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観客のいなくなった広い会場には、コンクリートブロックに板を渡しただけの
簡易座席が遥か彼方まで並んでいます。最初に我々が行った作業はその板を一枚づつ外して、
一箇所に平積みにしていくことでした。
軍団員でなはない、いかにもマッチョな体育会系の人たちが2人1組で板の両側に立ち、
「ハイ!ハイ!」と掛け声をかけながら、板を外していきました。
我々はその元気を横目で見ながら、「ありゃすぐにバテるぜ・・」と冷ややかな目・・・
案の定、10枚くらいやると、掛け声は小さくなり、20枚くらいで意気が上がってきた様子。
撤去作業はペース配分が大切。いかにうまく手を抜き、体力を温存していくかが勝負です。
この地獄のような5日間で得た教訓です・・・
広大な会場に敷かれた板はちょっとやそっとじゃ片付きません。
その内に、空からポツリポツリと雨が落ちてきました。
日中のうだるような暑さがウソのように気温はどんどん下がってきます。
思えばここ数日、テレビなんて見る余裕などまったくなかった・・・
きけば、台風が近づいているという・・メチャクチャな天気です。
我々の格好といえば、夏なので半袖のTシャツ姿。
寒さをしのぐため、ゴミ袋の底を頭が入るくらいくりぬき、
すっぽりかぶって合羽代わりにして作業を続けました。
気がつけば、午前2時。気力体力共に限界です。
事前の情報ではこのあたりで夜食が出るはずだったのですが、その気配すらありません。
思い余って、社員の立川さんに聞きました。
「どういうことですかね。夜食は出ないんですか?」
「これだけ、多くの人数の夜食、買いに行っても、戻ってくるまでに夜があけちゃうよ」
「え!でも○○さんは吉牛が出るって・・」
「○○の虚言壁はお前もよく知ってるだろ?」
ショックで言葉がありませんでした・・・・
うちひしがれた私の前に1人の男が立ちはだかりました。
「お前、夜食出るっていったよな。なんで出ないんだよ!おかしいじゃん」
彼は同じ野球場で働く仲間で普段は仲がいいのです。
しかし今回は軍団員ではなく、休養充分でこのライブの仕事だけやってきたことに
対するヤッカミと、眠さで思考回路がメチャクチャだった私は次のひとことで
怒りが爆発しました・・・
「し・ん・じ・られな〜い・・・」
「そんなこと知るか!大体俺が決めたんじゃない!聞いた話をみんなに伝えただけだ!
そんなことまで責任もてるか!」
「出るっていったのにな〜うそつき!」
「お前にうそつき呼ばわりされる筋合いはない!こっちは休養充分なお前と違って
3日3晩寝てないんだ!そんなに腹減ってるなら帰れ!」
普段、こんなに怒ることない私に驚いたのか、
彼は「そこまで言うか〜」と言いながら、立ち去りました。
食い物の恨みは怖い・・・身をもって知らされた一夜でした。
その後作業は進み、夜も明けてきました。
いい加減やることもなくなってきたのに、なかなか作業終了の声がかかりません。
あっちへ行ったり、こっちへ行ったり、動いていても自然とまぶたが閉じてきます。
もう体力は限界を遥かに越え、心だけは地球の裏側にある・・そんな感じでした。
さすがにこの時だけは幽体離脱はある・・そう思いましたね。
もう勘弁してくれ〜そう思った瞬間に玉田さん(今回の黒幕)が現れたのでした。
「みんな、ご苦労さん。よく頑張ったな。これで死んでもらいます軍団は解散だ。
各自家に帰ってゆっくり休んでくれ。野球のことも考えなくていいからな。お疲れさん!」
これで全てから開放される!気持ちをリセットし、家路に着いたのでした。
とにかく寝よう!家族には絶対に起こさないでくれと言い、布団にもぐりこみました。
時計を見ると、8月4日朝の9時です。私はすぐに深い眠りにつきました。
zzzz・・・どれくらい寝たのでしょうか。「電話!」の声に起こされた私は
時計を見ました。正午か、3時間寝たのか・・・まだ眠れるぞ・・
一体誰からだまったく・・・と思いつつ受話器を取ると・・
「玉田だ。お前何時だと思ってるんだ。早く来い!」
電話の相手は玉田さんでした。
「はあ?どこに行くんですか?さっき解散したばかりじゃないですか」
「お前、何ねぼけてんだ。今日から阪神戦だろ。お前が来ないと外野の入り口は開かないんだよ!」
時計をよくみると、8月5日正午だったのです。私は丸1日以上寝ていたのでした!!!
しかし最初の約束では、軍団員は阪神戦パスだったのでは・・・
「ばーか。この夏休みの阪神戦。主力を休ませる訳ないだろ!顔洗ってすぐに来い!
這ってでも来い!」
ムチャクチャです・・・そうです。我々「死んでもらいます」軍団は
まんまと玉田さんの策略にはまってしまったのでした。
そして、阪神戦。大阪から乗り込んできた熱狂的なファンの対処に追われ、
あらためて、身も心もボロボロになっていくのでした・・・・
しかし、今となってはそれもいい思い出です。あのとき、苦楽を共にしたメンバーは
元気でやってるのかな〜しかし、夜食が出ると、ウソの情報を流した○○さんだけは
許せません・・・その1年後、その人と私はある場所であることになるのですが・・
それは、回顧「炎天下の高校生クイズ」の記事を御覧下さい^^
〜おわり〜
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