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3日の日経平均株価は4営業日ぶりに反発した。世界株安がひとまず一服し、投資家の不安が和らぎつつある。ただ、一部の専門家の目には低リスク株に集中する投資家の物色動向が異様な光景と映る。いずれマネーの逆回転が起きる兆候なのではないか――。世界の投資家の低リスク志向が一段と強まり、市場が発する「危険信号」を警戒する声も出始めた。
変調に初めに気づいたのは「クオンツ」と呼ばれるアナリストたち。膨大な過去データを数学的手法を駆使して分析し、マーケットの先行きを占う専門家だ。
「買われてきた銘柄がさらに買われている。心配ですね」。野村証券の村上昭博氏は話す。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の古川真氏も「市場は現在、異常な状態にある。危機感を持たなければ」と言う。
3日の物色動向を見ればその不安も納得できる。自動車や電機などの買い戻しに交じり、値上がり上位には医薬品や食品が並んだ。
こうした銘柄は年初から相場の物色の柱。超低金利で債券から運用益を得にくくなり、世界の投資家が代替先として資金を振り向けた。「債券投資分の数%だろうが、株式投資家と比べて大きすぎる規模だ」(りそな銀行の下出衛氏)
クオンツたちが警戒するのは、投資家の「偏食」がもたらすゆがみが、極限近くに達していることだ。
相場全体と個別株の値動きの相関を示す「ベータ値」という指標がある。相場と値動きが同じなら同値は1、2倍の値動きなら2。値が低ければ全体の動きと連動しにくく、低リスク志向が強まる局面では資金の受け皿になりやすい。
ベータ値が低い銘柄を見ると割高さが際立つ。例えばベータ値が東証1部で最も低い部類の駐車場大手パーク24。中国リスクが高まる前の8月14日と比べて3日は2%高だ。11%強下落の東証株価指数(TOPIX)を13ポイント上回った。
「ちょい乗り」のカーシェア事業が節約需要を取り込み安定成長が続く。ただPBR(株価純資産倍率)は6倍弱と東証1部平均(1.3倍)を大きく上回る。「有望だが割高。インバウンド関連を避けたい消去法的な買いが集中している」(ファイブスター投信投資顧問の大木昌光氏)
米利上げ観測がくすぶるが、欧州や日本は金融緩和のさなか。割高でも金利が低水準にあるうちはこうした物色は途切れにくい。
しかし、気になる動きもある。株の値動きの大きさだ。三菱モルガンの古川氏が先進国の主要指数で算出した結果、債券と株式の間で変動率が高い資産を避ける動きがみられた。「変動率の大きさを嫌気して、保有株を削減する動きが出る可能性がある」と読む。
転換のきっかけは何か。やはり決算発表だろう。10〜11月には業績修正が増える可能性もある。株価が業績を過大に反映しているとの見方が広がれば、水準訂正は一気に広がる。押し寄せたマネーの波はいつかは引く。指標を度外視して買いを集めてきた銘柄群だけに、相場の重荷になるかもしれない。
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