳)と洋子さん(48歳)の長男、須藤正和君(当時19歳)である。

容疑者として逮捕されたのはいずれも19歳の少年4人だった。


 正和君は殺害されるまでの2ヵ月間、犯人グループによって監禁され、金を脅し取られていたが、その金額は7百万円を超えていたという。

そして、監禁生活は筆舌にし難い凄惨なリンチの連続だった。

犯人グループは、殴る蹴るの暴行はあたりまえ、90度にも達する熱湯を浴びせたり、殺虫剤にライターで火をつけた火炎で身体を焼くなど、暴行の限りを尽くしていた。



 度を超えた暴力によってすっかり逆らう気力をなくした正和君は、犯人グループが自分が埋められる穴を掘っているのを静かに見守っていた。

そして、その直後、首を絞められて殺害された。

殺害される直前に正和君は「生きたまま埋めるのか、残酷だな」とポツリとつぶやいたというが、そのときの恐怖と孤独を思うと胸が締め付けられる。



 じつは、犯人らの殺害動機は監禁や恐喝などの犯行が発覚するのを恐れてのことだったが、このことに関しては栃木県警にも重大な責任がある。


 正和君の両親が息子の異変に気づき、何度も石橋署を訪れ、「息子が監禁されているから助けてくれ」と同署員に捜査を要請したのにもかかわらず、石橋署はまったく応じようとしなかったばかりか、犯人グループと電話で接触した際、不用意にも「石橋だ、石橋の警察の者だ」と発言してしまったのだ。これが犯人グループに正和君殺害を決心させたのである。


 裁判所によって「この事件の犯行は栃木県警石橋署生活安全課の刑事による発言がきっかけとなった」と認定されているが、栃木県警は事件の共犯と言われても抗弁のしようのない対応をしたことになる。


 しかし、両親に対して栃木県警からの誠意ある謝罪はいまだにない。




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