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今日の天気は下り坂らしい。
午前中くらいはもってくれるだろうか? 朝いちばんでお風呂をいただく。 本来なら空になった浴槽に、朝一で源泉が注ぎ込まれる。 そこに浸かるのを楽しみにしていたのだが、休館日の朝なので仕方ない。 それよりも貸切で入れることに感謝である。 朝ご飯も当然二人だけ。 こんなことは滅多にないという。 宿のおじさんから色々と話を伺った。 『平日だと、こんな感じじゃないんですか?』 この先の畑薙ダムの発電所は中部電力の管轄。 平日は、その関係者が宿泊しているらしい。 だから休日よりもかえって平日の方が忙しいのだと。 また、リニア新幹線もこの下を通るらしく、最近ではJRの職員も利用している。 本格的に工事が始まれば、この先に1つの町ができるくらいの人が集まるだろう。 確かに以前、竜飛にある青函トンネルの工事現場を見た。 宿舎がたくさん並んでいた記憶がある。 便利になって喜ぶ人も多いのだろうが、何だか素直に喜べない。 空は雲が多いものの、まだ雨の心配は無さそうだ。 限られた時間で辺りを散策しよう。 まずはお約束の畑薙第一ダム。 そして、僅かな期待を込めてゲートまで行く。 しっかりと管理のおじさんが居た。 今はゲートから先は一般車通行止だが、昔は今のバス路線のさらに先まで走れたと 宿のおじさんが教えてくれた。 そんな時代に走りたかった。 気を取り直してスタートだ。 宿の前をスルーして、小河内林道の標識を横目に、井川大橋まで この橋は、ダムが出来た時に立退きとなった井川村の補償事業として作られた。 補償事業の割にはちょっと・・・と思ったりするが。 対岸の道が途中にあった小河内林道に繫がらないかと 先まで行ってみるが、茶畑に出て通行止。 それなら、向こうに見える赤い橋を渡れば行けそうだ。と 戻って赤い橋を渡ると、朽ちた吊橋が見えて来た。 近づいてみると、通じていた道路はすでに埋められていた。 架け替えや撤去ではなく、朽ちていくのを待っているのだろうか? この先は雨畑に繫がる林道だが、以前からずっと通行止だ。 対岸を戻る方向に少し走るが、民家のある所で、やはり行き止まり。 ちょうど軽自動車に乗るおばちゃんが帰ってきた。 「みんなここで迷子になるんだ。」 話をしていると、遠くからニャアニャアと猫がやって来た。 ミーちゃん(妹)とムーちゃん(姉)だ。 細長い尻尾をピンと立てて歩くのが印象的な猫だ。 猫の後からおじさんも歩いてついて来た。 林道の様子とお勧めの道を教えてくれて。 「この辺は親切な人ばかりだから、ゆっくり遊んで行きな〜」 そう言って、2匹の猫と一緒に帰っていった。 そうは言っても、天気も怪しくなってきたので、林道散策は次のテーマとし そろそろ引き上げる。 積込が終わり宿を後にする頃、ポツポツと雨が落ち始めた。 良いタイミングで撤収できた。 このまま帰るのもつまらないので、井川駅の先にある遊歩道へと車を走らせる。 特に案内も何も出ていないが、当たりを付けて入って行くと、それらしい東屋の様なものがあった。 井川線の堂平駅跡に建てられたものだろう。 現在は井川駅が最終駅となっている井川線だが、以前はこの堂平駅まで延びていたらしい。 今はその線路が残された遊歩道になっている。 井川湖を眺めながら、シトシトと降る雨の中を歩く。 新緑が屋根代わりになってくれて、ほとんど濡れることは無い。 ふと山側に目をやると、見慣れない箱が所々に置いてある。 そんな話をしながらトンネルを抜けて、井川ダムまで歩いた。 引き返そうとした所、山の上のほうから声が聞こえた。 声のする方を見ると、山の斜面で男性が二人、バーナーを焚きながら何やら作業をしている。 お湯でも沸かしてコーヒーでも入れるのかな?と思いながらよく見てみると、 先ほどの巣箱の様な物を開けている。 「蜜蜂の箱を準備しているだよ。」と、おじさん。 『見せてもらってもいいですか?』 何かの番組のようなノリだ。 「じゃあ、この上の箱をこれからやるから、登っておいで。」 若い方の男性が迎えに来てくれて、斜面を登って作業を説明しながら見せてくれた。 若い男性はおじさんの息子で、休暇を利用して実家のある井川に来ているようだ。 おじさんは井川に生まれ、生家はダムの底になってしまったそうだ。 蜂の巣箱は、その頃から代々続いていて、ダムが出来てからはこの場所に仕掛けていると言う。 「最初は辛くってな〜」と、おじさんが話始めた。 子供の頃に親父に連れられて、こうして山に入って巣箱をセットするわけだ。 最初に蜂が入るまでに35年かかった。 『え?』と我々。 運蜂と言ってな。その蜂が入ると何か良いことがあるんだ。 最初に蜂が入った年に、俺が結婚したわけさ。 次に入ったのは、長女が生まれた年だった。 最後に入ったのは・・・なんだったっけ? ちょっと待って、おじさんは俺より10年早く生まれているわけで 子供の頃からやっているって言うと、少なくても60年近くはやっていることになる。 その間に3回って・・・ずいぶん気の長い話である。 『何たって自然が相手だからな〜』 と、バーナーで溶かした蜜蝋を刷毛で巣箱に塗りながらおじさんは話す。 この蜜蝋も、巣箱の形もそれぞれが工夫して、伝承されているらしい。 『今日セットした箱は、いつ開けに来るんですか?』 その時も来ようとしているのか、相方が聞いていた。 「次に来るのは来年の夏かな?」と、おじさん。 これまた気の長い話である。 お礼を言って、再会を願って別れた。 井川にまつわる興味深い話を色々と教えてくれた。 ますます井川が好きになってしまった。 ダム資料館で今聞いた話を復習し、井川ダムを後にした。 長島ダムにさしかかった頃、右手に列車が見えて来た。 この辺はアプト式の区間のはずだ。 思わず車を止めて、シャッターを切った。 雨に煙る列車もなかなかいいもんだ。 その先の千頭駅で遅いランチ。 連休中は混んでいたであろうが、この日は貸切。 ゆっくり観光できる雨の日もなかなか良いもんだ。 まあそれも、トランポ+バイクでのツーリングならではのもの。 今後はますますこのパターンが主流になりそうだ。 |
OFF ROAD
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今回も、ツーリングというか、紀行を楽しく読ませていただきました♪
貸し切り状態なんて・・・テレビ番組しか存在しないと思ってました。
時期をずらすとそんなときもあるんですね〜
2016/5/21(土) 午前 8:46 [ 5時 ]
5時さん
ありがとうございます。
連休の合間とは言え、こんなこともあるんですね〜。
ビックリしました。
2016/5/22(日) 午後 6:10 [ くろきん ]
大井川の奥地は一度行ってみたいです。
この日と前日の岐阜からのルートでは250シングルを堪能できたのではないでしょうか?気持ちよさそうですね〜。
2016/5/22(日) 午後 10:56 [ IH ]
IHさん
天竜川と大井川はセットで楽しみたくなりますね。
250シングルで、十分というか最適ですね。
2016/5/23(月) 午前 0:42 [ くろきん ]