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日本経済新聞 2013年11月11日
トルコへの原発輸出が注目を集めている。三菱重工業などが参加する国際コンソーシアムが
10月30日、トルコ政府と原発建設のフィージビリティースタディー(FS=事業化可能性調査)の
枠組みについて正式合意に達した。
5月と10月、半年間で2回も同国を訪問して プロジェクトを後押しした安倍晋三首相は レジェプ
・タイープ・エルドアン首相との会談で 「大変喜ばしい」と笑顔で握手を交わした。
ただ、盛り上がる政府側とは裏腹に「 今後ファイナンスの枠組みや電力販売契約などについて
交渉を詰めていく 」と 三菱重工が同日公表したコメントは 慎重。
今後 FSに2年程度時間をかけ、採算性などに問題がなければ正式に契約を結ぶという。
確かに 「受注確実」 と手放しで浮かれられない事情が同社にはある。 米国での補修トラブルを
めぐる巨額賠償問題で浮き彫りになった「原発輸出リスク」である。
■首相が受注の旗振り
トルコの原発プロジェクトの予定地は 北部の黒海南岸シノプ地区。 ここに 三菱重工と
仏アレバ社が共同開発した出力110万キロワット級の加圧水型軽水炉(PWR)「ATMEA
(アトメア)1」を 4基建設する。 2023年に 1号機が稼働予定で、総事業費は約220億ドル
(約2兆1700億円) を見込んでいる。
事業母体となる国際コンソーシアムには 三菱重工と伊藤忠商事、フランスの電力・ガス大手GDF
スエズ、トルコ国営電力会社(EUAS)の4社が出資する。
出資額は 合計約66億ドル(約6500億円)で、コンソーシアムの株式持ち分比率は EUASが
最大 49%、伊藤忠が 10%超とみられる。 出資額を超える事業費は 日本の国際協力銀行
(JBIC)や民間金融機関からの借入金などで賄う方針だ。
トルコにとっては、地中海沿岸のメルシン地区で ロシア国営原子力企業ロスアトムの傘下企業
が受注しているアックユ原子力発電所 (120万キロワット級を4基建設。20〜23年に1基ずつ
稼働予定。 総事業費200億ドル) に続く 2カ所目の原発プロジェクトになる。
トルコは 昨年の1人当たり国内総生産(GDP)が 1万500ドル、10年間で 3倍の水準になる
など経済成長が著しく人口も増加。 発電用エネルギーの約7割を輸入に依存しており、03年の
就任以降、目覚ましい経済成長を実現してきた エルドアン首相は 電力安定供給を掲げて 一時は
中断していた原発建設に舵(カジ)を切り、現在は 30年に国内発電量の15%を原子力にする
計画を打ち出している。
アックユ、シノプに続く 3カ所目の原発もトルコは予定している。建設地は未定だが、日本勢が
FSを実施することを 日本、トルコ両政府間で決定済み。 この3カ所目の原発について、トルコ
政府は 海外勢に全面発注するのではなく、国内勢の参加を想定。 そのための人材育成や技術
力強化に日本の協力を求めている。
先の安倍、エルドアン両首相の会談で署名された共同宣言に、両国の科学技術協力が盛り込まれ
たのはこのためだ。
トルコの原発プロジェクトの総事業費は 1カ所あたり2兆円規模。 3カ所なら総額6兆円。
世界の原発メーカーが色めき立つのも無理はないが、一方で リスクの多さも際立っている。
まず、トルコは 日本と同様に地震多発国である。過去半世紀に 1000人以上の死者が出た
大地震が7回発生。このうち 1999年8月に イスタンブールを含む北西部で発生したマグニチュード
7.6の地震では約1万7000人が死亡した。 この北西部地震からほぼ1年後の2000年7月、
当時のエジェビット首相は 地震専門家らの反対を受け、1997年から進めていたアックユ原発
の計画を白紙撤回している。 また、2011年3月11日の東日本大震災とそれに伴う福島第1
原発事故の直後には ギリシャのパパンドレウ首相(当時)が エルドアン首相に電話をかけ、トルコ
の原発計画を中止するよう要請したこともあった。
■地震国トルコ、原発反対運動も
トルコ国内にも当然、原発反対運動がある。 シノプ地区は 1986年のチェルノブイリ原発事故
で 小麦や生乳に放射能被害が及び、黒海産の水産物も風評被害に遭遇した経緯があり、
地元の農業、漁業関係者を中心に根強い反対運動がある。
原発建設で生まれる雇用や地元への助成金、さらに高い経済成長などで 反対運動の広がりは
限定的だが、その抑制効果も エルドアン首相率いる現政権の指導力に左右される。
今年5月末にイスタンブールで起きた反政府デモは 五輪誘致をにらんで進められた都心の
再開発計画に対する環境活動家らの抗議 (公園の樹木伐採に反対する座り込み)がきっかけ
であり、そこに 現政権の強権政治に不満を持つ世俗派市民が合流して規模が拡大した。
高速道路や原発の建設にも批判の矛先が向いており、エルドアン 政権の リーダーシップ が揺らげば
これらのプロジェクトの先行きが 不透明になることは十分考えられる。
さらに トルコの原発プロジェクトで懸念されるのは 度重なる計画変更やシビアな契約交渉。
シノプ原発を巡っては 2010年以降、最初に優先交渉権を持っていた韓国が 受注に際して
トルコ側の政府保証を求めたため 同年11月に決裂、次に 東芝や東京電力を中心にした日本勢
が交渉相手となったが、11年3月の福島第1原発事故で東電が撤退したため受注活動は白紙
に戻った。
12年2月 韓国の李明博大統領(当時)が トルコを訪問して韓国との交渉が再開したが、これも
首尾よくいかず、同年4月には エルドアン首相が訪中して原子力協定を締結。 一時は原子力
関係者の間で 「シノプは中国で決まり」 とまでいわれたが、昨年末から年明けにかけ、三菱・
アレバの日仏連合が新たに浮上。今年5月には 受注内定にこぎ着けた。
背景には、サルコジ前政権時代には 欧州連合(EU)加盟問題などを巡って悪化していたフランス
と トルコの関係が オランド政権になって劇的に改善したことに加え、日本でも原発輸出に前向きな
安倍政権が誕生したことがあると解説されている。原発プロジェクトの政治色の濃さを象徴する
エピソードといえる。
相手を目まぐるしく替える交渉術は 条件面のどん欲さの裏返しでもある。一部報道によると、
ロスアトムが受注した アックユ原発は 建設費が ロシア側の全額負担で 電力供給計画の保証義務
も負わせた。 トルコ電力卸売公社が 原発稼働後15年間の電力購入契約を結び、建設費相当額
を支払っていく。 スマートフォンやタブレット(多機能携帯端末)の分割払いの仕組みに似ており、
トルコ側の資金負担(調達コストなど)は 大幅に軽減される。これから本格化するシノプ原発の
ファイナンス交渉でも 同様の要求があると見て間違いなさそうだ。
こうした原発セールスをめぐるディスカウント交渉は トルコだけの専売特許ではない。欧州や
アジア、中東などの各国の原発市場に フランス、ロシア、日本、中国、韓国、それに米国のメーカー
が ひしめき、それぞれ政府を巻き込んで 熾烈な受注競争を繰り広げている。
昨今、受注獲得が目立つのは ロシアと中国で いずれも国ぐるみの手厚い資金支援を売り物にし
ている。例えば、今年8月に決まった パキスタン南部カラチの原発計画(100kW級2基を建設)は
中国核工業集団(CNNC)の受注が見込まれ、1兆円近い建設費の7割強を中国が融資する
と報じられている。
そのCNNCは 10月半ば、中国国有企業である広核集団(CGN)と共同で英国南西部ヒンクリー
ポイント の原発新設計画 (仏アレバ社製の欧州加圧水型炉〈EPR〉を2基建設、23年稼働予定)
に参入することが明らかになった。 CNNCは 東芝傘下の米原発大手 ウエスチングハウス(WH)社
から技術導入して 中国国内で原発建設を進めている。
これまで 英政府は 安全保障上の問題から中国企業の原発事業参入に難色を示していたが、
福島第1原発事故などをきっかけに 英国内の原発プロジェクト から撤退する企業が相次ぎ、暗礁
に乗り上げるケースが続出したことから 従来方針を転換。中国企業に門戸を開くことになった。
ヒンクリーポイント原発は 当初、英電力・ガス会社セントリカ社 と フランス電力公社(EDF)の
共同事業だったが、今年2月に 「 コストと建設計画が不透明 」 との理由で セントリカ社が撤退。
残ったEDFが 新たな パートナーを探していた。 同原発の総事業費は 160億ポンド(約2兆5400億
円)。 EDFが 45〜50%、仏アレバ社が 10%を それぞれ出資予定で、新たに加わった中国企業
2社の出資比率は 計30〜40%になる見込み。
このほか、エーオン、RWEのドイツ電力大手2社が 昨年3月、英国の原発事業から撤退。
両社合弁で設立した英原発会社ホライズン・ニュークリア・パワー社(英国内2カ所で最大6基の
原発新設を計画)は、日立製作所が 昨年11月、約890億円で傘下に収めた。
■原発離れ進む欧州の電力市場
また、英国中部セラフィールド で 最大 360万KW(2〜3基)の原発新設を計画していた英ニュー・
ジェネレーション(ニュージェン)社は 10年に 仏GDFスエズ社と スペイン電力大手イベルドロラ社、
英スコティッシュ・サザン・エナジー社が 共同出資で設立した原発会社だったが、11年 スコティッシュ
が撤退。 ここに来て イベルドロラも 保有株(50%)を すべて東芝の子会社WHに売却する方向
で交渉が進んでいる。東芝は GDFスエズ の保有株も一部買い取り、百数十億〜200億円を投じ
て年内にも ニュージェンを傘下に収める方針。
欧州の電力ビジネス市場では フランスを除く各国の企業が原発から距離を置き、その空白を
日本や中国のアジア勢が埋めている構図が浮かび上がる。
日立は 3.11以降、日本国内での原発新設が見込めなくなったため、英国内で 4〜6基の
新設計画を持つ ホライズン社買収に踏み切った。 だが、建設費だけで 投資額は 約2兆円と
巨額なため、17〜18年に予定している着工までに、現在100%保有しているホライズン社株を
投資ファンドや電力会社に売却して出資比率を 50%未満に下げたい考えだ。
ただ、欧州勢は及び腰な上、中国勢も 本来は メーカーのため製造が主体。「 ものづくりのうまみ
が無いし、ただでさえ日中合弁は難しい 」 と関係者は話す。 ホライズン社株売却が難航すれば、
日立は過大なリスクを抱え込むことになる。 「自動車メーカーが 需要確保のためバス会社や
タクシー会社を買うようなもの。うまくいく可能性は小さい」(重電担当アナリスト)との指摘もある。
原発メーカーの リスク管理に大きな影を落としているのが、三菱重工が遭遇している米国での
巨額賠償問題だ。 同社は 09〜10年に米カリフォルニア州にあるサンオノフレ原発に交換用の
蒸気発生器を納入したが、その配管が摩耗し 12年1月に放射性物質を含む微量の水が漏れ、
稼働を停止するトラブルがあった。
同原発の事業母体である南カリフォルニア・エジソン社(SCE)は 再稼働を目指したが地元住民らの
反発で断念。今年6月に 2基の原発の廃炉を決め、損害賠償を 三菱重工に求める方針を通告
してきた。 10月半ばに明らかになったSCEの賠償請求額は 40億ドル(約3900億円)。
三菱重工は「 不適切な内容で根拠がない。契約上の責任上限は 1億3700万ドル(約135億円)
だ 」と反論しており、双方は 国際的な仲裁機関である国際商業会議所(パリ)で争う構え。
三菱重工のみならず、原発メーカーにとって衝撃だったのは、契約で定めた賠償の上限を超えた
金額を請求されたことだろう。 この件では 米原子力規制委員会(NRC)も今年9月、三菱重工が
細管の摩耗を予測する シミュレーションで使用した「 コンピューターモデルが不適切だったことが、蒸気発生
器の設計の欠陥につながった 」 と文書で指摘している。
海外の原発プロジェクトで 一旦 トラブルや事故を起こせば、国民の関心が強いだけに、官民
そろって責任追及に動くという現実を原発メーカーは見せつけられた。
サンオノフレのケースは 原発先進国の米国が舞台であり、交換用部品の納入がトラブルの端緒
だったが、昨今の日本勢が受注活動に熱心な 欧州やアジア、中東の原発市場では事業母体に
出資を余儀なくされたり、数十年間の運転保証を求められるなど、各社が背負う リスクは膨らむ
一方だ。
インドでは 9月 法務長官が原発事故による損害賠償の請求権について「 行使を希望するか
どうかは原発の運営者が決められる 」との法解釈を示し、同国での原発推進のネックになって
いた「 厳格な製造物責任の追及 」が緩和されたと歓迎する声が 世界の原発関係者の間に
広がった。 ただ、この発言が インドでの原発ビジネスのハードルを下げることになるというのは
早計かもしれない。 一旦 深刻な事故が起き、多大な犠牲者が出れば、責任追及は“政治”の
色彩を帯びてくるからだ。
■「原子力事業、商業的には成り立たない」
運営者が トラブルや事故を起こした原発のメーカーに 寛大な対応をすることは考えにくい。
国民感情を考慮するなら、メーカーが 外国企業の場合は 特にそうだろう。サンオノフレのケースで
いえば、運営者は巨額の賠償請求を突きつけたSCEであり、監督当局のNRCも同調している。
三菱重工の責任追及には 地元カリフォルニア州選出の上院議員も暗躍した。
原発ビジネス は セールスから リスク管理に至るまで 政治の関与が ますます不可欠になりつつある。
「 今の原子力は 『国家事業』だ。 つまり商業的には成り立たない 」(10月10日付日本経済新聞
朝刊「真相深層」)。米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフ・イメルト会長兼最高経営責任者
(CEO)のこの指摘は 確かに的を射ている。 日本政府や原発 メーカー の経営者は どう解釈する
だろうか。
ニュージェンはイベルドローラとフランスの大手公益企業GDFスエズの合弁企業。英北西部
海岸沿いのセラフィールドに原発建設を予定し、用地も確保している。
英国は新たな原発の建設プロジェクトを進めているものの、福島第1原発事故後の規制上の
変更の影響を受けている上、公的資金の投入規模をめぐる議論もあり、計画が進んでいない。
日立製作所も昨年、英国で原発建設を計画している事業会社 ホライズン・ニュークリア・パワー を
買収している。
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2013年12月22日
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放射線の健康影響に関する専門家意見交換会(第3回)
動画の配信について
なお、会議の様子については、当日動画配信する予定です。
(URL: http://www.nsra.or.jp/safe/adviser/live.html) 「 ただいま 停止中です 」
環境省は、12月21日開催の「放射線の健康影響に関する専門家意見交換会」及び
12 月25日に開催の「第2回東電福島第一原子力発電所事故に伴う 住民の健康管理
のあり方に関する専門家会議」の取材に関し、「カメラ撮りは会議の冒頭 のみ」と限定
しており、会議自体のビデオ撮影を認めていない。
12月21日(土) 13:30〜16:30 ホテルサンルート白河 富士の間
福島県西郷村
13:30〜13:40 開会・あいさつ
13:40〜14:20 講演「県民健康管理調査『甲状腺検査』について」 公立大学法人 福島県立医科大学医学部甲状腺内分泌学講座 教授 鈴木眞一 氏 14:20〜15:00 講演「放射線による発がん影響−甲状腺およびその他のがん−」 国立大学法人 岡山大学環境生命科学研究科人間生態学講座 教授 津田敏秀 氏 15:00〜15:15 休憩 15:15〜16:15 講師、専門家(県アドバイザー、市町村アドバイザー)による意見交換 16:15〜16:30 閉会 ※ファシリテーター:環境省環境保健部放射線健康管理担当参事官 桐生康生 ■ 福島の子のがん、被曝との関連は結論出ず 専門家会議
朝日 12月21日(土)
福島県の子ども59人で甲状腺がんやその疑いが見つかったことについて、環境省と
福島県は21日、専門家の意見交換会を開いた。東京電力福島第一原発事故による被曝の
影響が現時点で現れていることを否定する意見が多く出た一方で、「被曝による多発」を疑う
指摘も出された。県などは今後の検査結果も分析して、被曝との関係を詳しく調べる方針だ。
甲状腺検査は事故当時18歳以下を対象に行われ、9月30日現在で約23万9千人のうち 59人ががんやがんの疑いと診断された。うち1人は良性だった。
検査を行っている県立医大の鈴木真一教授(甲状腺外科)は、これまでに見つかったがん やがん疑い例について「被曝の影響とは考えられない」と話した。その根拠について「がんが
見つかった子どもの年齢分布も10代後半が多く、若年齢が多いチェルノブイリとは異なる」
などと説明した。
これに対し、 岡山大の津田敏秀教授(疫学)は、国内のがん登録の結果から、10代後半〜20代前半の
甲状腺がんの年間推計発生率は、「平均(1975〜08年)は100万人当たり5〜11人」と指摘。
その上で「福島の子どもの甲状腺がんの発生は数倍〜数十倍高く、多発と言える。今後さらに
増える可能性もあり、今のうちに対策をとるべきだ」と主張した。
津田さんの指摘に対して、 県立医大の大平哲也教授(疫学)らから、福島の検査と「がん登録」と比較をするのは、科学的
に不適切などと批判が出た。 がん登録で集計されるがんは主に、症状が出てから受診して
見つかったものだが、福島の検査は、無症状の子どもを網羅的に調べており、より早期に多く
見つかる傾向があるからだ。
郡山市医師会理事で小児科医の太神和広医師は「県外の子供に大規模な甲状腺の検査を して比較すべきだ。そうすれば1年以内に科学的な結論が出る」と訴えた。環境省は、長崎や
青森の子どもの甲状腺検査を行ったが、対象は4500人だけで、これまで、がんは見つかって
いない。
<鈴木眞一医師の講演>
結節性甲状腺疾患
1.悪性腫瘍: 乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がん、甲状腺悪性リンパ腫
2.良性腫瘍: 濾胞腺腫、腺腫様甲状腺腫(腺腫様結節)
小児甲状腺がんについて
1.甲状腺がん全体の1%未満
2.年間、人口100万人当り 1〜2名発生
3.乳頭がんが多い
4.リンパ節転移や肺転移が多いが、予後は成人と比べ良好
5.放射線誘発甲状腺がん
甲状腺分化癌の頻度は?
・10歳未満 :100万人に1人、 10〜14歳 :20万人に1人、 15〜19歳 :7.5万人に1人
・思春期以前 男性 : 女性 =1 : 1、 思春期以降 男性 : 女性 =1 : 4
Hogan AR,et al. Pediatric thyroid carcinoma:・・・ 2009
何歳までを 「小児」とするかは、定まっていない。
小児甲状腺癌の特徴
・リンパ節転移 40〜90% (成人は 20〜50%)
・肺転移 20〜30% ( 〃 2%)
・30年生存率 90〜99%
Rivkees SA, et al. Endocrine reviews 2011
小児甲状腺癌or小児濾胞癌は、成人例と比して 予後に差があるか?
小児甲状腺癌は 成人と比較して 長期の生命予後は良好である。 その中で、小児乳頭癌
は、診断時に進行した癌であるように見えても、適切な治療によって 良好な長期の生命予後
が得られる。 小児濾胞癌は 報告例が極めて少ないが、予後は良好と考えられる。
――― リンパ節転移が物凄く多かったりしても 慌てて手術をしないように
外部被曝線量
基本調査の結果(H25年7月31日現在 451364名)
1m㏜未満: 66.1% 2m㏜未満: 28.8% 3m㏜未満: 4.5% ・・・99.4%
4m㏜未満: 0.3% 5m㏜未満: 0.1% ――― 以上 99.8%
最大25m㏜ 1名 (相双地区 計画的避難区域に長期間居住)
初期内部被曝線量の再構築
・福島県民全体の甲状腺預託等価線量の中央値: 10m㏜未満
比較的高い地域においても 90パーセンタイル値は 30m㏜程度と推計された
◎1歳児の放射性ヨウ素による甲状腺預託等価線量の90パーセンタイル値(m㏜)
南相馬:20、 浪江:20、 双葉:30、 大熊:20、 富岡;10、 楢葉:10、 広野:20、
いわき :30、 川内:10未満、 葛尾:20、 川俣:10、 飯館:30、 その他:10未満
――― 第2回国際シンポジウム 2013年1月 放医研
・等価線量の積算線量(2011年3月12日6:00〜4月24日0:00までのSPEEDIによる試算値)
1歳児 :1日24時間戸外にいるという厳しい仮定で 100m㏜
※ 甲状腺がんの発症するリスクは、甲状腺に100m㏜以上の被曝から増加
・いわき・川俣・飯館の子供1080名(0〜15歳)の甲状腺被曝線量推定
現地災害対策本部実施(第67回原子力安全委員会資料)
福島でがん増加「考えられない」 原発事故受け国連科学委調査 2013年5月31日
【ウィーン共同】東京電力福島第1原発事故の健康への影響を調査している国連科学委員会
は31日、放射性ヨウ素による周辺住民の甲状腺被ばく線量(等価線量)について、影響を受け
やすい1歳児でも最大数十m㏜で、ほとんどが50m㏜を大きく下回ったとする推計を発表した。
将来、事故による被ばくを原因とする 「がん患者の増加は考えられない」 とした。
委員会は 事故当時、周辺住民が素早く避難したことで、被曝線量が10分の1程度に減ったと 指摘。放射性物質で汚染された食品の摂取が早い段階で防げたことも被曝の低減につながった
とした。 (共同通信)
下線は 鈴木氏が付す
・ 体内に取り込まれた放射性ヨウ素による放射線量が多ければ、量に比例して 子供に
甲状腺癌が発症することが分かっている。(100m㏜以上? 200〜2000m㏜?)
・ チェルノブイリと比較して、福島では 放射性ヨウ素による被曝は少ないと想定され、
もし そうであれば、甲状腺癌は増加の可能性が低い。(被曝線量、高ヨード環境)
・ けれども、当然ながら 低いとは言っても、放射線被曝の影響が即座に払拭できた
わけではない。
・ 子供達に 将来 甲状腺癌が増加するのではないかという不安が(保護者の皆さんに)ある。
☟
県民健康調査 「甲状腺検査」 が開始
・ 現時点での甲状腺の状態を把握
・ 今後 甲状腺に変化があるかどうか 長期にわたり観察
・ その間に もし治療の必要な人がいれば適切に対応
なぜ、今 甲状腺の検査が必要なのか?
・ 日本における小児甲状腺腫瘍の疫学調査は 今までされていない
・ 今まで施行していなかった検診を行うと、ゆっくり育つ甲状腺腫瘍が無症状の早い時期
に多く発見されることは 容易に想像がつく
・ 今後 放射線被曝による発症の増加があるかないかを確認するためにも、現在の
甲状腺の状態を把握することが重要となる
対象者: 平成23年3月11日時点で 0〜18歳までの福島県民
○先行検査(現状確認のための検査) :平成4年4月2日から平成23年4月1日までに生まれた者
○本格検査(平成26年4月以降実施) :平成4年4月2日から平成24年4月1日までに生まれた者
2011年10月9日 甲状腺詳細検査開始
嚢胞と結節 (ビデオ 0:27:16 参照)
[結節]
充実性病変 嚢胞性病変
充実性結節 嚢胞部分を伴う充実性結節 充実性部分を伴う嚢胞
悪性 図あり 図あり 図あり
良性 図あり 図あり 図あり
・・・・ 福島の甲状腺検査では、これら すべてを「結節」とした
[嚢胞] 〜図あり (液体部分だけがある)
・・・・ 〃 、完全に良性と考えられる これのみを「嚢胞」とした
一次検査の実施状況 資料2(14/17)
A1は 年齢と共に減少し、A2は 年齢と共に増加
A2は 13〜15歳でピーク、その後減少
Bは 思春期以降に年齢と共に増加
性差は A2、B〜思春期以降 女性優位
甲状腺結節性疾患有所見率調査事業
対象:長崎・山梨・青森の幼稚園から高校生まで4365人 ⑨
方法:福島方式の超音波検査を実施し、嚢胞等の有所見率の比較を行う
結果: A 99%( A1 42.4%、 A2 56.6% ) B 1.0% C 0%
福島では A 99.3%( A1 53.9%、 A2 45.4% ) B 0.7% C 0%(1名)
↑ 色付けは 鈴木氏
さらに、
1)西諫早病院の前向き検討
96名のボランティアの小児エコー実施、 約41.7%のA2判定を認める
2)伊藤病院の後ろ向き検討
2753例の小児甲状腺エコー(結節例を除き検討)
コロイド嚢胞 19%、嚢胞 16% 合せて嚢胞性疾患 35%
チェルノブイリでの事故後4.5年での甲状腺結節の発生頻度
・ 放射能汚染地域の住民(5、10、40、60歳の各群)と非汚染地域の住民の甲状腺検査
(触診と超音波)を行った
・ 甲状腺結節の頻度は 両群間に有意差はなかった
Mettler FA, et al. Thyroid nodules in the population living aroud Chernobyl. JAMA 1992
1998〜2000年におけるゴメリ州での甲状腺癌の頻度
事故前出生群 事故後出生群 1987年以降出生群
1983年1月1日〜 1986年4月27日〜 1987年1月1日〜
1986年4月26日 同年12月31日 1989年12月31日
11〜17歳 11〜14歳 8〜13歳
対象人数 9720 2409 9472
甲状腺癌(男/女) 31(7/24) 1(0/1) 0
Sibata Y, Yamashita S, et Lancet 358: 1965-1966, 2001
甲状腺癌検診での発見率
成人例 触診: 0.06〜0.31%(80%以上が1cm以上)
超音波: 7.5−10mHz 1994
3.5%(女性のみ) (350人/1万人)
(臨床甲状腺癌罹患率 3.1人/10万人 女性 1991)
宮内昭 甲状腺検診 臨床と研究 1998
小児例 日本での小児甲状腺検診(健診)データ なし
※ チェルノブイリ(非被曝でも)での小児超音波健診 4−5千人に1人
(超音波健診によるスクリーニングバイアスがある)
Jvanov VK, et al, Radiat Prot Dosim 2012
日本とチェルノブイリでの小児甲状腺癌の比較
日本(37例) ベラルーシ(26例) P値
手術時年齢 11.9±1.9 10.6±2.6 0.03
M:F 1:4.3 1:2.3 N.S.
平均腫瘍径(cm) 4.1±1.7 1.4±0.7 <0.001 現在の福島は?
超音波健診なし 超音波健診あり 1.5±0.7
症状が出てから手術 超音波健診あり
リンパ節転移 73% 73% N.S.
甲状腺外浸潤 35% 54% N.S.
肺転移 19% 4% 0.08
PTC/FTC 33/4 26/0 N.S.
Shirahige et al, Endocrine J, 1998
ラテント癌(潜在癌)
・ 剖検(亡くなった人の解剖)によって はじめて発見されるもの
・ フィンランドでは 剖検で 35.6%に甲状腺癌が発見された
・ 日本人でも 11.3〜28.4%認める
・ それらのほとんどが 10mm以下(大半が5mm以下)の微小癌
・ 健診において 微小癌の発見に努めることは好ましいことではない?
・ 微小癌の多くはラテント癌として 天寿を全うする?
この甲状腺癌は原発事故の影響で起こったもの?
1.福島での線量は チェルノブイリと比較して 圧倒的に低い
(最大でも5m㏜を超える小児はいない?)
2.甲状腺癌発症は、震災時居住地域における明らかな地域差は認められない
3.甲状腺癌診断時の年齢分布は、放射線非被曝群における年齢分布に近い
4.福島での甲状腺癌は、これまで本邦で診断された腫瘍径よりも小さい段階で診断されている
5.チェルノブイリで認められた乳頭癌亜型は認められていない。
超音波による高精度の健診を行ったことによって、今までは成人で認められていたような
甲状腺癌が、小さいうちに早期(若年)に発見された可能性が高い。
被曝と関係なく すでに出来ていたものと思われる。
これが、福島の子供たちのベースラインの甲状腺癌の頻度となる。
第5回原子力被災者等との健康についてのコミュニケーションにかかる有識者懇談会
平成24年10月18日
平成24年度「原子力災害影響調査等事業(放射線による健康不安の軽減等に資する
人材育成事業及び住民参加型プログラムの開発)」では、福島県及び近県6県(岩手県、
宮城県、栃木県、茨城県、群馬県、千葉県)にて、保健医療福祉関係者や教育関係者等を
対象にした人材育成を実施しました(述べ1,524名)。
また、放射線と健康に関する福島県及び県内市町村の専門家(アドバイザー)を対象として、
知見集積のための情報交換を目的とした研修会を実施しました。
平成23年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理
については、国が拠出した基金を活用し、福島県が県民健康管理調査を実施しているところ
であるが、福島近隣県を含め、国として健康管理の現状と課題を把握し、そのあり方を医学
的な見地から専門的に検討することが必要である。
また、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り
支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(平成24年6月27日
法律第48号)において、国は放射線による健康への影響に関する調査等に関し、必要な
施策を講ずることとされている。
これらの状況を踏まえ、線量把握・評価、健康管理、医療に関する施策のあり方等を専門
的な観点から検討するため、「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理
のあり方に関する専門家会議」を環境省総合環境政策局環境保健部に設置する。
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