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毎日 2012年04月16日
【パリ宮川裕章】 フランス大統領選 (22日第1回投票) まで 1週間に迫った15日、再選を目指す右派・国民運動
連合のニコラ・サルコジ大統領(57) と 最大野党・社会党のフランソワ・オランド前第1書記(57)が パリ市内で
それぞれ 10万人規模の野外集会を開いた。 各世論調査会社の支持率では オランド氏が優勢で、サルコジ氏は
苦戦を強いられている。 ただ オランド氏は 投票を棄権する可能性が高いとされる若い世代に支持者が多く、
投票率によっては情勢が左右される可能性もある。
サルコジ氏は パリ中心部コンコルド広場の会場で壇上に上がり、「 歴史的選択だ。旧態依然とした道か、未来へ
の道かだ 」と力説。 「 欧州中央銀行の役割拡大 」など 新しい提案を交えつつ、「 あなた方が決断すれば、彼ら
(社会党)が勝つことはない 」と訴えた。
一方、オランド氏は パリ東部のバンセンヌ広場で演説。 「 不公平さ、世界の無秩序、市場の不条理に対する怒り
を私は理解する。 特権に終止符を打つ 」と自由主義経済、金融市場に対する国民の不満を解消すると約束した。 毎日 2012年02月10日
フランスのサルコジ大統領は 9日、独、スイス両国境に近い 仏東部にある国内最古のフッセンハイム原発を訪れ
「 この原発の閉鎖は問題外 」と原発推進を強く訴えた。 大統領選で 社会党公認候補のオランド氏が フッセンハイム原発の閉鎖を公約に掲げており、老朽化した原発の存廃が、選挙の争点になってきた。
サルコジ氏は 原発労働者を前に「 政治家の下心のために あなたたちの雇用を犠牲にするのは言語道断だ 」と
繰り返した。大統領選のライバルとなる オランド氏の社会党は 昨年11月、「欧州エコロジー・緑の党」と選挙協定
を結び、▽ 25年までに 電力の原子力依存率を現在の75%から50%に下げる ▽ 原子炉24基を段階的に閉鎖する −− などの合意書を取り交わした。 フッセンハイムは 合意書で 唯一 「速やかな閉鎖」 とされ、オランド氏は
当選した場合の任期中の閉鎖を明言している。
東京電力福島第1原発より約6年遅れた 77年に運転開始した フッセンハイム原発は 老朽化が進み、 特に
福島原発事故後、安全性が不安視されてきた。 脱原発を打ち出した 独やスイスとも近く、両国でも閉鎖を求める
運動が起きている。 仏原子力安全機関は すでに、原発を運営するフランス電力に 土台部分の改修などの措置を
命じている。
今年1月、仏原子力安全機関が公表したストレステストの結果では、仏国内に「 すぐに停止すべき原子炉はない 」
とする一方、安全確保のための追加改修費用が 国内全体で 約100億ユーロ(約1兆円)と見積もられた。
フッセンハイム原発については コシウスコモリゼ環境相が 閉鎖の可能性を排除できないと発言している。
大統領選では 雇用対策が最大の争点となっており、サルコジ氏は 「 原発推進 」 と 「 雇用確保 」 を絡める形
で支持を広げる戦略に出ている。
毎日 03月26日
フランス大統領選で、左派政党 「左派党」 と共産党で作る 「左派戦線」 候補のジャンリュック・メランション氏(60)
が支持率を伸ばしている。 中道寄りの最大野党・社会党のフランソワ・オランド前第1書記(57)の支持層を切り崩し
ているとみられ、世論調査によっては、極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペン氏(43)をしのいで、サルコジ大統領
(57)、オランド氏に続く 3位に浮上している。
メランション氏は 社会党出身。 社会党のジョスパン首相の下で 2000年代前半に職業教育担当相を務めた。
08年に社会党を 「中道寄りすぎる」 と批判し、「左派党」を結成、党首に就任。 今回の選挙では 仏共産党と
「左派戦線」を組み、最低賃金の引き上げ、非正規雇用公務員80万人の正規雇用化、医療無料化などの政策を
掲げる。
(4月18日 朝日 「原発の是非 論争空振り」 から)
22日投票のフランス大統領選を控え、社会党のオランド氏が 失業不安を訴える主要労組に配慮し、
原発依存率を減らすという主張を封印した。
現職サルコジ氏は 原子力産業の雇用を掲げており、原発の是非をめぐる議論は空転し始めている。
サルコジ氏は、5日に公表した「国民への手紙」で、「原子力により エネルギーの独立性は保証され、
電気料金も制限される。原子力産業には 国力が結集しているのだ。」 と明記。原発を軸とした従来の
エネルギー政策を堅持する姿勢を 改めて示した。
サルコジ陣営が 批判の矛先を向けるのは、「 2025年までに 総電力量に占める原子力の割合を
75%から50%に減らす 」と公約したオランド氏と脱原発を掲げるヨーロッパエコロジー・緑の党(EELV)
のジョリ氏だ。
両氏の陣営は、昨年11月、現在の58基の原子炉のうち 24基を段階的に閉鎖することで合意。
すでに着工している新型の欧州加圧水型炉(EPR)は 続けるものの、新規の原子炉の着工はしない
ことで折り合った。
しかし、合意当初の世論調査で 5%以上あったジョリ氏の支持率は 2%前後に低迷を続け、オランド氏
は、15日のパリ東端バンセンヌでの大集会で 「 私が脱原発を求めているということは作り話だ 」と言及。
大統領就任後の最初の5年間で閉鎖するのは、仏最古のフェッセンハイムだけだとした。
17日付のIPSOS社の支持率調査では、22日の第一回投票では、サルコジ、オランド両氏が 27%で
同率首位。 決選投票で一騎打ちになった場合、オランド氏が56%で サルコジ氏の44%を大きく引き離し
当選する公算が大きい。 ・・・
今月初めに北部パンリー原発で 小規模な火災が起き、冷却水が漏れた事故後も、オラント氏は 沈黙を
守った。
ただ、世論は 必ずしも原発推進に傾いていない。 3月末のCSA社の世論調査で、日本のような原発事故
の発生を懸念する人は 67%、 原発依存が高すぎると考えている人は 80%に上っている。
東日本大震災から1年にあたる3月11日、原発密集地の仏南東部のローヌ川沿いでは 約6万人が「人間
の鎖」を作った。
シンクタンク「ネガワット」のイブ・マリニャック研究員は、「 原発の安全性強化策に伴って 電気料金は
上昇する。誰が大統領になっても、原発一辺倒のエネルギー政策の見直しは避けられない 」と指摘する。
参考
天然資源に乏しいフランスは、1973年の第一次石油危機を契機に原子力開発を加速した。
2008年12月末現在、運転中の原子力発電所は59基、6,602万kW、アメリカに次いで世界2位の座を占める。
総発電電力量に占める原子力シェアも例年75%を越え、世界的にも1、2位と高い。炉型は加圧水型軽水炉
(PWR)に一本化された上、標準化が進んでいるため、発電コストは安く、余剰電力は欧州近隣各国に輸出
している。
2007年12月から、次世代炉と言われている欧州加圧水型原子炉(EPR)の建設が、フラマンヴィル原発の 3基目の原子炉として始っている。 フランスにおける原子炉の建設は シボー2号機(1991着工、2002運開)
以来、およそ15年ぶりで、2012年の運転開始を目指している。
フランス電力公社(EDF)は 2020年以降、設計寿命を迎える既存の 90万kW級原子炉のリプレース(代替)
としてEPRをシリーズ化する方針である。
◆ フランス大統領選(1)赤い台風の目 竹田圭吾氏 2012年04月15
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緑の党の苦悩
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日本は 使用済み核燃料の再処理を いまだに始められていない。1997年に再処理工場を 完成させる予定だったが、トラブルが続発して 17回も完成を延期した。 その一方 フランスは 1966年から再処理工場を稼働させている。その現場を訪れた。 フランスの首都パリから 電車で西へ3時間。 軍港で有名なシェルブールに着く。 そこからクルマで 30分のところに ラアーグの再処理工場がある。 日本は 世界で3番目の“顧客” 運営するのは 仏アレバだ。 工場に入ると ちょうどフランスの原子力発電所の使用済み 核燃料が運び込まれるところだった。重さ100トンの円形状の鉄柱で覆われており、人が 近づいても放射線に汚染されることはないという。 同工場には 2009年1月までに 合計で2万5000トンの使用済み核燃料が 運び込まれている。 国別の内訳は、フランス国内から 1万4260トン、ドイツから 5479トン、日本から 2944トン、スイスから 771トン、ベルギーから 672トン、オランダから 336トン、 イタリアから 82トン。 日本は 遠く離れているにもかかわらず、世界で3番目の“顧客”だ。再処理工場はUP2 とUP3とあり、それぞれ年間800トンの処理能力がある。 再処理の方法はこうだ。 使用済み核燃料が運ばれると まず、熱を帯びた燃料棒の1本ずつを取り出し プールで 冷やす。 次に プールで貯蔵して 放射線の濃度を下げる。 一般的に4年程度保管し、放射線の濃度が下がったところで プールから取り出し、燃料棒を 細かく切り刻む。 それを ウラン溶液、プルトニウム溶液、高レベル放射性廃棄物、金属片に分離。 再処理ウランとプルトニウムは 南仏のメロックス工場に運ばれ、MOX(ウラン・プルト ニウム混合酸化物)燃料に加工される。 高レベル廃棄物は ガラス溶融炉で 溶かしたガラスと混合して固め、キャニスターと呼ばれる 容器に封じ込めて固める。こうした作業は すべて遠隔操作となっている。 日本では 高レベル放射性廃棄物をガラスで固める工程がうまくいかずに、再処理工場の 稼働を何度も遅らせている。廃液に含まれる不溶解残さの影響で、キャニスターに流れ込ま なくなり、撹拌しようとしたら その棒が曲がったり、炉内のレンガが落ちたりするトラブル に見舞われた。 フランスでは 既に40年以上の実績があるため、日本の技術者が何度も研究に来たという。 ただ、フランスでも 高レベル放射性廃棄物については、最終処分地が決まっていないため、 2000立方mの廃棄物が 工場内に保管されたままだ。 アレバの試算では 2025年には 1万立方mが貯まるため、それまでに最終処分地を決め なければならない。 2015年までに 高レベル放射性廃棄物の処分地を決める 最終処分地の選定についても、フランスには長い歴史がある。1970年代から探し始めた。 88年には 4カ所の候補地があったが、反対運動で頓挫。88〜91年は処分のメドが たたず、空白期間となる。 事態が動き出したのは、91年にバダイ法が成立してから。 それまでは 地層的に適している地域を最終処分の候補地にしていたため、住民の反対運動を 招きやすかった。 しかし、同法では 政治的な合意をしてから地層を研究し、候補地を選定した。その方が 反対運動が起こりにくいからだ。 92年に候補地を募り、94年に4カ所に絞った。その最有力候補地が フランス北東の オート・マルヌ県とムーズ県にまたがる集落のビュールだ。 97年にも山場が訪れる。ビュールに最終処分に関する研究所を作ろうとしたが、なかなか 許可が下りない。当時のフランス首脳は、右派のシラク大統領に左派のジョスパン首相という 組み合わせ。 ジョスパン内閣には 緑の党のドミニク・ボワネ氏が入閣し、同氏が原子力政策 の推進に反対したことが背景にあった。 地下500mにあるトンネル そこで、ジョスパン首相は「 問題があれば 政策を見直すことができる 」という“可逆性” を担保に 緑の党と交渉して、98年12月に ようやく研究所の建設許可が下りた。 99年に地下研究所を建設。2005年に国民的な議論を経て、2006年に原子力新法が 成立。 最終処分に向けて 議論が進んだ。 現在は 国と電力会社が出資する放射性廃棄物管理機構(ANDRA)が地下研究所の運営や 最終処分への手続きを進めている。 12月21日。ビュールの研究所を訪れると 辺りの畑は 雪で覆われ、銀世界が広がって いた。地上には コンクリートの小さな建物があるだけ。そこからエレベーターで500mの 地下に降りると、直径5mほどのトンネルが広がっている。 ここは130mの厚みのある粘土層で、水脈など地層の変化が非常に少ないという。 トンネル内では あらゆるところで、実験を行っている。 例えば、ある物質を地層に流して、 どれくらいの速度で その物質が移動するかなどを測定している。 それでも住民の反対運動はある ANDRAには 80人の正規社員と、240人ほどの下請け社員がいる。正規社員の大半が 地質学などに関する専門家だ。 意外に難しいのは 直径5mほどのトンネルを掘ることだという。 鉄道や道路向けのトンネル は もっと大きいため、機械は その大きさ用に作られいるものが多い。そこでANDRAは 地下研究所向けに特別の機械を作ってもらい、それで 穴を掘り進めている。 住民とのコミュニケーションも ANDRAの重要な仕事だ。 同社は 定期的に住民向けの 説明会を開催している。 周辺の環境保護に関する委員会に、地域住民も入っている。同社の マリー・クロード・デュプイCEO(最高経営責任者)は、「 住民とは 科学者の立場で 話すことを心がけている 」と話す。 また、地域への経済支援もしている。ビュール周辺の2つの県には、年間それぞれ2000万 ユーロの補助金が給付されている。2010年から年間3000万ユーロに上がるという。 それでも 住民の反対運動はある。デュプイCEOは「 地域外の過激な反対派が、地域住民 をあおることもある 」と続ける。 ローカルテレビでは、地域住民が反対デモを行う様子など が放映され、農家などが作物への悪影響を懸念する声が紹介されている。 こうした状況であるため、デュプイCEOは気を引き締めている。「 謙虚な気持ちが大切。 信頼関係を作るのに時間はかかるが、失うのは早い 」。同社は 2012年までに最終処分 の研究に関する詳細な資料を国に提出する。 フランスは 国会での議論などを経て、2015年には最終処分地を決定する予定だ。 以上 |
不可欠となる消費構造の変革このように、1990年以降のEUにおけるGHG削減は、偶然の要素や目的を異にする政策 の結果によるところが大であり、京都議定書が合意された1997年には こうしたトレンドが 明確であったにもかかわらず、したたかな外交によって 1990年比マイナス8%削減という 甘い目標で切り抜けたのである。 もう覚えている人は あまりいなくなったが、そもそも京都会議までEUは、他国が追随する なら マイナス15%削減を行うという交渉ポジションを取っていたのである。すなわち EU は、本当は マイナス15%削減を実現する自信があったのだろうと考えられる。 そのポジションからすると、2007年で −4.3%削減に止まっているのは、もともと 約束してもよいと考えていたレベルから10%ポイント以上削減が不足しているのである。 日本は マイナス6%どころか +8%も増加していて、約束から −14%ポイント削減が 不足しているという批判があるが、実は EUも自ら削減可能だと考えていたレベルからは、 同程度削減が不足しているのである。 EUの温暖化対策が効果を上げているように見える第3の理由が、産業構造の変化に よる排出の海外移転( オフショア・エミッション )である。 特に 英国は、経済が脱工業化 し、金融などのサービスを中心とする産業構造に変化したが、消費構造は 工業製品中心 のままであったため、製品輸入が増加する形で CO2の排出が輸出国に海外移転された。 現在、日本では、今後の中期目標を検討していく場合、現在の産業構造を前提に考えるから 削減目標が野心的でなくなるという批判がある。 しかし 逆に、産業構造を低炭素型に変革 しても、消費構造が低炭素化しない限り、炭素集約・エネルギー集約型製品の輸入が増える だけで、その生産に伴うCO2の増加を輸出国に押し付けるだけだということを認識しなければ ならない。 まさに その例が、「 環境先進国 」の英国である。 本質的な外交交渉の始まりとはオックスフォード大学他の研究者たちが、そうした英国のオフショア・エミッションを分析 した論文が、「Too Good To Be True? The UK’s Climate Change Record」(2007)である。 その論旨は、次のような諸点である。 1.英国の2005年までの削減は 2つの大きな要素によってもたらされている。 (1) 1990年代に 石炭から天然ガスにエネルギー転換が起きたこと。 (2) 1970年代から継続する英国経済の脱工業化により、エネルギー多消費型産業が 海外に移転したこと。 2.国内生産活動によるGHG排出は確かに減っている。しかし 一方で、英国は 脱工業化 の結果、膨大な工業製品を輸入・消費しており、こうした製品は英国内外の生産活動で GHGを排出している。 3.英国の温暖化防止の責務の対象が「 英国の消費活動によるCO2排出 」にあるとした場合、 2003年の英国の排出量は 1990年比19%増となる 4.英国が 脱工業化して、工業製品を輸入に切り替えた結果、よりCO2効率の悪い生産方式 の国に生産移転が進み、結果的に英国人の消費活動によって排出される地球全体のGHG 排出量は増加する結果となった。 こうした分析結果に対して、英国内の環境派も同調し、さらに 中国は分析結果をもとに、 「 自分たちの排出増加は、先進国の消費活動を支えるために否応なくもたらされたものだ 」 と主張している。 こうした議論を見てみれば、日本一国が 産業構造を変えれば より大きな削減が可能と考え ている人々も、 消費者の消費構造 と 全世界的な産業構造 を変えない限り、 自分の考えは 成立しない ということに気づくのではなかろうか。 ☝ ここまで見てきたように、EUの温暖化対策は、統計上のトリックを使ったり、偶然の産物を いかにも努力の結果のように見せたりすることによって、往々にして 過大評価されていること に注意しなければならない。 ただ、EUのしたたかなところは、メディアの情報伝達量の制約を逆手にとって 都合のいい 数字や事実のみをコンパクトにまとめて流すところにある。 何度も何度も同じメッセージや データの発表が繰り返され、それらを引用する報道が積み重なれば、毎日注意して温暖化対策 をフォローしているウォッチャーでもない限り、自然に頭に刷り込まれていくのである。 温暖化を巡る外交交渉は、こうした認識形成、世論形成から始まるといっても過言ではない。 ちなみに、環境NGO(非政府組織)のWWFも最近になって、「 EUの中期目標は、 海外クレジット購入などを除けば 国内削減分は実質4〜5%しかない 」と批判的にコメント しており、EUの温暖化政策の実態に ようやく気づいたようである。日本でも そのような 客観的な評価が行われることを期待したい。 以上
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日本で成果を上げた EUの政策宣伝効果前回、日本は コペンハーゲンでの国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15) に向けて、したたかな環境外交戦略を進めるべきだと訴えた。 しかし、日本国内では、温暖化対策に積極的で効果を上げている欧州連合(EU)を見習って、 削減目標も「 野心的 」なものを掲げ、世界の議論をリードすべきだという声が多い。 EUの政策宣伝効果は、日本において 最も成功していると言ってよい状況だ。 日本の国内世論 が 今後、EUの宣伝に惑わされて、日本政府の外交戦略の足かせになることがないよう、 ここで EUの政策実態を見ておきたい。 EUが 温暖化対策で 効果を上げているように見える理由は 3つある。 それらは、 温暖化問題に詳しい人には 周知のことである。 しかし、中期目標決定を機に、これまでよりも 幅広い各層の人たちも 議論に参加し始めている今、「 EU礼賛論 」をナイーブに受け入れる ことがないよう、EUがいかに宣伝上手かを再度強調しておくことには大きな意味がある。 第一に 排出削減を測る基準年の選択 や 「EUバブル( 京都議定書上、EU加盟国一括で 目標達成すればよいとされていること )」を利用して、いかにも 削減が進んでいるような 「 見栄え 」をつくることが可能であることだ。 下図は 米・日・EUについて、2005年の排出量を 京都議定書上の基準年の1990年と 比べたものであるが、仮に 基準年を1995年にすれば、削減幅の見え方が大きく変化して しまうことがわかる。 ※ 基準年が1990年の場合、EUはマイナス2%の削減となる( 米国:+16.3% 日本:+7.7% )。 しかし、1995年を基準年にすると1.1%の増加となり ( 米国:+10.4%、日本:+1.2% )、基準年の設定だけで 印象が大きく変わる 「 非野心的 」な EU中期目標EUが 現在掲げている中期目標についても、1990年比ならマイナス20%削減だが、 基準年を2005年にすれば マイナス14%削減となり、「 見栄え 」が悪くなってしまう ことが、EUが 1990年を基準年にこだわる一つの理由だ。 また、EUには 1990年に固執する現実的な理由もある。 それは、2004年以降に 中東欧12カ国がEUに加わり 27カ国になったことである。 京都議定書上のEUバブルは 15カ国で構成されているが、次期枠組みでは 拡大EU 27カ国 で バブルを構成することで、中東欧12カ国による1990年から2007年までのマイナス 25%強の削減実績が まるまる手に入ることになるのである。 EU15では、1990年比の2007年実績で マイナス4.3%の削減しか達成できて いないにもかかわらず、EU27では マイナス9.3%と2倍以上の削減率を確保でき、 マイナス20%削減という中期目標の半分弱は 2005年時点で既に達成していることになる。 すなわち、EUの「 1990年比2020年マイナス20%削減 」目標は、実際には 「 2005年比マイナス10%削減 」と、いまや 米国の中期目標よりも「 非野心的 」なもの となっているのである。 しかし、基準年やEUバブルというような事情は テクニカルな問題で、かつ説明も煩雑に なるため、テレビや新聞のような情報量が限られたメディアにおいては なかなか報じられない。 EUも それに乗じて、京都議定書では EU15カ国ベースでのバブルしか認められていない にもかかわらず、最近では EU27の数字を前面に出すことが多い。 そのためもあって、条件が全く変わってしまったことには触れられず、単純な削減率比較 ばかりが 表に出る形になっている。 その結果、EUの温暖化対策だけが効果を上げていて、 EUの中期目標が あたかも「 野心的 」なものであるかのような報道がなされ、EUの 宣伝戦略が効を奏しているのが現状だ。 英・独の実績の半分は削減政策とは無関係EUの温暖化対策が効果を上げているように見える第2の理由が、 1990年から 2007年にかけての温室効果ガス(GHG)削減( EU15で二酸化炭素換算マイナス1.8億t、 土地利用・土地利用変化及び林業部門の活動を除く )のほとんどすべてが、温暖化対策に 熱心な 英国とドイツの排出削減( 両国で二酸化炭素換算マイナス3.9億t )によって もたらされていることである。 ところが これらの排出削減は、大半が 1990年から2000年までの間に もたらされたもの であり、それ以降は、2007年の記録的な暖冬による大きな二酸化炭素(CO2)削減を除けば、 排出削減のスピードは 大きく鈍っている。 日本では あまり知られていないが、こうした 1990年から2000年までの 英独の 大きな削減が 何によってもたらされたかを分析した報告書がある。 その報告書は 2001年の国連気候変動枠組み条約第6回締約国会議再開会合(COP6bis)の ために、ドイツ環境省の委託で フラウンホーファーなどの研究機関がまとめたものであり、 その表題も まさに「 ドイツ、英国の温室効果ガス削減──偶然か政策か (Greenhouse gas reduction in Germany and the UK - Coincdence or policy induced?:Study on behalf of German Federal Ministry of the Environment and German Federal Environmental Agency, 2001) 」 というものである。 その報告書の要点は、「 独英とも、( 政策及び東西統合や自由化がなかった場合のBAU からの削減のうち )約47%が 温暖化対策とは無関係な要因によるもの 」 ということである。 無関係な要因とは、次のとおりである。 独・英における 1990年から2000年までの温室効果ガスの削減要因を見てみると、 削減政策以外の社会や経済的な変動によって 大きな削減を実現していることがわかる (出所:Greenhouse gas reduction in Germany and the UK - Coincdence or policy induced? :Study on behalf of German Federal Ministry of the Environment and German Federal Environmental Agency) 24%近くを占めていることも日本と違う特徴であり、純粋なCO2削減政策によるものは 両国とも 3割程度であることがわかる。 ■ 澤 昭裕 氏 (さわ あきひろ) 日本経済団体連合会 21世紀政策研究所 研究主幹 大阪府生まれ。 1981 一橋大学経済学部卒業後、 同年 通商産業省(現 経済産業省)入省。 1987 プリンストン大学で MPA(行政学修士)取得。 通産省工業技術院人事課長、経産省産業技術環境局環境政策課長、資源エネルギー庁 資源燃料部政策課長などを経て 2004 8月 東京大学先端科学技術研究センター教授( 〜08年7月 ) 2007 5月より現職。 編著書:「地球温暖化問題の再検証−ポスト京都議定書の交渉にどう臨むか」 「大学改革 課題と争点」「競争に勝つ大学−科学技術システムの再構築に向けて」 「民意民力−公を担う主体としてのNPO/NGO」「無名戦士たちの行政改革」。 また、21世紀政策研究所で地球温暖化政策についての提言 多数。 京都議定書を越えてー新たな温暖化国際枠組みへの期待 21世紀政策研究所 澤 昭裕研主幹 NHK「視点・論点」2009年12月7日放送 25%削減は可能であり希望だ・新政権における環境エネルギー政策の行方と期待 飯田哲也のエネルギー・フロネシスを求めて (09/09/17) |
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【講演要旨】 日本は 産業先進国として 温室効果ガス削減、エネルギー転換を、近隣諸国や他国に 貢献する責任を担っている。 私と核問題との出逢いは、1977年の 独・ゴアレーベンの放射性廃棄物貯蔵施設の反対運動 に参加したのがきっかけだった。その後 市民の抵抗運動は 原子力の利用自体への拒否へと 向かった。 チェルノブイリ事故20周年を記念した各紙報道記事によれば、死亡者数は 6万人から 10万人で 数十万人が病気。 科学者の追検証なし。現在 ヨーロッパでは フィンランドの 1基(オルキルオト原発)のみが新設されている。 EUでは エネルギー戦略が 各国の情勢によって異なるため 統一シナリオが不在。 原発存続、段階的廃止、原発が不在と 各国により事情が異なる。 EU全体の原子力運営は、EURATOM(欧州原子力共同体)が掌握しており、 欧州議会や委員会の EURATOMに対するコントロールが利かない。 さらに ごく一部の電力会社によるロビー活動が 幅を利かせている。欧州の核管理基準 (INES)による評価尺度は 欺瞞に満ちている。 近年の原発事故は 「 非原子炉部分 」での事故発生が多数報告されているが、これは 決して安全を意味しない。 炉心溶融(メルトダウン)に至り得る危険性は 幾らでもあった。 例えば、2006年 スウェーデンのフォルスマルク原発事故。 7分遅れていたら チェルノ ブイリ級の惨事に至るところであった。 イギリスのセラフィールド原発事故。 そして 今年2007年 ドイツのクリュンメル原発の変圧器火災事故。 チェコ国境の テメリン原発など。 そして 今回の日本の「柏崎刈羽原発」の震災被害。 原発の大きな問題性は 次の3点になる。 一点目は 放射性廃棄物の処理問題。 二点目は 原子力技術を利用した核拡散の危険性。 三点目は 原発事故および残留リスクの問題である。 現在 原発は、世界で 436基が稼動。しかし 欧州では 最終エネルギー全体の6%、 世界全体では 最終エネルギー消費の2%をシェアしているに過ぎない。 世界の原発は 平均23年間稼動しており、今後 廃炉の割合が ますます増えるだけで将来性 が薄い。 世界で 建設中は 32基。内10基は 工事ストップ。 欧州緑の党では、「 ストップ温暖化キャンペーン 」「 欧州核フリーゾーン運動 」などの アクションを実施。 私たち緑の党の反原子力政策は、「ダブルトラック戦略」と呼ばれるものであり、欧州緑の党の 「ビジョンシナリオ」とともに、原子力のリスクと環境面(温暖化)リスクとの両方の視点を 含意し、リスク情報の公開、代替エネルギーの普及を同時に拡大させることを提唱している。 緑の党の「ビジョンシナリオ」では、EU全体で 2030年に 85%原子力エネルギーを 削減すると同時に、EU全体で 再生可能エネルギーの割合を 39%にまで高めることが可能 になるとしている。 さらに EU全体で 2030年までに 20%の温室効果ガス削減目標が提唱されたが、 緑の党は 30%を主張している。 これらを達成するためには、次のような政策を同時進行的に推進することが必要である。 例えば、エネルギー効率の推進。 住宅・家電製品などの厳しい省エネ基準の設定。 公共交通 機関の充実。 輸送総量削減。 再生可能エネルギーの割合を抜本的に高めること。 コジェネレーションやバイオマスなどのエネルギーインフラへの投資拡大。効果的な政策措置 としての国内排出量取引制度の発展。 炭素回収・貯蔵技術の改良などが重要である。 ※レベッカ・ハームス(Rebecca Harms MEP) 欧州議会議員(ドイツ緑の党/同盟90)、同議会緑の党/欧州自由同盟(Greens/EFA) 議員団副代表。 造園師から、近隣住民として核廃棄物処分場建設反対運動に参加し、その後 政治家に 転進する。 1984年より友人のウンディーネ・ヴォン・ブロットニツ欧州議会議員(緑の党)の 秘書を勤める。 1994年 ニーダーザクセン州議会議員に当選。 1998年 同州緑の党議員団団長に選出される。 2004年 欧州議会議員に選出。核問題・エネルギー政策担当。 今回は第62回原水禁世界大会(広島・長崎)に参加・講演のために初来日。 ◆ホームページ: http://www.rebecca-harms.de/index.php 以上 日本のエコカーを買うべし! ドイツ「緑の党」党首が国民に推奨2009年08月21日 発信地:ベルリン/ドイツ【8月21日 AFP】ドイツ人は 日本製のエコカー(環境対応車)を買うべきだ ――― 独「 緑の党(Green Party) 」のレナーテ・キュナスト党首は 20日、 地元紙ハンブルガー・アーベントブラット(Hamburger Abendblatt)の取材にこう語った。 「 緑の党として、国民の皆さんには、車を購入する際には 二酸化炭素排出量の少ない車を 選んでほしい。環境対応車番付のトップ10を参考にするとよいでしょう 」 交通関連の環境団体「ドイツ交通クラブ(VCD)」が このほど発表した2009年度の 環境対応車番付では、上位10車種のうち1〜6位を日本車が独占した。 首位は トヨタ自動車(Toyota Motor)のハイブリッド車「 プリウス(Prius) 」。 2位も トヨタで 「 iQ 」、 3位 ホンダ(Honda)「 インサイト(Insight) 」、 4位に 日産自動車(Nissan Motor) 「 ピクソ(Pixo) 」 と スズキ(Suzuki)の「 アルト(Alto) 」、 6位に ホンダ「 シビック・ ハイブリッド(Civic Hybrid) 」となっている。 一方のドイツ車は、ダイムラー(Daimler)傘下の「 スマート(smart) 」の2車種が 7位と8位に、 フォルクスワーゲン(Volkswagen)の「 ポロ(Polo) 」の車種が10位に 入ったのみだった。 折りしも 前日19日にドイツ政府は、2020年までに 電気自動車100万台を普及 させる「 国家電気自動車計画 」を閣議決定したばかり。 キュナスト党首は 2年前にも、「 もしドイツ人が 現代的な自動車を作ることができない ほど愚かだというなら、トヨタのプリウスを買うよう人々に勧めるほかはない 」発言し、 独自動車業界からの猛反発を食らっている。(c)AFP ■ 第二次シュレーダー政権と電力業界 2002年10月23日 電気新聞
ドイツのエネ政策 電気新聞/04.06.02/熊谷徹 ■ 第3回ヨーロッパ緑の党大会 参加報告記 2002年5月 今本 秀爾(NPO エコロ・ジャパン代表) |




