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日本記者クラブ
2012.2.29
藻谷 浩介(もたに こうすけ、1964 - )
いきなり、「クイズ」から始まる。
「昨年の日本の国際収支は第2次石油ショック以来、31年ぶりの貿易赤字
となった。再び黒字化する方策は?」という問いで、正解は輸出競争力回復
でもなければ、円安誘導でもない。「家庭用電力料金値上げで省エネを進める」
である。
その趣旨はこうだ。昨年に貿易赤字になった最大の理由は原発事故によって 電力会社の原油輸入が増加したためだ。したがって再び黒字化するには原油
の輸入が増えないようにする、つまり電力使用量を減らすということだ。
ところが多くの人は、貿易赤字転落は輸出の減少が原因だと思っている。 しかし氏はリーマン・ショック後、輸出は大幅に回復し最近も減っていないことを
輸出額の実数で示し、「円高で日本の輸出が減った」「日本の衰退」などという
イメージに惑わされていると指摘する。
話は、貿易から消費の現実、少子高齢化などにも及び、日本経済の実態が いかに誤って理解されているかを、データと「クイズ」を交えて次々に明らかに
していった。
そして、その責任はメディアにあると手厳しい。「通説や社会通念からではなく、 事実に基づくべきだ」と強調した。そうした批判を我々も真摯に受け止める必要
があるだろう。
いずれも説得力のある指摘であり、「目から何枚もウロコが落ちた」(司会の 小此木委員)と感じた人が多かったのではないだろうか。
ただ、震災から1年を迎える被災地の復興状況や必要な対策などについての 言及があまりなかったのは残念だった。復興構想会議の専門委員を務めた氏
ならではの意見を聞きたかった。
2016.1.20
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