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人工放射線 と 自然放射線とは、生体に与える影響は同じか違うか?
――― セシウムは 生体の必須元素である カリウムの代りができるのか? 先の記事では ずいぶん込み入ったことになり、頭がこんがらがってきました。
ここで 一服して、
腎臓というのは、どのような働きをする臓器なのかを見てみます。
腎臓はそら豆の形をした臓器で、腹腔のすぐ後ろに それぞれ左右一つずつ 計2個あり、
一個の重さは 約100〜150gほどで、縦約12cm、幅約6cm、厚さ約3cm。
脊椎動物全体において、腎臓には前腎・中腎・後腎の三つがある。発生において、前者から
後者へと順に形成され、後のものができると それに応じて前のものは退化する。その構造も
体軸に沿って伸びる部分から分化する。
1.老廃物や余分な水の排泄
腹部大動脈から腎動脈という太い血管を介して腎臓に血液が送り込まれ、血液から水や尿
の成分が濾過され、老廃物は 膀胱へと流れ、排泄される。
腎臓には ネフロンという組織が 約100万個あり、その一つ一つで 尿がつくられている。
前記事でみたように、ネフロン は、糸球体とよばれる毛細血管の塊 と それを包む部分(ボウマン嚢)、
および 尿細管とからなる。
糸球体で ろ過された血液(原尿)は 尿細管を経て 尿となり、尿中へは 血液中の老廃物や不要物
(塩分)が 余分な水分とともに排泄される。
老廃物: チッ素系老廃物で、クレアチニン、尿素、尿酸など。これらは タンパク質が体の中で
利用された後の分解産物であり、有害物質。
※ 排出される尿中には 水分以外に Naイオン、Kイオン、Clイオン、無機物などが含まれている が糖分やタンパク質は含まれていない。しかし、糖尿病は 血液中の糖分の濃度が高すぎるため、
糖分を全て再吸収できないため 尿中に糖分が出てくる。
※ 腎臓の働きが悪くなると 尿が出なくなり、老廃物や毒素が体に蓄積して, 腎不全、さらに
意識障害などを伴う尿毒症になる。
又、腎臓できれいになった血液は 下大静脈へ流れていく。
2. 体内環境を一定のバランスに保つ
尿細管は ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、重炭酸イオン などのうち 体に必要なものを取り込み、
また、不要なものを尿中へ分泌して排泄することで、体内のイオンバランスを一定に保ち、
血液を 弱アルカリ性に保っている。
※ 通常、腎臓では 絶えず 血液がろ過されて、一日に約150ℓ もの原尿が作られているが、
尿細管で 水分が再吸収されて 1.5ℓ ほどの尿になる。
※ 糖質、アミノ酸、Naイオン、Clイオンの多くは 近位尿細管で吸収される、ヘンレループ では水分が
吸収され、遠位尿細管では 副腎皮質ホルモン の一つ アルドステロンの作用で Naイオンの再吸収が
促される(その時、Naイオンと交換で Kイオンが尿中に排出。また NH3や Hイオン も遠位尿細管
で排出される)。 集合管までくると、下垂体後葉ホルモン の一つ バソプレッシンの働きで、尿中の
水分が吸収され 尿が凝縮される。
※ 腎臓が悪くなると 体液量の調節がうまくいかないため、体がむくむ。又、イオンバランスが
くずれると、疲れやめまいなど、体に 様々な不調が現れる。
3. 血圧を調整する
腎臓は、塩分と水分の排出量を コントロールすることによって 血圧を調整している。
血圧が高い時は、塩分と水分の排出量を増加させることで血圧を下げ、血圧が低い時は、 塩分と水分の排出量を減少させることで血圧を上げる。
腎臓での ろ過機能が 円滑に働くには、血液の流れが 一定に保たれている必要がある。
腎臓では 血流の流れが悪くなると それを感知し、レニンという酵素が分泌され、これが
血液中の たんぱく質と反応してできる アンジオテンシンII が、血管を収縮させて 血圧を
上昇させる。 ※ 腎臓と血圧は密接に関係し、腎臓の働きの低下によって高血圧になることもある。
また、高血圧は 腎臓に負担をかけ 腎臓の働きを悪化させることもある。 4. 血液をつくる働きを助ける
腎臓は エリスロポエチンというホルモンを分泌し、骨髄の造血幹細胞に働いて、赤血球
の数を調整する。
※ 腎臓は、赤血球を作る指令を出している
※ 腎臓の機能が低下して エリスロポエチンの分泌が少なくなると 赤血球も減少するため、
貧血症状が現れる。
5. ビタミンDの活性化
ビタミンDは 肝臓で蓄積され、腎臓に移ると 活性型となり、さまざまな働きをする。
活性型 ビタミン Dは 小腸からの カルシウム の吸収を促進して、カルシウムの利用を高める作用
がある。
※ 腎臓機能が低下すると カルシウムの吸収が悪くなり、くる病や骨軟化症、骨粗鬆症の原因
になる。また、低 カルシウム血症になると、筋肉痛、しびれ感、全身痙攣発作などが起こる。
ここで、我々が腎臓というものを持つにいたった経緯を振り返ってみます。
46億年前に太陽と地球ができてから、この地球に最初の生命が誕生したのは、
40億年前だと言います。 そして、
※ 32億年前 光合成をする生物が出現、27億年前 シアノバクテリア が大量発生 ⇒ 酸素量 増加
24〜22億年前 ヒューロニアン氷期 (現在分かっている最古の氷期)
一方、ミトコンドリアや葉緑体で働く遺伝子 や 一部の代謝に関連する遺伝子は 真正細菌と類似性
があり、遺伝子の水平伝播 及び 共生したミトコンドリアや葉緑体などに由来するとされる。
※ 約25〜19億年前、当時 無酸素状態の海中に溶解していた鉄イオンが、シアノバクテリアなど
の光合成による酸素と反応し、酸化鉄となって大量に沈殿した縞状鉄鉱床が形成される。
※ 大気中の酸素の増加し、初期の生物の大量絶滅 と 酸素を効果的に利用した生物のさらなる
の上昇とともに 高度が高くなり 成層圏まで移動し、地上に到達していた紫外線(DNAを破壊する)
が減少し、生物が 陸に上がる環境が整えられる。
20億年前 最古かつ最大の小惑星衝突( フレデフォート・ドーム )
12億年前、ついに 複数の細胞で身体を構成する 多細胞生物が出現します。
※ 遺伝子の爆発的多様化は カンブリア爆発の 約3億年前に起った。
約10〜7億年前 ロディニア大陸 誕生
8〜6億年前 の全球凍結
※ この期間、全地球的に生物による光合成が殆ど停止。 しかし、海底の熱水鉱床など 熱水を
発する箇所があり、この間 その近辺で 生物は 他から隔離されて生存した。この地理的な隔離は、
どのように捕食するか、どのように捕食から逃れるかの観点から 多細胞生物は多様性を形成し、
カンブリア爆発までの 少くとも 3200万年間、全地球的な捕食と被捕食の生存競争が存在した
と考えられる。
ゴンドワナ大陸が ロディニア大陸から分裂
多く見られるようになった。
※ 苔虫動物門を除く すべての動物門は、カンブリア紀以前に その祖先を見いだせず、この時期
に出現したか?
――――――― オルドビス紀 (約4億8830万〜4億4370万年前) ――――
4億6000万〜4億3000万年前 一時的な氷河期(アンデス-サハラ氷期)
4億3000万年前頃 生物の大量絶滅
――――――― シルル紀 (約4億4370万〜4億1600万年前) ――――
3つの中程度の大きさの大陸、そして アバロニア大陸という微小大陸があった。
ローレンシア大陸、バルティカ大陸、アバロニア大陸の間には イアペトゥス海という浅い海が
広がり、多くの生物が繁栄していた。 しかし、3つの大陸は 徐々に接近し、約4億2000万年前
に衝突した。 このため イアペトゥス海は消滅し、ローラシア大陸が形成された。 (つづく)
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放射性物質
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人工放射線 と 自然放射線とは、生体に与える影響は同じか違うか?
――― セシウムは 生体の必須元素である カリウムの代りができるのか?
今度は、カリウムの生体内の働きについて
カリウムの有効性と安全性(自治医科大学) を要約しながら、少し詳しく見ていきます。
体液中には 電解質が溶解しており、電解質の 陽イオン と 陰イオン の総和は等しくなっている。
細胞外液の 血漿と組織間液の イオン 組成は 極めて似ているが、細胞外液(血漿)と細胞内液
の イオン組成は 全く異なっており、 この違いが 細胞の機能を 正常に維持している。
細胞外液の陽イオン のほとんどは ナトリウムイオン(Na+)で、カリウムイオン(K+)は 極めて少ない。
また、主な 陰イオン は クロライドイオン(Cl- ) と 重炭酸イオン(HCO3-)。
細胞内液で 最も多い陽イオン は K+、次いで マグネシウムイオン(Mg2+)で、Na+ は 非常に少ない。
陰イオンで多いのが リン酸イオン(HPO4 2-) や 蛋白で、細胞外液で多い Cl- は ほんのわずか。
細胞膜を介した イオン組成の違い、特に 細胞内に K が多く Naが少ないのに対し、細胞外液
では その割合が逆になっているのは、細胞膜に存在している Na-K ポンプ(Na+/K+-ATPase)
がATP(アデノシン三リン酸)を消費しつつ 細胞内からの Naの汲出しと、細胞外からの Kの汲入れ
をしているからである。
※ Na+/K+-ATPaseは、すべての細胞に存在する。
細胞で作られたATPの 約 1/3が この Na-K ポンプ に動力を供給するのに使われる。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/5b/Scheme_sodium-potassium_pump-ja.svg/300px-Scheme_sodium-potassium_pump-ja.svg.png
Na+/K+ ATPアーゼの模式図。
Na+ を細胞外へ、K+ を細胞内へそれぞれくみ出している ※ 細胞内のATP 1分子の加水分解に伴って 3分子のNaを細胞内から細胞外へ,2分子のKを
細胞外から細胞内へ それぞれ濃度勾配に逆らって輸送する( 能動輸送 )。
酵素 Na,K-ATP aseは、ATP の加水分解に伴う NaとKの輸送の過程で、その分子構造と
NaとKに対する親和性を変化させる. また,ATP の加水分解の過程において, Na存在下で
ATPのγ位のリン酸を酵素に結合した リン酸化反応中間体(EP)を形成し,Kは その脱リン酸化
を促進する。EP を軸とする反応機構は,Na,K-ATPase だけでなく,H-K-ATPaseやCa-ATPase
の反応機構にも大きな影響を与えている。
生理的環境では 細胞内外のATP やNaとKの濃度,さらには その他の陽,陰イオン が EP形成
や分解の速度に影響して,Na,K-ATPase 活性を調節していると考えられる.
※ ATPアーゼは,ATPを分解し,ATPの末端にあるリン酸基を,自分自身のアスパラギン酸残基
に転移(自己をリン酸化)する。次いで リン酸がはずれる。リン酸化と脱リン酸化にともない
タンパク質のコンホメーション変化が起こってイオンが運ばれる。
このような自身のリン酸化を行うポンプは P型輸送ATPアーゼと呼ばれ,Ca2+ を運ぶポンプ
や H+ を運ぶポンプもこの仲間である。これらのATPアーゼは 10本の膜貫通α-へリックスを
もっている。 細胞間の遺伝情報に働くタンパク質
ナトリウム・カリウムポンプ PDBアーカイブ 体内総 K 量は、50〜55 mEq/kg 体重(体重60kg :3,000〜3,300 mEq=117〜129 g)。
この 98%以上が 細胞内液 ( Kの多い臓器: 細胞数が多い骨格筋、赤血球、肝臓など )に、 残りのわずか 1〜2% が細胞外液中に存在する。
※ 1Eq(当量) = 1 mol / イオン価数
カリウムイオン(K:原子量39)〜 1価の陽イオンなので 1mEq/L = 1 mmol/L = 39 mg/L この細胞内外のKの濃度勾配は、Na-K ポンプによって生ずる。NaとK の交換比率が 3 対2
であるため、細胞内は 細胞外に比べ 陰性に荷電し、- 60〜 - 90 mV の細胞膜電位を形成し、
神経・筋細胞では 興奮・収縮に、 消化管や腎臓を構成する上皮細胞では 細胞膜を介した
イオン輸送に 重要な役割を担っている。
成人が 1日に摂取する K量は 50〜100mEq(1950〜3900 mg)(厚労省 日本人の食事摂取基準
2010 年版では、成人のK摂取量の目安は 年齢に関らず 男性は 1日2,500 mg、女性は2,000 mg)で、
小腸から吸収され 血管内(細胞外液)に入った後、骨格筋等の細胞膜に存在する Na-K ポンプ
を介して 速やかに細胞内に移行するので、高K血症が出現することなく 細胞外液の K濃度は
一定(3.5〜5.0 mEq/l)に保持されている。
また、細胞内のKの一部は Kチャネルを介して 受動的に細胞外液に移行する。
Na-K ポンプを介して 細胞内へのKの移行に関与するのが インスリンやアルカリ血症などで、
これらは 腎臓からの K 排泄が抑制されたときに 細胞外液のK濃度の調節に重要。
一方、摂取した Kの 9割は 腎臓から、 残りは 大腸より排泄される。 慢性の下痢が続くと、
大腸からのK排泄の増加で 血液中のK濃度が低下することがある。
副腎で産生される ミネラルコルチコイドホルモンのアルドステロンは、腎臓に加え、大腸からの
Kの排泄を促進する作用がある。
腎臓における K輸送の概略
腎臓は 尿を作る臓器で、その構成単位は ネフロンと呼び、糸球体と それに続く 尿細管 から構成されている。糸球体は 毛細血管の塊で、1日150 ℓ もの血液を濾過し 濾液(原尿)を
つくる。 尿細管は 管状構造を持った細胞で、糸球体に続いて 近位尿細管、ヘンレの係蹄
(ヘンレの細い下行脚、ヘンレの細い上行脚、ヘンレの太い上行脚に分れる)、遠位曲尿細管、接合尿細管、
集合管( 皮質部と髄質部に分れる ) に細分され、原尿が 近位尿細管から集合管へと通過する
間に、再吸収や分泌を経て 最終尿が作られる。
例えば、糸球体で作られた原尿は 尿細管で 99%再吸収され、1日1.5 ℓの尿が産生される。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/63/Histology-kidney.jpg/220px-Histology-kidney.jpg 腎臓の組織像
ネフロンにおける K輸送の概略。
糸球体で濾過されたKの 70〜80% は近位尿細管から、残りの 15〜20%は ヘンレの係蹄 (ヘンレの太い上行脚)から再吸収される。
尿中にある Kの ほとんどは 接合尿細管や皮質集合管から分泌されたもので、その機能を
中心的に担っているのが 主細胞(集合管細胞)。
主細胞のK分泌機序
Na再吸収と連動しているのが特徴。 管腔側膜の Na チャネルと 基底側膜の Na-K ポンプ を 介して Naが再吸収されると、それと連動した K分泌が 基底側膜の Na-K ポンプと管腔側膜
の K チャネル を介して起こる。 主細胞の K分泌調節因子のなかで、アルドステロンが重要。
アルドステロンは 主細胞の ミネラルコルチコイド受容体(MR)に結合した後、Na、K 輸送体
を活性化し Na再吸収 と K分泌を促進する。
※ 腎皮質の集合管では、細胞内Na+濃度が上昇すると Na+/K+-ATPase活性化する。
Na+/K+-ATPaseは K+チャネルと共役的に働く。 Na+/K+-ATPaseで 細胞内で増加する K+イオン は、K+チャネルが働き、これを介して 細胞外に放出される。
Na+/K+-ATPaseは、Na+/H+交換輸送体と共役的に働く。 Na+/K+-ATPaseで、細胞内で減少する Na+イオンは、Na+/H+交換輸送体を介して、細胞外から細胞内に、受動輸送される。
※ 腎臓は エネルギー代謝が盛んな臓器で、腎臓で生成されるATPの90%以上は、Na+/K+-ATPase が消費する。 脳は、基礎代謝量の約20%のエネルギーを消費し、そのエネルギーの50%以上は、
Na+/K+-ATPaseが消費する。
体内の基礎代謝のエネルギーの40%以上は、能動輸送の為、ATPaseが消費する。 ※ 遠位尿細管上皮細胞では、基底膜側(血管側)から Na+/K+-ATPaseで、Na+を血中に汲出し、
刷子縁膜側(尿細管腔側)のNa+チャネル から、尿細管腔の原尿中のNa+を、細胞内に流入させる。
この際、同時に、K+は、血液中から尿細管腔へ転送される。
アルドステロンにより、Na+再吸収が促進される。 アルドステロンは、細胞質内に予め存在する Na+ /K+-ATPaseを基底膜側の細胞膜表面に リクルートさせ、尿細管細胞の刷子縁膜側(尿細管腔側)
では、Na+ チャネル を活性化させ、尿細管腔内(原尿中)のNa+を 細胞内に流入させ、基底膜側
(血管側)では、Na+/K+-ATPase(Na ポンプ)を活性化させ、Na+ を細胞内から細胞外(血管中)に
汲み出すことで、Na+の再吸収を促進させる。
これまでの研究から、Kを多く摂取すると、腎臓からの Naの排泄が増加し、血圧が低下する
ことが知られている。 他に、Kを多く摂取する利点として、脳卒中の予防、腎血管病変、糸球体
や尿細管病変の進行抑制など、多くの可能性が指摘されている。
血中K値が上昇すると 心電図異常が起こり、不整脈が出やすくなる。血中のK濃度が
7.0 mEq/ℓ 以上になると心臓が停止してしまう。
野菜や芋類は、ゆでると Kが溶け出す。 などなど。
(つづく)
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人工放射線 と 自然放射線とは、生体に与える影響は同じか違うか?
先の記事(54)の最後の問いについて補足
セシウムに汚染された瓦礫を焼却すると、少量が主灰に吸着、ほとんどは塩化セシウムのガスになる。
この塩化セシウム(CsCl)は、 Wikipedia には、
に溶けないので、硫酸アルミニウムセシウムは 鉱石から セシウムを精製するのに利用される。
とありますが、CsClなどの塩化物もまた 非常に水に溶けやすいそうです。
一方、P5の主灰にできる CsAlSi2O6 といった複塩は 水に溶けにくく、こうした事情から、
広範な大地に降った セシウム が、水に溶けて 農作物に移行する ことを妨げていると言います。
それは、日本の土壌が 酸性だからだ・・・と。 セシウムの土壌−特に水稲- 日本土壌肥料学会
日本のように温暖多雨な気候条件下では,土壌中の遊離塩基 と 土壌コロイドに吸着している
塩基は 雨水で容易に流亡し,その代りに水素イオンや 置換性アルミニウムが吸着され,土壌は
酸性土壌に移行する。 土壌の酸性化は、土壌母材や土壌コロイド,とくに 粘土鉱物の種類に
よって影響され,石灰岩を母材とする土壌やモリロナイトのような吸着量の大きい粘土鉱物を含む
土壌では 酸性化しにくく、火山灰を母材とするバン土質土壌や花コウ岩を母材とする土壌では
酸性化しやすい。
※ Cs、Srともに、土壌pHが低くなると 移行係数は大きくなる。
日本では 酸性土壌の占める割合が多く,pHは低いため、欧米より移行係数が大きい。 塩化セシウムの毒性について、
(最後の方)
前川委員 そうですね。28日の毒性試験は、8、40、200及び1000 mg/kg/dayの4用量でなされて
いまして、最高用量では かなり 死亡が出ているんですけれども、そこに書いていますように、
腎臓でありますとか、膀胱の粘膜上皮過形成、それから血液系への影響、そういうことを根拠
にいたしまして、NOAEL は 40 mg/kg/dayということになっております。 ただ、40 mg/kg/day
なんですけれども、回復性が余りよくないということです。
それで、今度は 90日の試験がなされまして、90日は 10、50 及び250mg/kg/dayの3用量で なされております。そういたしますと、50 mg/kg/day以上でも 死亡が出てきている。 そして、
組織学的には、推定根拠といたしましては、心臓の局在性の心筋変性、或は 胸腺の萎縮が
10mg/kg/day以上で見られているということで、NOELは 10mg/kg/day未満というこということ
になっております。
ただ、NOELの推定根拠は、そういう 心臓とか胸腺ということですけれども、更に 高用量の 毒性を見ていますと、やはり 膀胱でありますとか、それから 腎臓でありますとか、先ほど 28日
の毒性試験で見られたのと同じような変化が見られております。
それとともに、やはり 血液系にも影響が出ている。更に それ以外に 痙攣というような神経毒性 を疑わせるような所見が見られています。 それから、精巣にも影響が出ている。それから 抹消
神経の方にも変化が出ているということで、非常に 多彩で かつ重篤な変化が出ている・・・。
と。 塩化セシウムは 容易に水に溶けて、セシウムイオン と 塩素イオンになりますから、上のことは、
セシウムそのものの毒性と考えてよいのでしょう。 < 化学物質のリスク管理の一端
――― セシウムは 生体の必須元素である カリウムの代りができるのか?
ということを、引き続いて調べていきす。 体液について。
体液は、
に分けられ、 ※ 体液とは (186)
体重の60% (細胞内液 40% ; 組織液 15%、血液〈血漿のみ〉・リンパ液 4.5%、体腔液等
0.5%)を占める。
※ 脂肪組織は ほとんど水を含まないため、男性に比べて 脂肪が多い成人女性では、体重に
対する体液の比率が小さくなる (男性の8割ほど)。
又、体液比は、新生児で 細胞外液量が多いため 約78%。年齢とともに減少していき、4歳位
で成人と ほぼ同じ比率になる。 一方、老人は、細胞内液量が減少するため 約50%。
組成は、細胞の種類によって 様々だが、
細胞外液は、細胞が生きるための環境で、
陽イオンとして ナトリウムイオン、 陰イオンとして 塩化物イオンが 多く含まれる( 約 0.9%の食塩水
《生理的食塩水》 ・・・生命が生まれた当時の海の環境を体の中に持ち込んだものとされる )。
これら体液中の電解質バランス は 一定に保たれ、細胞の浸透圧が維持されている。
ために必要となる。
※ 人類という生き物の発生から どれ位の年月が経ったのか・・・、100万〜200万年前とも
言われますが、この同じ 「種」も その歴史的変遷の中で 身体的・生理的形質を異にする
「人種」を形成してきました。
今、その一つとされる 塩分感受性⋆というものを見てみます。
人間が その生命を維持するためには、この細胞内の水分の状態を一定に保つ必要がある。
そして、細胞の内と外の水の移動は、細胞内外の塩分濃度の差で決まる。これを調節している
のが、ナトリウム(Na) と 塩素(Cl)、即ち 食塩(NaCl)。
塩分摂取などにより、血液(血漿)中の塩分が増えると、血液は 間質液から水分をとり入れる。
その結果、血液(血漿)の量が増えて 血圧が上がる。
塩分が極端に減ると 逆の現象が起きて、脱水、血圧低下、ショック などが起こり、死に至る場合
もある。
このように、我々の身体には、塩分を体内に維持するための強力な機能が働き、血漿内の
塩分の変動を少なくしようとする ホメオスタシス(恒常性)機能が備わっている。血中ナトリウム 濃度
の変動がかなり少ないのはこのため。
日本人の食生活 (食塩摂取約11g/日) で、摂取した塩分の大部分は 余分な塩分として、
尿に大部分(平均93%)排出され、一部は 汗として排出される。
摂取した塩分により 血圧が変動する人 と 変動の少ない人がいること(塩分感受性と非
感受性)は 昔から知られている。塩分感受性は 人種差があり、黒人は 約80%、白人は 30%、
黄色人種は その中間とされ、日本人は 約半数が感受性があると言われている。このことから、
感受性には遺伝的要因があるとされる。
人類の発祥の地 アフリカのサバンナでは 塩の供給が難しく、汗をかきやすいアフリカで育った 黒人は 体内に塩分を保持する必要から、塩分感受性型の人が多かったが、そこより 暑くなく、
塩が手に 入りやすい地域に移住した人は、塩分を 体内に長時間保持する必要がなくなり、徐々
に 遺伝子が変異し、塩分非感受性の人が増えたと推定されている。
また、年齢とともに 腎機能が低下することも影響して、年齢が高いほうが 塩分感受性は増加
するし、血圧の高い人の方が 塩分感受性の高い傾向があることも報告されている。
⋆ 塩分摂取による血圧の上昇には、腎臓内で 一度排泄された塩分(ナトリウム)が 再び 細胞内
に取り込まれること(再吸収)が関係している。 通常、腎臓における ナトリウムの再吸収は、
アルドステロン の分泌により促進される。アルドステロン は 鉱質コルチコイド と呼ばれる ステロイド ホルモン
の一種で、血液における ナトリウム と カリウム のバランスを調節する働きがある。
アルドステロン が分泌されると、鉱質 コルチコイド受容体(MR)の働きが活発になり(活性化)、
再吸収を促進する。
しかし、塩分の摂り過ぎにより 血圧が上がる場合、血清内の アルドステロン の濃度が下がる にも関わらず 腎臓内のMR が活性化し、ナトリウムの再吸収が促進され、その結果、高血圧を
発症する。
(未完成)
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人工放射線 と 自然放射線とは、生体に与える影響は同じか違うか?
――― セシウムは 生体の必須元素である カリウムの代りができるのか?
IAEAの資料によると、
成人の体内(体重 70kg)の カリウムは 140g(0.2%)、セシウムは 0.0015g(0.000002%)
だとしています(この数値は、研究機関(者)によって 一定していませんが)。
通常 人間の体内にあるセシウムは、カリウムの 10万分の1 という極めて少ない量です。
( 勿論、このセシウムは 天然にある非放射性のセシウム133。 0.0015/140=0.00001 )
※ 体重1kg当りにすると、 カリウムは 2g、セシウムは 0.00002g(0.02mg)
必須元素について
先の記事(53)で、 「必須常量元素」 と 「必須微量元素」 という言葉が出てきました。
「必須元素」というのは、
地球上に存在する 90種の元素のうち、生体が 健康に生命を維持していく上で必要な
元素ということでしょうが、この言葉の ちゃんとした定義を見つけることができません。
先の記事では、
欠乏すると 欠乏症状が起き、それが長く続くと 死亡し、 多すぎると 中毒を起こし 死亡する。
ちょうどいい至適領域は、元素によって狭いもの、広いものがある。
これに対し 必須元素でないものは、欠乏しても 生存率には関係ないが、多すぎると中毒を
起こし死亡する。
ような元素のことだとしています。
必須元素は、常量元素 と 微量元素に分けられ、
必須常量元素は 次の11種あり、生体の 99%を構成する。
炭素(C),酸素(O),水素(H),窒素(N), ・・・ 約97%
リン(P),イオウ(S),ナトリウム(Na),マグネシウム(Mg),塩素(Cl),カリウム(K),カルシウム(Ca)
必須微量元素には、今のところ 次の9種類がある。
鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、セレン(Se)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、
ヨウ素(I)、クロム(Cr)
「必須微量元素」 の定義は、これも 明確に述べているものが 中々見つかりませんが、
1. それなくしては 至適の成長、健康 ないし寿命を維持することができない
2. 正常の代謝に望ましい生理機能を果たす 3. 原則的には 他の元素で代用されず、欠乏した場合 疾患に陥る の3条件を満たすこと、という定義を与えています。
微量元素というのは 大変に 微量なので、
分析機器の発展に伴い 生体の様々な元素と その働きが研究され、さらに 微量の成分
が検出できる機器が開発されてくると、やっと 微量元素の体内での働きが だんだん
明らかにされてきたということのようです。
@ 科学は、どの分野でも 計測器の発明or精密化があって 始めて発展してきたわけで、
今日の人間の知性は 1万年前の知性のままで、これが質的に進化をしたのではありません。
科学の発展というのは、ただ 知性(大脳前頭葉)の過剰負担の結果で、西欧文明の病変に
すぎないのでしょう。
この計測機器の開発と設置には、今日 多額の金がかかるものとなっており、科学研究は、
20世紀初期までの 牧歌的な夢見る ボヘミアン の営みからは すでに ほど遠く、 科学者は
巨大工場の流れ作業の労働者のようなモノになっています。 ライプニッツ や ゲーテ の時代の
ように 宇宙と人生 及び社会の全体を その思惟の対象とする「万能の天才」 は、20世紀以降、
科学自らが駆逐してしまったのでした。 19世紀の ニーチェ は これを 「畜群化」 と名付けました。
科学者は、流れ作業をこなすに 精一杯で、自らの営みに責任を負うことなく、己の為した
仕事の社会的な意味or結果について、思考する暇もありません。 原発事故が起きても、
科学者は 科学・技術そのものに 疑問を懐くだけの精神の自立性を喪失していて、まさに
自分が 「畜群」 の一匹だったことさえ 気付くことができません。そして、ノーベル賞に象徴
されるように、科学の牧舎で草を食んで、その営みを 他に認めてもらうことを栄誉としか
思えない 「家畜」 となっており、事柄を 根本から思惟することは、もはや 彼らには期待
セシウムは、
人の体内に 極めて微量( 1Kg当り 0.02mg )にしか存在していないのですが、
これくらいの量は、生体にとって あってもなくても同じようなものかどうか?
ここに、半数致死量(ある物質を -ある状態の動物に与えた場合- その半数が死に至る量)
という言葉があります。 たとえば、
青酸カリ (シアン化カリウム) は 3〜7mg/kg、フグ毒(テトロドトキシン)は 0.01mg/kg
という量です。
フグ毒は、
抑制することで、活動電位の発生と伝導を抑制し、神経伝達を遮断して麻痺を起こす。
このため、脳からの呼吸に関する指令が遮られ、呼吸器系の障害が起き、それが死につながる。
と言います。すなわち、
セシウム 0.02mg/kgより少ない量で、我々を死に至らしめることができるわけなので、
「 セシウムは 微量だから 無視できる 」とは、必ずしも言えないことになります。
⋆ この辺りの事情は、「生物由来の毒をたずねて」を見て下さい
北里大学学長室通信の演題3には、
大部分の元素が,なんらかの特別な生化学的機能があるかどうか 分かっていない。
全てではないが大部分の元素は、仮に ある特別な化学式で ある濃度以上に食物中にあれば,
人間の体には毒となる。
これは,必須元素には 安全で適正な 摂取濃度範囲があることを意味する。
元素濃度が この範囲を越えたり不足したりした場合,毒性や欠乏症となり健康に問題が生じる。
ある元素に何らかの生化学的機能がない ということは,濃度の閾値⋆は 恐らく毒性を越える
ところにあるだろう。
人体の主な構成元素,即ち 多量栄養素 及び 必須微量栄養素,同じく証明されていないが
疑似必須微量栄養素を以下に示した。
・・・
⋆ 化学物質や温度等の環境変化による生体の反応や中毒・障害の発生し始める最小値
をいう。臭気(悪臭)では 臭いを感知できる臭気成分の最小濃度を閾値とする。
しかし、電離放射線によるDNA障害の場合は、いかに線量を低くしていっても無影響量には
達しないと言われており、安全のため閾値を想定しないことになっている。遺伝子傷害性の
発ガン性物質についても同様の対応がとられている。
そして、 「人間・動物の予想必須元素」として、
フッ素(F)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)
を挙げ、 残りの元素は 今の所 必須ではないが,それらの幾つかは将来必須になるものもあるだろう。
と記されており、
他の資料には、 確定はされていないものの 必須性が確定段階の超微量元素として、
を挙げています。
以上のように、必須微量元素のなかに、セシウムという名は見出せません。
上の挙げた「定義」3条件を満たすことが、‘今のところ’認められていないわけです。
ただ、必須元素であろうとなかろうと、 ・・・ 多すぎると中毒を起こし死亡する わけですが、
では、 セシウムの場合、多すぎるとは どれくらいの量なのか?
(カリウムは、野菜、果実、芋類に多く含まれているが、腎臓の機能が正常で 通常の食生活であれば、
過剰摂取での中毒は、まず起こらない)
――― (51)⋆2 で指摘したように、放射性セシウムの付加的な取り込みによる
セシウムの化学毒性については、問題にしなくてもよい のでしょう。
しかし、上の閾(シキイ)値⋆ の項の指摘のように、
セシウムの放射線影響については、閾値なしとされているとのことです。
(ただし、叙述は ICRPの立場をとって 「DNA損傷」に限っています)
(つづく)
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人工放射線 と 自然放射線とは、生体に与える影響は同じか違うか?
――― セシウムは 生体の必須元素である カリウムの代りができるのか?
ここに、「人体中のセシウム」という 興味深い内容の出所不明の文書があります。
これを 少し見ていきます。
人体に含まれるセシウム
血液:4ppb、骨:10〜50ppb、体組織:約1ppm 人体中の全量約6mg ⋆ 1ppm(パーツ・パー・ミリオン)=100万分の1、1ppb(パーツ・パー・ビリオン)=10億分の1
1ppc=1%、 1mg=1/1000g
※ 標準人間(体重70kg)の元素組成(IAEA資料より)
人体内に多い元素である酸素、水素、炭素、窒素の4つを合わせると約97%である。
さらに リン、イオウ、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、塩素、ここまでが 必須常量元素と
呼ばれる11元素で、全部合わせると99.3%になる。
残りの必須微量元素を全部合わせても 0.7%以下で、これには 鉄、亜鉛、銅、マンガン、セレン、
モリブデン、コバルト、ヨウ素、クロム の9つがある。
必須常量元素と必須微量元素の20元素が人体に必須であることは、コンセンサスが得られている。
これに対し、必須かどうか議論されている元素には、カドミウム、リチウム、ゲルマニウム、臭素、鉛、
アルミニウム がある。
必須元素であることの証明は、歴史的には 鉄とヨウ素が古く、その後が 銅、マンガン などだった。 カドミウム などが必須元素の可能性あり と台頭してきたのは 1970年代以降で、これは測定器が
よくなったことや、環境からの汚染が入らなくなったことなどが その理由に挙げられる。
それでは 必須元素の 「必須」 とは どういうことだろうか。
このグラフ【図1】のように、横軸に元素濃度、縦軸に生存率をとる。必須元素が欠乏すると、
最初は欠乏症状が起き、それが長く続くと死亡する。 多すぎると中毒を起こし、死亡する。
ちょうどいい至適領域は、元素によって狭いもの、広いものがある。
これに対し 必須元素でないものは、欠乏しても生存率には関係ないが、多すぎると中毒を
起こし死亡してしまう。
例えば セレンは必須元素だが、至適範囲の幅が非常に狭い。アメリカでは スーパーマーケットで セレンタブレットを売っており、自由に買って飲める。そこで、自分が考えているより多い量のセレン
を飲んでしまい、髪の毛が抜けたり、爪がガタガタになったりして、病院でセレン中毒と診断さ
れた例があった。セレンの欠乏症や中毒は家畜にもある。中国では、土壌中のセレン濃度が
高い所、低い所があり、欠乏症、過剰症の両方が報告されている。
上の記述からは、セシウムが 必須微量元素だという言葉を見出せません。
よって、本文に戻って ↓
セシウムが 何か生物学的に役割を果たしているとは まだ報告されていない.
だが 恐らく 生体中でのカリウムの一部を置換しているだけだろう⋆1.
化学的には カリウム と セシウムは かなり 類似しているからである.
もっとも,カリウム を除いて 代わりに セシウム を加えた食餌を与えたラットは 二週間以内に 皆死んだ
というデータはある. 従って,少なくとも ラットに関しては セシウムは毒性のある元素であるということ
になる. 確かに,大量に摂取した時に 重大な影響が出現する可能性があるということと,検体の
ラットは 著しい過敏性や発作を起こすことが認められた.
普通のヒトの一日当りの セシウム摂取量は 高々0.03mg位である. これらは 主に カリウムに富む
食品由来のもの⋆2 である.
セシウムは 食物連鎖系に入って カリウムと同様な挙動を示す. セシウム原子は カリウム原子よりも ずっと
大きいが,イオンとなって水和した状態では,イオン半径 として それほど大きな差とはならない⋆3.
植物中の セシウム含量も測定されているが,通常の野菜や果物では 3ppb程度である.ある種の茶
の葉においては 0.2ppmもの値が報告されている.
⋆1 今は、「たぶん、・・・だろう」ではなく、置換している証拠を探しています
⋆2 これは、先の(52) 「日本保健物理学会」の「2)の答え」に齟齬する
⋆3 イオン半径が大きい程、イオンにおける電荷密度が小さくなる為、水和する水分子が少なくなる
よって、水和半径は 小さくなり、粘度も低下するため、移動度は大きくなる。
イオン半径 Na: 95 K: 133 Cs: 169 環境に含まれるセシウム
地殻:3ppm( セシウムは 地殻中で多い方から 46番目の元素 )、土壌:0.1〜5ppb 海水:0.3ppb、 大気:事実上皆無
セシウムは、他のアルカリ金属元素に比べると ずっと希産であるが, ヒ素やヨウ素,ウランなどの元素
より ずっと豊富に存在している.
※ 地殻中の元素の存在度 カリウム:21000ppm、ヒ素:1.5ppm、ヨウ素:0.14ppm
http://livestock.snowseed.co.jp/public/571f58cc/571f58cc60278cea/571f58cc306e69cb621051437d20/571f58cc306e69cb621051437d20.gif土壌の構成元素 — ゆきたねネット
※ 海水の組成
原子力発電所のウラン燃料棒の中には 著しい量の Cs137 が生成する. これは 壊変に伴って
β粒子とγ線を放出する. 困ったことに この放射性核種の半減期は かなり長く,30年程になる
ので,最初の放射能レベルの1% 以下になるには ざっと 200年程が必要となる. このために,
一度 原発で事故が起きると,その周辺の環境は 何世代にもわたって 汚染される結果となる.
1986年の チェルノブイリ の大事故が あのような環境破壊をもたらしたのは このためでもある.
この事故では 極めて 大量の Cs137 が 大気中に放出され, これは 風に乗って 西 ヨーロッパ各地
にまで運ばれてしまった. スコットランドやアイルランド,ウェールズ のような,事故現場から 2000km以上も
遠く離れた地域にまで 放射性セシウムが やってきたのである. 勿論 その後の雨で 洗い流されは
したが, 植物の根から吸収されると,これは 羊の餌となり,体内に 吸収されることとなる.
1994年 (事故より8年後) においても,英国各地の 500以上の羊牧場からの 50万頭以上もの羊は
相変わらず このチェルノブイリ事故の影響を受けているために,きちんと チェックを受けた後でなくては,
肉用に屠殺できない.幸いにも セシウムの体内からの排出される時間は かなり短いので,屠殺前の
数日間,汚染されていない草地で飼育すれば 体内の セシウムは 排出されてしまう.
だが,これでは 土地自体の汚染は 相変わらず解決されないので,何か セシウムの吸収を妨げる
化学薬品で 土壌を処理して,植物に セシウムが入り込むことを防ぐための研究が目下進行中だ.
天然に存在する粘土や鉱物類の中には セシウムを好んで吸着するものが知られている.園芸用品
でお馴染みのバーミキュライト (蛭ひる石) なども その一例であり,この目的に利用されている.
もう一つの提案は,古くから知られていて,ブルーブラックインキでお馴染みの プルシャンブルーがある.
この名称の化合物には 何種類かが知られているが,陽イオンが カリウムやアンモニウムの
タイプのものは セシウム を交換吸着し,中々遊離しない. ドイツ,オーストリア,ノルウェイ等の国々
では,プルシャンブルーのカプセル剤をつくり,家畜類に投与している. カプセル剤にするのは ゆっくり
と作用させる (徐放化) ことを意図しているのだが,このカプセルは 胃の中に数週間は止まるので,
羊の体内に セシウムが吸収されるより前に 捕まえることが可能となる.
ヒトの場合も,Cs137 の影響は プルシャンブルーの投与で かなり有効に除くことができる.低濃度の
放射性セシウムに曝さらされたヒトの場合なら,セシウムの吸収量を低下させるために カリウムを余分に
摂取すればよい (Cs137は 環境上 多大の問題の源となるのだが,一方 婦人科における癌治療
のために このγ線を利用することもある. ただし その例は まだ少ない ).
参考: 生物体の元素組成(対乾物%)
C H O N S P Ca Mg K Na
被子植物 45 6 41 3 0.5 0.2 1.8 0.3 1.4 0.1
哺乳動物 47 7 18 12 2 4 8.5 0.1 0.7 0.7 C、H、O、N、S、P、Ca、Mg、K、Na の10種の元素で体全体の99%を占めるが、
これらの中 動物が 植物より著しく含量の高いのが N、S、Ca、Na、P で、NとSが各々4倍、
Ca が 5倍、Naが 7倍、Pが 20倍となっている。
逆に 動物の方が著しく低いのが O、K、Mgで、O と Kが 植物の1/2、Mgが 1/3。
動物のN、Sの含有率が高いのは タンパク質の占める割合が高いことによっており、 Ca、Pが高いのは 体の 1/3近くを占める骨格が リン酸カルシウムからなっているためである。
又 Na が高いのは 動物の体液が 海水の組成に似ており Na濃度が高いことによっている。
Oの含有率が低いのは 動物細胞には 植物のような セルロースを主成分とした細胞壁がない
ためであり、このことは タンパク質からなる細胞質の占める割合を高くしている。
また K、Ca が低いのは 葉緑素や光合成に関係する機能が 動物にはないことが反映して
いるように思われる。 植物の元素、動物の元素 - e-CLINICIAN
(未完成)
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