|
(12) 35 復活 ルナンは クリストの復活を見たのを マグダレナのマリアの想像力の為にした。 想像力の為に、―― しかし 彼女の想像力に飛躍を与へたものは クリストである。 彼女の子供を失つた母は 度たび彼の復活を ―― 彼の何かに生まれ変つたのを見てゐる。 彼は 或は 大名になつたり、或は 池の上の鴨になつたり、或は 又蓮華(レンゲ)になつたり した。 けれども クリストは マリアの外にも 死後の彼自身を示してゐる。 この事実は クリストを愛した人々の どの位多かつたかを現すものであらう。 彼は 三日の後に復活した。 が、肉体を失つた彼の 世界中を動かすには 更に長い年月を 必要とした。 その為に 最も力のあつたのは クリストの天才を全身に感じたジヤアナリストの パウロである。 クリストを十字架にかけた彼等は 何世紀かの流れ去るのにつれ、シエクスピイア の復活を認めるやうに クリストの復活を認め出した。 が、死後のクリストも 流転を閲(ケミ) したことは 確かである。 あらゆるものを支配する流行は やはりクリストも支配して行つた。 クララの愛したクリストは パスカルの尊んだクリストではない。 が、クリストの復活した後、 犬たちの 彼を偶像とすることは、 ―― その又 クリストの名のもとに横暴を振ふことは 変らなかつた。 クリストの後に生れたクリストたちの 彼の敵になつたのは この為である。 しかし 彼等も同じやうに ダマスカスへ向ふ途(ミチ)の上に 必ず彼等の敵の中に聖霊を 見ずにはゐられなかつた。 「 サウロよ、サウロよ、何の為に わたしを苦しめるのか? 棘(トゲ)のある鞭(ムチ)を 蹴ることは 決して手易(タヤス)いものではない。 」 我々は 唯 茫々(バウバウ)とした人生の中に佇(タタズ)んでゐる。 我々に 平和を与へる ものは 眠りの外にある訣(ワケ)はない。 あらゆる自然主義者は 外科医のやうに残酷に この事実を解剖してゐる。 しかし 聖霊の 子供たちは いつもかう云ふ人生の上に 何か美しいものを残して行つた。 何か「 永遠に超(コ)えようとするもの 」を。 ※ パウロの回心 使徒行伝 9章&22章 さて、サウロは なおも主の弟子たちを脅迫し 殺そうと意気込んで、大祭司のところ へ行き、 ダマスコの諸会堂あての手紙を求めた。 それは、この道に従う者を見つけ出したら、男女を問わず縛り上げ、エルサレムに 連行するためであった。 ところが、サウロが旅をして ダマスコに近づいたとき、突然、天からの光が 彼の周りを照らした。 サウロは地に倒れ、「 サウロ、サウロ、なぜ、わたしを迫害するのか 」と 呼びかける声を聞いた。 「 主よ、あなたは どなたですか 」と言うと、答えがあった。 「 わたしは、あなたが迫害しているイエスである。 起きて 町に入れ。そうすれば、あなたのなすべきことが知らされる。 」 同行していた人たちは 声は聞こえても、だれの姿も見えないので、ものも言えず 立っていた。 サウロは 地面から起き上がって、目を開けたが、何も見えなかった。 人々は 彼の手を引いて ダマスコに連れて行った。 サウロは 三日間、目が見えず、食べも飲みもしなかった。 ところで、ダマスコに アナニアという弟子がいた。 幻の中で 主が「アナニア」と呼びかけると、アナニアは「 主よ、ここにおります 」 と言った。 すると、主は言われた。「 立って、『直線通り』と呼ばれる通りへ行き、ユダの家 にいるサウロという名の、タルソス出身の者を訪ねよ。今、彼は祈っている。 アナニアという人が入って来て 自分の上に手を置き、元どおり目が見えるように してくれるのを、幻で見たのだ。 」 しかし、アナニアは答えた。 「 主よ、わたしは、その人が エルサレムで、あなたの聖なる者たちに対して どんな悪事を働いたか、大勢の人から聞きました。 ここでも、御名を呼び求める人を すべて捕らえるため、祭司長たちから権限を 受けています。 」 すると、主は言われた。 「 行け。あの者は、異邦人や王たち、またイスラエルの子らに わたしの名を伝える ために、わたしが選んだ器である。 わたしの名のために どんなに苦しまなくてはならないかを、わたしは 彼に示そう。」 そこで、アナニアは出かけて行って ユダの家に入り、サウロの上に手を置いて言った。 「 兄弟サウル、あなたが ここへ来る途中に現れてくださった主イエスは、 あなたが 元どおり 目が見えるようになり、また、聖霊で満たされるようにと、 わたしを お遣わしになったのです。 」 すると、たちまち 目から うろこのようなものが落ち、サウロは 元どおり見える ようになった。そこで、身を起こして洗礼を受け、 食事をして元気を取り戻した。 サウロは 数日の間、ダマスコの弟子たちと一緒にいて、
すぐ あちこちの会堂で、「 この人こそ神の子である 」と、イエスのことを宣べ伝えた。 これを聞いた人々は 皆、非常に驚いて言った。 「 あれは、エルサレムで この名を呼び求める者たちを滅ぼしていた男ではないか。 また、ここへやって来たのも、彼らを縛り上げ、祭司長たちのところへ連行する ためではなかったか。 」 しかし、サウロは ますます力を得て、イエスが メシアであることを論証し、 ダマスコに住んでいるユダヤ人をうろたえさせた。 |
過去の投稿日別表示
[ リスト | 詳細 ]
全1ページ
[1]
全1ページ
[1]





