黒木昭雄の「たった一人の捜査本部」

小原勝幸を容疑者とするこの事件は、言いようのない不正義な社会構造を見せつける事になった。遺作小説『神様でも間違う』完成。

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自力での捜査  <2> (p17)

その後、光男さんはたった一人で調査をはじめ、数々の証拠を集めた。

 10月下旬、光男さんは正和君の須佐木中学当時の同級生に電話をかけたところ、「今日、正和君と会う約束をしている」との情報を得た。
光男さんはさっそく、この同級生の父親といっしょに、すでに独立して住んでいた彼のアパートに向かった。
「じつは、親には絶対に内緒でという約束で貸した31万円(25万円と6万円に分けて貸した)を今日、正和君が返しに来る。」と同級生が語った。
正和君を奪い返す絶好のチャンスと思った光男さんは、「正和が来るまで待たしてくれ」と申し入れたが、「それでは約束を破ることになる。逆恨みが怖い」と懇願され、やむなく少し離れた場所から様子をうかがうことにした。

 午後9時ごろ、一台の乗用車がアパートの前に止まった。
光男さんはすぐにでも飛び出して行こうと思ったが、「正和の友だちに迷惑がかかる」と考えて思いとどまった。
「とにかく車のナンバーがわかれば警察も動いてくれる。
正和は解放される」と考え、急いで車のナンバーをメモした。
たしかに「8760」と書かれていた。
あたりは薄暗く、車内ははっきりと見えないが、二人の人影が確認できた。

 それから5分後、正和君はBらしき男と同級生のアパートから出てきた。
正和君はBに促されるように車に乗り込むと、そのままどこかに姿を消した。

 光男さんが同級生に様子を尋ねると、彼はこう話した。
「Bといっしょに来て3万円だけ置いていった。右腕に包帯をしていた」

 11月になって光男さんは石橋警察署に電話をかけた。
応対したのは先日対応した刑事である。
独自に調べあげた調査状況をまとめて、刑事に伝えた。

「刑事さん、息子は監禁されて誰かに連れまわされています。
ケガもしています。
包帯もしていました。
犯人の車のナンバーも控えてあります。
なんとか捜査して捕まえてください。
息子を助けてください」

 しかし刑事は
「息子さんも一人で一人でいるときがあるだろう。
そのときに逃げようとしないのは息子さんも悪いんじゃないか」と、取り合わない。

その後、刑事に伝えた車輌ナンバーから、この乗用車はCが所有するインテグラであることが判明した。
しかし、このときもまた、警察はこれ以上動かなかった。
しかし、須藤さん夫妻はめげずに石橋警察署に日参した。(p18)


次回
自力での捜査<3>
http://blogs.yahoo.co.jp/kuroki_aki/6795536.html

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