黒木昭雄の「たった一人の捜査本部」

小原勝幸を容疑者とするこの事件は、言いようのない不正義な社会構造を見せつける事になった。遺作小説『神様でも間違う』完成。

連載 警察はなぜ堕落したのか

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《警察はなぜ動かなかったか3》(P25)


この期におよんで素直に詫びず、警察の怠慢を一般企業の「報告書」にすり替えるところなど呆れるほかない。

もしもこの報告書が言い訳のために後日作られたものだとしたら、ウソつきもはなはだしい。



 主犯格Aの父親は事件当時、氏家警察署の交通かで係長(警部補)として勤務していたが、平成12年4月、栃木県警本部の通信司令室に栄転し、現在110番通報を各所に指令する任務についている。

実の子が鬼にもできない残忍な殺人事件を犯していながら、人の命を守る警察官を続けているられるものだと私は感心するが、彼を本部に抱えた栃木県警にはさらに感服する。


 警察の思惑(組織の防衛)としては、とかく人目につく氏家警察署においておくよりも、本部に囲ったほうが何かと安心だという気持ちもあるだろうが、それでは社会は納得しない。

これでは警察官としての父親の存在が捜査の妨げ(身内かわいさ)になったと陰口をたたかれても、返す言葉もないだろう。


 では本当のところ本当にそれが捜査の妨げになったのだろうか。


 ワタシは石橋警察署の大橋光男次長に率直に尋ねた。

返ってきた言葉はつぎのとおりだった。
「黒木さん(筆者のこと)もそれを言いますか。

マスコミはみんな、同じ事を聞きますよ。

でも、おわかりのとおり、私の口からは言えないんですよ。

明日、本部で会見がありますから、そこで発表されます。
それまで待ってください」(5月25日)



 しかしその後の報道によれば、そのことにはまったくふれていなかった。

なるほど、警察広報システムの常套手段か。

もはや警察署広報担当の副署長(次長)などあってないようなものだ。

しかも、須藤さんがAの父親の職業をはじめて知ったのは、初公判の冒頭陳述のときだったというから、少なくとも警察が事実を隠していたことは明らかである。


 となると、石橋警察署の警察官が正和君の職場を訪れ、Aの写真を彼の同僚に見せただけで捜査を打ち切ったという話が妙に信憑性を帯びてくるのだ。

信じたくない話だが、栃木県の体質からすれば、あってもおかしくはない。

警察不祥事の嵐が吹き荒れるなか、一警察官のミスとは言い切れない今回の事件に、全国の警察官は事のなりゆきを注目していた。

そして、多くの警察官が下した結論は、栃木県警は全国警察の面汚しだ、栃木県警こそ重罪である、ということだったようだ。


 私は事件にかかわったすべての警察官の処分を望む。真実の発表を栃木県警本部に望む。

それが正和君へのせめてもの供養であり、須藤さんご夫妻への罪滅ぼしである。


(p26)

次は「2、桶川ストーカー殺人事件」(27〜)
http://blogs.yahoo.co.jp/kuroki_aki/8017934.html


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