黒木昭雄の「たった一人の捜査本部」

小原勝幸を容疑者とするこの事件は、言いようのない不正義な社会構造を見せつける事になった。遺作小説『神様でも間違う』完成。

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 市橋容疑者逮捕は懸賞金の威力なのか!?
 

こうした質問が英字新聞ほか、新聞社から届いています。

答は否です。
市橋容疑者を精神的に追い詰めた一番の原動力は人の目であり、人々に関心を持たせたのが、あの、生々しい写真だと私は思います。
写真という素材があるからこそマスコミが報じ、それにつられて視聴者が手配容疑者を身近に感じ、気にする。
これも一種の「劇場型」と言われる現象ではないでしょうか?

一方、小原勝幸をはじめとする約15人の懸賞金つき事件は忘れ去られようとしています。ほとんど報じられないからです。それらからいっても、指名手配被疑者を見つけ出すための威力は、「懸賞金」そのものではなく、何といっても、広く全国に情報を発信するマスコミということになります。

この種の事件で有名なのが、整形手術を受けながら時効寸前まで逃走を続けた福田和子元被告事件。それゆえに、「市橋容疑者も整形しているのではないか?」と噂されましたが、今回の逮捕によってそれが裏付けられたわけです。そうした意味から言っても、捜査員6人の制止を振り切って姿を消した07年3月26日から、初めて素顔を他人に見せた08年8月19日までの1年4ヶ月に及ぶ市橋容疑者の逃走劇に注目が集まります。
ですが、それで終わったわけではありません。
市橋容疑者が本当にリンゼイさんを殺害したとするなら、その経緯のすべてがつまびらかにされない限り、真の事件解決にはならず、遺族の心が満たされることはないのです。

前にも書いたように、今でも私は千葉県警の捜査ミスがリンゼイさんの死亡に深く関係していると考えています。もしそれが事実なら、千葉県警は、そうした極めて不都合な事実を隠すことなく、みずから洗いざらい公表してほしいものです。
それが、素晴らしい人生を奪い去られたリンゼイ・アン・フォーカーさんに対する何よりもの供養ではないでしょうか。

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