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「 ここには民家がありました 」。 三陸の海に面した岩手県北部の野田村。 住民福祉課の
古山(フルヤマ)秋男主査が、高さ5mの木くずの山に目をやった。
東日本大震災で発生した瓦礫処理について、埼玉県は 野田村からの木くずの受け入れを検討
している。 記者が 今月訪ねると、作業する重機の音が響いていた。
村の人口は 約5000人。 昨年3月11日、高さ18mにも達した津波は二重の堤防を超え、村の
中心部に達し、37人の命を奪った。全体の3分の1近い 445棟の家が流失、または大規模半壊
した。 役場にほど近い瓦礫置き場には、大小18の 「山」 があった。 10は 木くずや鉄くず、家電
などに分類されていたが、残りは未分類だった。 古山主査は 「 13万2000トンあります。村だけ
で処理すると200年かかります 」と語った。
岩手県九戸郡野田村の周辺地図- Yahoo!ロコ ⇐ 野田町の放射能汚染の詳細
◇ ◇
上田清司知事は 昨年12月の県議会で、被災地からの瓦礫について「 受け入れを進める
べきだ 」と積極的な姿勢を示した。 野田村の木くずを熊谷、日高両市と横瀬町の3カ所にある
セメント工場で燃料と材料として処理する方針だ。
処理量は 12〜13年度に 約5万トン。 3月25日に焼成する実証試験を行い、住民説明会を
経て正式に引き受けが始まる。 しかし、実現したとしても、3工場の処理限度は 4万2000トン
とされ、8000トンの引受先は未定だ。
埼玉県によると、野田村の木くずの放射性物質(1月11日現在)は 1キロあたり40㏃。 県は
受け入れの基準を同100㏃以下としている。 県は、こうした数値とともに、東電福島第1原発から
さいたま市までは 約210キロなのに対し、同原発から野田村までは 約310キロ離れているとの
地理的状況などを、セメント工場の周辺住民らに説明し理解を求める。
2月12日に自治会代表として 県から説明を受けた三尻自治会連合会(熊谷市)の岡部宣明
(ノブアキ)会長(74)は 「 25日の実証試験で放射性物質の数値をみた上で(今後の)市民説明会
で住民が納得することが大事。放射性物質の問題がなければ、被災地を何とか手伝ってあげたい
人は多いと思う 」と話す。
◇ ◇
野田村は、瓦礫置き場を区画整理し、新たに堤防や民家を建設する計画だ。「 家を作れない状態
が続けば住民が出て行き、村は消滅してしまう 」と、同課の小屋畑勝久課長は危機感を募らせる。
置き場の賃料だけで年間約800万円かかる。村の復興のために瓦礫の処理は不可欠だ。
「山」 の一部には毛布、皿の破片、シンク、野球のボールなどが交ざるものもある。近くの仮設住宅
で暮らす女性(71)は 「 がれきは見たくない。あの中にうちの財産も農機具もあるのかなと思うと 」
と涙ぐんだ。
村は 膨大な瓦礫を10カ月かけて 現在の状態まで分別した。 多くの都道府県が、瓦礫が分別
されていないことを理由に、受け入れに難色を示したことが背景にあるという。
小屋畑課長は「 村だけの力では限界がある。他の自治体に何とか受け入れてもらえるようお願い
するしかない 」と話した。
◇ 県外埋め立て始まるも… 県内では、下水処理をする際にできた放射性物質を含んだ汚泥焼却灰の処理も課題だ。5カ所
の県営下水処理場では 2月28日現在、計9452 t が保管されている。 放射性物質の値の低下
に伴い 県外での埋め立て処分が始まったが、保管量は 昨年8月末の計4269 t と比べ 2倍に
上る。 汚泥焼却灰は 震災前まで、セメント原料として業者に引き取ってもらっていた。 しかし、
昨年5月に乾燥灰1キロあたり約1万4200㏃の放射性セシウムが検出され、取引が止まった。
国は 8000㏃以下については、防水対策を講じるなどの条件で 埋め立て処分できるとしたが、
受け入れ先の自治体の理解が得られず、施設内での保管が続いた。
県下水道局によると、5カ所の内 最も保管量が多いのは荒川水循環センター(戸田市)で
3115 t。 同センターは 当初、焼却灰の保管は 昨年内が限界とみていたが、保管庫を新設し
来年度いっぱいの保管態勢を整えた。
放射性セシウムは 2月17日には 450〜2000㏃に低下。 県は 同21日から、一部を埋め立て
処分のため県外
の複数の民間処分場に運び出し始めた。 1週間の搬出量は 約540 t。 同局は「 やっと引受先
が見つかった。どこの処理場かは 風評被害を防ぐために言えない 」としている。
しかし、荒川水循環センター を管理する県荒川左岸南部下水道事務所の北川俊雄総務管理担当
部長は 「 保管している焼却灰は 減ってはいない 」と話す。 同センターでは 1日に30袋の焼却灰
ができていくが、引き取られているのは 1日に16〜32袋に限られている。
一方、県企業局水道管理課によると、飲み水などの上水道を処理する際にできる 「浄水発生土」
も 従来は 園芸用などに売却されていたが、震災後に引き取りが止まった。 2月20日から再開
されたが、処理が追いつかず3カ所の浄水場で保管庫を現在、建設しているという。
(未完成)
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