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チェルノブイリの長い影
〜チェルノブイリ核事故の健康被害〜
<研究結果の要約:2006年最新版>
Dr.Olha V.Horishna⋆著
発行:チェルノブイリの子ども達への支援開発基金
1.チェルノブイリ災害に関する歴史的経緯の概要
グループI チェルノブイリ事故にかかわった緊急撤去作業者 または「事故処理作業者」
グループII 災害地域からの避難者 または再定住区域への移動者 グループIII 中程度に汚染された区域に継続して居住している者 グループIV グループI〜IIIに属している家族 または両親の間に生まれた子供 主要登録グループIIIに属している再定住者が受けた線量は、グループI 及び グループIIに
及ぼす放射能の影響より はるかに低いものであったが、通常の リスクより高い状態が依然として
続いており、放射能によって起こり得る健康影響を監視することが必要である。
放射能汚染区域に居住する集団の年齢層が、新生児から中高年者までと 様々であるという ことが、人口統計学において重要なことである。 放射性核種に汚染された地域の居住者は、
主要登録グループI 及び グループII に属している人とは異なり、依然として 電離放射線と常に
接触している。この地域の居住者は、ほとんどが 村や農村地域に居住しているため、上記以外
にも無機質肥料、農薬、化学的雑草防除剤などの危険な汚染物質と接触している。
グループIVは、グループ I〜III に含まれる両親から生まれた子供で構成されている。放射線因子 が健康に及ぼす影響は、両親を通じての間接的なものと直接的なものがある。
事故処理作業者の家族らの間に生まれた子供は 通常、どちらか一方の親(ほとんどが父親)
のみが放射線の影響を受けているため、このグループは異種である。
また、両親が避難者であるか、汚染区域の居住者である子供は 一般に、母親 及び父親が ともに放射線因子の影響を受けていることがわかっている。 重要なのは、グループIIIの両親の
間に生まれた乳幼児は、すでに 子宮内にいる段階で放射線の影響を受けており、現在も 影響
を受け続けているということである。
グループ IVには 特有の人口統計学的特性がある。事故が発生してから最初の数年間に、この
グループ の子供の大半が 就学前の年齢であった場合は、今頃は ほとんどが 12〜14歳である。
また、この グループ には 青少年や成人も登録されている。グループIVの人には、すでに 子供が
おり、多くが 「チェルノブイリの孫」 となっていることに注目されたい。 このため、解決すべき
新たな問題が生じている。グループ IV の人々の間に生まれた子供は チェルノブイリ事故の犠牲者
であると考えるかどうか、犠牲者であるとする場合は どのグループに登録したらよいのかという
問題である。
重要なのは、多数の事故処理作業者と避難者が、放射線汚染区域に居住していることを理解 することである。 これは、彼らが 急照射線量を一度に受けており、その後も 少量の放射線を
曝露し続けているということである。 様々な放射線の線量と活動期間が合わさった このような
複数の因子が 人体に特性変化 及び病的変化を引き起こす可能性があることは確かであるが、
現時点では 未だ科学界による研究が行われていない。影響を受けた特定区分の集団が受けた
個人線量の登録については、避難者団体に関する登録 データ がない。汚染地域に居住する
人々の グループ の個人線量に関する情報もない。ただ、事故処理作業者の線量に関する比較的
明確な情報はある。
事故処理作業者が受けた線量に関する 最も実質的 かつ信頼性の高い情報が、チェルノブイリの 事故の犠牲者を登録するウクライナの公式登録データによって得られている。 この登録データ
には、健康診断の結果や被曝個入線量に関するデータなど、1986〜1990年の事故処理作業者
に関する個人情報が20万件以上収載されている。ここに挙げた 20万人以上の事故処理作業者
が、チェルノブイリ 事故の影響を最も強く受けており、大量の放射線線量を受けてきたことは 確か
である。 しかし、放射線汚染区域に居住する集団は、長期間にわたり 様々な線量の外部被曝
や内部被曝を受けており、今後も受け続けることになる。その被曝内容を以下に挙げる。
・ ヨウ素の放射性同位元素による甲状腺の照射 (事故後の最初の2カ月間に起っている)。
・ 放射能雨による外部からのγ線照射 ― 数10年間に及ぶと考えられる。
・ 放射性セシウムや放射性ストロンチウムにより照射された食物や飲用水の摂取による内部被曝
― 長期間にわたり この状態が続くと言うことが きわめて重要である。
・ プルトニウムなどの超ウラン元素による照射が、何世紀もの間にわたって危険を及ぼす放射線
であると考えられる。
ここまでは、外部被曝以外の主な照射経路のひとつが、汚染された食物や食物ほどではない が飲料水による内部照射とされている。 科学研究者らは、線量は少なくても、内部照射の方が、
全生物⋆が きわめて多くの量の線量を外部照射するよりも、はるかに危険なものであることを
明らかにした。 というのも、放射性核種は いったん人体に吸収されると、生物の臓器や組織に
それぞれ蓄積され、細胞レベルや分子レベルで 様々な破壊活動を行い、多様な病変を引き起こす
ためである。 ⋆ 「全生体」か?
2.照射によって生じる病変
従来より、電離放射線による犠牲者の健康結果は、確実に起こる可能性が高いが 未だ症状
として現れていない確率的影響と、一定の被曝線量により確実に症状が現れる非確率的影響
とに分類されている。
照射の確率的影響
・発癌 (さまざまな部位での悪性腫瘍の発生) ・奇形形成 (胎児照射による胎児の欠損症)
・遺伝学的異常 (突然変異、染色体異常)など
チェルノブイリ事故後の照射の非確率的影響⋆を さらに 3グループに分類する。
⋆ =確定的影響
以下を組み合わせた 第1グループの非確率的影響
・(全生物に対して線量が1グレイを上回ると) 最も感受性の高い組織 及び 臓器で速やかに
分裂する (ため、放射線感受性である) 細胞損傷を受けた集団。
・急性放射線宿酔(シュクスイ)を来した男性の線量依存性精子形成障害。 最大5グレイの
被曝線量により 短期間の不妊が生じ、5グレイを超えると 永久不妊が生じる。
・ 急性放射線宿酔を来した人に起こる皮膚疾患。 これには 色素沈着、表皮萎縮、汗腺機能
及び 皮脂機能の異常、毛嚢(モウノウ)異常、弾性消失 及び皮膚線維化、慢性潰瘍、皮膚
損傷過敏症などが挙げられる。
・ 照射が起きてから 最初の2〜4年間に、急性放射線宿酔を来していた人に生じる水晶体
の特異的変化 及び放射線誘発性白内障。
非確率的影響の第2グループ以降をまとめる。 まず、自律神経失調症の症状が現れるなどの、複雑性および系統的特徴によって異なる
いわゆる身体的影響。 身体にみられる このような放射能症候群は、神経症、心気症 または
うつ病の病像を有する臨床型の自律神経失調症候群 または 無力症候群に紛れ込んでいて、
発見されにくい。これにより、照射により損傷を受けた臓器の内科疾患の臨床経過というもの
がある。このような身体的損傷にみる最も独特の特徴には、その抵抗力、遅鈍、再発性慢性
経過などがある。身体的放射能症候群の形成をもたらす明確な臨床型と閾値線量は、(外部
被曝か、内部被曝か または両方であるかなどの)特有の照射特徴によって異なり、場合に
よっては 放射性核種と その関連物質との組み合わせによっても異なる。
非確率的影響の第2グループには、出生前の状態 や子宮内で照射を受けた子供の健康 及び発育の病的変化などが含まれる。この グループの子供は、過度の放射線に曝露しなかった
子供より、知的障害、情緒障害、自律神経調整の機能不全、循環器系、呼吸器 及び消化器系
の臓器の機能障害を来す傾向がきわめて強い。
非確率的影響の第3グループには、ヨウ素の照射線量によって程度は異なるが、放射線に よる原発性甲状腺機能低下症(甲状腺の不活発)や、甲状腺の線維化および萎縮などを
合わせた甲状腺病変が含まれる。
性質や範囲の点で きわめて 独特な チェルノブイリ災害によって、科学界は 今もなお 健康影響 全体に対する理解を 大きく是正 または修正することを余儀なくされている。
たとえば、第2世代の犠牲者 (照射を受けた両親から生まれた子供) を臨床観察したところ、
健康や成熟度に何らかの異常があることが明らかにされている。この異常は、両親が受けた
放射線線量に応じて異なるため、非確率的であるとされることもある。
また、このような異常は 子宮内で照射を受けた者に認められた異常と一致しており、臨床所見
の形態によっては 第2グループの非確率的影響に属する。 ただ、これらは遺伝子の観点から
みて明らかにされたものである。遺伝体質を考慮すれば、非確率的影響の第4グループに入る
と考えられる特徴について語ることができる。
事故処理作業者の両親の間に生まれた子供は、両親の被曝線量によっては、放射線の
確率的影響が、確実に症状が現れる非確率的影響となる境界グループまたは重複グループ
であると定義づけることができる。照射を受けた子供や青少年だけでなく、事故処理作業者の
間に生まれた子供の甲状腺癌の発生率も高まったことにより、このことが証明された(後述)。
このため、第2世代には、身体的疾患の発症を引き起こす原因となる遺伝子学的に安定した
病態生理学的機序がある。これは、遺伝的不安定性という現象が、チェルノブイリ災害の最も
深刻な影響のひとつとなり得ることを示すものとなっている
3.チェルノブイリの犠牲者に対するいくつかの重要な健康問題の分析
影響を受けた集団の健康い関する チェルノブイリ大惨事の影響は、いずれの リスクグループ
にも一致するような 画一的な方法を用いて判断することはできない。事故処理作業者、子供
及び 妊娠女性が最も大きな影響を受けているということは、紛れもない事実である。 特に、
汚染区域に 常に居住している子供や、事故処理作業者の家族の間に生まれた子供には、
健康状態が悪く、多型の身体的病変がみられるという特徴がある。 このような子供にみられる
子供1人当たりの全種類の疾患の発症率は、 「比較的汚染の少ない」区域の子ども達の2倍
となっている。 現地の疫学的調査結果によると、放射線に汚染された地域に いながらも 実際
には健康な子供の数は、ウクライナ全域での平均人数よりも はるかに低い。 この数は、1997年
は 3.2%であったが、2005年には 0.5%にまで減少した。 |
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2013年07月27日
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3.11以降、「放射能 大したことない」という意識が 福島県を中心に蔓延して、
この国の人々に 広く 放射線への従来の警戒感が取り去られたために、
これは 出てくるべくして出てきたことです。
子供を含めた一般住民の被曝限度を 20m㏜/年で許容できるならば、
放射線管理区域に 一般人を住まわせ、幼稚園や小学校があるならば、
少々のことは やりたい放題になります。
医療機関や研究所、工場から 手に余る放射性物質を 外部環境に平気で出せます。
また、福島第一原発からの海への放射性物質の流出や この件にも見られるように
規制当局の,他人事のような危機感のない対応が、
人々の こうした行為を助長しています。
合掌
【お知らせ】北茨城市で一時的な高線量を確認
(原子力規制庁からのメール19:49)
報道関係者各位
日本原子力研究開発機構(JAEA)から、北茨城市の走行サーベイ結果において、
同市内の工業団地付近で異常に高い線量率を検出した旨の連絡がありました
のでお知らせします。
○12日9:20頃、北茨城市が北茨城市南中郷工業団地の走行サーベイを実施。
○24日、JAEAがこのサーベイ結果を分析していたところ、同工業団地付近で
異常に高い線量率(7マイクロシーベルト毎時)を検出していたことを確認。
○このため、25日16時頃、JAEAが同工業団地付近の空間線量率の再測定を
実施したところ、高い線量は確認されなかった。
○異常なデータの原因については、現在調査中。
以上
(担当)
原子力規制庁 ↑ 担当者の固有名詞を出していないのは、この組織の無責任体質を表しています。
毎日 2013年07月27日
福島第1原発の敷地内から海へ放射性物質を含む地下水が流出している問題で、東京電力
は27日、汚染水の漏えい源とみられる敷地海側のトレンチ(地下の配管用トンネル)にたまって
いる水から、1リットル当たり23億5000万ベクレルの高濃度で放射性セシウムを検出したと
発表した。
同原発2号機で原発事故直後の2011年4月に、取水口付近などで高濃度汚染水が漏れ、
その際 1リットル当たり 36億ベクレルの放射性セシウムが検出されている。 トレンチには、
その際の汚染水が滞留しており、海への漏えい源の疑いがあるため、東電が調査した。
東電は トレンチ内の汚染水について、9月から放射性物質の濃度を下げる浄化作業を始める
予定としている。
放射性セシウムの内訳は、放射性物質の量が半分になる「半減期」が約2年の セシウム134が
1リットル当たり 7億5000万ベクレル、約30年のセシウム137 が 同16億ベクレルだった。
また ストロンチウムなどが出す放射線の一種のベータ線測定から算出した放射性物質は、
同7億5000万ベクレルだった。
朝日 2013/07/27
東京電力福島第一原発で事故後に働いた作業員のうち、被曝による健康被害を見つける
ため国が定めた年1回の目の検診を受けていない人が、東電社員だけでも 約4割の247人
にのぼることがわかった。下請け企業を含めると 相当数に膨らむ可能性がある。
厚生労働省は人数の把握を急いでおり、近く公表する方針だ。
厚労省は 2011年10月、事故後に 緊急作業をした約2万人について 健康管理の指針を
決めた。 被曝量が50ミリシーベルトを超えたら特殊な器具による目の検診、100ミリを超えたら
がん検診を それぞれ年1回受ける必要がある。
東電によると、12年度に目の検診が必要な社員は 647人いたが、実際に受けたのは400人
だった。一方、胃がんや肺がんなどの検診は 対象者のうち2人を除く144人が受けた。
被曝した場合、がんに加えて 白内障のリスクも高まることが十分に周知されておらず、東電は
「 対象者の社員全員が受けるよう取り組む 」としている。
下請け作業員の検診状況について 東電は把握していないが、安全管理態勢が不十分な
零細業者が多く、退社して連絡がつかない人も少なくないため、東電社員よりも 未受診の割合
は高いとみられる。
厚労省は 東電や下請けから 検診結果を集めて データベース を作ると 11年 10月に発表したが、企業から送られてくるデータに 名前や生年月日の間違いが約8千件見つかり、今も稼働して
いない。このため、検診で異常が見つかった人数も把握できていない。厚労省や東電は 作業員
の安全を守ると表明してきたが、原発事故から2年4カ月たった今も責任の所在はあいまいだ。
厚労省は「 データに 予想外の大量のミスが見つかった。作業員には 個別の相談窓口も用意
している 」と釈明している。相談電話は 0120・808・609 (平日午前9時から午後5時)。
◇
〈被曝限度〉 作業員は1年間で50ミリシーベルト、5年間で100ミリを超える放射線量を浴びると原発構内で働けなくなる。国は 11年3月の原発事故後、緊急時の措置として 250ミリまで
働けるよう基準を緩和し、同年12月に通常に戻した。一般の人の目安は 年1ミリ。 |
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