|
2013年9月
2013年8月18日
――― ビットコイン、MUFGコイン
クローズアップ現代 異例のマイナス金利 〜経済・ 暮らしはどうなる〜
2016年7月30日
【ゲスト】 藤井聡 〔京都大学大学院教授〕 青木泰樹〔東海大学非常勤講師・京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授〕
|
世界の企業
[ リスト | 詳細 ]
|
繰り返す過去−住友原子力工業の放射化金属流出事件
2002年 藤野聡
JCO臨界事故については、科学技術庁(当時)が粗雑な安全審査に関与したり(伊東論文参照)、JCO に対して充分な巡視を行なわなかったりで、事故の原因
を作ったことが知られている。
JCOに対する保安規定遵守状況調査は 1992年11月26日を最後として それ以降
行なわれていなかったし、運転管理専門官による 3回の転換試験棟巡視も、
転換試験棟の非操業中に行なわれたものであり (『ウラン加工工場臨界事故調査
委員会報告』III-14)、科学技術庁は 自ら素地を作った JCOのいわゆる「違法操業」
の実態を見逃していた。
また、いわゆる 「裏マニュアル」として知られるようになったJCO の作業手順書 「常陽、溶液製造(混合・ボトル詰)出荷手順」を見ると、製品の「発送前検査」に
ついて「 検査は ATS,PNC,STA,日立物流が実施する 」 (『ウラン加工工場臨界
事故調査委員会報告』参考資料72) と記されている。 STAは 科学技術庁である。
科学技術庁(及び動燃= PNC)は JCO の「常陽」用ウラン製品の発送前検査を
実施していたのであるから、JCOの操業実態について知りうる立場にあり、その点
からも 事業者の責任を他人事のように批判する資格はない。
JCOは 周知のとおり住友金属鉱山の子会社であるが、調べてみたところ、
科学技術庁は 以前にも 住友グループとの間で見逃し事件を起こしていたことが
分かった。しかも その場所は 東海村石神外宿2600番地、つまり 現在 JCOのある
敷地においてであった。
「 1971年2月、住友原子力工業の臨界実験装置の解体処分が行なわれた際、 炉内構造物の一部が 『放射性でない』として売却されたりといったことが、当時の
科学技術庁の係官立ち会いのもとに行なわれていました 」( 原子力資料情報室
『西尾漠が語る放射性廃棄物のすべて』p.32 )
「 科学技術庁の係官立ち会いのもとに 」放射性の部品が そのまま民間に流出 していたというのである。関係者に被曝を与えた可能性もある。当時の新聞記事
(図1=次頁)のひとつを示す (著者の西尾氏の提供による)。
原子炉解体に" 盲点" −放射能帯びた部品放置−日立の倉庫
(東京新聞夕刊 1976/6/11)
【水戸】 茨城県東海村の住友原子力工業東海研究所(当時)が五年前に 解体処分した臨界実験装置(熱出力百ワットのミニ原子炉)のスクラップの
ステンレス棒が、自然界の約十倍の放射能を帯びたまま 払い下げ先の鉄工会社
倉庫に放置されているのが 十日 明らかとなった。
これは 同日の衆院科学技術振興対策特別委員会で瀬崎博義氏(共産)の 追及により 明らかとなったが、当時の払い下げには 科学技術庁の検査官も
立ち会っていたのに 放射能汚染を見逃していた杜撰さが改めて問題となって
いる。 また この問題は、現行の原子炉規制法(第三八条)では、今後増える
とみられる原子炉施設の解体が 単に 監督官庁への届け出だけで実施できる
という" 盲点" をも さらけ出しており、今後さらに論議を呼ぶものとみられる。
科学技術庁水戸原子力事務所によると、この ステンレス棒は、長さ 2メートル、
直径 5センチのもの 四本で、五月末ラジウム汚染騒ぎのあった日立市久慈町
の有限会社 立山精機製作所構内で 5月31日、除染作業中に見つかった。
日本原子力研究所東海研で調査をしたところ、この放射能はコバルト60 で、 表面線量率が最高一時間当たり 0.2 ミリレントゲンだった。 ステンレス棒の表面
から30センチ離れれば、自然放射能と変わらない程度で、人体への被ばくの
影響は全くないという。
1レントゲン= 8.77 mGy=8.77m㏜
0.2ミリレントゲン/h = 1.8μ㏜/h 0.4ミリレントゲン/h = 3.5μ㏜/h
住友原子力工業では「 規則通り解体作業をした。放射能を帯びたスクラップは、 日本放射性同位元素協会や原研で処分した。放射能のないものを 一般業者
に売却したが、微量でも放射能を含んだものを流したことは、放射能測定に
ミスがあったと考えられる 」という。 コバルト60 は 5.5年で半減する物質で
問題のステンレス棒の同60 は 解体当時、現在の約2倍の放射能があった
勘定となる。
この放射性スクラップ流出事件の舞台となった「住友原子力工業東海研究所」
こそ、JCO そのものではないが、現在 JCOが立地している敷地に 以前立地して
いた、同じ住友金属鉱山の子会社であった。経緯は 以下の通りである。
住友原子力工業は 住友原子力グループの中核企業として、住友金属、住友金属
鉱山などの出資で作られた。同社は 1959年11月に 東海村石神外宿に敷地決定
した。 この東海研究所に 臨界実験装置が設けられたのは、それから間もなくの
ことである。 住友原子力工業東海研究所廃止に伴い 臨界装置は解体された
(この時に流出事件が起きた)。
次いで 同じ敷地に 住友金属鉱山(株)東海核燃料工場が完成したのは 1973年
3月である。 住友金属鉱山(株)東海核燃料工場が 住友金属鉱山から分離されて
日本核燃料コンバージョンとなり、改名して ジェー・シー・オー(JCO)となったのである
(以上、東海村議・相沢一正氏の教示による)。
ちなみに 東海研究所は 廃止されたものの、住友原子力工業自体は 現在 東京 都墨田区両国に存在する。
住友金属鉱山と科技庁、しかも 「臨界」実験装置だった、とまでは 附会しないが、
場所は同じ、親会社は 住友金属鉱山、科技庁検査官の見逃し、法の不備……
臨界事故は 歴史の繰り返しであるかのようである。
石神外宿の敷地には いくつかの住友グループの企業が 立地してきたが、
住友原子力工業の放射性スクラップ流出(1971)、日本核燃料コンバージョンの
フッ素漏洩 (1981 年5月、日本核燃料コンバージョン東海核燃料工場の廃ガス洗浄
装置が故障して フッ素ガスが複数回にわたって放出され、周辺の植物が枯れる
などの被害が出た事故。茨城新聞2000年3月20日参照) などの事故の果てに
JCO 臨界事故(1999)が起きたのであった。
臨界実験装置の設置変更許可申請書を見ると、臨界実験装置があった場所は
現在のJCO第一加工棟の付近で、のちに臨界事故の舞台となった転換試験棟が
建てられる場所とも近い(図2)。
この事件が知られるようになったのは、実際に流出が起きてから 5年も後の
1976年 6月10日、衆議院・科学技術振興対策特別委員会での瀬崎博義議員
(日本共産党)の質問によってである。本稿の最後に議事録を添付する(参考1・2)。議事録の「佐々木」は 当時の佐々木義武・科学技術庁長官、「伊原」は 当時の
伊原義徳・科学技術庁原子力安全局長(後の原子力委員会委員長代理)と思われる。
この議事録などにもとづいて 再び 経緯を整理すると、
住友原子力工業東海研究所の臨界実験装置は 1959年 4月に設置許可を得た。
64年 6月に着工、66年 9月に臨界に達したあと 研究が行なわれた。その後 70年
12月に解体届が出された。 実際に 解体作業が開始されたのは 71年 1月から
であった。
解体に際して 科学技術庁の立ち入り検査が行なわれたのは 71年1月29日〜 30日(科学技術庁職員2人による)、および 3月22日(同1人)であった。
問題の金属部品というのは 臨界実験装置の炉心の支持枠(ステンレス)であり、
長さ2メートル、直径5センチと比較的大きなものであった。6本あり、中性子照射に
より放射化していたのである。うち 4本が 解体5年後になって 日立市の立山精機
で発見されたのであった。
残りは 2本ということになるが、うち 1本は 日本冶金という会社で すでに溶解 されていた。 溶解後の行先は 不明であるが 一般用の金属材料となったことは
想像に難くない。 また 1本は 立山精機が加工して すでに 第三者(「目下調査中」
とされるのみで明らかになっていない) に製品として納入されていたのである。
コバルト60 は ステンレス中に含まれるコバルト59 が中性子照射によって放射化し、
生成したものと考えられる。しかし 住友原子力工業の原子炉解体届には「 放射化
されていない 」と書かれていた。
衆議院・科学技術振興対策特別委員会(1976年 6月10日)の議事録には 以下
のようにある。
○瀬崎委員 そうしますと、届けそのものの「放射化されていない」という住友の
言い分について 科技庁は 結局 チェックをようしなかった、見逃した、こういう
ことなんですね。
○伊原説明員 結果的には そのとおりでございます。 住友原子力工業は特別委員会に先立つ議員の調査に対して、「 科学技術庁が
立ち会って、バックグラウンド以下、このように太鼓判を押してくれたから 私たち
は安心して処分しているのだ 」と答えた模様である。
科学技術庁は 1月の立会い検査においては アルファ線サーベイメーターによって 表面汚染を検査した。 コバルト60 は ガンマ線源であり、アルファ線サーベイメーターで
は検出できない。また 3月の立会い検査では GM サーベイメーターで検査したが、
これは 抜き取り検査であり、6本のうち 1本しか検査しなかった模様である。
いずれにおいても ステンレス支持枠の放射化が気づかれることはなく、支持枠は
他の大部分の部品と同様、管理を要さない一般廃棄物として流出したのであった。
「離れれば大丈夫」と報道されているが、毎時0.4 ミリレントゲン(流出当時)の
放射化物を立山精機などの関係者が 手で触るなどしなかった保証はない。
ちなみに 当時は 日本最初の商用原発として東海原発が 1966年に運転開始
してから まもない頃であった。 この東海原発が 1998年に廃炉となったように、
今では 大量の原発解体廃棄物の発生が現実のものとなっている。
原子力安全委員会など当局は 放射化物を含む解体廃棄物の大部分を一般廃棄
物と同様に扱うことをめざし、「クリアランス」と称して その法制化を進めようとしている。
住友原子力工業で 1971年に起きた この事件は、放射化物が検査をすり抜けて 実際に流出した実例であり、検査の有効性自体に疑問を投げかけている。
佐々木科技庁長官(当時)は 質問に対して 次のように 「 これだけで問題が
済むわけではない 」と答弁している。
「 私も 実は大変心配しておりますのは、将来、原子力発電所等が耐用命数が
済んで廃棄処分に処す場合、これは 大変危険なものがいっぱい入っている
わけで、こういうものに対して 一体どうするんだという問題は、まだはっきりした
ことはないわけでございますから、いま お指摘のような問題が、まだ軽微な段階
でございますけれども、これだけで問題が済むわけではないのでありまして、
将来のことを考えますと、そういう廃棄処分に処す場合の心がけと申しますか、
あるいは 法規の整備等は しっかりやらなければいかぬと 実は心配しておる
ところでございます 」(衆議院・科学技術振興対策特別委員会 1976年 6月10 日)。
この支持枠が発見された経緯自体、まず立山精機で「ラジウム汚染騒ぎ」が
あり、その余波で支持枠が見つかっている(上記記事)。
この「ラジウム汚染」も、放射線源 ないし汚染スクラップが同社に流入していた 可能性が高い。 そして 佐々木長官の「心配」は 今後、ますます現実味を帯びる
といえよう。
JCO 臨界事故との関連でも、後に臨界事故の現場となる場所で 科学技術庁
職員が見逃し事件を起こしていたことは、原子力事業者と管轄官庁との関係を
考える上で軽視できない事件である。
JCO と科学技術庁、原子力安全委員会との間になれ合いの関係が築かれて
いたことの いわば前奏曲、ないし 同じ構造が露呈したものと考えられるからで
ある。
以上
我々の問題は、
このような,行政官が言うところの「国」に ガマンして
このまま存続させ、自らの運命を預けるか、
それとも、
彼らを その居る場所から排除して、
「国のかたち」を 根本から変える道を模索するか
という選択をするところにある。
合掌
|
|
2014年 01月 8日 JST
[仙台 8日 ロイター] 冬場の最低気温が氷点下にもなる未明の仙台駅。凍てつく
寒さをこらえながら、段ボールにしがみつくようにして眠る路上生活者たちを、ほぼ
毎日のように訪れていた人物がいる。 元 プロレスの興行師だったという この男性は生活困窮者を支援するケースワーカーではない。
放射能汚染が続く福島での除染作業などに ホームレスを送り込む手配師の一人だ。
「 俺のような手配師は 誰でもここに来て、作業ができそうな奴を探してきたんだ 」。
がっしりした肩を揺すり、寝込んでいる ホームレスの間を歩きながら、佐々誠治(67)
は ロイター記者に そう話した。除染やがれき処理などに作業員を送り込む手数料
として、佐々が受け取っていた謝礼は 作業員1人当り およそ1万円。始発電車も
まだ動いていない夜明けの仙台駅は、実は そうした「ホームレス調達」の拠点と化していた。
にも及ぶ。彼らが帰還するには、徹底した除染や復興推進が絶対条件だ。しかし、
ロイターによる政府資料の分析や多数の関係者への取材で明らかになったのは、
国から膨大な事業費が流れこむ除染や復興事業の一部が、作業員不足につけ込ん
だ不法行為の温床となり、暴力団関係者の資金源にもなっているという実態だった。
<暴力団関係者への依存>
ホームレス作業員の手配師として佐々が関与していた事業は、福島市の道路除染
を行うために発注された約1億4000万円の契約の一部だった、と佐々を職業安定
法違反容疑で逮捕した捜査当局者は話す。その主契約企業は大手ゼネコンの大林組。 佐々が仙台駅で調達したホームレスたちは大林組の下請けに連なっている業者4社
を経由して、福島での除染作業などに投入された。
「 自分は人を送ればいいだけ 」と、佐々は ロイターの取材に語った。「 送って、お金
と交換すればいい。その奥までは入れない。こっちは関係ないから 」。
だが、佐々が旨味を感じた手配師ビジネスが、ホームレスたちに過酷な結末をもたらす
ことも少なくなかった。佐々に送り込まれた作業員が受け取る賃金は、大林組の
下請けが 賃金予定額として支払う金額の3分の1程度しかない。
捜査当局などによると、残りの2/3は仲介する業者の懐に入る。食事と寝泊りする
場所の費用を差し引けば、作業員の手元に残る賃金は 時給600円程度。福島県
の最低賃金(675円)を下回る額だ。
作業員の中には、食費と宿舎費用を差し引かれて持ち金が底をつき、借金する羽目
になる例もあるという。
ある時、佐々は仙台駅で路上生活者を物色中、覆面捜査官に写真を撮られ、昨年
11月に宮城県警に逮捕されたが、その後、起訴猶予処分となった。彼の背後には
暴力団関係者も加わる 「ホームレス取引」 の ネットワークが存在しており、佐々の逮捕に
先立つ10月、違法行為に関与した他の業者が 労働者派遣法違反容疑などで一斉
に検挙されている。
その一人が、稲川会系暴力団元幹部で人材派遣業を営む西村満徳(67)だった。
関係者らによると、西村は 佐々の顧客で、本格的な除染作業への労働者派遣が
禁じられているにも関わらず、ホームレス作業員を仙台市のはずれの宿舎に住まわせ
て現場に派遣、毎月、彼らの作業の賃金として 政府が支払う金額の一部を不当
に手に入れていた。西村への直接の取材はできていないが、彼は 25万円の罰金
処分となった。
西村は地元では顔が広く、仙台市が出資している ホームレス自立支援施設、清流
ホームにも出入りしていた。同ホームは 2011年の震災の後、他のホームレス作業員
を復興作業に従事させるため、彼に紹介することもあったという。
「 彼(西村)は とても良さそうな人にみえた。運が悪かったね。全ての業者について
すべてを調べるのは とてもできないから 」と清流ホーム次長、五百澤洋太は西村
とのやりとりを振り返る。
西村と同時に、同じ事件に関与したとして、同市にある産廃物処理業者,伸栄クリーン
社長,長田俊明(64)と建設会社、フジサイ工建の社員である林文典(54)、元人材
派遣業の佐藤拓也(29)も逮捕された。
フジサイの統括課長である佐山健一は、自社の社員が 不法な労働者派遣に加担
したことについて、「 (暴力団が)絡まなければ、人(作業員)は増えない 」と ロイターに
本音を漏らし、「 結局、建設業界というのは、90%暴力団ですからね 」と付け加えた。
佐山によると、フジサイが労働者派遣で得た金額は 1人当り 1000円程度だった。
除染下請けの上位にある東京に本社のある建設会社、ライト工業から作業員確保
の依頼を受け、それがうまく進まないと分った時、フジサイは 伸栄クリーンに支援
を頼み、西村に発注が行ったという。
ライト工業は 大林組の下請け系列のトップにあり、日本国内だけでなく米国にも
子会社をもつ大手企業で、福島地域での除染に 約300人の労働者を送っている。
福島での除染について、同社は 現地での事業が深刻な人材不足に直面している
と認める一方、取引相手だった フジサイが 間接的にせよ暴力団とつながっていた
とは知らず、だまされていた、と訴える。「 下請け企業を チェックするにしても、彼らが
正直でなければ難しい 」と同社の広報担当者は話す。
大林組、ライト工業とも同事件において不正はないとされ、処罰も受けてはいない。
しかし、大林組の場合、自社が管理する事業に暴力団関係者の関与が表面化
したのは、この事件だけではない。
昨年3月、同社が手がけた福島での除染作業をめぐり、住吉会系暴力団元幹部
が山形地方裁判所で労働者派遣法違反の罪で執行猶予付き有罪判決を受け、
さらに 11月には同法違反容疑で山口組系暴力団幹部と その家族らが高知・福島
両県警合同捜査本部に逮捕されている。
大林組では、ロイターの取材に対し、「 我が社として、こうした事件が立て続けに起き
ていることを深刻に受け止めている 」(市川淳一広報担当)とコメント。下請け業者
との契約では 暴力団などの排除条項を盛り込む一方、警察との協力も徹底して
いることなどを強調した。
<弱者へのしわ寄せ>
福島地域での除染作業に膨大な国費が投じられている一方、現場で仕事をする
ホームレス労働者は、その恩恵が及ぶどころか、逆に 借金苦に陥る例もある。
「 多くの ホームレス作業員は宿舎に入るが、そこで 宿泊コスト や食費が賃金から自動
的に差し引かれ、月末には 1銭も残らないということになる 」と、ホームレス支援団体
「仙台夜まわりグループ」事務局長で バプティスト教会の牧師である青木康弘は言う。
実際の待遇に期待を裏切られ、作業員が 賃金未払い請求を起こす例も少なく
ない。兵庫県姫路市に本社をもつ周東興業も そうした トラブルを抱えている業者の
1つだ。同社は、政府による事業を請け負うため、佐々から ホームレス労働者の提供
を受けていた。
同社は 復興事業の需要をつかもうと 6000万円を投資。宮城県登米市にあった
ドライブインをがれき処理などの復興作業に従事する労働者の宿泊所に衣替え
した。そして、最も汚染のひどい地域の除染作業について、環境省から 2つの契約
も確保した。しかし、同社は 現在、雇用していた作業員から 少なくとも 2件の賃金未払い
請求を受けていると、息子とともに同社を経営する金田富士子(70)は話す。
これとは別に、50代の あるホームレス作業員は、周東興業で 1カ月働いたのに1000円
程の支払いしかなかったという。 ロイターが入手した この作業員の給与明細による
と、食費、住居、洗濯費用などとして 1カ月約15万円が引かれたため、彼には昨年
8月末時点での取り分は 1000円程度しかなかった。
金田は この男性が会社で働いていた事は認めつつも、待遇は正当だったと主張
する。彼女によれば、周東興業は 食費として 1日3500円は差し引くものの、少なく
とも 8000円の日当を払っていたという。 金田によれば、ある作業員は 福島で仕事
を始める前に 200万円を前借りし、その負債は減ったものの、昨年末の休暇のため、
さらに 20万円の借金をしたという。「 あの人は 借金を返すことはできないでしょう 」
と彼女は言う。
復興作業の経験者である西山静也(57)は、周東興業で短期間働き、がれき処理
の仕事をした事がある。今は 仙台駅で段ボール生活をする身の上だ。同社を去った
のは賃金を巡ってもめたからだ、と彼は言う。これまで 建設会社と賃金をめぐって
対立したことは何度かあり、そのうち2つが除染作業を巡るトラブルだったと話す。
西山が仙台で最初に働いた業者は、がれき処理に 日当9000円を支払った。しかし、
食費と宿泊費には 5000円が必要だった。働けなかった日も、日当がないのに
食費や宿泊費は徴収された。結局、増え続く借金に追われるよりも、路上生活の
方が暮らしは楽になると思い、西山は ホームレスを選んだという。
「 手配師にとって、ホームレスは 簡単に狙える標的だよ 」と西山は言う。「 身の回り品
をすべて持って、大きな荷物と一緒に動き回っていれば、すぐに ホームレスだと分る。
手配師連中は、ホームレスを見つけると、職を探しているのか、腹は減っていないか、
と聞いてくる。もし、腹を空かしているとわかれば、彼らが仕事をくれるんだ 」。
<実態不明な除染業者も>
福島の除染作業には 今も多額の税金が継続的に投入されている。しかし、それが
どう使われているのか、実態は不透明のままだ。大きな理由の1つは、大手企業
を頂点にして広がる 何層もの下請け構造の存在にある。複雑な請負契約を結び
ながら、末端の零細業者も含めて、除染事業には膨大な数の企業が関っている。
実際に除染事業を手がけている業者数は公表されていない。しかし、ロイターが
情報公開法に基づき昨年8月に環境省から入手した資料を調べた結果、もっとも
汚染がひどい 10市町村と その地域を通る常磐自動車道沿いで、733企業が除染
作業にあたっていることが分った。
公共事業への参加には 国土交通省の建設業者審査で承認される必要があるが、
それらの地域で除染に関わっている 56の下請け業者は、そのリストに名前がない
ことも明らかになった。
除染や廃棄物処理を推進する法的措置として、2011年8月30日に議員立法による
「放射性物質汚染対処特措法」が公布され、12年1月1日から施行されている。
しかし、厚生労働省によると、この法律は、除染作業などを行う業者の登録や審査
を義務付けておらず、誰でも 一夜にして 下請け業者になることが可能だ。
さらに、福島県内の最も汚染が ひどい地域での作業契約は 環境省から作業員
1人に対し 1日1万円の危険手当が支払われるため、不法な派遣 ビジネスを誘引し
かねない状況にあるとも言える。
ロイターの調査では、環境省が業務を発注している企業の内、5社については 総務省
での法人登録が確認できず、公表されている電話番号も ウェブサイトもない上、所有者
を示す基本的な企業情報も見つからなかった。信用情報機関である帝国データバンク
にも、これらの企業の実態を示す記録は存在していない。
「 一般企業として稼動していたのか、休眠会社なのか。その代表や取締役の経歴
にも注目すべきだ 」と、帝国データバンク東京支社情報部の阿部成伸は企業実態の
慎重な調査の必要性を指摘する。
だが、除染作業に関与している無数の中小、零細企業が どのように人材を調達し、
業務の安全性や安定性を どう確保しているか、その監視や責任体制が徹底して
いるとは言いがたいのが現状だ。
主務官庁である環境省は、「 労働関係の機関や警察と連絡しながら 必要に応じて
チェックしているが、元請け業者が除染工事という目的を達成するために、目的に
沿った体制を責任をもって完了するというのが基本的な考え方 」(水・大気環境局
除染チーム、工藤喜史課長補佐)と話す。つまり、現場での作業管理は 鹿島、大成
建設、清水建設などの元請け企業に任されているわけだ。
そうした大手企業が除染現場などの状況を細かく把握できているかと言えば、
現実は そうではない。何層もの下請け契約が介在しているため、末端に行けば
行くほど実態は不透明になり、大手建設会社が 直接に個々の仕事に関与できる
状況になっていないためだ。
公共工事に詳しい法政大学教授で弁護士の五十嵐敬喜は、菅直人政権で内閣
官房参与として初期の災害対応に奔走した。その経験を踏まえ、除染作業のため
に慌てて企業をかき集めた当初の経緯は、事態の緊急性を考えれば理解できる、
という。 しかし、今の段階では、不正入札など現場における悪質な行為を防ぐため
に、政府自らが監視を強化する必要があると指摘する。
「 公共事業で (法務局)登録していない業者は絶対にだめだ。税金を使っている
ので、使い道をハッキリするということが必要 」と五十嵐は言う。「 確かに 除染には
緊急性がある。しかし、多くの下請けがあって中間搾取されているのは大問題。
それはそれで監視すべきだ 」。
<先見えない除染事業>
2011年3月の東日本大震災で東京電力・福島第1原子力発電所が破壊され、
福島を中心に深刻な放射能汚染が発生してから 3年近くが過ぎようとしている。
「 福島再生に すべての責任を負う 」と宣言した安倍晋三首相は、復興加速化に
向け国費主導の姿勢を鮮明にし、被災者帰還の前提となる除染関連事業には
廃棄物の中間貯蔵施設の建設費用を含む 4900億円を確保するなど対応を強化
する構えだ。
しかし、深刻な労働者不足や不当雇用に苛まれる除染作業が 今後も順調に成果
をあげるかどうかは未知数だ。環境省は 昨年12月26日、最も汚染が深刻な地域
での除染終了までには、2014年3月を目標にした当初の計画よりも 2〜3年は長く
かかるだろうとの見通しを発表した。これらの地域からの避難生活を余儀なくされ
ている多くの人々にとって、かつての生活を取り戻せる日はまだ近づいてはいない。
|
|
日本経済新聞 2013年11月11日
トルコへの原発輸出が注目を集めている。三菱重工業などが参加する国際コンソーシアムが
10月30日、トルコ政府と原発建設のフィージビリティースタディー(FS=事業化可能性調査)の
枠組みについて正式合意に達した。
5月と10月、半年間で2回も同国を訪問して プロジェクトを後押しした安倍晋三首相は レジェプ
・タイープ・エルドアン首相との会談で 「大変喜ばしい」と笑顔で握手を交わした。
ただ、盛り上がる政府側とは裏腹に「 今後ファイナンスの枠組みや電力販売契約などについて
交渉を詰めていく 」と 三菱重工が同日公表したコメントは 慎重。
今後 FSに2年程度時間をかけ、採算性などに問題がなければ正式に契約を結ぶという。
確かに 「受注確実」 と手放しで浮かれられない事情が同社にはある。 米国での補修トラブルを
めぐる巨額賠償問題で浮き彫りになった「原発輸出リスク」である。
■首相が受注の旗振り
トルコの原発プロジェクトの予定地は 北部の黒海南岸シノプ地区。 ここに 三菱重工と
仏アレバ社が共同開発した出力110万キロワット級の加圧水型軽水炉(PWR)「ATMEA
(アトメア)1」を 4基建設する。 2023年に 1号機が稼働予定で、総事業費は約220億ドル
(約2兆1700億円) を見込んでいる。
事業母体となる国際コンソーシアムには 三菱重工と伊藤忠商事、フランスの電力・ガス大手GDF
スエズ、トルコ国営電力会社(EUAS)の4社が出資する。
出資額は 合計約66億ドル(約6500億円)で、コンソーシアムの株式持ち分比率は EUASが
最大 49%、伊藤忠が 10%超とみられる。 出資額を超える事業費は 日本の国際協力銀行
(JBIC)や民間金融機関からの借入金などで賄う方針だ。
トルコにとっては、地中海沿岸のメルシン地区で ロシア国営原子力企業ロスアトムの傘下企業
が受注しているアックユ原子力発電所 (120万キロワット級を4基建設。20〜23年に1基ずつ
稼働予定。 総事業費200億ドル) に続く 2カ所目の原発プロジェクトになる。
トルコは 昨年の1人当たり国内総生産(GDP)が 1万500ドル、10年間で 3倍の水準になる
など経済成長が著しく人口も増加。 発電用エネルギーの約7割を輸入に依存しており、03年の
就任以降、目覚ましい経済成長を実現してきた エルドアン首相は 電力安定供給を掲げて 一時は
中断していた原発建設に舵(カジ)を切り、現在は 30年に国内発電量の15%を原子力にする
計画を打ち出している。
アックユ、シノプに続く 3カ所目の原発もトルコは予定している。建設地は未定だが、日本勢が
FSを実施することを 日本、トルコ両政府間で決定済み。 この3カ所目の原発について、トルコ
政府は 海外勢に全面発注するのではなく、国内勢の参加を想定。 そのための人材育成や技術
力強化に日本の協力を求めている。
先の安倍、エルドアン両首相の会談で署名された共同宣言に、両国の科学技術協力が盛り込まれ
たのはこのためだ。
トルコの原発プロジェクトの総事業費は 1カ所あたり2兆円規模。 3カ所なら総額6兆円。
世界の原発メーカーが色めき立つのも無理はないが、一方で リスクの多さも際立っている。
まず、トルコは 日本と同様に地震多発国である。過去半世紀に 1000人以上の死者が出た
大地震が7回発生。このうち 1999年8月に イスタンブールを含む北西部で発生したマグニチュード
7.6の地震では約1万7000人が死亡した。 この北西部地震からほぼ1年後の2000年7月、
当時のエジェビット首相は 地震専門家らの反対を受け、1997年から進めていたアックユ原発
の計画を白紙撤回している。 また、2011年3月11日の東日本大震災とそれに伴う福島第1
原発事故の直後には ギリシャのパパンドレウ首相(当時)が エルドアン首相に電話をかけ、トルコ
の原発計画を中止するよう要請したこともあった。
■地震国トルコ、原発反対運動も
トルコ国内にも当然、原発反対運動がある。 シノプ地区は 1986年のチェルノブイリ原発事故
で 小麦や生乳に放射能被害が及び、黒海産の水産物も風評被害に遭遇した経緯があり、
地元の農業、漁業関係者を中心に根強い反対運動がある。
原発建設で生まれる雇用や地元への助成金、さらに高い経済成長などで 反対運動の広がりは
限定的だが、その抑制効果も エルドアン首相率いる現政権の指導力に左右される。
今年5月末にイスタンブールで起きた反政府デモは 五輪誘致をにらんで進められた都心の
再開発計画に対する環境活動家らの抗議 (公園の樹木伐採に反対する座り込み)がきっかけ
であり、そこに 現政権の強権政治に不満を持つ世俗派市民が合流して規模が拡大した。
高速道路や原発の建設にも批判の矛先が向いており、エルドアン 政権の リーダーシップ が揺らげば
これらのプロジェクトの先行きが 不透明になることは十分考えられる。
さらに トルコの原発プロジェクトで懸念されるのは 度重なる計画変更やシビアな契約交渉。
シノプ原発を巡っては 2010年以降、最初に優先交渉権を持っていた韓国が 受注に際して
トルコ側の政府保証を求めたため 同年11月に決裂、次に 東芝や東京電力を中心にした日本勢
が交渉相手となったが、11年3月の福島第1原発事故で東電が撤退したため受注活動は白紙
に戻った。
12年2月 韓国の李明博大統領(当時)が トルコを訪問して韓国との交渉が再開したが、これも
首尾よくいかず、同年4月には エルドアン首相が訪中して原子力協定を締結。 一時は原子力
関係者の間で 「シノプは中国で決まり」 とまでいわれたが、昨年末から年明けにかけ、三菱・
アレバの日仏連合が新たに浮上。今年5月には 受注内定にこぎ着けた。
背景には、サルコジ前政権時代には 欧州連合(EU)加盟問題などを巡って悪化していたフランス
と トルコの関係が オランド政権になって劇的に改善したことに加え、日本でも原発輸出に前向きな
安倍政権が誕生したことがあると解説されている。原発プロジェクトの政治色の濃さを象徴する
エピソードといえる。
相手を目まぐるしく替える交渉術は 条件面のどん欲さの裏返しでもある。一部報道によると、
ロスアトムが受注した アックユ原発は 建設費が ロシア側の全額負担で 電力供給計画の保証義務
も負わせた。 トルコ電力卸売公社が 原発稼働後15年間の電力購入契約を結び、建設費相当額
を支払っていく。 スマートフォンやタブレット(多機能携帯端末)の分割払いの仕組みに似ており、
トルコ側の資金負担(調達コストなど)は 大幅に軽減される。これから本格化するシノプ原発の
ファイナンス交渉でも 同様の要求があると見て間違いなさそうだ。
こうした原発セールスをめぐるディスカウント交渉は トルコだけの専売特許ではない。欧州や
アジア、中東などの各国の原発市場に フランス、ロシア、日本、中国、韓国、それに米国のメーカー
が ひしめき、それぞれ政府を巻き込んで 熾烈な受注競争を繰り広げている。
昨今、受注獲得が目立つのは ロシアと中国で いずれも国ぐるみの手厚い資金支援を売り物にし
ている。例えば、今年8月に決まった パキスタン南部カラチの原発計画(100kW級2基を建設)は
中国核工業集団(CNNC)の受注が見込まれ、1兆円近い建設費の7割強を中国が融資する
と報じられている。
そのCNNCは 10月半ば、中国国有企業である広核集団(CGN)と共同で英国南西部ヒンクリー
ポイント の原発新設計画 (仏アレバ社製の欧州加圧水型炉〈EPR〉を2基建設、23年稼働予定)
に参入することが明らかになった。 CNNCは 東芝傘下の米原発大手 ウエスチングハウス(WH)社
から技術導入して 中国国内で原発建設を進めている。
これまで 英政府は 安全保障上の問題から中国企業の原発事業参入に難色を示していたが、
福島第1原発事故などをきっかけに 英国内の原発プロジェクト から撤退する企業が相次ぎ、暗礁
に乗り上げるケースが続出したことから 従来方針を転換。中国企業に門戸を開くことになった。
ヒンクリーポイント原発は 当初、英電力・ガス会社セントリカ社 と フランス電力公社(EDF)の
共同事業だったが、今年2月に 「 コストと建設計画が不透明 」 との理由で セントリカ社が撤退。
残ったEDFが 新たな パートナーを探していた。 同原発の総事業費は 160億ポンド(約2兆5400億
円)。 EDFが 45〜50%、仏アレバ社が 10%を それぞれ出資予定で、新たに加わった中国企業
2社の出資比率は 計30〜40%になる見込み。
このほか、エーオン、RWEのドイツ電力大手2社が 昨年3月、英国の原発事業から撤退。
両社合弁で設立した英原発会社ホライズン・ニュークリア・パワー社(英国内2カ所で最大6基の
原発新設を計画)は、日立製作所が 昨年11月、約890億円で傘下に収めた。
■原発離れ進む欧州の電力市場
また、英国中部セラフィールド で 最大 360万KW(2〜3基)の原発新設を計画していた英ニュー・
ジェネレーション(ニュージェン)社は 10年に 仏GDFスエズ社と スペイン電力大手イベルドロラ社、
英スコティッシュ・サザン・エナジー社が 共同出資で設立した原発会社だったが、11年 スコティッシュ
が撤退。 ここに来て イベルドロラも 保有株(50%)を すべて東芝の子会社WHに売却する方向
で交渉が進んでいる。東芝は GDFスエズ の保有株も一部買い取り、百数十億〜200億円を投じ
て年内にも ニュージェンを傘下に収める方針。
欧州の電力ビジネス市場では フランスを除く各国の企業が原発から距離を置き、その空白を
日本や中国のアジア勢が埋めている構図が浮かび上がる。
日立は 3.11以降、日本国内での原発新設が見込めなくなったため、英国内で 4〜6基の
新設計画を持つ ホライズン社買収に踏み切った。 だが、建設費だけで 投資額は 約2兆円と
巨額なため、17〜18年に予定している着工までに、現在100%保有しているホライズン社株を
投資ファンドや電力会社に売却して出資比率を 50%未満に下げたい考えだ。
ただ、欧州勢は及び腰な上、中国勢も 本来は メーカーのため製造が主体。「 ものづくりのうまみ
が無いし、ただでさえ日中合弁は難しい 」 と関係者は話す。 ホライズン社株売却が難航すれば、
日立は過大なリスクを抱え込むことになる。 「自動車メーカーが 需要確保のためバス会社や
タクシー会社を買うようなもの。うまくいく可能性は小さい」(重電担当アナリスト)との指摘もある。
原発メーカーの リスク管理に大きな影を落としているのが、三菱重工が遭遇している米国での
巨額賠償問題だ。 同社は 09〜10年に米カリフォルニア州にあるサンオノフレ原発に交換用の
蒸気発生器を納入したが、その配管が摩耗し 12年1月に放射性物質を含む微量の水が漏れ、
稼働を停止するトラブルがあった。
同原発の事業母体である南カリフォルニア・エジソン社(SCE)は 再稼働を目指したが地元住民らの
反発で断念。今年6月に 2基の原発の廃炉を決め、損害賠償を 三菱重工に求める方針を通告
してきた。 10月半ばに明らかになったSCEの賠償請求額は 40億ドル(約3900億円)。
三菱重工は「 不適切な内容で根拠がない。契約上の責任上限は 1億3700万ドル(約135億円)
だ 」と反論しており、双方は 国際的な仲裁機関である国際商業会議所(パリ)で争う構え。
三菱重工のみならず、原発メーカーにとって衝撃だったのは、契約で定めた賠償の上限を超えた
金額を請求されたことだろう。 この件では 米原子力規制委員会(NRC)も今年9月、三菱重工が
細管の摩耗を予測する シミュレーションで使用した「 コンピューターモデルが不適切だったことが、蒸気発生
器の設計の欠陥につながった 」 と文書で指摘している。
海外の原発プロジェクトで 一旦 トラブルや事故を起こせば、国民の関心が強いだけに、官民
そろって責任追及に動くという現実を原発メーカーは見せつけられた。
サンオノフレのケースは 原発先進国の米国が舞台であり、交換用部品の納入がトラブルの端緒
だったが、昨今の日本勢が受注活動に熱心な 欧州やアジア、中東の原発市場では事業母体に
出資を余儀なくされたり、数十年間の運転保証を求められるなど、各社が背負う リスクは膨らむ
一方だ。
インドでは 9月 法務長官が原発事故による損害賠償の請求権について「 行使を希望するか
どうかは原発の運営者が決められる 」との法解釈を示し、同国での原発推進のネックになって
いた「 厳格な製造物責任の追及 」が緩和されたと歓迎する声が 世界の原発関係者の間に
広がった。 ただ、この発言が インドでの原発ビジネスのハードルを下げることになるというのは
早計かもしれない。 一旦 深刻な事故が起き、多大な犠牲者が出れば、責任追及は“政治”の
色彩を帯びてくるからだ。
■「原子力事業、商業的には成り立たない」
運営者が トラブルや事故を起こした原発のメーカーに 寛大な対応をすることは考えにくい。
国民感情を考慮するなら、メーカーが 外国企業の場合は 特にそうだろう。サンオノフレのケースで
いえば、運営者は巨額の賠償請求を突きつけたSCEであり、監督当局のNRCも同調している。
三菱重工の責任追及には 地元カリフォルニア州選出の上院議員も暗躍した。
原発ビジネス は セールスから リスク管理に至るまで 政治の関与が ますます不可欠になりつつある。
「 今の原子力は 『国家事業』だ。 つまり商業的には成り立たない 」(10月10日付日本経済新聞
朝刊「真相深層」)。米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフ・イメルト会長兼最高経営責任者
(CEO)のこの指摘は 確かに的を射ている。 日本政府や原発 メーカー の経営者は どう解釈する
だろうか。
ニュージェンはイベルドローラとフランスの大手公益企業GDFスエズの合弁企業。英北西部
海岸沿いのセラフィールドに原発建設を予定し、用地も確保している。
英国は新たな原発の建設プロジェクトを進めているものの、福島第1原発事故後の規制上の
変更の影響を受けている上、公的資金の投入規模をめぐる議論もあり、計画が進んでいない。
日立製作所も昨年、英国で原発建設を計画している事業会社 ホライズン・ニュークリア・パワー を
買収している。
|
|
経済界は 私的利益集団であって、
国の運命については 責任を負わない。
むしろ、国の運命を 自己のために貪り尽くす‘サガ’をもつ。
この経済の活動に 国の運命を委ねようというのが、
今日 世界を覆っている西欧産「国民国家」である。
明治維新がなしたことは、欧化政策たる文明開化、富国強兵・殖産興業、
すなわち、この「国民国家」を この国に移入することであった。
しかし、その結末は どうであったか?
敗戦による明治国家体制の瓦解であり、
この度の福島第一原発事故による 広汎な大地の放射能汚染であった。
しかるに、この経済活動は その運命づけられた‘サガ’を、
↓のように、 自らの力では変えることができない。
国の運命を 経済に委ねるという この「国民国家」は、
我々を 国を 奈落の底に導くことを運命づけられている。
合掌
日商 原発を重要な位置づけに
NHK 2013年 10月31日
日本商工会議所の岡村会頭は31日、茂木経済産業大臣と会談し、電力の安定供給には
原子力発電が欠かせないとして、政府が年末までに策定するエネルギー基本計画で、原子力
発電を重要なエネルギー源として位置づけるよう求めました。
この中で 日本商工会議所の岡村会頭は「 多様なエネルギー選択肢の中に原発も入れた上で、
安全性や安定供給など、総合的な観点から実現可能な政策をお願いしたい 」と述べ、円滑な
経済活動には電力の安定供給が必要で、そのためには 原子力発電が欠かせないという考え
を示しました。
そのうえで、政府が2030年代に原発の稼働ゼロを目指すとした民主党政権のときの政策を 見直し、年末までに 新たに策定する エネルギー基本計画では、原子力発電を重要な エネルギー源
として位置づけるよう求めました。
これに対して 茂木経済産業大臣は、「 エネルギー源ごとの特徴や位置づけを明確にしなければ いけないと思っており、3年以内に目標を設定し、10年以内に責任ある政策を構築していく 」
と述べ、原子力発電の位置づけも含め、中長期的に 国のエネルギー政策を見直していく考えを
示しました。
日本商工会議所会頭に三村氏就任へ 新日鉄住金相談役 朝日 2013年3月14日
取締役相談役(72)を選任する人事を固めた。11月に会員総会を開き、正式に決める。
任期は2期6年。同社からの会頭就任は、1969〜84年に務めた永野重雄氏(旧新日本製鉄)
以来となる。
東日本大震災後は原子力政策に深くかかわり、15日に初会合がある経産省の総合資源
エネルギー調査会の総合部会長にも決まり、エネルギー基本計画を取りまとめる重責を担う。
日商会頭は慣例で東京商工会議所会頭が兼務する。三村氏は7月に東商副会頭に就任後、
11月に会頭に就いた後、日商会頭に就く予定。新日鉄住金では6月の株主総会で取締役を
はずれ、相談役になる。相談役の会頭就任は異例だ。
産経 2013年11月2日
■三村明夫さん(73) 21日に日本商工会議所会頭に就任
東京商工会議所の会頭に1日、就任した。21日には上部団体の日本商工会議所(日商)の
19代会頭にも就き、全国の中小企業を束ねる。1日の就任会見では「 号砲が鳴り、いよいよ
スタートだ 」と喜びと緊張感をにじませた。
昭和38年に富士製鉄(現新日鉄住金)に入社、平成15年の新日鉄社長就任時には「 現場
を大切にしたい」と話した。社長室にこもっていては 経営判断を見誤る。自ら製鉄所や支店を
精力的に訪れ、現場の目線で経営にあたった。
こうした“現場主義”は健在だ。日商会頭に就任後は、年末までに全国9ブロックの商議所を全て
回る。「 実態を見て、安倍晋三首相に正しい情報を伝えることが私の役目 」と心得ている。
安倍政権の経済政策「アベノミクス」で景気は上向きつつある。 だが、エネルギーの安定供給や
社会保障制度の再構築など「 なお多くの課題が残る 」と指摘。その上で「 自らの利益では
なく、国益を踏まえた提案こそが受け入れられる 」と 他の経済団体との連携強化を説く。
経済同友会副代表幹事や経団連副会長を歴任し、財界の裏表を知り抜いた発言だ。
政府の中央教育審議会会長や総合資源エネルギー調査会会長でも、難しい議論をとりまとめた。
経済再生に向け、氏の手腕に対する期待は高い。
きょう2日は73歳の誕生日。就任要請を受けた時、2期6年が原則の日商会頭任期を踏まえ
「 6年後は79歳 」と悩んだ。だが、今は「 人生の最後に日商会頭の職を与えられた。できれば
6年やってみたい 」と力を込めた。群馬県出身。夫人との毎晩の散歩が日課だ。
中教審会長、三村明夫氏を再任 新日鉄住金相談役 朝日 2013年2月27日
文部科学相の諮問機関「中央教育審議会」は27日に総会を開き、新日鉄住金相談役の
三村明夫氏(72)を会長に再任した。中教審委員の任期は2年。1月末に前期の委員の
任期が切れ、下村博文・文科相が新任14人を含む計30人を新たに選んだ。
日商:三村会頭11月誕生「会員繁栄と日本繁栄は一致」 毎日 11月01日
・・・ 大企業が会員の多数を占める経団連。 経営者が個人の資格で活動する同友会。
一方、日商の会員の大多数は地域の中小企業だ。 国の政策をめぐる利害衝突は多く、
3団体トップが歩調を合わせて政策提言する機会は少ない。
日商では 前会頭の岡村正東芝相談役が「現場主義」を掲げ、会員企業の意見を集約した。 三村氏は同様の取り組みを強化する考えを示し「会員の繁栄と日本の繁栄は究極的には
一致する」と述べた。・・・
|




