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事故直後の福島 (2)
原災法第26条 第2項 には、 原子力緊急事態宣言後に、
指定行政機関の長 及び指定地方行政機関の長、地方公共団体の長 その他の執行機関、
指定公共機関 及び指定地方公共機関、原子力事業者 その他 法令の規定により
緊急事態応急対策の実施の責任を有する者は、法令、 防災計画 又は 原子力事業者防災
業務計画の定めるところにより、緊急事態応急対策を実施しなければならない
とあります。 この「 防災計画 」というのが、 前々回までにみてきた「 防災基本計画 」です。
各省庁 や 独立行政法人 や NHKなど は、 フル活動に入ったわけです。
その活動とは、 同第1項に、
一 原子力緊急事態宣言 その他 原子力災害に関する情報の伝達 及び避難の勧告 又は
指示に関する事項
二 放射線量の測定 その他 原子力災害に関する情報の収集に関する事項
三 被災者の救難、救助 その他保護に関する事項
四 施設 及び 設備の整備 及び 点検 並びに 応急の復旧に関する事項
五 犯罪の予防、交通の規制 その他 当該原子力災害を受けた地域における社会秩序の
維持に関する事項
六 緊急輸送の確保に関する事項
七 食糧、医薬品 その他の物資の確保、居住者等の被曝放射線量の測定、放射性物質に
よる汚染の除去 その他の応急措置の実施に関する事項
八 前各号に掲げるもののほか、原子力災害 (原子力災害が生ずる蓋然性を含む) の拡大
の防止を図るための措置に関する事項 と、多岐にわたります。
国は、この原災法 および 防災基本計画( 以下「計画」 )で、十分に
原子力災害から 国民の生命、身体及び財産を保護することを目的とする
(原災法 第1章第1条)
ということを達成できると考えて、 3.11以降 これに則って 原発災害への対処をしてきました。
原発事故の恐ろしさは、短時間の特定場所での物理的破壊ではなく、自然∧人間への長期間
にわたる 広範囲に及んだ 目に見えない放射能被害にあります。
放射能によって、「 直ちに 」人命が失われたり、建物などが壊れたり、田畑が崩落することは、
極めて希で、 時間をかけて ゆっくりと、人や生き物が健康を損ないor死に至り、 長期にわたり
田畑が汚染で使用不能になったり、人が去って 田畑や街が荒れ果て、建造物が風化崩落する
ことです。
放射能による健康被害or緩慢な死を避けるためには、汚染地から 人は逃れなくてはなりません。
人が去れば、その地に根ざして営んできた農業も畜産業も漁業も失われますし、工場なども閉鎖
をしなくてはなりません。 あらゆる仕事が そこで失われます。
(12月1日現在 日本国土の放射能汚染)
国と県は、現在 その地の産業を失わせないために、人々の健康を守る手立てを値切ることで、
人々を その地に残す政策を取っていますが、
これは、すでに, この 原災法 と 防災基本計画 自体が 前提とした考え方でもありました。
又、この考え方は、原子力推進の機関・組織である IAEA ∧ ICRPの思想でもありました。
彼らは、自己の活動が 国土と産業を喪失させるものだとは、死んでも認めることができない
ために、住民に被曝を強要せざるをえません。
そして、この行為を正当化するために、彼らは 様々なウソをつかなくてはならなくなりました。
原災法も 「計画」も 「原子力の安全神話」も 内部被曝の過小評価も、そのウソの一断面でしょう。
※ このシリーズの意図の一つは、
これら「法」と「計画」が 実際に どのように運用され、或は 運用されなかったか?
また、これらの「法」と「計画」自体に、どのような問題があるのか?
ということを考えることにあります。
福島県は、 吉田所長から 第10条通報(15:42)および第15条報告(16:36)を受けると、
防災基本計画 第2章「災害応急対策」 第1節 2−(3)に則って、
平常時モニタリングを強化し,結果をとりまとめ,安全規制担当省庁,文部科学省,・・に連絡する
とともに, 緊急時モニタリング計画に基づき,緊急時モニタリング に必要な準備を直ちに行
ったはずでした。 ( 安全規制担当省庁は 経産省・原子力安全保安院 )
※ 県は、23か所に測定器を設置していた。 さらに、19:03 首相の 原子力緊急事態宣言後には、
関係機関からの情報を含む緊急時モニタリングの結果をとりまとめ,対策拠点施設に派遣した職員に
対し連絡
するはずでした。 ( 対策拠点施設 = 福島第一原発から5キロ 大熊町にある オフサイトセンター )
しかし、
実際には、 県のモリタリングデータは、地震後 途絶えており、 やっと13日になって、
青森、石川など4県の協力で、原発から半径20km付近を中心に 8基の移動式測定器を
文部科学省,指定公共機関【放射線医学総合研究所 及 日本原子力研究開発機構】,事故に係る
原子力事業者 及び 当該原子力事業者以外の原子力事業者は,現地へ緊急時モニタリング要員 及 び機材を動員し,地方公共団体の行う 緊急時 モニタリング 活動を支援する
ことになっていました。
すなわち、 事故後に 福島県内を走り回って 隠密に 放射線量を測っていたのは、
文科省 ・ 放射線医学総合研究所 ・ 日本原子力研究機構 ・ 東電 ・ 他の電力会社
また、福島県の知事は、 空や海上からの モニタリング のためのヘリコプターや艦船・巡視船を、
自衛隊の部隊等の長や管区海上保安本部長に要請することができました。
「計画」によると、知事からの要請があれば、彼らは 直ちに これに応じなくてはなりません。
( 但し、彼らは 測定の義務がなく、県が 測定器とその人員を調達せねばなりませんでした )
さらに、県内には、環境省の モニタリングチーム も 活動していたはずです。
( なぜ、 「計画」には 文科省らの県への支援の項とは別に、新たに 一項を設けて、
環境省の モニタリング を義務付けているのでしょうか? )
「計画」では、 モニタリングをする主体は 県ということになっています。
しかし、 当初は 地震で モニタリングポストは壊れて使いものにならず、 やっと他県から
測定器を調達したのは、13日。 しかも たった8基でした。
それに引き換え、日頃から 測定に熟達した諸機関は、事故後直ちに 大挙して 県内に入り、
モニタリング活動をしていた訳です。 その活動は 法的には 県の支援と位置付けられており、
モニタリング活動の第一義的な責任は 県にあって、彼らにはありません。
県の 責任 と 貧弱な モニタリング の実力 そして 支援機関・組織の 無責任 と 圧倒的な実力
――― この非対称は、驚くべきものがあります。
しかし、いずれにしても、これらのモニタリングの結果は、
原子力緊急事態宣言発出後においては,
現地対策本部がとりまとめ,原子力災害対策本部,緊急事態応急対策実施区域に係る
地方公共団体の災害対策本部に連絡するものとする。
現地対策本部においては,モニタリング情報の把握を担当する グループ が モニタリング情報を集約し,
評価を行う
ことになっていました。 そして、
モニタリングの結果等について連絡を受けた所在都道府県 及び 関係隣接都道府県は,
その内容を周辺市町村に
連絡したはずです。 ところが、現地対策本部が置かれた オフサイトセンター の現実は、
地震発生直後に停電したうえ、非常用の ディーゼル発電機も故障して動かず、通信手段や
重要な設備の多くが 使用できない状態でした。
又、事故当日の午後10時(22:00)過ぎに オフサイトセンターに集まったのは、3機関の15人だけ だったそうです。 本来は 20余りの機関が参集していなくてはなりませんでした。
( 1号機が爆発した翌12日には、建物内部でも放射線量が上昇し始め 〜放射性物質の
内部流入の防備が不十分だった〜 、その後も 線量は上昇しつづけ、5日目の15日には
約60キロ離れた福島県庁に移される。
※ 原災法施行規則 第16条 参照
3月17日 福島民報
「 保安院は11日の地震発生直後、 オフサイトセンターに 現地災害対策本部を設置した。
しかし、停電が起き 電源車による発電を試みたが、電気系統が復旧していない。衛星回線を
使う 原発関係の被害の情報収集は可能だが、 それ以外の県災害対策本部と結ぶ テレビ会議
や市町村への情報提供など 全ての機能を発揮できていない。
このため、保安院は 16日 対策本部を県庁本庁舎に移し、本部に参加している内堀雅雄 副知事も福島市に戻った。
センター は、国、県、市町村など関係機関が 総合的に原発災害に取組むことができる緊急事態 応急対策拠点施設として 国が管理運営している。 」
※ 平成11年12月制定、12年 6月施行の 「 原子力災害対策特別措置法(原災法) 」の制定以来、
オフサイトセンター の設置などに巨額の税金が投入されてきた。 センター 建屋の建設や自家発電設備の
整備、維持・管理に係る地方公共団体への補助 や システム整備などに対しての原子力安全基盤機
構(独立行政法人)への補助など、平成12年から17年度までの 6年間で 約387億円が使われた
とされる。
文科省は、関係する オフサイトセンターの保守点検を目的として、毎年 「 オフサイトセンター等に係る保守 運用支援業務 」という名称で 約1,800万円程度の業務委託を繰り返してきたが、なぜか 毎年
の業務委託の履行場所は 首都圏や大阪に集中している。 )
(つづく)
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【政府事故調査・検証委員会】の中間報告では、
■ オフサイトセンター
・衛星回線3台は使えた。 メール、一般回線のファックスなどは 使用不能。
・非常用電源は地震で故障 ――― 12日午前1時頃 復旧。
・食糧や水、燃料不足
・放射線のフィルターがなく、14日の3号機爆発に伴い 放射線量上昇
(09年2月、総務省の行政評価・監視により、フィルターの整備を勧告するも、
保安院は 放置。
保安院:「 勧告は、直接 エアフィルターの設置を求めたものではない。当時は
原発事故でも 短時間で放射性雲が通過する想定だった。」
・現地災害対策本部長が、現地に到着したのは 12日午前0時頃。
3:00過ぎから 事務対応を始める。
2011/12/28(水) 午前 1:49 [ kyomutekisonzairon ]