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(15) のつづき
事故から20年を迎える 2005年のチェルノブイリフォーラムを
原子力推進を立場する人が報告しているものが ここにある。
読んでいて 頭がクラクラしてくるが、
フクシマ後の今、日本の中央・地方行政や専門家らの考え方や言動の背景を
知るために、下に 全文引用する。
〜事故による放射線影響をめぐって〜
公益財団法人放射線影響協会 金子正人
チェルノブイリ事故による死者は,数万とも数十万とも報道されたが,2005年9月に
ウィーンで開催された国際会議では,「事故の放射線による死亡は4,000」と発表された。
事故20周年にあたる2006年4月には世界保健機関(WHO)が,9,000というがん死亡
予測数を発表するなど,事故の影響については議論が絶えない。
国連8機関とベラルーシ,ロシア連邦,ウクライナ3ヵ国で構成する「チェルノブイリ・フォーラム」
の調査報告は,100人以上の国際的専門家がまとめたもので,科学的であり妥当なもの
と考えられるが,事故影響が過小評価されているとの批判がある。
しかしながら,事故の影響とされる健康障害の原因は 放射線そのものではないことが
明らかになりつつある。
はじめに
1986年4月26日に発生した チェルノブイリ原子力発電所4号炉の事故の社会・経済的な
影響を扱った報告書『チェルノブイリ事故の人的影響―復興のための戦略』は,2002年
に刊行されていたが,現状の評価と今後の対応について 広く共有できる結論に達する
必要性があるとの認識のもとに,国連8機関(IAEA,FAO,UNDP,UNEP,UN-OCHA,
UNSCEAR,WHO,世界銀行) 並びに ベラルーシ,ロシア連邦,ウクライナ政府は,2003年
にチェルノブイリ・フォーラムを設置した。
「フォーラム」の2つの専門家グループ ( IAEA の“環境”と,WHO の“健康” ) が取りまとめた
調査結果と勧告を各国政府,科学界および一般公衆に伝えるために,IAEA が代表して
国際会議 「チェルノブイリ:前進のために過去を振り返る」 を 2005年9月6〜7日,
ウィーンのオーストリア・センターで開催した。
また,事故20周年にあたる2006年4月には,ベラルーシ,ウクライナそれぞれの政府が
国際会議を開催した。
筆者は,ウィーンの会議ならびに首都キエフで開催されたウクライナ政府主催の会議と
NGO主催の会議に参加し,ホットな議論に接する機会を得たので,放射線影響をめぐる
現在の状況について紹介する。
2005年9 月のウィーン会議での影響評価
1.環境への影響 事故後,数年間にわたって放射線の影響を受けた立入り禁止区域内は,農業や工業
といったヒトの活動がなくなった結果,多くの動植物の集団は拡大し,現在の環境条件は
生物に良い影響を与え,生物の多様性に関して 類のない聖域となっていると報告された。
2.がんへの影響
甲状腺がんが,事故当時18歳未満であった者に約4,000例発生し,9人が甲状腺がん
により死亡,99%は生存している。成人での被曝については増加が明らかでなく,経過観察
が必要とされた。
その他のがん,白血病については,事故処理作業者で線量の多い(100mSv を超える)
グループで2倍に増加したとの報告が,線量評価が不確かとされた。一般住民に白血病が
増加したとの報告は,汚染レベルとの関連がなく,乳がんがベラルーシ,ウクライナで増加
したとの報告は,放射線との関連等が不確かとされた。
また,原爆被爆者のデータを基に(線量率などの違いを考慮せずに),被曝の多かった
除染作業者,避難した人々,汚染地区の居住者など約60万人の中から これまでの死亡者
を含めて約4,000人が放射線被曝が原因で死亡するとの予測が示された。
なお,比較的汚染が少なく年間の実効線量が1mSvに満たない地域の住民を含めた
500万人以上を対象にすると,がん,白血病による死亡の増加は約9,000人となるとされた。
約4,000人の死亡の内訳は 以下のとおり。
1.緊急作業に従事し,急性放射線症と診断された134名のうち1986年に死亡した
28名とその後,別の原因で死亡した19名の合計:約50名
2.甲状腺がんで死亡した子供:9名 3.20万人の事故処理作業(1986〜87年)に従事した者 11万6,000人の避難者 および27万人の高度汚染地域住民の中から放射線被曝によるがんで死亡すると
予想される者:3,940名
なお,2006年4月の報告書(ダイジェスト版)改訂2版では,甲状腺がんで死亡した子供
の数を15名に修正,被曝の多かった1986〜87年に従事した事故処理作業者,避難者,
高度汚染地域住民を加えた約60万人の中から放射線による がん死亡の増加は 数%
(他の原因での致死がん約10万に加わること約4,000名)と予測している。
また,その他の“汚染”地域に住む500万人の線量はずっと低く,がん死亡率の増加は
1%未満であろうとしている。
3.がん以外の健康影響
がん以外の疾患については,白内障,心血管疾患に被曝との関連が示唆され,今後の
追跡が必要としている。緊急・復旧作業に従事した者のデータは 従来考えられていた
線量レベルより低い約250mSv で 白内障が発生する可能性があることを示したという。
胎児の奇形,乳児死亡率に関しては,放射線との関連を裏付けるものはないとしている。
ベラルーシの汚染地域で先天性奇形の増加が報告されているが,汚染の少ない地域の方
が増加が大きく(第1 図),放射線に関連するものとは見られず,単に 登録の増加と考え
られるとしている。
4月16日に放映されたNHK スペシャル「汚された大地で:チェルノブイリ20年後の真実」
では,第1図はチラッと見せただけで,汚染の低い地域の方が 先天異常の頻度が高い
という事実には 一切触れず,別に描いた汚染の大きい地域だけのグラフを使って,先天的
な病気を持った子どもの数が事故後2倍に増えたのは放射線による遺伝的な影響であるか
のように説明された。
心理的,精神的影響が重大な問題であり,住民の不安,不健康なライフスタイルな
どさまざまな要因がからんでいるという。第1表の人口動態統計は,ベラルーシ,ロシア,
ウクライナと地理的,歴史的状況が近いポーランドとを 2000年の時点で比較したもの
である。
1991年のソ連邦崩壊後,チェルノブイリ事故とは関係のない多くの理由のため,3ヵ国
の死亡率が増加し,平均寿命が短縮しているが,特に,男性の寿命短縮が著しい。
この3ヵ国における急激な死亡率の増加は,チェルノブイリ事故による放射線被曝の死亡率
への寄与の評価を著しく困難にしている。
4.パネル討論とフロアからの意見
M. Repacholi( WHO)は,急性放射線障害を受けた者の毎年の検診は必要だが,
1Gy未満の者の医学的フォローについては再考し,一般を対象としたヘルスケアの改善を
図るべき,また,小児期に被曝した者の甲状腺がん検診の間隔も cost-effective に決める
べきと強調された。
フロアからは,4,000人が死ぬというのはLNT(しきい値なし直線)仮説に基づくフィクション
であって科学的には無意味であるとか,死亡数にはプラス,マイナスの幅を表記すべき,
といった意見が出された。
被害者救済の法律が “dependency culture”(依存文化)を生み,努力をしなくなったので,
これからの復興のためには,自助努力や汚染区域の範囲を狭める等の政策転換が必要と
いう。
子供たちに外国で休養をとらせることについては,「放射線の影響がゼロなのに,かえって
子供たちに悪い影響を与えている」 という意見も出された。
5.日本と欧米のマスコミ報道の違い
9月5日のプレス発表の内容を伝える日本の新聞各紙は,「チェルノブイリ被曝死4,000人」
といった見出しで,死者の数のみを強調し,事故の影響が予想されたほどでなかったことに
力点を置く欧米の報道とは対照的であった。
9月8日付け New York Times 紙の社説は,次のように伝えている。「チェルノブイリ事故は,
健康被害も環境被害も 当初 恐れられていたより はるかに少なく,重大事故ではあったが,
catastropheではなかった。公衆の最大の健康被害は,極めて誇張されたリスク観念に
基づく精神的な被害であり,不安にかられ,宿命論者になり,薬物・アルコール依存,失業,
無気力をもたらした。この知見は,テロ攻撃によるにせよ,事故によるものにせよ,原発から
の放射線(能)の大量放出に対処する際の手がかりを提供している 」と。
ウクライナ政府主催の国際会議での議論国際会議「チェルノブイリ事故20年,将来展望」
は,2006年4月24日から26日まで,キエフ市の国立オペラ劇場およびウクライナ・ハウス
で開催された。目的は,「 チェルノブイリ事故から得た経験を より一層活用し,将来起こるかも
しれない このような規模のどんな事故にも,世界がより良く準備できるようにすること 」
であったが, 「フォーラム」の報告書の妥当性をめぐる議論の場でもあった。
国立オペラ劇場で行われた開会式では,ユーシェンコ大統領の演説の後に,WHO の
S. WeberMosdorf は,事故による過剰がん死亡の予測数を不確実さはあるものの9,000と
述べた。
チェルノブイリの子供たちの支援組織代表は,汚染地域での出生異常等,様々な障害が
観察されているとして,高水準のケアが必要と訴えた。
IAEAのM. Balonov が 「フォーラム」の最終報告の概要を紹介した。事故処理作業者の人数
は,第2表に示すように,被曝の比較的少ない1988〜89年に従事した者を加え,60万人
とした。
第4分科会(T4:放射線事故の医学的,生物学的影響)でのV. Bebeshko(ウクライナ)の
発表「 急性放射線症(ARS)生存者の長期健康影響 」は 大変貴重な報告であった。
チェルノブイリ事故当初,ARS とされた237名のうち,最終的に ARS と診断されたのは134名
で,103名はARS ではなかった。ウクライナに住む94名のARS と99名の非ARS の健康
状態を継続して調査したところ,20年を経過した現在では 両者に差がなくなり,様々な疾病
をかかえている。慢性的な心理的ストレス,栄養不良,不安定な社会的,経済的な状況と
いったマイナスの要因の影響が大きいことが示された。
ラウンドテーブル・ディスカッションは,チェルノブイリ・フォーラムの報告書の内容の妥当性
を説明する国際機関代表と,事故影響が過小評価されていると激しく抗議するD. Grodzinsky
(ウクライナ放射線防護委員会委員長),A. Yablokov(政党「グリーンロシア」議長)らの対立
に終始した観があったが,2人の大演説の都度,会場からは拍手が起こった。
財政難で研究を外国からの支援に頼らざるを得ない科学者が,「事故影響の過小評価反対
!」に賛同するのは当然かもしれない。
WHO のM. Repacholi は,健康影響に関する報告は,peer review されたpaper のみを
考慮したという。また,「フォーラム」が被曝線量の多かった約60万人についての4,000人
という がん死亡予測数を採用したのは,インド,イラン,ブラジルなどの自然放射線レベル
の高い地域で 過剰ながんが観察されていないので,自然放射線にわずか上乗せされる程度
の被曝しかない低汚染地域の人たちについてまで,過剰がん死亡を予測するのは科学的
ではないためと説明された。
最終日の4月26日,前日の分科会の総括と討論の後,チェルノブイリの犠牲者に1分間の
黙祷をささげて3日間の会議を閉会した。 会場のウクライナ・ハウスの前では,先の総選挙で
1議席も取れなかった「緑の党」が静かに存在をアピールしていた。
NGO 主催の国際会議での議論
欧米の8つの反核NGO が共同主催する国際会議「Chornobyl+20 : Remembrance for
the Future」(4月23〜25日)が,キエフ市のHouse of Teachers で開催された。会議前日の
チェルノブイリ発電所サイトへのツアーが魅力で,東アジアから筆者一人参加した。会議の
目的は,チェルノブイリ事故の健康影響の再評価,原子力発電の安全性,経済性,核拡散
等の諸問題およびエネルギー供給の将来展望について議論することであった。
4月24日午前のパネル討論「チェルノブイリの健康影響」では,A. Yablokov(政党「グリーン
・ロシア」議長)を座長に,I. Fairlie(英国規制当局の元スタッフ)が,The Other Report on
Chernoby(l TORCH)の内容紹介を行った。
「フォーラム」の報告書の不備を指摘するレポートであるが,131Ⅰ や137Cs の半分以上が
3ヵ国以外に沈着したにもかかわらず,3ヵ国のがん死亡のみを評価し発表するのは政治的
だという。過剰がん死亡は,評価された被曝線量が同じでも線量から,がん死亡のリスクを
求める際に使用するリスク係数に依存するとし,約30,000から60,000(前者は,線量
および線量率による効果の違いを補正する目的で ICRP が採用している線量・線量率効果
係数2を考慮し,広島・長崎の原爆被爆生存者の線量当りのがん死亡リスクを1/2にしている)
という予測数を示した。
甲状腺がんの発生については 18,000から66,000と予測した。また,4月に発表され
た国際がん研究機関(IARC)のE. Cardis らの欧州全体でのがん死亡予測値6,700〜
38,000(16,000),グリーンピース発表の全世界で 93,000というがん死亡予測に
ついても紹介された。
次の演者の D. Grodzinsky(ウクライナ放射線防護委員会委員長)は,植物の形態異常の
写真を大量に示して,低線量放射線の影響を警告しているシグナルだと力説した。
甲状腺がん多発についての疑問
「フォーラム」の報告書では,甲状腺がん以外のがんの増加については,放射線以外の
要因として登録,報告,診断方法が改善され,従来,見逃されていたものが集計されるように
なったことを挙げているが,甲状腺がんについてはどうであろうか。
甲状腺がんのスクリーニングは,事故後早い時期から行われた。超音波検査と甲状腺に
針を刺し,組織の一部を吸引して細胞を調べる穿刺吸引細胞診による検査で無症候性の
小さながんを見つけている。組織型は ほとんどが乳頭がんである。甲状腺がんの診断精度
については,英国,日本などの国際的な専門家により,かなり信頼のおけるものとされている。
しかしながら,子どもの甲状腺がんは まれで,事故以前は 100万人に1人と言われていた
が,国連科学委員会(UNSCEAR)のポーランド代表 Z. Jaworowskiは,子どもの甲状腺がん
は決してまれではないという(私信,2006年6月)。
スクリーニングが行われる以前が まれだったのは,それらが “オカルト(occult)”で,通常,
年をとって死ぬまで臨床的に悪い症状を示さないからである。
フィンランドの 0歳から15歳の子供についての死後のスクリーニングでは,2.4%(Harach
他)もあった。 これに対して,毎年 “汚染”地域の子供の90%以上が受診した集団検診
での“チェルノブイリ甲状腺がん”の最大罹患率0.027%(1994年のロシアBriansk 州)は,
フィンランドの通常の“オカルト”甲状腺がん罹患率の1/90にすぎないという。
公表されている約5,000という子供の甲状腺がん(手術例)に対して,甲状腺がんによる
死亡が15例というのは 余りにも少ないという指摘がある。リンパ節転移や肺などへの遠隔
転移もあると報告されているが,放置できたかもしれないのに予防原則?のために甲状腺
を全摘出され,一生 ホルモン剤のお世話にならなければならなくなったとしたら 気の毒な話
ではすまないかもしれない。
Positive Radiation:チェルノブイリ発電所元所長からのメッセージ
NGO の国際会議で購入したデンマークの写真家 Mads Eskesen の“Chernobyl Twenty
YearsTwenty Lives”(Information Forlag, Denmark, 2006)は,チェルノブイリ事故で人生が
大きく変わった20人との最近のインタヴュー記録である。事故当時,チェルノブイリ発電所
の幹部であったSergey Parashin は,モスクワ近郊のオブニンスク研究所で高速炉の安全性
を研究した原子力技術者である。 事故後,発電所長となり 所員の待遇改善等に努めたが
「放射能についてネガティブな情報を人々に与えないなら,事故の影響を軽減させることが
できる。惨事の前に発電所で働き始めた者は,事故後に来た者のように頻繁に病気になる
ようなことはないのは事実だ。放射能による影響はあっても,影響の大部分は心理的なもの
だ。」という。 事故後,少なからぬ発電所員がロシアなどに行ってしまい,代わりに5倍の
給料が目当てでやって来た者は 放射線をこわがって病気になってしまう。物事をpositive に
考えることが大切。 発電所長をやめて銀行に勤めるようになって免疫が弱ってきた。
1日1gのアルコールは健康に影響はない,1日10gなら危険というより有用,1日100gは
害の方が大きい,1日1,000gでは死ねる。 低レベルでも放射線を人々がこわがるのは,
目に見えないし,お酒を飲んだときのように気持ち良くならないからであろう。チェルノブイリ
の犠牲のおかげで,西側の原発は,(お金をかけすぎたが)安全性を向上させた。西側は
ウクライナに感謝してほしい。
おわりに
チェルノブイリ事故の放射線による直接的な影響は,時間的にも空間的にも限られたもの
である。低レベル放射線による長期的な影響は,たとえあるとしても 識別困難な程度のもの
であろう。深刻な精神的,心理的な健康障害をもたらしているものは,微量放射線に対する
恐れと,事故後の社会的,経済的な要因と思われる。
事故20周年に当る4月26日の夕方,2年前のオレンジ革命の際,大統領選挙のやり直し,
民主化を求めるオレンジ色の布で埋め尽くされた「ネザレージュノスティ(独立)広場」に行ってみた。
にぎやかさは 前日と変わりなく,違いは 「4月26日はチェルノブイリ悲劇の犠牲者を追悼する日」
という横断幕が道路の上に掲げられていただけであった。(第3 図)
エネルギー資源に乏しいウクライナでは,緑の党などの反対にもかかわらず,ロシア製
加圧水型原子炉が 2006年にも1基,新たに営業運転を開始し,合計15基の原子炉で
電力の半分をまかなっている。ソ連の体制のもとで培われた依存体質からの脱却と,自主
努力に対する国際的な支援が求められている。
以上
(つづく)
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2015年02月01日
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武田氏は 「憲法に立ち返ろう」と言われている。
しかし、その発言の奥には、
戦後の国家体制としての日本国家ではなく、
長い歴史をもつ日本国の精神に訴えかけておられることに注意したい。
つまり、「戦後憲法」以前に、
我々日本人がもっている「道理の感覚」の喚起を訴えられていると、
私は受け取らせて頂く。
合掌
武田邦彦氏 (中部大学)
http://takedanet.com/2015-02-01%287%EF%BC%9A57%29.mp
イスラム国に囚われた二人の日本人に悲劇が訪れたとの報道がある。
まだ事実ははっきりしないが、ここで、論評を加えておきたい。
結論からいうと、「日本は日本国憲法の思想に戻り、世界に憲法の思想
と私たち日本人の信念を訴えるチャンス」と言える。
「悲劇の連鎖=小さな悲劇がだんだん、大きくなり、恨みも増え、
さらに大量の悲劇を生む」を断ち切り、悲劇の根元を根絶することこそ、
今回の悲劇の犠牲者に対する私たちの責務である。
憲法は前文で「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を
地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある
地位を占めたいと思ふ。」と述べ、本文で「日本国民は、正義と秩序を
基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と 武力による
威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久に
これを放棄する。」とある。
この全文と本文をそのまま素直に読んで、その通りの行動をすることが
求められていると思う。つまり、
第一に「戦争や武力による威嚇は永久に放棄する」ということであり、
それを「国際社会に訴えて名誉ある地位を占める」ということだ。
イラクとシリアの混乱は、フランスが 1920年に武力でシリアを植民地
にしたのに始まり、それから継続して欧米の武力の下でイラクとシリア
は「隷従と圧迫」を強いられてきた⋆。
そして 近年のイラク戦争では、アメリカが国連決議にも反し、ウソの
開戦理由(大量破壊兵器の存在)を構えて戦争を行い、残念ながら日本
も自衛隊を派遣した。
さらに 昨年にはアメリカ空軍がほぼ地球の裏側までいって、イスラム国
を空爆し6000人を殺害した。もちろん イラク戦争でも昨年の爆撃でも
多数の民間人が犠牲になっている。
このような「恨みの連鎖」こそが戦争拡大、生命喪失に繋がるからこそ、
武力による威嚇と行使を放棄したのである。この精神は、他国が武力を
使っているとき、双方に非協力的な態度をとるということであり、それを
世界に向かって高らかに宣言するのに絶好の機会である。
欧米の思想は「自らが『正義』を決め、その正義と反するものは武力で
成敗する」ということだが、まさにその思想によって 私たちの父母は
戦地や国土で命を落としたのである。戦争当時、日本人もまた「自ら
正しいと思えば武力に訴えても良い」と考えた。もちろん軍部だけでは
なく、それは 現在でも続いていて、時として「イスラムは悪いから武力
で罰しても良い。アメリカに協力する。」という考えが日本の大勢だと
思う。
しかし、それでは 永久に平和は来ないし、今回のような犠牲をなくす
こともできない。それこそが憲法の精神である。憲法に立ち返ろう!
(平成27年2月1日)
報復感情を平気で口にする者を 首相に戴いていることに
我々日本人は危機感をもつ必要がある。
これは テロよりも、日本の運命にとって危険なことである。
合掌
平成27年2月1日
1.湯川遥菜さんに続いて、後藤健二さんが殺害されたと見られる動画が
公開されました。
御親族の御心痛を思えば、言葉もありません。政府として、全力を挙げて
対応してまいりました。誠に無念、痛恨の極みであります。
2.非道、卑劣極まりないテロ行為に、強い怒りを覚えます。許しがたい暴挙を、
断固、非難します。
テロリストたちを絶対に許さない。その罪を償わせるために、国際社会と連携
してまいります。
3.日本が、テロに屈することは、決してありません。
中東への食糧、医療などの人道支援を、更に拡充してまいります。
テロと闘う国際社会において、日本としての責任を、毅然として、果たして
まいります。
4.このテロ行為に対して、強い連帯を示し、解放に向けて協力してくれた、
世界の指導者、日本の友人たちに、心から感謝の意を表します。
5.今後とも、国内外における国民の安全に万全を期してまいります。 |
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