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(7) のつづき
ここで、3.11以前の法令の確認をしておきます。
一般公衆の被曝線量限度1m㏜/年を規定する法律
の淵源は、
その第1章総則に、
第1条(目的) この法律は、原子力の研究、開発 及び利用を推進することによって、将来に
おける エネルギー 資源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、もって人類社会の福祉
と国民生活の水準向上とに奇与することを目的とする。
第2条(基本方針) 原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨
として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで
国際協力に資するものとする。
と掲げた 原子力基本法 にあります。
すなわち、この第20条に、
放射線による障害を防止し、公共の安全を確保するため、放射性物質及び放射線
発生装置に係る製造、販売、使用、測定等に対する規制その他保安及び保健上の措置
に関しては、別に法律で定める。
とあり、 これを受けて、
許可届出使用者 及び許可廃棄業者は、放射性同位元素 又は放射性同位元素によつて
汚染された物を工場 又は事業所において廃棄する場合においては、文科省令で定める
技術上の基準に従つて放射線障害の防止のために必要な措置を講じなければならない。
2 第1項「において」を 「 の外において 」に変えたもの
3 文部科学大臣は、放射性同位元素又は放射性同位元素によつて汚染された物の
廃棄に関する措置が前二項の技術上の基準に適合していないと認めるときは、許可届出
使用者及び許可廃棄業者に対し、廃棄の停止その他放射線障害の防止のために必要な
措置を命ずることができる。
この法律で言う 文科省令というのは、
最終改正平成17年 6月2日文部科学省令第36号
で、この 第19条(廃棄の基準)に
許可使用者及び許可廃棄筆者に係る法第19条第1項の文科省令で定める技術上の
基準(第3項に係るものを除く)については、次に定めるところによるほか、第15条第1項
第3号、第4号から第10号まで、第11号及び第12号の規定を準用する。・・・
1 気体状の放射性同位元素等は、排気設備において、浄化し、又は排気することにより
廃棄すること。
2 前号の方法により廃棄する場合にあっては、次に定めるところにより行うこと。
イ 第14条の11第1項第4号ロ(1)の排気設備において廃棄する場含にあっては、
当該設備の排気口における排気中の放射性同位元素の濃度を 文科大臣が定める
濃度限度以下とすること。
ロ 第14条の11第1項第4号ロ(2)の ( 同上 )
ハ 第14条の11第1項第4号ロ(3)の排気設備において廃棄する場合にあっては、
排気中の放射性同位元素の数量及び濃度を監視することにより、事業所等の境界
の外における線量を文部科学大臣が定める線量限度以下とすること。
そして、上の「文科大臣が定める線量限度」というのが、
放射線を放出する同位元素の数量等を定める件
平成17年 6月1日 文部科学省告示第74号
という 文科省告示で、この第14条に、
2 規則第14条の11第1項第4号ロ(3) 及び第5号イ(3)に規定する線量限度は、
実効線量が1年間につき1ミリシーベルトとする。
・・・
3 規則第19条 第1項第2号ハ及び第5号ハに規定する線量限度は、実効当量が
4月1日を始期とする1年間につき 1ミリシーベルトとする。
ずいぶん 回りくどいですですが、やっと ここに 1m㏜/年が出ています。
ところで、文科省は どのようにして これを定めるのかと言うと、
昭和三十三年五月二十一日法律第百六十二号
という法律があり、その第1条に、
この法律は、放射線障害の防止に関する技術的基準策定上の基本方針を明確にし、
かつ、文部科学省に放射線審議会を設置することによつて、放射線障害の防止に関する
技術的基準の斉一を図ることを目的とする。
とあるように、中村氏が会長を務めていた放射線審議会を招集して決めた
わけです。
ちなみに、この審議会の基本方針は 第3条には、
放射線障害の防止に関する技術的基準を策定するに当つては、放射線を発生する物を
取り扱う従業者 及び一般国民の受ける放射線の線量を これらの者に障害を及ぼす
おそれのない線量以下とすることをもつて、その基本方針としなければならない。
と規定されています。
< 放射線審議会:全委員が空席……防護策に影響も 毎日 2013年03月30日
こうして見てみると、中村氏の言動の背景が よく分かります。
すなわち、 氏は 「原子力基本法」の下に 今まで活動してきたわけで、
原子力の研究、開発 及び利用を推進することによって、将来における エネルギー 資源を
確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、もって人類社会の福祉と国民生活の水準向上
とに奇与することを目的とする。 (原子力基本法 第1章)
ということが、骨の髄まで 刻印されている人なのでしょう。
福島第一原発事故を経て、なお 原子力の研究・開発 及び利用の推進が、
人類社会の福祉 と 国民生活の水準向上に寄与するということを信じ得るには、
フクシマを 「 大したことない 」と思わねば、 氏は 論理的破綻に直面し、功なり
名遂げた その人生が破綻してしまいます。
これは、原子力基本法の下に歩んできた戦後民主主義国家 そのものにも
当てはまることでしょう。 国家政策としてきた原子力推進が失敗だったと認める
ことは、単に 世情喧伝されているような 原子力ムラの卑しい私的利害の問題
だけではなく、戦後国家体制( 国民が 戦後 営々と苦労して築いてきたもの、即ち わが
人生〜生活様式や価値観など〜そのもの )の破綻を認めることでもあります。
それ故、多くの国民は、自らの 現在 と 過去を救うために、挙って 原発事故
は「 大したことない 」としなくてはならなくなり、「 完全に コントロール されている 」
と言うことができる 安倍氏を首相にしたのでしょう。
だが、そこに 完全に抜け落ちている(コントロールされていない)のは、未来です!
この一般公衆の実効線量限度 1m㏜/年と言われるものの法律を見て、
我々は たいへん奇妙なことに気付きます。
それは、まず、法が これを守るべく規定している義務主体です。
義務付けているのは、「 許可使用者及び許可廃棄業者 」であって、行政でも
一般の国民でもないのです。
或は 例えば、敷地を放射能で汚染された幼稚園の経営者でもないのです。
フクシマを経験した我々は、
原発事故が 車運転過失事故や工場の爆発炎上事故などと比較にならない
国土が失われるほどの大災害であり、事故を起した業者だけで その義務を
履行できない規模になることを知りました。
原発推進政策は、国家が主導的に為したわけですが、この国家行為に
対する義務規定は 存在しなかったのです!
すなわち、国家が 年1m㏜の被曝線量限度を守る義務は、法律のどこにも
規定されていなかったのです。
「 事業者には 国民を放射線障害から守る義務を課し、国家は 国民を
放射線障害から守る義務はない! 」
――― という法体系になっているのでした。
我々は これを どう受け取ったらよいのでしょうか?
一体 この日本国家とは 何モノ でしょうか?!
そして、
この国の放射線障害防止を担った審議会会長だった中村氏は、当然に
このことに 応分の責任を負っていたはずで、事故後の氏の言動は 自らの
責任を免れる意図がなかったとは、恐らく言えないでしょう。
経産省・厚労省管轄の規定は、 < ガラスバッジ(11) を参照。
放射線障害防止に関する関連法規は、民主・自主・公開の原子力基本法の三原則に
基づいて制定されており、中心となる法規は「放射性同性元素等による放射線障害の防止
に関する法律(略して放射線障害防止法)」である。 放射線障害防止法は、政令、規則、
告示等により更に細かく規定されている。
法律及びそれに関連した政令、規則等がある。 ・・・
(つづく)
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千葉県
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(6) のつづき
中村氏の文章 の基本的な立場は、
まず、【第2回までの測定結果から】では、
東葛地域の放射線量は、「 騒ぐ程の 大したものではない 」との メッセージを
① 事故以前の バックグランド との比較で
・ 通常の バックグランドの2倍から、高いところで10倍以内であるが、数値は 1μ㏜ より
十分低く、0.1〜0.5μSv 程度である。
② 福島などとの比較で
・ 数値は 1μ㏜ より十分低く、0.1−0.5μSv 程度である。 この数値は 1を超えている
福島県内の高い地点の値より十分低い。
・ 関東の他の地区と比べても 例えば、茨城県北部は これより高い所もあり、もっと数値
の高い福島県民は この騒ぎをどう思うだろうか。
③ 大気圏核実験の影響との比較で
・ 1960年代の大気圏核実験が世界中で盛んに行われていた頃の東京近辺で、気象庁
が長年に渡って測定してきた Cs-137 の空中放射能濃度は 今より 1万倍も高かったこと
を考えると、この数値は心配の必要が無い。
④ 宇宙線や大地からの自然放射線との比較で
・ 緯度や高度が高くなると、宇宙線の線量は増えるし、日本でも世界でも 自然放射線の
線量がもっと高いところは いくらでもある。
と 縷々述べ、
放射線に対する正しい知識の普及が重要である。
と言って、「もっと勉強しなさい」と 我々無知な民衆を諭しています。
つまり、「 玄人の専門家の言うことを ちゃんと聞いていればよいのだ 」と・・・。
次に、【ICRP勧告について】と表題を付して、
従来の国内法について、
・ ICRP勧告は 国内法令の基礎になっています
とし、一般公衆の線量限度 年1m㏜は、
・ 安全と危険の境とは 全く違う数値で、
これは 平常時において、放射線を使用する施設がこれを超えないように施設を管理する
ための基準です。
特別の場合は 1年当たり 5m㏜までは許されています。5年間平均で 年1m㏜を超えない
という規定はありません。
と、正直に述べています。
武田邦彦氏は 色々仰っておられますが、やはり 中村氏の この言は 正鵠を
得たものだと思います。
この線量限度は、社会的認知を得て、原子力利用を可能にするための基準で
しかなく、原子力利用を迷惑だと考える人には、1m㏜/年は 原子力推進勢力
による社会的横暴としか思われないものでしょう。
すなわち、1m㏜/年を受け入れるということは、原子力利用を容認するという
ことと同義なわけです。
以下、日本人であるはずの中村氏は、
・ 今回のような非常時は 年当り 20〜100m㏜、現存被曝(回復時)では 年当り 1〜20m㏜
が適用されます。
今は この1〜20m㏜ が適用されるでしょうが、この範囲は 各国が状況に応じて決める
ものです。
・ 多大の人員と費用を掛けて、年1m㏜以下にすることは無駄な努力であり、ICRP が掲げて
いる ARALA (As Low As ReasonablyAchievable) の精神とも反するものです。
と言っています。
すなわち、ICRP勧告を演繹して、被曝環境下での対処の仕方について、日本人
に ご託宣を垂れているのです。彼らを 日本国の法律による保護から外して・・・。
氏は 日本国民に対する ICRPの思想の伝道者となっているのでしょう。
何も 我々一人一人が、ICRP信仰の帰依者となるべく洗礼を受けたわけでも
ないのに、 ICRPの勧告を受け入れるのが当リ前だと言わんばかりです。
@ こういう,主観的な親切心からの 他者への 自己の信念の強引な押し付けは、
キリスト教徒の布教態度と よく似ています。
創造主の意志と 彼らが信ずるものを盾にして、本音の所で 異教徒に軽蔑的な
姿勢で対するのは、科学者一般にも よく見られることです。
科学が、キリスト教の世界観を根として 成長してきたものだ と言われる所以が
ここにも見られるのです。
@ ICRP報告は、原子力推進の立場の人々の中でも、これに対する異論は
左から右まで 色々あるようですが、 しかし 勿論 原子力利用を是とすること
を前提にしているわけで、 利用を抑制し 制限する立場は 受け入れがたいもの
としています。
このことは、その ARALA原則に 象徴的に表れています。
最後の 【措置(対策)について】 は、なにも具体的な提言はなく、ただ
①除染は 不必要。むしろ、除染に 多大な費用を掛けることは問題だ。
・ したがって、除染の必要はありませんが、どうしても気になるのであれば、特に高い
数値を示す箇所だけ、土を混ぜるとか取り除くとかの処置をすれば いいと思います。
・ いずれにしても、このようなことに多大の費用を掛けるのは問題だと思います。
②内部被曝の心配はしなくて良い。 ・ 内部被曝を問題にしている人もいますが、セシュウムは土に しっかりと固着され空中
に飛び散ることはありません。 したがって、今は 外部被ばくが問題です。
・ たとえ 土まみれになったとしても、洗えばいいし、大体1 年間のうちに少しの時間
土まみれになったとしても、受ける線量は 1年間で見れば ごく微量です。 ・ やたら 神経質になるのではなくて、物事を科学的に合理的にみることが重要で、 冷静になることが必要です。
の如く、やたらと騒ぐのを止めて、今まで通りにしていなさい、というものでした。
つまり、氏のメッセージは、福島第一原発事故による 広汎な放射能汚染は、
「 何んにも心配することはなく、大したことではない 」というもの、いわゆる
「 安全・安心 」メッセージなのでしょう。
ちなみに、 この文書が出された 2011年7月8日前後の様子は、 ↓
< 再び、「官僚は 誰のために ... 6月11日
< 地方の自主性 6月21日
◇土の入れ替え署名1万人 (千葉県柏市)
3歳と1歳の男児がいる市内の主婦、大作(オオサク)ゆきさん(33)らが 幼稚園・ 学校や公園の土の入れ替えなどを求めて署名運動を始めると、周辺の「幼稚園
ママ」らの口コミで、署名は1万人を超えた。
しかし、市から具体的な返答はなく、長男が通う幼稚園も放射線対策には消極的 という。 大作さんは「 7月から休ませようか 」と思い悩む。
同様の署名の動きは 栃木県や茨城県、東京都の父親や母親にも広がる。 大作さんは「 みんな、わが子が心配なんです 」。 柏市や千葉県我孫子市では、
園庭の表土を削り取る作業を実施した幼稚園もある。
一方、千葉県には、公式の測定場所が県内1カ所しかないことに批判が集中。
県が 5月末から小学校などの放射線量測定を始めたところ、柏市内の公園で 1時間当り0.54μ㏜を記録。南南東約50㌔の公式測定場所では同約0.08
μ㏜で、父母の不安を裏付けた。
同市など県北西部6市も「東葛地区放射線量対策協議会」を結成し、独自測定 した結果、流山市内の公園で最高0.65μ㏜を記録した(6/14 50cm)。
調査結果は、文部科学省が定めた校庭などの利用時の暫定的目安の1時間 当り3.8μ㏜を下回る。だが、保護者が懸念するのは、8割超の地点で、同省が
目標値とする年間限度1m㏜から逆算した同0.19μ㏜を上回っていることだ。
県の調査で 市内で唯一、同0.19μ㏜を上回った野田市の保育所は、20日
から砂場とすべり台周辺の立ち入りを禁止した。保育所長は「 これから泥遊び
をさせたいのに 」と言葉少な。 根本崇野田市長は「 騒ぎすぎと言われようと、
市民の不安を払拭(フッショク)しなくてはならない 」と説明する。
6市の調査で最高値が出た流山市の公園では「 数値を下げるため 」として、
急きょ草刈りが実施された。
都内でも、放射線量を独自測定し、結果を公表する動きが広がっている。
一部報道で 「 ホットスポット 」がある と指摘された葛飾区では 5月以降、住民 からの問い合わせが殺到。今月2日から区内7カ所で放射線量の測定を始めた。
結果は 毎時0.1〜0.2μ㏜台で推移。同区はホームページと広報誌で結果を
公表し、希望者にはメール配信もしている。
< 放射能汚染の広がり(1) 7月14日
千葉県柏市は 10日、市内の清掃工場で発生した焼却灰から 7万㏃/㎏を
超える放射性 セシウム を検出したことを明らかにした。
(つづく)
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(5) のつづき
先の記事で紹介した 千葉県柏市への一市民のメールように、
事故直後の4月19日 文部科学省が その4局長名で、
福島県教委を筆頭に 県知事及び福島県内の関係者に通知した奇妙な文書⋆1
福島県外の地方自治体が 自ら進んで、その管轄地域に適用したことは、
驚くべきことです。
⋆1 このような 大変 重要な文書が 総理大臣でも文科大臣でもなく、文科省の
局長レベルでしか発出されなかった所に、事柄の矮小化の意図が見て取れます。
「 これを重大視する者もいるが、そんなに大した問題じゃないんだよ 」と・・・。
然るに、この文書は 福島県外にも 国の放射線防護の法律を逸脱する法規違反
を誘発してしまったのです!
今となっては、文科省をはじめ 国の行政機関の意図は、まさに ここにあったのだ
ということが分かります。3.11前の法律を なし崩し的にチャラにしようという・・・。
彼らは、実に 頭がよく、こういうことに長けています。
しかるに、どうでしょうか?
国(文科省)の放射線防護の法律作定の中枢にいた中村氏⋆2は、
今は この1〜20m㏜ が適用されるでしょうが、・・・通常 自然放射線で 日本人が 1年間
に受ける線量が 約1.5m㏜であることを考えると、多大の人員と費用を掛けて 年1m㏜
以下にすることは無駄な努力であり・・・
と。
ICRP勧告を、日本国に適用する権限の所在が 実に 不明瞭で、これは 十分に
検討を要しますが、 さらに これを 千葉県に適用するのを 当然のごとく言い、
福島への文科省通知を 県外に拡大解釈することを、あっさり認めているのです。
しかも、かって 法律を作る立場だった人⋆3 が、今は 単に 東北大学 名誉教授
という資格だけで、地方自治体に その法律の逸脱行為を勧めているのです。
第四条 文部科学省に、放射線審議会(以下「審議会」という。)を置く。
第五条 審議会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。
1 審議会は 前項に規定する事項に関し、関係行政機関の長に意見を述べることができる。
第六条 関係行政機関の長は、放射線障害の防止に関する技術的基準を定めようとする
ときは、審議会に諮問しなければならない。
⋆3 現・放射線審議会の丹羽大貫氏も、やはり文科省の福島県内の学校等に対する
「暫定的な考え方」策定に、当然 関与していたはずです。
柏市民は 勿論 一般国民の誰も、 ICRP勧告 や 従来の線量限度1m㏜/年を
逸脱することを認めていない状況の中で、 放射線について無知な地方行政に
自らの主張を聞かせ、議会の承認を経ることなく 行政行為として 法規違反を
勧める 氏らの強引な態度は、非常時とはいえ かなり乱暴なことです。
しかし、中村氏の この行為は、
災害の際の 「防災基本計画」⋆4 に その淵源があるのだろうと考えられます。
の最上位計画と位置付けられるもので、
その特徴は、
第2章 防災の基本方針
○ 防災とは,災害が発生しやすい自然条件下にあって,稠密な人口,高度化した土地利用, 増加する危険物等の社会的条件をあわせもつ我が国の,国土 並びに 国民の生命,身体
及び財産を災害から保護する,行政上 最も重要な施策である。
・・・ 略 とあるように、「 災害対応に 第一責任を負うのは行政である 」という思想です。
この度の震災に際して、政治家が 政治抗争に明け暮れしていたのは、この
防災基本計画において、政治家は 一住民として扱われて 震災対応の蚊帳の
外に置かれ、何も役割を与えられていない所に 大きな要因があったでしょう。
この計画では、政治家や住民は 国家の主体ではなく、行政行為の客体でしか
ありません。 つまり、住民は、行政に 生命・身体 及び財産を保護される対象
としてしか その社会的存在を許されず、 これを 自ら守る主体であることを否定
されているのです。
「 それは あなたが 自ら守るのではなく、我々行政が守るんですよ 」と・・・。
@ また、 オフサイトセンター が機能不全になった所に 端的に見られるように、防災基本計画
は原子力災害について、犯罪的とすら言えるほど 過小評価していました。
中央防災会議は、平成7年 阪神淡路大震災 および、平成11年 JCO臨界事故を経て
なお、甘い想定の下に 「原子力災害対策編」を作成しました。
これは、通産省や科学技術庁など原発推進省庁主導の原子力災害対策特別措置法
を正当化するためのものでしかありませんでした。 自民・公明政権下でのことです。
@ 3.11の大地震の前に、三陸沖で M5以上の群発地震が起きていました。
中央防災会議は、この前兆現象に対して どういう対応をしたのかということは、
寡聞にして 私は知りません。
それ故、行政の手足となって(?)動く 専門家である学者らが、中村氏の如く
行政の意を体して、住民が 自ら生命・身体を守ることを抑制すべく、あちこちで
自由奔放な活動を繰り広げたのは、当然と言えば 当然のことでした。
しかし、
これは 直接 中村氏に対してではないが、
特定非営利活動法人 放射線安全フォーラムの理事長・加藤和明氏の放射線審議会
の現会長・丹羽大貫氏の言動に対して、
昨日知人に教えて戴いたところによると、2月16日に開かれた第126回放射線審議会
終了後、丹羽会長がNHKのインタビューに応えた中で「地元の農産物の生産者にもっと
配慮する必要がある」というような意見を述べていたということである。
私は、このような Political Judgment を放射線審議会なり その会長なりが表明する ことは良くないし、すべきでないと思う。 私も、丹羽さんの その意見には全く同感である
が、そのことと モノの道理とは別のことである。
放射線審議会は、純粋に学術的見地から諮問されたことに対して見解を示すべきであ って、財政上の配慮とか 政治的配慮といったことは考慮に入れるべきではないと考える。 また、
ICRPを神のごとく扱う者がいるとすればそれがおかしいのであって、NPOの一つ
であるICRPに対しては 本来 “是々非々”で臨むべきものなのである。
と苦言を呈しています。
ともあれ、私の不審は、
「 なぜ、中村氏は このような文書を書いたのだろうか? 」 ということです。
今まで 放射線を取り扱うことは、国の内外において 一般の目に触れない所で
行われてきたため、放射能は 我々の日常に無縁のものと言っても 過言では
ありませんでした。
しかし、3.11 の福島第一原発事故で、多くの人々の日常生活の場が 突然
放射能の被曝環境の只中に置かれたわけです。
したがって、
その時、数少ない放射能の専門家以外には 五感では捉えられない放射線への
対処が分からず、行政も 一般の我々も 皆、彼ら専門家に 自らの運命を委ねざる
をえなくなりました⋆5。
⋆5 科学技術を基礎にして社会or国家を成り立たせるということは、必然的に
このような状況に 我々自身を置くということになってしまいます。
つまり、科学・技術者に 自らの運命を 身ぐるみ委ねるという・・・。 この時、
専門家(集団)は、我々に生殺与奪の権をもつことになり、我々は 彼らを信用
するしかなくなり、丁度 中世ヨーロッパのように 専門家(集団)が 真理の託宣を
する聖職者となります。
それゆえ、中村氏ら 放射線の専門家には、大変な期待が寄せられ、氏も
その主観では、行政の露払い or エージェント としてではなく、一私人として 自らの
専門性を 社会の危難に際して 役立てようとの責任感で、自主的に活動された
のかもしれません。
しかし、今 私が問題としたいのは、氏の主観ie.その責任感の質なのです。
(つづく)
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(4) のつづき
中村氏の文章 【第2回までの測定結果から】の 2)に、
先週、郡山と南相馬の小学校で放射線の話をしたが、
思った以上に生徒、先生、父母が落ち着いているので安心した。
と語られています。
先週ということは、6月の末⋆に 福島県を訪れて講演をされたのでしょう。
氏を 福島に呼んだ人たちがいたわけで、なぜ 郡山と南相馬だけだったのか?
という疑問がありますが、 いづれにしても、氏を招聘した人or機関の意図は
生徒、先生、父母 を 安心 させ 落ち着かせる ことにあったことは確かでしょう。
また、中村氏には 住民が落ち着いていることに安心はしても、そのことが異様
とは感ぜられなかったわけです。
⋆ 県内7方部 環境放射能測定結果 23.6.1〜6.30
『橘小放射線測定値報告中断のお知らせ』
先日来、本校独自で実施した校舎内及び校庭等の放射線測定値をホームページに
掲載してまいりましたが、インターネット 等での測定値の発表は、文部科学省や県など
公的な機関が測定したものに限るとのことから、今週からホームページへの掲載は
中断することになりました。なお、学校独自の調査はこれまでどおり継続し、数値の
推移等については、学校便り等で保護者の皆様にお知らせしてまいりますので、
ご理解いただきますようにお願い致します。
【緊急情報】 2011-04-26
※ 橘小学校 (郡山市)
1m 50cm 単位:μ㏜/h
4月7日 3.3 4.6 (23.4.8更新)
< 文科省よ! (1) 5月26日
@ 県内7方部 環境放射能測定結果 23.4.1〜23.4.30
福島県小学校等に関する線量評価 2011年4月14日
日本原子力研究開発機構安全研究センター この年間積算線量評価では、 1m 屋外(μ㏜/h 4月6,7日) m㏜/年⋆
二本松市立岳下小学校 16.7 10.7
伊達市立保原小学校 11.83 7.63
福島市立大久保小学校 10.8 7.03
福島市立第一小学校 9.30 6.20
郡山市立金透小学校 8.13 5.20
須賀川市立第二小学校 7.04 4.43
南相馬市立原町第一小学校 6.18 3.98
郡山市立熱海小学校 3.76 2.42
田村市立船引小学校 2.39 1.56
・・・
⋆ 外部被曝と再浮遊核種の呼吸摂取による内部被曝の合計
すでに見たように、この推計で使った建屋等の遮へい係数 0.4
というのは、実際とは かなり異っていました。 恐らく 氏は、すでに こういう内部資料を入手した上で、一般の人々への
メッセージを発していたに違いありません。
ただ しかし、この積算実効線量の推計は、
環境試料の採取日(4月6日又は5日)からの1年間での実効線量を評価
したとしているように、初期の大量被曝は 考慮外なわけです。
国・文科省も、先の記事で指摘したように氏も、この初期大量被曝がなかった
ことにし、これにホウカムリして、モノを語り 事態に対処しようとしてきました。
こうした所に、行政や権威筋の学者らに対する 我々の不信があるわけです。
もし、初期被曝を考慮すれば、子供や妊婦はじめ 大量の人々を被曝環境
から引き離すという選択をせねばなりませんが、彼らは この選択肢を 相当
初期に放棄しました。
それゆえ、
自分らが引き起こした事態に居直って、その原因or責任を他に転嫁し、
法律を盾に 自己を守り、損害の規模を少なく見積もり、己の不始末を
被災住民はじめ国民に尻拭いさせる。そして、親切の押し売りを 臆面
もなくする・・・ ―――という道しか、彼らには残されていなかったのです。
国のためではなく、一に 彼ら自身の都合で・・・。こういうのを 世間では
「居直り強盗」と言うのでしょう。
氏の主観としては、一応
福島県と比べて 汚染の少ない東葛6市なのだから、そんなに騒ぐことはない
だろう or 騒ぐのは迷惑な話だ というような感覚なのでしょう。
曰く。
「 今後の測定は もっと回数を減らし、場所も もっと少なくして、・・・
茨城県北部は これより高い所もあり、もっと数値の高い福島県民は この騒ぎを
どう思うだろうか。 放射線に対する正しい知識の普及が重要である。
東葛地区のような低い線量での被ばく線量の推計は 非常に困難であり、
それを 国に求めるのは無理な話です。
除染の必要はありませんが、どうしても気になるのであれば、特に高い数値を示す
箇所だけ、土を混ぜるとか取り除くとかの処置をすれば いいと思います。
いずれにしても、このようなことに多大の費用を掛けるのは問題だと思います。」
と。
しかし、シロウトは、専門家や行政ほど 甘くはないわけで、
中村氏の 7月8日付文書には、↓ のような疑義を 黙殺しているのです。
2011・07・02
「・・・
6/27に発表された「よくある質問と回答」の記事中の『【一般的なことについて】
放射線量の基準はありますか?』の回答として
「一般の人が受ける放射線量としては、国際放射線防護委員会(ICRP)が2007年に 勧告を出しており、その中で 一般の人に対する放射線量の指標を3つの範囲で設定
しています。 緊急時は 20〜100m㏜、緊急事故後の復旧時は年間1〜20m㏜、
平常時は年間1m㏜以下としています。
国の原子力安全委員会においても、この勧告を踏まえた考え方を示しています。」 とあります。
しかしながら、わが国における放射線に対する一般公衆の被爆限度は、
「放射線障害防止法(年間1m㏜)」があり、労働基準法では、
総被曝量(外部被曝+内部被曝)が、0.6μ㏜/h以上となる場合、18歳未満の
作業を禁止して「放射線管理区域」を設定しなければならない。
と明快に規定がございます。 又、学校や公園の放射線量測定値の結果公表の本文中には下記の表現があります。
「文部科学省が示している校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安(1時間当り 3.8μ㏜)、さらには、放射線量低減策を実施する場合の指数(1時間当り1μ㏜)を
下まわりました。」
上記文部省の通達に関しては、福島県のみに適用されるものであり、福島県以外の地域 では 放射線障害防止法(年間1m㏜)のみが適用対象となるものです。
柏市の対応は、平常時ではないということのみをもって、上記 法令違反を犯し、 一方、拘束力が無く、より基準の緩い、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告 や 文科省
の福島県向けの基準のみが あたかも放射線量の基準であるかのような表現を行っており、
市民を欺いているとしかいえない と思われます。 現在柏市で放射線に関して適用可能な法令は、「放射線障害防止法(年間1m㏜)」と 「労働基準法」のみです。
上記法令に従って、年間1m㏜以上の被曝の恐れのある場所(学校校庭や公園) の表土除去等の除染作業及び、外部被曝+内部被曝で0.6μ㏜/時を超える
恐れのある場所の「放射線管理区域」の設定等、速かに真摯な対応及び広報を
行って頂くよう、切にお願い申し上げます。
上記のメールに対する回答はまだありません。 私の市に抱いている疑念は、上記の通り、わが国には一般公衆の人工放射線による被曝 の限度に関する法令が存在するにもかかわらず、市は これに一切触れず、より基準の
ゆるい ICRPの勧告や、文部科学省の福島県向けの通達のみによって行動している点です。
上記に紹介した、広報かしわの市長の言葉にも 本来 市が遵守すべき法令に ついては 一切 触れられていませんでした。 ・・・ 」
市へのこのメールは、
実に 道理に合ったことで、これに 正々堂々と答えられない所に、中村氏ら
権威筋の専門家 及び行政のアキレス腱があるのでしょう。
中村氏の文書のほぼ1か月後の8月4日 放射線審議会が、氏の後任会長
・丹羽太貫氏の下でなされ、 その議事録 には、
【米原委員】
様々な基準が様々な考え方に基づいて、統一された考え方がなく決められ
てきてきたと思う。それで混乱を招いているというところがあるのではと思う。
・・・
【大野委員】
さらに、なぜ暫定値というものがあったのかとか、そういうところから遡らないと、
ほとんどの国民の誤解が解けないと考えている。
【甲斐委員】 (大野委員の御発言の趣旨は) 恐らく放射線基準の特性というか、 緊急時の基準、現存基準、計画基準というのは、一般社会では、なぜ緊急時では
違うのかと、なぜ1m㏜じゃないのかと、そういった御意見が沢山ある。そういった
疑問に対して もう少し丁寧に説明していくべきであると思う。
現存被曝における、食品等の基準を考えるにしても、なぜ そういう基準が必要 なのか、その基準は どんな意味を持っているのか、どういう目的に使うのか、
そういったことを シッカリ 国民に丁寧に説明して頂きたいという意図かと解釈する。
・・・
といった議論が交わされていました。
ただ、委員の人々は、丁寧に説明すれば誤解が解けると思っているところは、
やはり 非常に甘いと言わざるを得ません。
@ 暮らせる郡山 2013年5月11日
事故後2年を迎えた今年の3月に、市内9カ所の公園132カ所で計測を実施
しました。その結果、「放射線管理区域0.6μ㏜/h」を超える箇所が全体の
56%、昨年9月の計測に比べ線量が上昇したカ所が33、降下カ所が46ある
ことが明らかとなりました。
過去のデータはこちら (福島県HP)
県内各市町村 環境放射能測定結果 24.3.1〜24.3.31
県内7方部 環境放射能測定結果 24.9.1〜24.9.30 「測定結果は0.03〜0.16μ㏜/時で、平成23年4月19日に文部科学省から
発表された福島県内の学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方
についての目安3.8μ㏜/時を下回っております。」
↓
平成23年10月10日災害廃棄物安全評価検討会・環境回復検討会 第1回合同検討会
追加被曝線量は、空間線量率の測定により確認することができ、追加被曝線量年間1m㏜は、
一時間当たりの空間線量率 (航空機モニタリング等のNaI シンチレーション式サーベイメータによる) に
換算すると、毎時0.23μ㏜にあたる。
平成23年10月21日
加藤和明
厚生労働省が食品の含有放射能についての管理基準値を定め 4月1日から施行する
ところとなった。現行の国の制度設計においては、その当否を放射線審議会に諮問する
こととされて居り、放射線審議会は 2月16日に審議を行い了承したということである。
昨日知人に教えて戴いたところによると、2月16日に開かれた第126回放射線審議会 終了後、丹羽会長がNHKのインタビューに応えた中で「地元の農産物の生産者にもっと
配慮する必要がある」というような意見を述べていたということである。
私は、このような Political Judgment を放射線審議会なりその会長なりが表明すること は良くないし、すべきでないと思う。 私も、丹羽さんの その意見には全く同感であるが、
そのことと モノの道理とは別のことである。
放射線審議会は、純粋に学術的見地から諮問されたことに対して見解を示すべきであ って、財政上の配慮とか 政治的配慮といったことは考慮に入れるべきではないと考える。
第4回 低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ 2011/12/15
児玉龍彦氏 VS 丹羽大貫氏
原爆、チェルノブイル、スリーマイルアイランド事故でのこれまでの疫学調査の結果に基づけば、
現在の福島の多くの地域での放射線量は、たとえお子さんであっても健康影響は検出
が困難なレベル だと言えるでしょう。その一方で、過去の大規模放射線被曝の解析は、
科学が予測する健康影響よりも、心理的・社会的なものに起因する色々なインパクトの方
がよほど大きいことを教えています。このような教訓の下に、科学に則したきめ細やか
な除染、線量管理、健康管理などに加え、心理的・社会的影響を最小にとどめるべく、
国民の全てが福島県民と心をあわせることが必要です。その一助になり得ることを
念願しています。
(つづく)
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(3) のつづき
このシリーズを書き進めることに、疲労感が募ってウンザリしています。
なぜ、こんなバカらしいことに時間を費やさなくてはならないのだろうと・・・。
しかし、勇を奮い起して、もう少し 前に進んでみます。
◇ ◇ ◇ ◇
市原市の月間降下物 定時降下物のモニタリング
MBq/km2・月 = Bq/m2・月
I‐131 Cs-134 Cs‐137
平成23年 3月分 20000 4400 4900
4月分 44 310 360
5月分 2.3 57 68
6月分 − 21 25
7月分 − 13 17
8月分 − 6.4 8.5
9月分 ー 6.8 8.9
10月分 − 3.9 5.7
11月分 − 3.5 5.0
12月分 − 13 18
平成24年 1月分 − 7.1 11
2月分 ー 8.0 11
3月分 − 9.5 15
4月分 − 3.9 5.4
5月分 − 3.7 5.1
6月分 − 2.0 2.8
7月分 − 1.9 2.7
8月分 − 2.7 4.0
9月分 − 1.6 2.4
10月分 − 1.0 1.6
11月分 − 2.3 3.8
12月分 − 2.7 4.4
平成25年 1月分 − 1.5 2.6
2月分 − 3.2 5.5
3月分 − 5.0 9.1
4月分 − 2.5 4.6
5月分 − 1.9 3.6
6月分 − 0.98 1.8
7月分 − 0.82 1.7
8月分 − 0.89 1.9
氏は、その文章 の最後の所で、
なお、・・・今は 外部被ばくが問題です
と言っていますが、これは 実に恐ろしい言葉です。 科学者は 一般の我々に
このように 冷酷なことを語り得るということの一例でもあります。
「今は」ということは、「今までは」 どうであったか ということは保証していない
わけなので、一応 誠実な言葉に見えますが、かの枝野官房長官の「 直ちに
健康に影響はありません 」と同類の誠実でしょう。
肝心なことを 意図的に言わないことによって、人に 過った判断をさせるやり方
ですから、これを ふつうは 詐欺と言うのでしょう。
東葛6市は、上の市原市から推測されるように、事故直後の 3月,4月には、
膨大な放射性降下物に襲われていたわけで、外部被曝はもとより、すでに
相当量の内部被曝環境にあったことを、氏は 黙して語らず、これを無視して
なお、内部被ばくを問題にしている人もいますが、・・・
今は 外部被ばくが問題です。
「 済んでしまったこと(初期被曝)は 忘れなさい⋆ 」 と言っているのでしょう。
⋆ 「なお、福島県では県民の積算被曝線量評価が進められていますが、東葛地区の ような低い線量での被曝線量の推計は 非常に困難であり、それを 国に求めるのは
無理な話です。どうしても ということであれば、福島県でやり始めている方法を使って
自治体独自でやることも出来ますが、ものすごく大変な作業量を伴い、不可能だと
思います。」 と、氏は言っています ※。
そして、
やたら 神経質になるのではなくて、
物事を科学的に合理的にみることが重要で、冷静になることが必要です。
と忠告するのです。
それでは、氏が「重要」と語る 「物事を科学的に合理的にみること」とは何か?
3.11の前後で 降下物はどうだったか を見ると、
Cs‐137 試料採取開始日
これをみると、
事故が起きた 3月の稲毛区の月間降下物(Cs137)は、南隣にある市原市の
1.7倍もあったようです。
稲毛区の土壌汚染は 1〜3万㏃/㎡ですから、 3〜10万㏃/㎡ だった東葛地域
の降下物は、1万㏃/㎡以下だった市原市は もちろんのこと、稲毛区よりも
高い値だったことが推測できます。
市原市の降下物は、3.11 の前後で比べると、1700000 即ち 170万倍
だったことになります。 2011年1月分 0.049㏃/㎡、3月分 8500㏃/㎡
また、1963年 東京の6月の月間降下物 550㏃/㎡ と比べて 約21倍以上、即ち
核実験による Cs137降下物の ピークとされる 1963年 6月の 1年8か月分余
が 2011年 3月の1ヵ月間に 千葉市稲毛区で降下したことになります。
12000÷550=21.8・・・
したがって、
稲毛区より はるかに汚染をこうむった東葛地域は、如何ばかりだったでしょう⋆。
⋆ 常総生活協同組合:土壌沈着量調査結果 2012年9月24日
以上により、
1960年代の大気圏核実験が世界中で盛んに行われていた頃の東京近辺で、気象庁
が長年に渡って測定してきた Cs‐137 の空中放射能濃度は 今より 1万倍も高かった
かったことを考えると、この数値は心配の必要が無い。
という中村氏の言葉は、
① 「(3.11後の)今より 1万倍も高かった」というのは、虚言!
② 月間降下物 550㏃/㎡ が、空間線量率 0.5μSvの「心配の必要がない」
理由を構成しない!
ということになります。
しかし、氏は
これが「物事を科学的に合理的にみること」ができる人の言葉だと言うのです。
こういう口から出任せには もう 唖然とするばかりです。
国の放射線に関する法律が、こういう不用意な見解を公にする人を会長
とした審議会に委ねられていたということは、
a. 放射線に関する この国の法律全般
b. この国の放射線の専門家集団
に対する信頼性が 大きく揺らぐことになった! と言ってよいのでしょう。
※ 初期被曝線量、すなわち 積算被曝線量を不明なままにして、
「5m㏜というのは、今の平常時の法令に照らしても問題ない値だ」
と言うのは、本当に 5m㏜が 「法令上問題がない」のかどうかは 今は別にして、 まったく意味をなさない架空の論でしょう。
因みに、
事故直後の4月における 日本全国の月間降下物(Cs137)は、↓
北海道(札幌市) 5.7 6.0 5.7
青森県(青森市) 20 67 63
岩手県(盛岡市) − 330 320
秋田県(秋田市) 38 130 130
山形県(山形市) 49 660 670
茨城県(ひたちなか市) 640 2500 2300
栃木県(宇都宮市) 500 1300 1200
群馬県(前橋市) 66 340 340
埼玉県(さいたま市) 120 760 760
東京都(新宿区) 50 290 280
神奈川県(茅ヶ崎市) 52 300 290
山梨県(甲府市) 8.5 25 25
静岡県(静岡市) 17 87 86
長野県(長野市) 18 38 38
新潟県(新潟市) 1.9 35 33
岐阜県(各務原市) 14 10 9.7
三重県(四日市市) 13 18 18
滋賀県(大津市) 18 6.1 6.8
石川県(金沢市) 13 11 10
福井県(福井市) 19 31 29
鳥取県(東伯郡) 4.2 8.9 8.7
奈良県(奈良市) 10 4.7 4.5
和歌山県(和歌山市) 15 8.7 8.1
徳島県(名西郡) 3.6 6.8 6.3
高知県(高知市) 6.5 36 34
岡山県(岡山市) 3.3 4.2 4.0
長崎県(大村市) 2.1 1.2 1.1
宮崎県(宮崎市) 1.8 3.9 4.2
沖縄県(うるま市) 2.9 4.3 3.7
降下物は、このように 北海道から沖縄まで 日本全土にわたったわけです。
また、3.11直前のCs137の降下物状況を 岡山県と沖縄県で見てみると、
両県とも 事故の年の7〜8月には、事故前の水準に戻っています。
福島第一原発から放出された放射性物質の半分以上は海に流れました。
そこで、太平洋の対岸アメリカの降下物⋆をみると、
⋆ 2011年3月15日〜4月5日間 単位: ㏃/㎡
ヨウ素131
オレゴン州の北部で 5100㏃/㎡、カリフォルニア州で 1610㏃/㎡も検出されています。
因みに、日本での3月分のヨウ素131の月間降下物(単位:㏃/㎡)は、
神奈川県(茅ヶ崎市):10000、 長野県(長野市):1700、 静岡県(静岡):1100、
岩手県(盛岡市):280、 岡山県(岡山市):1.3、 長崎県(大村市):9.8
といった具合です。
もちろん、福島県は もっと多かった訳ですが、あろうことか 測定をしていないのです。
茨城県(ひたちなか市)では 120000、栃木県(宇都宮市)は 140000、
群馬県(前橋市):14000、埼玉県(さいたま市):24000、千葉県(市原市):20000、
山形県(山形市)と東京都(新宿区)は 29000。
セシウム134
セシウム137
セシウムの汚染は、137が 134より 4倍ほど多くなっています。
カリフォルニア州南部で最高値がでており、Cs134: 46㏃/㎡、Cs137: 240㏃/㎡でした。
日本の放射線に関する 法律作成や施策の中枢にいた中村氏は、
原発事故による このような広汎な放射能汚染への覚悟ができていなかった
ために、この恐慌を来した文書を書くしかなかったのではないでしょうか?
これ(事故に対する覚悟=その責任を引き受ける)は、文科省放射線審議会の
会長を務めた氏一人の個人的な資質の問題にとどまらず、国の原子力推進
に陰に陽に関った 各界各層の全ての人々の構造的な問題だったはずです。
戦後日本の この構造的な問題を解決せずして、3.11後の日本は その
将来を展望できるはずはありません。
しかし、残念ながら 今日のどの政治勢力にも これをよく為しえるとは、私は
期待できず、徒労感が募ります。
(つづき)
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