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産婦人科診療ガイドライン http://t.co/GfuVNVm6 2011
CQ103 P44〜46 (要約)
検査別の胎児被曝線量(英国でのデータ) 単位:mGy
単純撮影 平均被曝線量 最大被曝線量
頭部 0.01以下 0.01以下
胸部 〃 〃
腹部 1.4 4.2
腰椎 1.7 10
骨盤部 1.1 4
排泄性尿路造影 1.7 10
消化管造影
上部消化管 1.1 5.8
下部消化管 6.8 24
1) 催奇形性と中枢神経障害 ともに放射線による細胞死効果によって起こる。
催奇形性: 大量の放射線は受精卵を死亡させ流産を起す可能性があるが、流産せずに
生き残った胎芽は完全に修復されて奇形(形態異常)を残すことはない( all or none の
法則 )。この法則があてはまる時期は、受精後 10〜13日まで。
受精後14日を過ぎ妊娠4〜10週になると、器官形成期であり、奇形が発生する可能性の
ある時期である。この時期に、100mGy以上の被曝を受けた場合、奇形発生率は上昇する
との報告があるが、100〜500mGyの被爆でも奇形発生率は増加しないとする報告もある。
ICRP84には、妊娠のどの時期であっても 「100mGy未満の胎児被曝線量は、妊娠中絶の
理由と考えるべきではない」としている。
さらに高線量(>1Gy)では胎児発育不全・小頭症・精神発達遅滞発生が報告されている。
本ガイドラインでは、安全を見込み、また ACOGの推奨とも適合させて、「50mGy未満は
安全」と記載した。
中枢神経障害: 妊娠10〜17週の胎児中枢神経系は、細胞分裂が旺盛で、放射線被曝
の影響を受けやすく、被曝は精神発育遅滞の頻度を増加させる可能性がある。この時期を
過ぎた妊娠18〜27週では、中枢神経系の放射線への感受性は低下するが影響は多少
残る。妊娠10週未満および妊娠28週以降の被爆は、中枢神経系に悪影響を与えない。
重症精神発育遅滞は、500mGy以上の被爆で起こるとされ、その程度は 線量依存性
であり、1Gyで 40%に、1.5Gyで 60%に重症精神発育遅滞が起こる。
100mGy以上の被爆で 小頭症が増加したとの報告もある。 放射線被曝は IQ低下に関与
するとされ、妊娠10〜17週での1Gyの被爆は IQを 25〜29ポイント低下させるとの報告
がある。IQ低下に閾値が存在するかについての結論は出ていないが、閾値は 100mGy
程度とされている。 実際、100mGy以下の低い線量では、被曝が妊娠のいずれの時期で
あっても、IQ低下は確認されていない。
通常の放射線診断で起こる被曝量は 50mGy以下である。
妊娠2〜24週に 10〜117mGyの被爆を受けた妊婦の前方視的検討でも、奇形や子宮内
胎児死亡の発症は、一般頻度と同等であったと報告されている。 米放射線防護委員会
(NCRP Report NO.54)では、50mGy以下で 胎児奇形のリスクは無視できる範囲である
が、150mGy以上では 実際に増加するとしている。また、ACOGのガイドラインでも、50mGy
以下の被爆は 胎児期系や胎児死亡などの有害事象を引き起こさないとしている。
2) 発癌性 : 胎児が放射線被曝を受けた場合、小児癌の発生頻度はわずかに上昇する。
器官形成期から分娩時まで いずれの時期の被曝であっても発癌効果は認められる。
このうち、妊娠後半期の被爆が最も発癌リスクは高く、小児期被曝とほぼ同等である。
成人に比べて 小児の放射線による発癌感受性は高いので、妊娠後半期での体内被曝は
成人が被曝した場合よりも発癌リスクは高い。 しかし、実際に問題となる小児白血病を
含めた小児癌発症リスクは、個人 レベルではほとんど問題にならない。具体的には 10mGy
の胎児被曝は、相対リスクを 1.4に上昇させ、癌の自然発生リスクを 40%高めることに
なる。これは 小児癌の自然発生頻度 0.2〜0.3%を、0.3〜0.4%に上昇させる程度
である。計算では、 被曝なしの胎児が 20歳までに癌にならない確率は 99.7%であるが、
10mGy、100mGyの体内被曝により、それぞれ 99.6%、99.1%となり、その個人が癌 になる確率は ごくわずかな上昇にとどまる。
このように 体内被曝は小児癌の発生頻度を上昇させるが、個人 レベルでの発癌リスクは
極めて低いと考えられる。 放射線被曝による小児癌の発症を危惧する妊婦に対しては、
上記の「癌にならない確率」を例示するのも一法だが、もっとも社会全体では被曝により
発癌率が上昇するのは確実であり、不要な妊婦被曝を抑制する努力は必要である。
3) 遺伝的影響: 放射線が生殖細胞のDNAを損傷し、生殖細胞に遺伝子変異が起こり、
その影響が次世代に及ぶ可能性がある。 DNA損傷リスクは、線量が増えると高まるが、
損傷が起こる線量閾値は確認されていない。放射線被曝により 自然発生する単一遺伝子
病の頻度が2倍になるには、動物実験で 0.5〜2.5Gy必要との報告がある。また
1万人が10mGyを被曝した場合に、10〜40倍の新しい遺伝子変異が起きるという報告
もあるが、放射線被曝による ヒト遺伝子変異が不都合を起した事例は確認されていない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今は、福島県における 2) 発癌性について考えます。
被曝なしの胎児が 20歳までに癌にならない確率は 99.7%であるが、
10mGyの体内被曝により、99.6%となる。 とあります。
即ち、10mGyのⅩ線被曝により、20歳までに 0.1%の過剰な小児癌が発生する
ということです。 即ち、癌を発症した子の1/4が 被曝を原因とするということです。
1万5072
福島県における 23年度の新生児は
この内、原発事故以降に生まれた 新生児が どれ位いたのか 分かりませんが、
器官形成期から分娩時まで いずれの時期の被曝であっても発癌効果は認められる。
このうち、妊娠後半期の被爆が最も発癌リスクは高く、小児期被曝とほぼ同等である。 とあるので、事故以前に生まれた新生児たちも、事故により被曝しており、その発癌リスク
は同等と考えて、以下の計算をします。
また、原発事故による被曝は 主に γ線およびβ線によるもので、ICRPは これらの
放射線荷重係数を いずれも 1 としていますので、今は そうしておきます。
したがって、 10mGy=10m㏜ となります。
(Ⅹ線とβ線・γ線は エネルギーのオーダーが異なり、これを 中性子線やα線との
差別化の観点だけで、一概に すべて 1 として 本当に事態を把握できるのか、
私は疑っています。)
1万5072
それでは、平成23年度の福島県の新生児
福島第一原発事故を原因として小児癌になる推計人数は、
積算10m㏜を浴びた時点( 福島市では 2011年11月末までの積算空間線量)で、
小児癌の発症は、 15072 15人
しかし、彼らが その後 ずっと福島の被曝環境にあるとすれば、
■ 低レベル被ばく影響に関する 最近の報告より 2009 今中哲二氏
P17 オックスフォード小児癌調査 1956年 Alice Stewart
妊娠中にⅩ線診断を受けた母親の子供の小児ガン
Ⅹ線検査1回 (約5m㏉) 当り 20%のリスク増加 (閾値なし仮説を支持)
■ < 米科学アカデミー (BEIRⅦ)では、
「 オックスフォード小児癌調査 」からは
「 15歳までの子供では 発癌率が 40%増加する 」 ことが示されている。
これがもたらされるのは、10 から 20mSvの低線量被曝においてである。
すなわち、
被曝線量が増えれば増えるほど 発癌リスクは増大するし、どんなに少なくとも
幾ばくかの発癌リスクはあるということ (閾値なし仮説) ですから、
たとえば、さらなる 追加被曝量が 5m㏜になると、23年度新生児の発癌リスクは、
40%から60%に、したがって 0.18%に上昇し、
小児癌の自然発生頻度:0.3%とすると、 27.1人
放射線による発癌は 0.003×0.6=0.0018
15072 27.1人
※ 訂正
出生数: H20 16,908、 H21 16,326、 H22 16,126、 H23 15,072(福島県)
H24 13,770 (厚労省)
上の平成23年の新生児数は、福島医大の資料からの数字でしたが、よく記事を
見ると、「主に 平成23年度に出生した」とあり、実数ではありませんでした。
実数は、15072人。 上の記述に「取り消し線」を施し、数字を訂正しました。
では、 0〜14歳までの子供たちすべてが、積算10m㏜の被爆をしたとすると、
福島県(H23.12月1日現在)
0〜4歳 76187、 5〜9歳 86448、 10〜14歳 98652 計.261287
このうち、会津地方は、
0〜4歳 9609、 5〜9歳 10767、 10〜14歳 12634 計. 33010
なので、 数字を丸めて 0〜14歳までの子供は 230000人(除.会津地方)。
したがって、230人が 癌を発症する可能性があるということになります。
230000×0.001=230
参考: 空間線量率(γ線のみ計っている⋆)
0.2μ㏜/h → 1.75m㏜/年、 0.3μ㏜/h → 2.63m㏜/年
0.4μ㏜/h → 3.50m㏜/年、 0.5μ㏜/h → 4.38m㏜/年
0.6μ㏜/h → 5.26m㏜/年、 0.7μ㏜/h → 6.13m㏜/年
⋆ 放射性セシウム及び ヨウ素は、β線とγ線を出す
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