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八幡原を唯、傲然とつきぬけようとする赤い集団が数騎あった。
「どけどけー。山本勘助である。 どけー」
まるでそれは海割れのように、一条の路が開けていくのであった。
それほど、疾風のような速さであった。
本陣に辿りついた。勘助は、正面の楯無の武者に会釈すると同時に、右脇にいた武将に
言った。
「我が軍の動きことごとく、見破られてございます。口惜しょうござりまする。
勘助一生の不覚にて、このお上は謙信を差し違える覚悟にて・・・・」
武将が立ち上がって言った。
「是非もなし、太郎をたすけよ」 太郎とは武田義信のことであった。
右側にいた武将こそ、信玄であった。
「御館様・・・承知つかまつりました。 御免。」
と言うが早いが片足を引きづりながら、戦場へと消えていった。
その経緯を見ていた謙信は、影武者の存在を見破った。
「 目指すは信玄殿の首一つ」
坂を駆け下りると同時に 2尺4寸の太刀、「姫鶴一文字」を抜き放つ。
謙信の太刀には鍔が無い、細身の長刀。本陣深く、飛び込んだ武将が
敵の大将謙信とは、武田の兵も気がつかない。
風のように、現れ、正面の武将に切り付け、手ごたえのある一撃を
浴びせたかと思うと、右わきの信玄めがけて、九つの渾身の
太刀は、力強く放たれる。信玄は軍扇にてこれを受けながした。
やがて、武田のひとりが槍をもって、馬の三頭(お尻の高いところ)を突き刺した。
放生は二本足で立ちあがると、大きくいなないた。
「ヒヒーン」
去るときもまた,謙信は風のようであった。
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