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緑の党の苦悩

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ECOマネジメント コラム
澤昭裕の『不都合な環境政策』

EU温暖化対策の実態 〜 したたかな外交策を検証する

                         (2)
                              2009年6月18日

不可欠となる消費構造の変革
   このように、1990年以降のEUにおけるGHG削減は、偶然の要素や目的を異にする政策
の結果によるところが大であり、京都議定書が合意された1997年には こうしたトレンドが
明確であったにもかかわらず、したたかな外交によって 1990年比マイナス8%削減という
甘い目標で切り抜けたのである。

 もう覚えている人は あまりいなくなったが、そもそも京都会議までEUは、他国が追随する
なら マイナス15%削減を行うという交渉ポジションを取っていたのである。すなわち EU
は、本当は マイナス15%削減を実現する自信があったのだろうと考えられる。

 そのポジションからすると、2007年で −4.3%削減に止まっているのは、もともと
約束してもよいと考えていたレベルから10%ポイント以上削減が不足しているのである。
日本は マイナス6%どころか +8%も増加していて、約束から −14%ポイント削減が
不足しているという批判があるが、実は EUも自ら削減可能だと考えていたレベルからは、
同程度削減が不足しているのである。

 EUの温暖化対策が効果を上げているように見える第3の理由が、産業構造の変化に
よる排出の海外移転( オフショア・エミッション )である。 特に 英国は、経済が脱工業化
し、金融などのサービスを中心とする産業構造に変化したが、消費構造は 工業製品中心
のままであったため、製品輸入が増加する形で CO2の排出が輸出国に海外移転された。

 現在、日本では、今後の中期目標を検討していく場合、現在の産業構造を前提に考えるから
削減目標が野心的でなくなるという批判がある。 しかし 逆に、産業構造を低炭素型に変革
しても、消費構造が低炭素化しない限り、炭素集約・エネルギー集約型製品の輸入が増える
だけで、その生産に伴うCO2の増加を輸出国に押し付けるだけだということを認識しなければ
ならない。 まさに その例が、「 環境先進国 」の英国である。


本質的な外交交渉の始まりとは
   オックスフォード大学他の研究者たちが、そうした英国のオフショア・エミッションを分析
した論文が、「Too Good To Be True? The UK’s Climate Change Record」(2007)である。
その論旨は、次のような諸点である。

 1.英国の2005年までの削減は 2つの大きな要素によってもたらされている。
  (1) 1990年代に 石炭から天然ガスにエネルギー転換が起きたこと。
  (2) 1970年代から継続する英国経済の脱工業化により、エネルギー多消費型産業が
     海外に移転したこと。
 2.国内生産活動によるGHG排出は確かに減っている。しかし 一方で、英国は 脱工業化
  の結果、膨大な工業製品を輸入・消費しており、こうした製品は英国内外の生産活動で
  GHGを排出している。
 3.英国の温暖化防止の責務の対象が「 英国の消費活動によるCO2排出 」にあるとした場合、
  2003年の英国の排出量は 1990年比19%増となる
 4.英国が 脱工業化して、工業製品を輸入に切り替えた結果、よりCO2効率の悪い生産方式
  の国に生産移転が進み、結果的に英国人の消費活動によって排出される地球全体のGHG
  排出量は増加する結果となった。

 こうした分析結果に対して、英国内の環境派も同調し、さらに 中国は分析結果をもとに、
「 自分たちの排出増加は、先進国の消費活動を支えるために否応なくもたらされたものだ 」
と主張している。 
こうした議論を見てみれば、日本一国が 産業構造を変えれば より大きな削減が可能と考え
ている人々も、 消費者の消費構造 と 全世界的な産業構造 を変えない限り、
自分の考えは 成立しない ということに気づくのではなかろうか。
      ☝

 ここまで見てきたように、EUの温暖化対策は、統計上のトリックを使ったり、偶然の産物を
いかにも努力の結果のように見せたりすることによって、往々にして 過大評価されていること
に注意しなければならない。

ただ、EUのしたたかなところは、メディアの情報伝達量の制約を逆手にとって 都合のいい
数字や事実のみをコンパクトにまとめて流すところにある。 何度も何度も同じメッセージや
データの発表が繰り返され、それらを引用する報道が積み重なれば、毎日注意して温暖化対策
をフォローしているウォッチャーでもない限り、自然に頭に刷り込まれていくのである。
温暖化を巡る外交交渉は、こうした認識形成、世論形成から始まるといっても過言ではない。

 ちなみに、環境NGO(非政府組織)のWWFも最近になって、「 EUの中期目標は、
海外クレジット購入などを除けば 国内削減分は実質4〜5%しかない 」と批判的にコメント
しており、EUの温暖化政策の実態に ようやく気づいたようである。日本でも そのような
客観的な評価が行われることを期待したい。

                                     以上
                             

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おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

2010/1/3(日) 午後 11:13 [ 悲歌慷慨 ]

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「悲歌慷慨」さんへ。 合掌

2010/1/5(火) 午後 7:26 [ kyomutekisonzairon ]


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