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(8) のつづき
2011年4月1日の東京新聞の記事から
原子力安全委員会の代谷(シロヤ)誠治委員は 31日の記者会見で、福島第一原発の事故
が収束した後、放射能汚染が残った地域に住民が住み続ける場合に限って、一般人の被曝
線量限度を引き上げるよう検討を始めることを明らかにした。
現在の上限は 年間1m㏜。 国際放射線防護委員会(ICRP)は 2007年の勧告で、
事故からの復興期は 1〜20m㏜が妥当と設定している。
代谷委員は 「 年間の放射線量が 1m㏜以下にならない場所も出てくる。そういった地域に
戻ったり、住み続けたりする際は、何らかの基準を設けないといけない 」と述べた。 年間の被曝線量が 100m㏜を超えると、発がんの恐れがわずかに高まるとされる。
日本では、原発事故などの復旧時を想定した基準は これまで設けられていなかった。
一方、代谷委員の会見に先立ち、ICRP日本 メンバーの丹羽太貫(オオツラ)京都大名誉教授 らが 31日、都内で記者会見、07年の勧告内容について解説した。 丹羽教授らは 放射線物質の放出が止まった後も 汚染地域は残るとした上で、そこに住む
場合は 年間1〜20m㏜内が妥当とされていると強調。 「長期的には 年間1m㏜を目標に
している 」と説明した。
このように観測気球を上げた後、
4月11日午後 枝野官房長官記者発表 により、
日本国民に 20m㏜/年の被曝線量限度を適用する決定が発表されました。
「計画的避難区域」・・・その基準は、国際放射線防護委員会(ICRP)と国際原子力機関
(IAEA)の緊急時被ばく状況おける放射線防護の基準値、年間20〜100m㏜という基準値
を考慮して、事故発生から1年以内に積算放射線量が20m㏜に達する恐れがある、
こうした地域を指定をしたいと考えております。
【報道発表】計画的避難区域、緊急時避難準備区域の設定(平成23年4月22日)
この意味するところは、
① 日本国は、自ら それに対処する法律のないまま 原発推進という国策
をなしていた 半人前の国だということを、内外に認めることになったこと。
② 事柄に対処できないために、十分な検討をすることなく 外国の権威を
盾に、その勧告を そのまま 自国の法律として取り入れたこと。
すなわち、国の主体性・自律性を大きく損なったこと。
③ 自らの過失で起した事故にもかかわらず、その上に その被害者を 従来
の法律の保護から外してしまうという 倫理問題を、国家が抱え込んだこと。
しかし、
こうした 国家的リスクを冒してまでも この決定をしたのは、何といっても
④ 広汎に 出現した放射線管理区域⋆相当の大地に、人を住まわせること
という、事故以来、彼らが追求してきた課題の達成だったでしょう。
⋆ 3.11以前は、そこで 飲み食いしてはならず、中のものを 外に持ち出すには、
厳しい線量チェックが必要な場所でしたし、もちろん、そこに 子供は立ち入ることは
できない区域でした。
もし、年1m㏜の追加被曝限度という 従来の法律を適用すれば、
200万人の住民を避難させなくてはならなくなり、彼らは これが堪えられない
と判断したわけです。
何が堪えられなかったかというと、
避難or移住先の確保、生活再建の費用或は賠償費用、全国への社会不安の
波及・・・と 色々ありますが、彼らの最大の懸念は そこにはなかったはずです。
もちろん、被災住民のことを 最優先に、これを決定したのでもない!
では、それは 何だったか?
ここに、
2か月ほど経った 6月17日の日付で ↓ のような文書があります。
今回のような放射性物質による環境汚染が発生した場合にも、年間1m㏜という平常時の
線量基準を維持するとすれば、おびただしい数の人が避難しなければならないことになり、
かえって 避難者の多くに そのことによる身体や心の健康被害などが発生する危険性が
あります。 そこで、ICRP の 2007年勧告は、緊急時における最適化の目安とする線量を
1−20mSv、20−100mSv、100mSv 以上(急性または年間線量)の3つの枠で示し、状況
に応じて、それぞれの枠の中で適切な線量を選定することを勧めており、今回のような
緊急事態では、年間20 から100m㏜の間に適切な基準を設定して防護対策を講ずるよう
勧告しています。これを受けて、政府は最も低い年間 20m㏜ という基準を設定したのです。
――― この20m㏜は、「 ひとえに 被災住民のことを思って 決定したのだ 」
と、歯のうくようなことを言っています。
これは、日本の科学者82万の代表・日本学術会議会長・金澤 一郎氏の談話
の抜粋です。
なぜ、日本学術会議の会長さんが このようなコメントを出したのか、理解に
苦しむわけですが、金澤氏は その理由を、
平成23年3月11日に発生した事故により東京電力福島第一原子力発電所から漏出した
放射性物質の人体への影響などに関して、科学者の間から様々な意見が出されており、
国民の皆さんが戸惑っておられることを憂慮しています。
事故から10日後の3月21日、国際放射線防護委員会(ICRP)から日本の事故後の事態 に向けてのコメントが配信されました。
ICRP が定めた放射線防護の考え方は、多くの科学者の異なった意見を取りまとめたもの
であり、これまで 世界各国に採用され、日本政府もこれによって施策を進めています。
そこで、日本学術会議は、コメントの重要性に鑑みて、これを翻訳して発表しましたが、
その内容が十分に理解されていない状況が続いているように思います。
そこで、国民の皆さんの理解が進むことを願って、改めて見解を出すことにしました。
と述べています。
この日本学術会議は、自ら「 わが国の人文・社会科学、自然科学全分野の科学者の
意見をまとめ、国内外に対して発信する日本の代表機関です 」と、その権威を アッピール
しています。 すなわち、
上の会長の発言は、この国の科学者を代表した見解だというわけでしょう。
でも、氏自身が述べているように、
科学者の間から様々な意見が出されて
いるわけで、氏の言も 科学的議論を経たものではない以上、結局、この会議
の科学業界での権威をもって、政府決定の支持表明をしているだけでしょう。
しかも、この会議が 内閣府の一機関であり、その長の発言の政治性は、
これを聞く者の誰も理解するはずです。
つまり、「 政府の決定に異を唱えるものは、科学業界の異端児ですよ 」と、
この業界の人々に警告しているのでしょう。
或は、「 この国の科学業界は、ICRP や IAEAに逆らっては イケナイのですよ。
分っていますね。 」というお知らせでしょう。
しかも、
「 我々は 純粋に 被災住民のことを思って 人道的立場で、この決定を支持
するのだから、良心の呵責に悩む必要なはいんですよ 」と・・・。
ところが、
さらに 事故後2年余り過ぎた 本年6月27日、 原発事故復興 学術会議が提言
というものを出しており、
原発事故の特徴として、被害の実態が 明らかになるまでに長期間かかることや、
健康被害への見解が分かれ、被災者の間に深刻な不安と対立をもたらしていることが
挙げられるとし、こうした実態に即した取り組みが十分にできていないと指摘しています。
そのうえで、低い放射線量を長期間浴びることによる健康影響を、様々な立場の 科学者が一緒に検討する場を作ることや、・・・など
を提言しています。
放射線の健康影響は シロウト には分らないわけで、 頼るべき その クロウト が
あっちに フラフラ、こっちに フラフラ。 これが、権威ある科学者集団の実態です。
彼らは、政府が出した 20m㏜/年の見直しについては、提言しないわけで、
科学者の頭には、研究対象ということはあっても、予防原則というものは
ないようです。
経団連会長、原発事故「甘かったのは国の安全基準」 日本経済新聞 2011/4/11
日本経団連 の米倉弘昌会長は 11日、長引く福島第1原子力発電所の事故を巡り、
東京電力の対応について「 東電には頭が下がる。 甘かったのは東電ではなく、国が設定
した安全基準の方だ 」と述べた。 その上で、事故自体については「 峠は越しつつある 」との
認識を示した。
損害賠償などによって 東電の経営不安説が流れていることに関しては 「 (事故原因は)
天災であり、国が支援するのは当然のこと 」と語った。
国有化論については「 全然ありえない。一部の政治家が 口にしたせいで どれだけ東電の
株価が下落したか 」と非難した。 今後の対応について(1)
原子炉の安定化と後始末は 必ず成し遂げなければならない大事な仕事であるが、
それ以上に大事なのは、「社会的修復」であり、 日本の原子力の復権は、
福島地方の土壌・環境汚染問題を住民との間で民主的な方法によって解決できる
かどうかにかかっている
。 避難者を地元に帰し,生活を取り戻させるためには,大規模な土壌修復計画
が不可欠であり,それらと連動した避難解除計画,長期モニタリング,住民ケアを含む
包括的な環境修復事業(ふるさと再生事業)に 国は強い決意で臨む必要があり,
そのために しっかりした体制を構築することが望まれる。
そして、 これは You Tube ですが、
(つづく)
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