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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 245
小曽根真、児玉麻里、児玉桃(ピアノ)大友直人/上海交響楽団
J.S.バッハ:3台のピアノのための協奏曲ニ短調BWV1063
シューベルト:交響曲第8番ハ長調D944「グレイト」
(2008.5.3 16:15 東京国際フォーラム ホールC マイアーホーファー)
少し遅れめに出かけた今年のLFJ、最初に聞くのは、すっかりこの音楽祭の常連になった小曽根さんのコンチェルト。モーツァルト、ガーシュウィンときて今年はバッハ。
ジャズの要素を加味した演奏に決して不似合いではないバッハだが、3台ピアノということになると、そうそう一人で羽目を外す訳にもいかない。競演がジャズの心得のある奏者ならいざ知らず、児玉姉妹ということになるとどうやって小曽根さんらしさを発揮するのか。
ステージ上には3台のピアノが奏者が客席にお尻を向けて並び、その下手側コンサートマスターの前に立つ形で指揮者の譜面台がおかれている。後からわかったことだが、リハーサル中に小曽根さんのアイディアでこの配置に変更したとのこと。3台の真ん中に小曽根さんが座り、両手に花で演奏が始まる。
例によって、楽譜通りに始まった演奏が、第1楽章の半ばあたりから装飾音が増えてきて、音符が細かくなり、スウィングが始まる。第2楽章のカデンツァはすっかり小曽根さんが独り占め。しかしそれ以外はきっちり原曲に忠実な、安定感のあるバッハであった。小曽根さんにしてみれば、軽くバッハでじゃれてみました、あるいは、軽くバッハをじゃらしてみました、といった感じかな。
明日も同じプログラムを繰り返すこのチームだが、明日は巨大なホールAでPAを使っての艶そうになるとのこと。ホールCのインティメットな空気の中で聞けてよかった。
さて、後半は今回のテーマの中心、シューベルトの大きいハ長調交響曲。ライブで聞くのは久しぶりだが、シューマンのいう「天国的な長さ」を実感した。そもそも、バッハとあわせると、正味だけで70分を超えるコンサートのコンテンツは、この音楽祭としては破格の大盤振る舞い。十分普通の一夜のプログラムに値する。そして問題はこの上海交響楽団。演奏に感心したのはオーボエとクラリネットのみ。弦楽器は整った演奏はしているのだが、音に厚みも潤いも豊かさも欠けていて、中国の現在のオーケストラの状況が見えてくる。実感したのは、毎月東京交響楽団を聞ける身の有り難み。大友さんの指揮で聞いてなおさらそれを感じるわけだ。先日大友さんが振ったシューベルト、いやシューベルト&ベリオの「レンダリング」のほうが遥かに面白かったのは、作品の質の問題ではなく、やはりオーケストラの音の質によるものだと思われる。
さて、次のコンサートは、小曽根さんがその持ち味を全開にするソロ・リサイタルだ。
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