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映画『ランボー 最後の戦場』の感想を書きます。
暴力的な描写について深く考えさせられる映画でした。
ランボーシリーズの4作目。
監督・主演・脚本"シルヴェスター・スタローン"。
ランボーシリーズは派手なアクションだけが取り柄というイメージがあるかもしれません。
しかし,1作目を観れば分かりますが…違います!!
そもそも"ランボー"はヒーローではない。
ベトナム戦争で心に傷を負った悲劇の男なのです。
国のために必死で戦ったが勝利することはできず,戦友は全員戦死。
挙句の果てには,帰国すれば避難され碌な生活もできない。
そして,ついに怒りが爆発し街で暴れ回ってしまう。
そんな中,ランボーは叫びます。
「誰一人戦争が何かも知らないで,俺を責める資格があるのか!?」
まさにここが重要。
戦争とは何か。
平和ボケしている我々日本人若者の多くは戦争について無知。
そんな我々をぶん殴り,目を覚まそうとしてくれるのが今作です。
この映画の中では,戦争における暴力描写が包み隠さず描かれます。
例えば,銃の威力。
007などのアクション映画では,撃たれても血がちょっとでる程度。
ゲームなんかでは,撃たれても動かずにいれば体力は自然回復していきます。
しかし,この映画では頭に弾が当たれば首から上がなくなります。
「ヘッドショット♪1撃で倒した」なんてゲームのような気持ちにはなりません。
膝に当たれば,足がちぎれます。
胴に当たれば,体が真っ二つになります。
他にも,刃物の威力。
当然のごとく,腕が切断されます。
腹をさせば臓器がでてきます。
もちろん面白可笑しく描写されているわけではありません。
現実で武器をこう使えばこうなる。
そうハッキリと描写されているだけですね。
頭では分かっていても,映像にされるとかなり衝撃的。
このような描写があるため,今作はR15指定作品となっています。
しかし,よく考えてみると不思議ですよね?
銃や刃物を使って敵を殺しているという行動は同じなのに,真実を描写すると暴力的だと規制される。
FFなんかの超大作ゲームでも,主人公のメイン武器は刃物。
それを振り下ろせばどうなるのか我々は知っているはずです。
人を殺しても光になったりして綺麗に見せればそれでいいのか?
それでいて,敵に攻撃されたときは主人公たちは傷つく。
このように描写されると,反撃するのに正当性を感じてしまいますよね。
例えば,FF7CCなんか。
好きな作品ですが,やはり死を美化して描いています。
なお,このゲームはPG12です。
敵を殺す(倒す)のに大義名分があればいいのか?
今作でランボーは戦地に薬を届けるボランティア団体を救うために戦います。
大義名分としては充分ですよね。
また,女性がレ*プされる寸前で敵を殺し救いだします。
女性を救うことは間違いなく正しいことですよね。
しかし,敵の喉を裂くという残酷な描写のせいでカタルシスは感じないわけです。
もし,サクッと殺して捨て台詞でも言えばカタルシスを感じるのでしょうけど。
このように残酷な描写のおかげで,大義名分があっても殺すことは正しいことではないと感じるわけです。
強いて言うなら,正しいことではないが,仕方がないことだと感じます。
誰しも状況が状況ならば,殺すことを選択するしかない。
それを拒めば,自分が死ぬ。
もちろん楽に死ぬことは許されない。
そもそも,戦場では殺すことの善悪を考えている余裕すらない。
映画の中でも,ボランティア団体の1人にそのような描写があります。
散々,人を殺すことは許されないと主張してきた彼も最後は人を殺します。
誰も彼を責めることはできないでしょう。
彼が敵を殺すことで,敵に殺される命が救われたとも言えるのです。
しかし,おそらくは戦場の悲惨さを知らない人達には避難されるでしょう。
ボランティア団体のメンバーが人を殺すなんて何事だと。
こうして考えてみると暴力的な描写も奥が深いですね。
ところが,ネットで感想をググってみると見当違いなレビューも結構あるわけです。
グロいから駄作,とか。
こんなのランボーじゃない,とか。
ランボーでやる必要はなかった,とか。
本当にちゃんと1作目から映画を観たのかって聞きたいですね。
ランボーじゃないと言っている人は2,3作目の戦闘シーンだけ観た人達でしょう。
むしろ,戦闘シーンを楽しみに観ると驚くことになるはず。
戦闘シーンが楽しいどころか,目を背けたくなるわけですから。
お決まりの弓で敵を撃つシーンも,貫通した人間が映るとこうも印象が変わる。
戦いに勝利しても,カタルシスはなく虚しいだけ。
そもそも戦場で戦う映画に対してグロいからヤダって言うのも可笑しな話ですよね。
そして,戦闘シーンを楽しみにしていたこと自体に疑問をもつことができるわけです。
もちろん娯楽映画なら,戦闘シーンを楽しむことは悪いことではありません。
しかし,今作は娯楽映画ではないのです。
ましてや,この映画はビルマの現実を描いた作品。
ちゃんとビルマの人達が撮影に参加していますしね。
映画内の陸軍の暴言なども,現地の人達の証言が元になっています。
むしろ,現実は映画以上の残酷な世界だとか。
平和な日本でならば,「グロいからヤダ!」すみます。
見たくないものは見ない。
しかし,戦地に生まれた人はそれではすみません。
世界では今も現実にそのような行為が行われているのですから。
戦争の戦場の恐ろしさ。
善悪判断すらできないカオス。
それを知ることで,逆に命の尊さも感じる。
そのような反戦の仕方もあるはずです。
もちろん現実は映画なんてものではないはずです。
しかし,映画ですらここまで戦争は恐ろしい。
戦争について考える機会を与えてくれるだけでも観る価値は間違いなくありますね。
あまりそういう機会はありませんし…。
自分も祖父から体験談を聞いたり,沖縄に行った程度でした。
それでも驚愕の内容でしたが。
とはいえ,R15だと観る機会が少ないのが難点。
テレビで放送されれば観る人もいるでしょう。
しかし,この映画の場合は相当カットしないと放送できない。
カットされてしまうと,映画本来のメッセージ性が薄れてしまう。
ここが,暴力描写の難しい問題ですね。
物事の善悪を考えることができるようになった年齢の方全員にオススメできる名作中の名作です。
1作目を観直してから観ると,より胸にグッときますよ。
なお,全ての暴力描写を含む映画を肯定しているわけではありません。
そこは断言しておきます。
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