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(3) のつづき
2013.9.22
崎山比早子氏⋆講演会
低線量リスクが無視される背景
― 国会事故調が明らかにしたこと
⋆ 元放射線医学総合研究所主任研究官、医学博士、現高木学校所属
(4) ( 1:10:49〜 )
「 100m㏜以下では がんになる証拠はない 」と言っているが、
その根拠は 疫学調査。
――― それは 本当なのか?
■ 世界的に最も信頼されている疫学調査は、原爆被爆者の生涯追跡調査。
これは、被爆が起きてから 5年後に始まって 一定期間ごとに論文を発表して、
がんや病気が被爆線量と どう関係しているか ということを報告している。
被爆者追跡集団は 約87,000人、その対照群は 爆心地から3〜10km圏内。
平均被曝線量は 200m㏜、 50%以上が 50m㏜以下。
その最新の第14報(2012年)は、
追跡期間が 1950年から 2003年までだが、放射線感受性の高い人は 被爆後
この調査が始まる 5年の間に亡くなっているので、この調査自体が 選択バイアス
がかかっている。
しかし、この調査集団は 87000人と大きな集団だし、調査期間が 53年間
と長く、被爆線量が 比較的信頼性が高い というようなことで、世界的にも
信頼されている疫学調査である。
※ ただし、対照群の取り方に問題があると指摘されている。
原爆被爆者の固形がん死の過剰相対リスク
( 過剰相対リスク ERR: 対照群より どれだけ リスクが大きいか )
縦軸のERR 0.0 を通る 横線(点線)を 対照群の固形がん死数として、
横軸 0.0〜3.0 Gyの被曝における 固形がん死数が どれくらい増えているかを示す
のが、図中の黒点。
colon dose:結腸被曝量
L:線形モデル, LQ:線形―2次モデル, どちらのモデルが相応しいかを検討したもの
この黒点を どうしたら、被曝線量と固形がん死の関係が表せるかというと、
ある一定の線量以下だと 過剰相対リスクが 0になるという線量はなく、
線量に比例して がん死が直線的に増えるという 「しきい値なし直線モデル」
(図中の L)が、一番 適切という結論になっている。
この図では、100m㏜以下は あまりよく分からないが、
ここを 線量あたりのリスクで示したのが ☟
線量あたりの全固形がんの過剰相対リスク
↑ ↑
20mGy 200mGyまでのERR:0.56/Gy
Colon dose 結腸線量(Gy=㏜)
縦軸ERR/Gy 0.0 : 対照群と同じ
0.42: 全領域のERR
〜 1㏜浴びると がん死率が1.42倍増える
200m㏜以下の線量になると、線量当りのリスクが、全体(全領域のERR)
より高くなっている。低い線量になると 線量当りのリスクは上がってきている。
200m㏜以下を 1つにまとめると 0.56/Gy(1㏜当り がん死率が1.56倍増える)。
この論文の著者たちは、
「 放射線が安全なのは 線量が 0のときのみだ 」と結論している。
しかし、
専門家は、(100m㏜以下だと)誤差範囲が広いから 統計的有意差がない
と言っているが、実際 これ位増えているのに これが分からないというのは、
チョット オカシイ。
■ 他にも
疫学的に 低線量の被曝で がんor白血病などが増えているという論文は
いくつもある。
小児CT検査(20歳以下)による白血病と脳腫瘍の発症(英国 2012 )
後ろ向きコホート調査
178,604人中 74例の白血病
176,587人中 135例の脳腫瘍
線量と白血病・脳腫瘍の間に相関関係があった。
過剰相対リスク(ERR)
白血病: 0.036/mGy (95%CI 0.005‐0.120 p<0.0097)
脳腫瘍: 0.023/mGy (95%CI 0.010‐0.049 p<0.0001)
5mGy以下の患者に対する相対リスク(RR)
白血病: 累積線量 少なくとも30mGy(平均線量:51.3mGy)
3.18 (95%CI 1.46−6.94)
脳腫瘍: 累積線量 50〜74mGy(平均線量:60.42mGy)
2.82 (95%CI 1.33−6.03)
CT検査による線量依存性白血病と脳腫瘍リスク
縦軸:相対リスク 横軸: 上は 骨髄線量、下は 頭部線量
上は 白血病、下は 脳腫瘍が 線量(mGy=m㏜)に比例して
直線的に リスクが増えている。しかも、白血病は全部 100m㏜以下だ。
参考: 20歳未満でのCT検査で癌リスクが有意に上昇 日経メディカル
オーストラリアMelbourne大学 2013年5月21日
http://www.asyura2.com/09/iryo03/msg/691.html 調査は、オーストラリアのメディケア医療記録から1985年1月1日に0〜19歳だった、
もしくは 85年1月1日から05年12月31日までに誕生した 1093万9680人のうち、85〜05年
の間に CT検査歴がある患者 68万211人(6.2%、曝露群)を対象とした。
このうち、複数回のCT検査を受けていたのは 18%、5回以上の検査を受けていた患者
も 0.8%存在した。
CT検査の標的部位は、脳が 59.4%、顔面骨が 13.1%、四肢が 9.5%、脊椎又は首 が 8.6%、腹部又は骨盤が 5.0%などだった。癌罹患に関する追跡は、同国の癌登録 を利用して 07年12月31日まで行った。 主要転帰評価指標は、CT検査から 1年超経過後に 癌と診断された患者の割合に 設定し、CT検査歴を受けていない対照群(非曝露群)と比較した。 追跡期間の平均は、曝露群が 9.5年、非曝露群は 17.3年で、曝露群では 3150人、 非曝露群では 5万7524人(合計6万674人)が 癌の診断を受けていた。 全体として癌罹患率は 非曝露群に比べ 曝露群で 24%高かった。年齢,性別,出生年 で調整した罹患率比は 1.24(95%信頼区間1.20-1.29、P<0.001)だった。 07年12月31日時点における、曝露群の全ての癌の絶対過剰罹患率は10万人年当たり 9.38で、CT検査で 癌罹患者は 608人増えたと推定された。内訳は、脳腫瘍が147人、 他の固形癌が 356人で、白血病 又は骨髄形成異常が 48人、その他のリンパ系腫瘍が 57人だった。 CT曝露と癌罹患の間には用量反応関係が見られた。CTスキャンを1回受けるごとに 罹患率比は 0.16(0.13-0.19)上昇していた。 曝露から 1年超ではなく 5年超経過後の癌罹患を非曝露群と比較したところ、罹患率比 は 1.21(1.16-1.26、P<0.001)になり、10年超経過後の癌罹患を比較しても 1.18(1.11 -1.24、P<0.001)と有意差が見られた。 癌罹患率比は、より低年齢で曝露した患者で大きかった(傾向性のP=0.009)。 初回曝露が 1〜4歳、5〜9歳、10〜14歳、15歳以上だったグループの罹患率比は それぞれ、1.35(1.25-1.45)、1.25(1.17-1.34)、1.14(1.06-1.22)、1.24(1.14-1.34)だった。 癌のタイプ別に CT曝露による罹患リスク上昇を分析したところ、消化器、軟部組織、 女性器、尿路、脳、甲状腺、メラノーマといった固形癌と、ホジキンリンパ腫、白血病、 骨髄形成異常、その他のリンパ系腫瘍の罹患率比が 有意に上昇していた。 最も罹患リスク上昇が大きかったのは 脳腫瘍で、脳のCT検査後の脳腫瘍の罹患率比 は 2.44(2.12-2.81)、それ以外の場所を対象とするCT検査後の脳腫瘍の罹患率比は 1.51(1.19-1.91)だった。 また、検査の対象となった部位によって、癌の罹患率比は異なっていた。あらゆる癌の 罹患率比が高かったのは胸部の検査(1.62、1.22-2.14)と腹部/骨盤の検査(1.61、 1.38-1.88)だった。胸部の検査で最もリスクが上昇したのは軟部組織の癌(4.64、1.74- 12.4)で、腹部/骨盤への照射で最もリスクが上昇したのは、白血病と骨髄形成異常 (3.24、2.17-4.84)だった。 あらゆる臓器に対する スキャン 1回当たりの実効線量の平均は 4.5mSvと推定された。 小児に CT検査が行われる理由として最も多いのが頭部の外傷で、CT検査を依頼する
医師の多くは放射線科医ではない。「85〜05年の当時 使用されていた放射線量よりも、
現在のCT検査で必要な線量は低い。しかし、リスクがあることは確かなので、CT検査は、
検査の必要性が明らかな症例に対し、診断に有用な画像を提供できる最低の線量を
用いて行うべきであり、患者やその家族の協力も得て、利益がリスクを確実に上回る
ような活用を目指す必要がある」と著者らは述べている。
また、
イギリスの自然放射線が高い所で 小児白血病が増えているという資料がある。
英国における自然放射線と 1980‐2006年の小児白血病 及び他のがん
の罹患率の関係 ―記録を基にした症例対照研究―
kendall G.M. et al. Leukemia online 6 July 2012
●症例:英国で 1980‐2006年に生まれて 白血病と診断された 27,447例
●対照:マッチさせたがんのない 36,793名(小児腫瘍国家登録)
●線量推定:子供の出生時における母親の居住地より推定
上: Leukemia(白血病) 下: 白血病以外の全がん
縦軸: 相対リスク 横軸: 累積γ線量(m㏜)
赤線 ――:対照群(コントロール)
白血病は 5m㏜になると有意差が出て、これを越えると 線量に応じて
増えている。白血病以外のがんについては 有意差がない。
これまで、英国における小児がんと自然放射線と(ラドン、γ線)が相関を
示さない論文は いくつかあったが、欠陥(統計的解析力が不足)があった。 このように、
疫学調査でも (100m㏜以下で)有意差があるという論文は いくらでもある。 問題
高線量・高線量率による リスクを、低線量・低線量率(<100m㏜、<5m㏜/h)
のリスク推定に適用可能か?
線量率: 単位時間当たりの線量
高線量率: 広島・長崎の被爆者
低線量率: 自然放射線、放射線作業従事者、放射性物質汚染地域の住民
(テチャ川流域住民や福島住民など)
・・・ 例えば、100m㏜を いっぺんに浴びるのが 高線量率、
100m㏜を 1年かけて 毎日少しづつ浴びるのが 低線量率
国際放射線防護委員会(ICRP)は、
同じ線量でも、高線量率の方が リスクが高いので、
広島・長崎の高線量率リスクに 1/2を掛けて 低線量・低線量率のリスク
(線量・線量率効果係数 DDREF:2)としており、
これをもとに、
日本政府は 100m㏜当り 0.5%がん死率が増える と言っている。
しかし、1/2を掛けるというのが妥当かどうかには、いろいろ異論がある。
低線量・低線量率被曝による がんリスク
GLL :慢性リンパ性白血病
ケース 線量当りの過剰相対リスク(ERR) 平均被曝線量
固形がん 白血病
広島・長崎 0.42/Gy 男 3.9 女 4.6/Gy 200m㏜
テチャ川流域住民 0.92/Gy 6.5/Gy(除 GLL) 40m㏜
15か国核施設労働者 0.97/Gy 1.93/Gy(除 GLL) 19.4m㏜
英国自然放射線地域(γ腺) 有意差なし 0.12/mGy(15歳以下)
原発周辺の小児白血病 RR: 1.44(5歳以下) 原発から 5km以内
(英・独・ベルギー) と 15km以遠を比較
小児CT検査 0.023/mGy(23/Gy) 0.036/mGy(36/Gy)
チェルノブイリ事故処理者 1.26/Gy 132m㏜
78% <100m㏜
セミパラチンスク核実験場 1.71/Gy
固形がんをみると、
テチャ川流域住民や核施設労働者は、広島・長崎のERRの倍以上あり、
広島・長崎のERRに 1/2を掛けるというのは 疑問である。
むしろ、低線量率の方が リスクが高い可能性もある。
因みに、線量・線量率効果係数(DDREF)は、
国際放射線防護委員会(ICRP) :2
米国科学アカデミー「電離放射線の生物学的影響に関する委員会」BEIR VII報告:1.5
欧州放射線リスク委員会 (ECRR) : 1
☟
20m㏜被曝で 1万人当りのがん死数
ICRP : 10人 (0.05×20/1000×10000=10)
BEIR Ⅶ : 13人 (0.05×20/1000×10000×2/1.5=13.3)
ECRR : 20人 (0.05×20/1000×10000×2=20)
低レベル放射線の健康影響 - 日本原子力学会 2009年6月
低レベル放射線の健康影響を考える場合、実効線量で100mSv以下の線量では
がんや遺伝性影響といった確率的影響だけが対象となる。低レベル放射線による
がんのリスクを評価する場合は、主に 広島・長崎の原爆被爆者集団の疫学調査の
結果を用いているが、線量 と がん発生の関係は およそ100mSv以上では、ほぼ
直線的に線量とともに リスクが上昇することが明らかである。
しかし、100mSv より低い線量では、直線的にリスクが上昇するかどうかは明らか
でない。また 原爆のように短い時間に高い線量を受ける場合に対して、低い線量を
長時間にわたって受ける場合(低線量率の被ばく)の方が、被ばくした総線量が同じ
でも影響のリスクは低くなるような傾向が、実験動物や培養細胞の実験研究で明らか
になっている。低線量や低線量率で効果が低くなる程度を示す値として線量・線量率
効果係数(DDREF)が用いられる。例えば DDREFが 2である場合は 低線量・低線量率
のリスク係数(単位線量当たりのリスク)が高線量での値の2分の1であることを示す。
国際放射線防護委員会(ICRP)では、低線量の放射線被ばくの リスクを推定する場合、
このような科学的な情報をもとに、放射線による確率的影響は、線量と反応が比例
する しきい値なしの直線モデル(LNTモデル)を放射線防護の目的に採用し、その
最新の主勧告である ICRP 2007年勧告においても LNTモデルの利用の妥当性を説明
している。この勧告では、これまでの広島・長崎の原爆被爆者集団などの調査研究の
結果をもとに、このLNTを用い、DDREFの値を 2として推定したリスク係数を1Sv当り
5.5%(成人のみの集団では4.1%)であるとしている。例えば ICRPの公衆の1年間の
線量限度である 1mSvを 10万人の集団が受けた場合、生涯で 約5人ががんで死亡
すると推定されることを示している。現在の我が国の放射線障害防止に関する法令
の基準は ICRP1990年勧告の基準に準拠しているが、2007年勧告では1990年勧告で
示されたリスク係数と大きな変化はないとし、線量限度など主要な基準値は変更され
なかった。
(つづく)
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2014年03月20日
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(1) のつづき
◆食糧危機:きしむ世界/2 農地がダイヤになる
2008年 6月3日 毎日
約3000平方メートルの立会場に取引人がひしめき合い、「売り」と「買い」の声が
飛び交う シカゴ商品取引所(CBOT)の穀物取引フロア。開設以来160年がたった
市場で異変が起きている。
トウモロコシや大豆などの先物取引に、原油、金など、もうけが出ると見込んだ
商品に投資する 「商品(インデックス)ファンド」の資金が大量に流れ込み、相場を
押し上げた。 CBOT穀物市場の取引高は 7兆円前後だったが、ファンドの運用規模
は その3倍。穀物相場を知り尽くす穀物 メジャーも、金融のプロに太刀打ちできず、
時に大きな損失を被るという。
投機資金は、農地にも向かい始めた。
「兄は 5haの売却に応じましたが、隣接地に 5haの農地を持つ弟はまだです」。
ルーマニアの首都ブカレストから北東約 90キロのココラ村。農地買い上げ会社・
グローバルコム社の出張所では、農地買収の打ち合わせが続いていた。
「 農地は、いずれダイヤモンドに変わる 」と話す フランス人のジャン・ウーベル社長
(47)は、「 もう一押し 」と指示した。
ドナウ川が国土を横切るルーマニアは、欧州連合(EU)で「最も肥沃」な土地だ。農地価格は、1ha当たり2000〜3000ユーロと 西欧の5分の1以下だが、この1年
で 2倍に。 欧州系の農業関連企業だけでなく、中東産油国の王族など転売して
利ざやを狙う投機家が 農地を購入する。ウーベル社長は 「 あと5年で、主要な
土地は外資が買い占めるだろう 」と予測した。
ココラ村の公証役場前で「1haの農地売却に サイン してきた」と話す ブリーカ・コンスタンチン
さん(71)に出会った。 3haの土地で小麦などを栽培してきたが、最近は燃料高
などで経営は苦しく、「 穀物価格が上がっているのに 農地を手放さなければなら
ない 」と、うつむいた。
ココラ村から 南東 60キロにあるカララシ県では、1万5000戸の零細農家が共同
組織を作り競争力強化を図ったが、それでも苦しい状況には変わりがない。
旧国営サイロ会社を買収した米穀物メジャーのカーギル社が独占的に買い上げる
ため 小麦の生産者価格は 1キロ当たり 0・5レウ(約22円)とカーギル社の販売価格
の半値以下にとどまるという。
「 われわれは収奪されている。穀物高騰の恩恵は、すべて持っていかれている 」
と、政府系農業コンサルタント機構カララシ支部のチューダー代表(48)は怒る。
穀物価格高騰は、休耕地を復活させる 新たなビジネスも生んだ。
世界有数の穀倉地帯 ウクライナ。西部リビウの北 20キロにある英国資本「ランド
コム」の農場は、黄色い菜種の花が地平線まで広がっていた。
最新鋭のトラクターが畑を耕し、肥料を積んだトラックが農道を行き交う。
リチャード・スピンクス社長(41)は 「農地を借り上げ、大規模化している」と話す。
これまで 6万7000haを取得、35万haまで拡大を目指す。
社会主義体制崩壊で、旧ソ連圏の農業の主体は 公営農場から零細農家に
変わった。だが、資金不足で 大型機械を導入できないため生産性が低い。
国連食糧農業機関(FAO)によると、ウクライナは 年1億トンの小麦生産能力が
あるが、現状は 約3500万トン。潜在性の高さに目をつけた資本が、いま、大量に
流れ込んでいる。
小麦が倉庫に入りきらずに簡易倉庫で発芽してしまっているウクライナの小麦
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