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日経 2013 1.24
東京電力福島第1原発事故で、原発から半径20キロ圏内に取り残された牛の内部被曝調査
を進める福本学東北大教授(病理学)らの研究グループが、母牛よりも子牛の方に高濃度の
放射性セシウムがたまっていたとの研究結果をまとめ、23日付の米オンライン科学誌プロスワンに
発表した。 福本教授は、子牛と母牛が 全く同じ物を食べていたとは限らない とした上で「 代謝が盛んな
子どもの方が、放射性物質が溜りにくいとされるが、見直す必要があるのではないか 」と話し、
今回のデータはメカニズムの解明に向けた基礎データになるとしている。 グループは 2011年8〜11月、当時警戒区域に指定されていた福島県南相馬市と川内村で、
雌の成牛63頭(うち3頭が妊娠)、原発事故後に生まれた子牛 13頭の計 79頭を所有者の同意
を得て、行政の殺処分後に解剖。骨格筋や各臓器、血液の放射性物質濃度を調べた。 このうち、親子3組の放射性セシウム137の濃度を調べたところ、母牛は 骨格筋1kg当たり
平均649㏃だったのに対し、子牛は 同956㏃だった。肝臓や腎臓など各臓器でも同様に、子牛
の方が母牛よりも 約1.5倍濃度が高い関係がみられた。 また、母牛とその胎児の3組では、胎児の骨格筋や各臓器の放射性セシウム濃度は、母牛の
約1.2倍だった。 一方、部位ごとの1kg当たり平均放射性セシウム濃度をみると 高い順に、骨格筋(626㏃)、
舌(619㏃)、腎臓(361㏃)、心臓(311㏃)、ぼうこう(210㏃)、肝臓(207㏃)だった。 血液は 25㏃で、血液の放射性セシウム濃度を調べれば、各臓器の濃度を推計できるとしている。
〔共同〕
日経プレスリリース
福島第一原発事故によって大量の放射性物質が環境中に放出されました。この原発事故に
伴う放射性物質の体内動態と内部被ばく線量を評価するための基本データを得ることを、この
研究では目的としました。福島原発から半径20km圏として設定された警戒区域内に残され、
2011年8月29日から11月15日の間に安楽殺された、川内村と南相馬市の79頭の牛について
臓器別にγ線を放出する放射性物質の放射能濃度を計測しました。
すべての臓器で セシウム134とセシウム137の放射能がほぼ1:1の濃度で検出されました。
さらに、半減期の比較的短い放射性銀110mが 肝臓に、テルル129mが 腎臓に特異的に集積
していました。回帰解析の結果、臓器中の放射性セシウム濃度は 血液中の放射性セシウムに比例
しており、骨格筋で最も高く、血中の約21倍でした。
又、各臓器別に放射性セシウム濃度を比較すると、臓器によらず母親に比較して胎児で1.2倍、
仔牛で1.5倍でした。放射性セシウムの放射能濃度は牛の捕獲場所と餌に依存していました。
本報告は福島原発事故に関連して警戒区域内に残された牛の放射性物質の体内分布に
関する系統的な研究成果です。
なお、本研究は東北大学加齢医学研究所、農学研究科、理学研究科、高等教育開発推進
センター、歯学研究科、山形大、新潟大、放射線医学総合研究所、理化学研究所の共同研究
として行われました。
放射線医学総合研究所、理化学研究所のHPには、この件のプレス・リリースはありません。
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