黒木昭雄の「たった一人の捜査本部」

小原勝幸を容疑者とするこの事件は、言いようのない不正義な社会構造を見せつける事になった。遺作小説『神様でも間違う』完成。

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警察組織が生んだ構造的失態 p187-188
 
 警察官の不適切な対応が招いた栃木県の少年によるリンチ殺人事件や、埼王県桶川のストーカー殺人事件、さらに名古屋の五千万円恐喝事件などは、警察現場のいちじるしい実務能力の低下が招いた、いわば警察組織の構造的失態ともいえるのである。
 
 それぞれの事件に共通するのは、現場警察官の初動捜査に重大なミスが認められる点である。もしも現場主義=職人精神がそれぞれの事件に生かされていたなら、最悪の結果は免れたかもしれない。
 
 これまで述べてきた全国の警察官採用制度や昇任試験制度、さらに各部門のエキスパートを養成する実務講習などの選考基準が、等しく学業成績一辺倒であるところなどは、まさしく現場を知らない警察幹部が考えだした浮世離れの政策なのである。
 
 このところ警視庁をはじめとして各都道府県警察本部はこぞって、地域住民に対して、実務能力主義を標榜していると説明するが、現実はまったく逆の発想で組織が運営されているのである。口では「事件に強い警察組織」を言うが、昇任試験制度は旧態依然であり、このままいけば本当に警察のプロは姿を消すのではないかという危機感さえ、私にはある。
 
 
 
 

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