不刀 庵 閑話 シーズン2

剣道の故きを温ねて、新しき人生を知るブログ

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太公望 5

殷の国としての名前は商で、もともとは交易が盛んで、東方のアジアから入る物資も豊富であった。
商いによって人は生計を立てる。農作物も南のものを北へ、東の商品を西へ、東西のシルクロードの交易
の基礎がここにあった。ゆえに今日の商売の語源がこの国に始まる。その国が今は疲弊し、各地の諸侯も天下の変化を望んでいる。禅譲なのか相克なのかは問わない、人心が離れて、政治のことも紂王と妲己の噂も
口に出すものもいない。 百姓は税の搾取にあえいでいた。すでに他国に逃げ出すものも、少なくない。

 呂尚は各地を遍歴した後、中原の周(現在の(陝西省郊外)の国に隠居した。しかし、山奥ではない、小さな邑の近く、毎日のように渭水に釣り糸を浮かべていた。   ただ、この川の魚のように、住む水すなわち、生かされる場所を探していた。 時ならずして「天の時」がやがて静かにやってきた。
この日は雨上がりで、水の流れは早かった。糸が大きく沈んだと思うと大きなハクレン(コイ科の淡水魚)が
掛かってきた。 釣り針は直針であるから、すぐに外すことができる。それを取り外した後、河の中に静かに
逃がすのであった。 そのとき、だれもいない筈の後方の竹林から一人の君子が近づいて言った。
「魚は大きかったのでは御座らぬか、なぜ放生なされた。」
「巳は邑の子供に字を教えて日々露命を凌いでおりまする。 されど魚を釣ることが目的ではございません。
河の流れるところの国(殷:商)と百姓の暮らしに、思いを致すところ」
「そなた様は高貴な方とお見受けいたしますが、何故このようなところに」
呂尚は偉丈夫の立ち姿に何か一抹の予感を持ちつつも訪ねるのであった。
 






































































































































































































































































































































































































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