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パターン的行動、生真面目すぎて融通が利かない
興味の対象として「パターン」があります。朝起きたら必ず雨戸を開けるといった目立たない習慣のようなパターンもあります。雨が降っていても雨戸を開けたがったら、それはパターンです。一日の行動パターンを完全に決める人もいます。毎朝の通学電車では同じホームの同じ場所から、同じ時間の同じ号車に乗ることに決めていたりします。 融通が利かないことも学校生活で問題になります。時間割の変更や突然の教師の欠勤という事態で不安を感じたりかんしゃくをおこしたりします。あまりに規則に厳格なために、遅刻した同級生に延々と注意をしたり、修学旅行などで消灯時間をかたくなに守り、他の生徒の顰蹙をかったりすることがあります。パターンを好むということは反復を厭わないことでもあります。ある語学好きの大学生は「語学は何度反復しても怒られないし、反復すればするほど成績も上がるので大好きだ」と語っていました。 ものまね、テレビ・ビデオへの興味 アスペルガー症候群の子どもの多くはものまね遊びが得意です。一見ごっこ遊びに似ていますが、一人で遊ぶことが多かったり遊びの内容が反復的でテレビの場面などのコピーになっていることが、他の多くの子どものごっこ遊びと違うところです。実際にテレビアニメの主人公に「なりきって」しまう子どもも少なくありません。ただしアスペルガー症候群の子どもの場合は相手の子どもの反応にあわせて自分の言動を柔軟に調整するのが苦手なので、多数の中でのごっこ遊びは長続きせず、一人でテレビの場面を再現するような遊びかたになります。テレビ番組では医学物などのドキュメンタリー番組、ドタバタ系のバラエティ番組を好みます。フィクションではSF番組、単純な勧善懲悪ものを好むことが多く、人間関係の複雑さがテーマになるようなストーリー性のある番組を好むことは少ないようです。読み物も図鑑や辞書などが好きなことが多いのですが、小学校も高学年になると歴史ものやSF、医学もの、刑事ものなどを好むようになります。より年長になっても、人間関係の心 理のあやがテーマになるような小説を好むことは稀です。 常同運動 重度の自閉症では、体を前後にゆする行動(ロッキング)、興奮した時にジャンプをすることを繰り返す、手をひらひら目の前にかざすなどの行動がみられます。アスペルガー症候群の場合はそういった行動は目立つことはあまりありませんが、幼児期、試験前などのストレス情況や人目の無いところでは同様の常同行動がみられることがあります。 「3つ組」以外のアスペルガー症候群に良くみられる特徴 以下の領域の特徴はアスペルガー症候群に必発ではありませんが、アスペルガー症候群の人が示すことが多い特徴です。 不器用 アスペルガー症候群の子どもの動作はぎこちない印象を与えます。三輪車のペダルをうまくこげなかったり、小学校に入っても自転車の補助輪がとれない、ボール遊びが苦手、お箸が上手に使えない、など運動が苦手なことが多いのです。歩き方や走り方もどことなくぎこちなく、家の中を歩いてもあちこちぶつかったりします。小学校では体育が苦手なことが多く、バランスをとることが苦手で平均台をうまくわたれなかったり、ドッジボールなどのボール遊びに参加できなかったりします。手先が不器用で工作が下手だったり「みみずのはったような」字を書くこともあります。このような不器用さは知的な能力とは平行せず、成績優秀な中学生でもお箸で食べると食べこぼししたりします。もっとも特定のことに関してはとても器用なこともあります。お箸はうまく使えないのに、テレビゲームのコントローラーはとても素早く正確に操作したりできる子どももいます。運動は全く苦手なのにピアノは上手に弾いたり、読めないような字を書くのに絵はとても上手に描けるなどです。このよ うな不器用さは模倣能力の乏しさや、模倣するときの注目点が一般の子どもと異なることなどが関係しているようです。 音や光、味などへの過敏さ アスペルガー症候群の子どもは感覚刺激に対して敏感なことがあります。敏感さは聴覚、視覚、味覚、嗅覚、温痛覚などのいずれの感覚の敏感さもありえます。もちろん一人の子どもがすべての領域に敏感さをもっているわけではありませんが、アスペルガー症候群の子どもは(大人も)感覚の敏感さを持っている可能性について周囲の人が考慮しておく必要があります。過敏なことが多いのですが、逆に鈍感なこともあります。アスペルガー症候群の人の感覚的な問題は敏感さと鈍感さが共存することです。痛みや熱さに対して鈍感な場合は怪我や火傷に気づかないことがあるので注意が必要です。 音への敏感さ 音への敏感さがアスペルガー症候群の最初の兆候のこともあります。ちょっとした物音で不安がり泣いてしまうとか、工事現場の騒音を嫌がって外出を拒否する、幼稚園の運動会のピストルの音でかんしゃくをおこしてしまうなどです。人ごみや混んだレストランなどざわざわした騒音は苦手なことが多いようです。電車の中では騒音をがまんするだけで手一杯で、とても話などできないと言う大人のアスペルガー症候群の人もいます。コインで黒板やブリキ板などを擦ると「キーキー」と耐えがたい音がしますが、同じような辛さを色々な音に対して感じているようです。 音への敏感さが特定の音を好むという形で現れることもあります。電車のガタンガタンという音を熱中して聞き続けたり、放映のないチャンネルのザーというノイズを聞くことを好んだりすることもあります。エンジンの音で車種を、モーターの音で電車の種類を区別できる子どももいます。音感に敏感でほんのわずかな音程のずれでもわかる子どももいますが、こういう子どもにとっては学校の音楽の時間に調子はずれの合唱に参加したりすることはとても苦痛に感じることでしょう。 視覚的敏感さ 敏感さが視覚に現れると、特定のマークやロゴにこだわったり、教えもしないのに文字やアルファベットなどを幼児期に覚えてしまうことが多いようです。揺れる木の葉を見続ける子どもは興味のレパートリーが狭いとも言えますし、視覚的な敏感さがあるといっても良いでしょう。強い日差しが眩しくて、サングラスをかけて対応していることもあります。 視覚の敏感さが文章を読むときに現れると、学習や仕事に支障をきたすこともあります。あるアスペルガー症候群の女性は、何かに注意を向けると内容より表面が気になってしまうと訴えます。例えば文章を読むと漢字の複雑な形に注意がむいて文字のカーブの形などにうっとりと見入ってしまい、内容を理解するまでに時間がかかります。年少の子どもでも「麒麟」や「檸檬」などの複雑な漢字に強い興味を示すことがあります。話相手の表情がちょっとでも険しいと、それだけで怒っていると判断してしまい不安になる子どもも多いのです。 味覚の敏感さ 味覚の敏感さは偏食につながります。極端に敏感な場合は特定の銘柄の特定な物しか食べないことがあります。A社のレトルトカレーは食べるのにB社のは食べないといったこともあります。学校で給食の時間に残さず食べるように指導されるのが苦痛で、登校できなくなることも少なくありません。偏食というと「わがまま」とみなされやすいのですが、アスペルガー症候群の子どもにとっては、われわれがおいしいと感じる味がとてつもない味に感じていることがあり、偏食の矯正を給食の時間の目標にしないほうが良いでしょう。偏食の一部はいわゆる「食べず嫌い」で、食べ物の「見た目」への敏感さが原因のこともあります。このような場合は調理の方法で見た目を変えることで食べることができるかもしれません。 嗅覚の敏感さ 嗅覚が敏感な場合には香水や整髪料の臭いを嫌うことが多いようです。他の人の体臭や口臭に敏感で、それを我慢できずに社会参加の妨げになったり、悪気はないのですが、はっきりと相手に指摘するために傷つけてしまうことがあります。学校や会社などのトイレを使えないとか、塩素消毒の臭いが苦痛で体育のプール指導を嫌がるなどの行動もみられます。自分から訴えない子どもも多いため、嗅覚過敏が関係した行動は見逃されがちです。 触覚的な障害 ツルツルした表面が滑らかなものを触ったり、ぬいぐるみなどの感触が好きでいつも持ち歩いて撫でていることがあります。シャツのタグのあたるのが嫌でタグを取ってしまったり、きついズボンを嫌がってゆったりしたズボンをはきたがったりすることがあります。 他人に触られることや抱きしめられることを嫌がることもあります。アスペルガー症候群の赤ちゃん時代のことを聞くと「抱くとそっくりかえって嫌がった」と報告されることがありますが、もしかしたら触覚への過敏性の最初の表現かもしれません。大人は子どもが良いことをすると頭を撫でますが、良い事をするといつも頭を撫でられるので、そのうち良い事をしなくなった子どもがいます。子どものようすを良く見ていれば、喜んでいるかどうかわかるのですが、子どもの反応をみないで機械的に頭を撫でているとこういうことがおきます。耳垢をとることや散髪をとても嫌がり、寝ている時にやろうとしても起きてしまうような行動も触覚過敏が関係しているようです。 痛みに対する反応 痛みに対する反応が過剰で、注射などに異様なほどの恐怖心を覚える子どもがいます。大学生のアスペルガー症候群の大学生で、注射の痛みで涙を流す人もいました。反面、痛みに対してまったく無頓着といった場合もあります。 学習の問題 アスペルガー症候群の子どもの成績はさまざまです。かなり優秀な成績のこともあれば全体に学習が苦手なこともあります。多くの子どもは普通学級で学んでいますが、小学校も高学年になると普通学級での学業継続が難しくなり特殊学級に転籍することもあります。社会や理科などが好きで図鑑などから詳細な知識を得ていることも珍しくありません。漢和辞典やことわざ辞典などで沢山の熟語やことわざを知っている子どももいます。一部の知的に高いアスペルガー症候群の人は大学にも進学します。理系にいくことも文系にいくこともあります。大学で自主的に研究計画や実験計画をたてることは難しい人が多いようです。 字を書く問題 不器用さの項でも説明しましたが、字を書くのが苦手な子どもが多いようです。まず字の書き方が乱雑で「みみずのはったような」字をかくことがあります。全体的な成績は悪くないのに中学生になっても「わ」と「ね」、「シ」と「ツ」などの区別で混乱したり、簡単な漢字を覚えられないことがあります。「偏」と「旁」の位置が逆転したり、いわゆる鏡文字を書く子もいます。文末の「は」と「わ」の混同なども時にみられます。 算数の問題 独特の計算の方法をとることがあります。アスペルガーの原著にも、47-15を47に3を足して50にし15を引いてから3を引く方法をとる男児の例があげられています。機械的な計算はできても、文章題になると難しいことがあります。筆算は得意でも暗算は苦手な場合や、計算のみだと暗算が得意でも、問題を聞いて解くときにはとても苦労する場合もあります。驚くほど正確に計算できる場合もあり、何年も先までカレンダーの曜日を計算できたりする子どもがいることはよく話題になります。 その他の心理学的問題〜心を読むこと 日常、大人はもちろん子どもでも相手の気持ちを読みながら暮らしています。相手が自分を騙そうとしているとか、本当は喜んでいないのに喜んだふりをしている、そういう相手の意図を読むことで日常の生活が成り立っています。このように相手の気持ちを読む能力は通常では4−5歳くらいから芽生え始めるといわれています。アスペルガー症候群の子どもは相手の言ったことをそのまま単刀直入に受け止めてしまいがちです。そのため騙されやすかったり、利用されたりしやすいの |
アスペルガー症候群とは何か
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