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チェルノブイリ

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チェルノブイリで放出された放射性核種
  
 事故後間もない間は、放射線学的に最大の懸念となった放射性核種は 131であった。
その後 注目は 137Cs に移った。
2005年までに、事故で放出された放射性核種の大部分は崩壊し、懸念を呼ぶレベルを下回った。
今後数十年に渡って 関心は 137Cs に、そして 程度としては小さいが 90Sr に注がれるだろう。
90Sr は チェルノブイリ原子力発電所に密接した地域では、より大きな重要性を保っている。
さらに長い期間 (数百年から数千年) にわたっては、関心を引くと見込まれる核種は プルトニウム
同位体だけである。
今後 レベルの増加が見込まれる唯一の核種は 241Am で、これは 241Puの崩壊から生じる。
241Puから最大量の241Amが形成されるまでには およそ100年がかかる。   
                                          ※ Am アメリシウム
 
 破損した原子炉から放出された放射性核種は 気体凝集粒子 及び 燃料粒子のいずれかの
形状であった。
 
燃料粒子の存在が 事故の重要な特徴だった。 核燃料の酸化が 燃料粒子形成の基本メカニズムであった。 酸化の度合いが小さい燃料粒子が 最初の爆発の結果として生じ、主に 西の方向に
向かって放出された。その後のフォールアウトにおいては 酸化の度合いが大きく 水溶性の高い
粒子が優位となり、これが 多くの他の地域に沈降した。
燃料粒子が酸化し散布される間に 一部の放射性核種の揮発が生じた。 最初の雲が冷えた後、
放出された核種の内 揮発性の高いものは 気体相に止ったが、より揮発性の低い核種は 構成材料となる煤や破片の上に凝集した。 
  従って、チェルノブイリ の放出における放射性核種の化学的物理的形状は、核種粒子の揮発性
および原子炉内部の条件によって決定された。
相対的に より高い蒸気圧を持つ放射性化合物 (主なものは 種々の化学的形態における不活性ガス 及びヨウ素の同位体) は 大気中を気体相で運ばれた。 他の放射性核種 (セシウム、テルル
、アンチモニーなどの同位体) は 大気中に 主に 燃料粒子の形で放出された。 特定の場所での
沈降における凝集粒子成分 と 燃料粒子成分との相対的な寄与度は、揮発性の階層を異にする
放射性核種の活性の比から推定することができる。
 
 燃料粒子は 放出源近傍におけるフォールアウトにおいて もっとも重要な部分を形作った。
95Zr, 95Nb, 99Mo, 141, 144Ce, 154, 155Eu, 237, 239Np, 238-242Pu,  241, 243Am 及び242 ,244Cmのような核種は、燃料粒子のみを マトリクスとして放出された。 90%以上の 89, 90Sr と 103, 106Ru活性物もまた 燃料粒子として放出された。
 チェルノブイリ原発敷地外に沈降した、90Sr, 154Eu, 238Pu, 239, 240Pu 及び 241Amの、そして 
それゆえ 核燃料それ自体の放出比率は、最近 高々 1.5±0.5%と推定されたが、これは初期
の推定の半分であった。
燃料粒子の化学的組成 及び放射核種組成は 照射された核燃料のそれに近かったが、特に
表層において、揮発性核種の割合が低く、ウランが より高度に酸化した状態にあり、様々な
混合物を含んでいた。
 これと対照的に、凝集粒子の化学的組成や核種組成は 広範囲に変動した。 これら粒子に
おける放射性核種の具体的な活量は、凝集プロセスの持続時間やプロセスの温度、そして 粒子
の性質などによって規定された。 一部の粒子の放射核種組成は ただ一つ 或は二つの核種、
例えば 103, 106Ru や 140Ba/140La、のみに支配されていた。
 
 放出における放射性核種の形状が、その大気中の輸送の距離を決定した。 ただ一つの核燃料晶子からなる最小の燃料粒子ですら、相対的に サイズが大きく (最大10μm) 高密度 (8〜10
g/cm3) であった。 その大きさのせいで、これらの粒子は 2,30kmしか運ばれなかった。
粒子のより大きな凝集物は 発電所から数キロの範囲内でしか見つからなかった。
こうした理由で、難溶性の核種の沈降は 破損した原子炉から離れるにつれて 大きく減少し、
発電所敷地外では 難溶性元素の痕跡のみが発見されただけであった。
  これとは逆に、気体状の核種マイクロメーター以下の凝集粒子の多量の沈降が、チェルノブイリから数千km離れた場所でも生じた。 例えば ルテニウム粒子は ヨーロッパ中で発見された。
 チェルノブイリから数百kmの所で、137Csの沈降が 1MBq/m2 に達した。    
                                    ※ 1M(メガ)= 1×10
 フォールアウトの もう一つの重要な性質は、水溶液中での溶解性に関連したものであった。
これが 沈降後初期の土壌中 及び表層水中における沈降した核種の可動性 と バイオアベイラビリティを決定した。
1986年4月26日から 5月5日まで 24時間のサンプリング周期で チェルノブイリ気象台で採取された
放射性降下物において、水溶性で 交換可能な ( 1M Ch3COONH4を用いて抽出可能な ) 形の
 137Csは 5%から30%以上まで変動した。 4月26日の沈降物のうち 水溶性で交換可能な形
90Sr は 総量の約1%に過ぎなかった。この値は その後 5〜10%まで増加した。
 原子力発電所近くに沈降した 137Cs や 90Srの低い水溶性によって、放出源から20kmの地点
においてさえ、燃料粒子が 放射性降下物の主要部分であったことがわかる。
短距離においては 水溶性で交換可能な形の137Cs や 90Srの割合は 明らかに低かったが、
これは より大きな粒子が存在するためであった
長距離では 水溶性の凝集粒子の割合が増加した。 一例をあげると、1986年に英国で沈降した
 137Csの ほぼすべてが水溶性で交換可能なものであった。
                                             http://t.co/qxaDhuW
 
 
 


大気中への放射性物質の放出量の比較

     
    放射性核種        半減期    主な崩壊モード        放出量 (1015 ㏃)    
                                     チェルノブイリ         福島第一原発  
                                         6月6日公表  10月20日改訂
希ガス
クリプトン8585Kr)10.72年β33
キセノン133133Xe)5.25日β650011000 11,000
揮発性元素
テルル127m127mTe)109.0日β1.11.1
テルル129m129mTe)33.6日β2403.33.3
テルル131m131mTe)30.0時間β0.097
テルル132132Te)3.204日β〜11500.7688
ヨウ素131131I)8.04日β〜1760160160
ヨウ素132(132I)2.3時間β、γ10400.470.013
ヨウ素133(133I)20.8時間β、γ9100.6842
ヨウ素135(135I)6.6時間β、γ2500.632.3
セシウム134134Cs)2.06年β、γ〜471818
セシウム136(136Cs)13.1日β36--
セシウム137137Cs)30年β〜851515
中度の揮発性元素
ストロンチウム89(89Sr)50.5日β、γ〜1152.02.0
ストロンチウム9090Sr)29.12年β〜100.140.14
ルテニウム103103Ru)39.3日β、γ>1680.00000750.0000075
ルテニウム106(106Ru)368日β>730.00000210.0000021
アンチモン127127Sb)3.9日β6.46.4
アンチモン129(129Sb)4.3時間β0.160.14
バリウム140140Ba)12.7日β2403.23.2
難揮発性元素
イットリウム9191Y)58.5日β、γ0.00340.0034
ジルコニウム9595Zr)64日β840.0170.017
モリブデン9999Mo)2.75日β>720.0000000880.0000067
セリウム141141Ce)32.5日β840.0180.018
セリウム144144Ce)284日β〜500.0110.011
プラセオジム143143Pr)13.6日β0.00410.0041
ネオジム147147Nd)11.0日β0.00160.0016
ネプツニウム239239Np)2.35日β4000.0760.076
プルトニウム238238Pu)87.74年α0.0150.0000190.000019
プルトニウム239239Pu)2万4065年α0.0130.00000320.0000032
プルトニウム240240Pu)6537年α0.0180.00000320.0000032
プルトニウム241241Pu)14.4年β〜2.60.00120.0012
プルトニウム242242Pu)37万6千年α〜0.00004
キュリウム242242Cm)162.8日α〜0.40.0001
0.0001


合計
1万3194112121万1347


  テルル129m 半減期 33.6日)について
 
 テルル129mは β崩壊後に 放射性ヨウ素-129 に変わる。
この半減期は驚くべきことに 1600万年。 放射性ヨウ素の一番の問題は 小児を中心とした
甲状腺癌の発生だが、そのテルルが放出された量は 3300兆㏃で セシウム137の5分の1に
達する莫大な量
                               半減期     経口摂取       吸引摂取 ( ㏜/㏃ )         
I-1291570万年1.1×10-73.6×10-8
Cs-13730.0年1.3×10-83.9×10-8
    テルル129m 即ち ヨウ素129 は、食物からの内部被曝が、セシウム137の約10倍。
   @ 福島、山形、静岡、宮城、栃木、群馬、茨城、千葉、山梨、埼玉、神奈川、東京の総面積
      :約7.6万 K㎡ における テルルorヨウ素129の平均汚染濃度は 44300 ㏃/㎡ 
       3300兆㏃ ÷ 7.6万k㎡
            = (3300÷7.6)×10^8 ㏃/k㎡ ≒ 443 ×10^8 ㏃/k㎡ 
      
    文科省による放射線量等分布マップ(テルル129m、銀110mの土壌濃度マップ)平成23年10月31日
○ 放射性セシウムに対する その他の放射性核種の沈着量の比率は、概ね原子炉から遠方に
 なるにつれて小さくなる傾向が確認されているが、テルル129mは、距離に関係なく ほぼ一定の
 比率で沈着している。
 
 
                       ☝ テルル129mを見て下さい
                               
 チェルノブイリ周辺のセシウム137汚染状況
 
    
  1Ci/k㎡=37G㏃/k㎡= 37×10^9 ㏃/k㎡ =37000㏃/㎡
                                   ↓ 文科省の色分け
      桃色 :  37000〜185000㏃/㎡    
      紅色 : 185000〜555000㏃/㎡    
      紫色 : 555000㏃/㎡ 以上       
 
 
http://www-sdc.med.nagasaki-u.ac.jp/abdi/qa/img/fig17-2.jpg

                                                   長崎大は、IAEAの影響下に、米国の核戦略を正当化
                       する立場を取っており、核の被害を 過小評価している。
                       チェルノブイリでは、甲状腺がんの発生数や晩発性障害を
                       きわめて狭い範囲でしか認めていない。 
                       彼らは、後世 反社会集団だったと評価されるであろう。
                                                (kyomu-記)

        原発史上 最悪の事故、チェル... 2009


 
 
チェルノブイリによるヨーロッパのセシウム汚染
 
 
                                          1mCi/k㎡ =37㏃/㎡
 
   イギリス   27×37=  999㏃/㎡    オランダ 73×37=  2701㏃/㎡
   フランス  51×37 = 1887㏃/㎡      イタリア  176×37= 6512㏃/㎡
   スイス  276×37=10212㏃/㎡    オーストリア■  621×37=22977㏃/㎡
   西ドイツ162×37= 5994㏃/㎡    スウェーデン 221×37= 8177㏃/㎡
   フィンランド243×37= 8991㏃/㎡  日本  3.5×37=    129.5㏃/㎡
 
       ※ 1963年 東京 (セシウム137)  52×37= 1924㏃/㎡ 
 


  福島第一原発事故によるセシウム汚染
 
                     ☝  詳細マップ
                                     
      
 
 
放射性セシウム137+134土壌沈着量(広域航空機測定)
http://farm8.staticflickr.com/7023/6398759889_9659b30201.jpg
             ↑450km         ↑350km           ↑250km 
 
10K㏃/㎡ = 10000㏃/㎡
 
フクシマの放射能汚染は、上の文科省の汚染マップでは チェルノブイリより かなり少なく見えます。
しかし、原発の東側は 海洋で、文科省の汚染マップには表されていません。
そして、一年経った今も 核燃料は管理しきれていず、かつ 汚染水は海洋に流れ出しています。
 
フクシマは チェルノブイリとは違ったタイプの、
しかも チェルノブイリを越える規模の 巨大災害となっています。
 
住民を いつまでも放射能に晒すことを企図している 政府の間違った政策が
さらなる災厄を 増大させて、
  このままでは 人類史上 最大の国家犯罪として 世界史に記録されることになるでしょう。
 
災害瓦礫の広域処理とか 原発再稼働とか 小沢裁判とか TPPとか 消費増税とか
北朝鮮とか 尖閣とか 米軍基地とか・・・、このようなことは 枝葉末節な事。
今 我々に問われているのは、国家(エスタブリッシュメント)そのものでしょう。
すなわち、今までの 我々の生活のあり方自体を 俎上に乗せてこそ、
上の枝末問題も より根本的な解決への道に立つことができるのだと考えます。
 
                                               合掌                            
                                            より転載
日本語版のPDFはこちらから
チェルノブイリ事故による放射性物質
汚染されたベラルーシ諸地域における非ガン性疾患
         ユーリ・バンダシェフスキー教授
            ミコラス・ロメリス大学(リトアニア、ヴィリニュス)
                               
                                                   
 セシウム137の取りこみにより、高分化細胞の 代謝障害と変性・類壊死性のプロセスが
進行する。 それらの傷害の重症度は、生体内 および上に挙げた臓器内のセシウム137濃度
によって左右される(セシウム濃度の関数である)。傷害プロセスの強度と もたらされる
組織傷害は並行する。通常、幾つかの臓器が同時に その有毒な放射線の影響にさらされる
と、全般的な代謝障害が誘発される。
 注意すべきなのは、生理的状況下において 細胞増殖が無視できるほど少ないか 全く
起きない臓器や組織(例:心筋)が 最も被害をこうむることである。生体内に蓄積された
場合、セシウム137代謝のプロセスを阻害し、細胞膜の構造に影響を与えるとみられる。
このプロセスは 多くの生命維持に重要なシステムの組織的・機能的障害を誘発する。
その主たるものが 心臓血管系である。
 心筋における組織的・代謝的・機能的変異は 放射性 セシウム の蓄積と相関関係にあり、
その毒性の影響証明する。 エネルギー産生系システム と ミトコンドリア系システムが侵される。
セシウム 137の蓄積量が増えることによって 細胞において 重大かつ不可逆的な変化が起こる
と、類壊死のプロセスが発生する。
エネルギー不安定性の影響で クレアチン・フォスフォキナーゼという酵素の抑制が表れる
(図2-14

      図2.13  45Bq/kg の放射性セシウムを取り込んだラットの心筋細胞中の
                  ミトコンドリアの集積 Uv.30000  [訳注:細胞内の縞模様の構造が ミトコンドリア
       であるが、正常細胞よりも密度と大きさが増えている。]
                                                              
    1 - アルカリ性フォスファターゼ, 2 -クレアチン・フォスフォキナーゼ(р <0,05)
       図2.14  実験動物の心筋細胞における酵素活性の変化
                 (コントロールを100%として表示)
 セシウム137の影響が最も激しく現れるのは、成長中の生体の心臓血管系である。
小児の心筋における10Bq/kg以上の放射性 セシウム蓄積は、電気生理学的な諸プロセスの
異常をもたらす1986年以降に生まれ、セシウム 137による地表汚染が15Ci/ km2(訳注:
55万5千Bq/)以上蓄積する地域で継続的暮らしてきた人びとには、心臓血管系
深刻な病理的変異を反映する症状 と 心電図異常が現れる
学齢期の児童では、放射性核種 セシウム 137の取りこみにより、心拍の障害をもたらす心筋
の電気生理的な障害が引き起こされる。生体内の放射性核種量 と 不整脈発生率との間に
は、明らかに相関関係が見受けられた(図2.15)。
                                       
       図2.15 ECG変異が見られなかった小児の割合。スペクトロメータによる
         体表面セシウム137量別。(バンダシェフスキー&バンダシェフスキー)
                       
       図2.16  43歳のドブルシュの住民の心筋の組織像(突然死のケース)
        心臓内の放射性セシウム蓄積 45.4Bq/kg びまん性心筋細胞溶解、
                     筋線維間浮腫、筋線維断裂が見られる。HE染色。倍率125倍。
                                                        
      図2.17 900㏃/kgの放射性セシウムが検出された アルビノラット の腎臓の組織像
        空洞の形成をともなう壊死および糸球体の破壊、および尿細管上皮の壊死
                         と硝子化変性、HE染色。倍率125倍。

  症状は かなり臓器毎に特異である。図2.17腎臓における影響を示している。
微小循環系の組織構造が異なるため、放射線被曝による病理変化も 臓器によって異なる
特徴を示す。 腎臓の放射性疾病で ネフローゼ症候群が伴うことは ごく稀だが、通常の
慢性糸球体腎炎に比べて重く、経過が早いという特徴がある。
後者の場合、悪性が しばしば早い時期から発症することが多い。 2-3年のうちに 放射性
腎臓障害は 慢性腎不全や脳卒中、心臓病などを併発するようになる。生体中に代謝性に
蓄積し、それが心筋やその他の臓器に有毒な影響をもたらし、高血圧を発症させることに
加え、腎臓の破壊は、セシウム137の主要影響の1つである。
 ゴメリにおける突然死の89%は この種の全般的な臓器の破壊を伴っており、その状態
は 生前には記録されていなかった。また 肝臓の深刻な病理的変化も重要である。 肝臓
において 顕著な細胞蛋白の破壊と代謝性変容を伴う中毒性変性が進行すると、類脂肪物質
が生成され、それが脂肪肝や肝硬変などの深刻な病理的進展をもたらす(図2.18)。
                       
           図2.18 40歳のゴメリ住民の肝臓の組織像(突然死)
        肝臓への放射性セシウム蓄積 142.4Bq/kg 脂肪・蛋白変性、肝細胞壊死
        HE染色。倍率125倍。

 内分泌系もまた、取り込まれた セシウム 137の影響にさらされる。それから 副腎も取り
込まれた セシウムに影響を受けると見られる。コルチゾールレベルは 体内セシウム濃度に
左右される。母親の胎内( 特に胎盤 )に相当量の濃縮されたセシウム137が蓄積されて
いた新生児においては、コルチゾール生成の変異が特に顕著にみられる(図2.19)。
これらの胎児たちは 子宮に適応できないことでよく知られる。この影響は、セシウム 137
与えられた母親を持つラットにみられる(図2.192.20)。

      キー:胎盤におけるセシウム137濃度:  
          グループ 1 – 1-99 Bq/kg;  グループ 2 – 100-199 Bq/kg;
          グループ 3– >200 Bq/kg.
     図 2.19  セシウム投与群(テスト群)、非投与群(対照群)にみられる母親
       と胎児の血液中のコルチゾール濃度

 女性の生殖系の疾患は 内分泌系統の異常で起きる。放射性 セシウム は また、妊娠可能
な女性では 性周期の さまざまな時期における黄体ホルモン−女性ホルモンのアンバランス
の原因ともなる。 これが 不妊症の主たる要因となる。
胎盤その他の内分泌系の臓器に取り込まれた放射性セシウムは、母親の生体にも胎児にも
ホルモン障害を増加させる。 特に セシウム137の濃度が高まるとテストステロンや甲状腺
ホルモン、血液中のコルチゾンの含有量も増加する。
放射性セシウムにより 母子の生体内でホルモンバランスが乱れると、妊娠期間が遷延し、
分娩合併症と新生児の発育障害が増加する。母乳を与える場合、放射性セシウムは 子の
生体中に移行する。従って、母親の放射能が減った分、子の生体は セシウム137により
汚染される。この新生児期に 身体の諸器官が形成されるが、放射性セシウムは 子の生体
に対して 極めて否定的な影響を与える。 放射性元素の取りこみに 最初に反応するのが
神経系である。 28日間オート麦を介して 放射性セシウムを 40-60Bq/kg投与したラット
では、脳の様々な部位、特に大脳において、モノアミンおよび神経刺激性のアミノ酸の
生合成に 顕著なアンバランスが起こる。これは 平均致死線量(訳注:細胞の生存率を
37%まで減らす線量。哺乳類では 1〜2Sv)あるいは それを越える線量に被曝した場合
に見られる現象である。このことは 自律神経の様々な障害に反映される。
                                           
          図2.20 セシウム137を投与された母体から生まれたラットの胎児

 放射線汚染地域に住む児童に白内障が増加した件についても触れられるべきだ。
この疾患の検出頻度は、他の疾患と同様に、生体内の放射性核種セシウム137の量と直接
関係性がある(図2.21)。
                                        
                                        
        図2.21 生体内のセシウム 137Bq/kg)の平均的な レベル とゴメリ地方ヴェトカ
       地区の子どもの白内障発症率増加の関係
               (ユーリ・バンダシェフスキー共著、19971999

 まとめると、長寿命の放射線核種 セシウム 137は 多数の生命維持に重要な臓器や身体系統
に影響を与える。 その結果、放射性セシウムの濃度に依存するプロセスとして 高分化細胞
が悪影響を受ける。エネルギー産出系統の破壊を基盤にした このプロセスは、蛋白の破壊
へとつながっていく。 この繋がりにおいて、セシウム137が人体に与える影響の特徴は、
生命維持に重要な臓器や臓器系統の細胞内の代謝プロセスの抑制だとみられる。
これは 毒性組織(窒素化合物)の直接的な影響と効果、および 心臓血管系の障害による
組織発育の阻害とによるものである。セシウム137により 人間や動物の体内に引き起こ
される病理的変異をすべてまとめて「長寿命放射性物質包有症候群」(SLIR)と名付ける
こともできそうである。
この症候群は 生体に放射性セシウム が取り込まれた場合に表れる( その重症度は取り込まれ
た量と時間で決まる)。そして、その症候群は 心臓血管系、神経系、内分泌系、免疫系、
生殖系、消化器系、尿排泄系、肝臓系における組織的・機能的変異によって規定される
代謝障害という形で表れる。 SLIRを誘発する放射性 セシウム の量は 年齢、性別、そして
その臓器の機能的状態により異なる。 子供の臓器と臓器系統では、50Bq/kg以上の
取りこみによって 相当の病的変化が起きている。しかし、10Bq/kg程度の蓄積でも
 様々な身体系統、特に心筋における代謝異常が起きることが報告されている。

結論

 チェルノブイリ原発事故から23年、長期間に渡って 放射性物質に汚染された地域に生活し
これらの放射性核種を摂取してきたベラルーシ共和国の住民たちは、心臓病と悪性腫瘍
の発症リスク増加に見舞われてきた。これらの病気が 事故後23年間 着実に増加し続けた
ことにより、住民の死亡率が出生率を2倍以上 上回るという、人口統計上の大惨事と
いえる状況がもたらされた現在の状況は、チェルノブイリ事故の被害を受けた地域に暮らす
市民の健康を守るための対策を 速やかに講ずるための国レベル 及び国際レベルの決断を
必要としている。
 

日本語版のPDFはこちらから
     翻訳:田中泉 翻訳協力:松崎道幸
 チェルノブイリ事故による放射性物質で汚染
  されたベラルーシ諸地域における非ガン性疾患
          ユーリ・バンダシェフスキー教授
                   ミコラス・ロメリス大学(リトアニア、ヴィリニュス)
 ※ ユーリ・バンダシェフスキー教授: 
   チェルノブイリ事故汚染によるベラルーシ地域の汚染被曝の影響について広範囲な研究
   を行ったベラルーシ人の科学者。その功績に対し 2009年欧州放射線リスク委員会
   (ECRR)レスボス会議からエドワード・ラッドフォード記念賞を授与される。
   この受賞にあたって 博士が寄与した、放射線核種のセシウム137の内部被曝による
   非ガン性影響に関する論文の日本語訳を紹介する

 教授は豊富な実験データを提示して、「 セシウム137 が 人体に与える影響の特徴は、生命維持に重要な臓器や臓器系統の細胞内の代謝プロセスの抑制だとみられる 」とまとめ、
「 セシウム137 により人間や動物の体内に引き起こされる病理的変異を すべてまとめて
“長寿命放射性物質包有症候群”(SLIR) と名付けることもできそうである 」と言う。
 その症候群は 心臓血管系、神経系、内分泌系、免疫系、生殖系、消化器系、尿排泄系、肝臓系
における組織的・機能的変異によって規定される代謝障害という形で表れるとしSLIRを誘発
する放射性セシウムの量は 年齢、性別、その臓器の機能的状態により異なることを明記した
うえで、「 子どもの臓器と臓器系統では、50Bq/kg以上の取りこみによって 相当の病的変化
が起きている。しかし、10Bq/kg程度の蓄積でも様々な身体系統、特に 心筋における代謝異常
が起きることが報告されている 」と指摘。

     教授は 2001年、ベラルーシ政府によって 8年間の刑期で投獄された。 これは表向き 
 収賄容疑だったが、国際的な人権団体であるアムネスティ・インターナショナルが 同氏を
 「良心の囚人」(暴力を用いていないのに、自らの信条や信仰、出自、肌の色などを理由に、
 政府によって拘禁されたり 自由を制限されたりしている人)と認定し、釈放を求めるキャン
 ペーンを行った結果、2005年に釈放された


               ※ 図はクリックすると鮮明になります

  生態学的な環境は 人体に影響を与え、人間社会の発展を支える。 世界で 環境保護
(そして 人々の健康)に関して かなりの全体的進歩があったことを見ようともせずに
深刻な環境問題を抱えている国々がある。その先頭を行くのが 旧ソ連諸国である。
旧ソ連政権は、西側諸国の軍事的・経済的発展に追いつき追い越せという願望のあまり
新しい産業技術を導入したが、それは 環境、ひいては 人びとの健康に致命的な影響を
残した。 何よりもまず、ソ連による核実験について考える必要がある。
  1960年代以降、ベラルーシ、リトアニア、ラトヴィア、エストニア、ウクライナ、ロシア
にまたがる広範な範囲が 放射性物質で汚染されたのが その直接的な影響である。これら
の国に住む人々は 放射性物質があることに関して 何の情報も持っていなかったので、
当然 その影響から身を守ることができなかった。

ベラルーシにおける放射線と生態系にかかわる問題

 1960年代初頭以降、これら 旧ソ連諸国の住民が消費する食材から 放射性核種セシウム137
が非常に多く検出されている。[1] 
チェルノブイリ 事故によるベラルーシの汚染は有名だが(図2-1)、対して それ以前に 核実験
の放射性降下物(フォールアウト)による汚染があったことは 余り知られていない。
図2.2〜2.4 に 旧ソ連における汚染の証拠資料をいくつか提示する。 図2-2 は、チェルノブイリ
事故が起きる前の 1960年代、セシウム137のレベルは 非常に高かったが、1963年に大気圏
核実験が禁止された後は 着実に減っていった様子を示している。
  例えば、ベラルーシやバルト諸国の人びとが 日常的に摂取する産品のうち、高レベルの
セシウム137が含まれていたものの1つが 牛乳である。 [図2-3は] 1967年から1970年に
かけての「 牛乳−セシウム 汚染地図」である。 放射性核種セシウム137が 最も多く観測された
のは ベラルーシ共和国ゴメリ地方だった。
       図2.1 1987年のベラルーシにおけるセシウム137の汚染状況
 
                                              
       図2.2 村人たちの1日の食物摂取量あたりのセシウム137含有量
                            (Marey A.N.ら、1974年)
                 訳注:1ベクレルBq)=27ピコキュリーpKu/pCi
             @ 450pKu=16.7㏃ 300pKu=11.1㏃ 200pKu=7.4㏃ 50pKu=1.9㏃                                                        
                                             
       図2.3 1960年代ベラルーシの様々な地域における牛乳中の
          セシウム137含有量(pCi/l

  1986年のチェルノブイリ原発事故は、多くの欧州諸国の住民、とくに ベラルーシ共和国
の住民に対し、すでに存在していた放射性物質の影響を いっそう強めた。
チェルノブイリ事故後、1992*のベラルーシにおける放射性核種セシウム137の沈着量
を示す地図2-4は、1960年代のベラルーシにおける同様の放射性核種沈着の地図に
ほぼ符号しているMarey A.N.ら共著1974年)。 1986年の チェルノブイリ 事故後、ベラルーシ
などの国の人びとの健康に放射線が与えた影響について語ることができるようになったが、
これは ひとえに 西側諸国の大衆の関心が高まったことによる。

  1986426日の チェルノブイリ 事故は、その規模と影響からみて 人類史上最大の人災と
考えられてる。その社会的・医学的・生態学的影響は、詳細な研究を要する。ベラルーシ
は 欧州全体で最大被害をこうむった国だ。 チェルノブイリ 原発4号炉で起きた事故の結果
大気中に放出された放射性物質の 約 70%は ベラルーシ共和国の領土の23%以上に当たる
部分に降下し、そこを汚染した。
この地域では 現在、子ども26万人を含む約140万人の住民が暮らしている。いまだに
放射能汚染について大きな問題を抱えている地域が散見される。最も危険なのは放射性
物質セシウム137 とストロンチウム90を含む食材の摂取である。これらの放射性核種が
内部被曝に寄与する割合は 7080%に達する(バズビー&ヤブロコフ 2009年)。
死亡率の上昇と出生率の低下により、1993年以降の ベラルーシ の人口は、2002年は -5.9‰、
2003年は -5.5‰、2005年は -5.2‰と、マイナス傾向になっている。

 
       図2.4 1992年のベラルーシにおけるセシウム137の沈着地図
                                                
 
       図2.5 ベラルーシ共和国 住民1000人当たりの死亡率と出生率
                                                 
 
       図2.6 ベラルーシ共和国人口指数、1950-2004
                                          
                             
       図2.7 ベラルーシの各地方における住民死亡率の推移
 
                                       
       図2.8 ベラルーシの死因構成、2008[訳注:外部要因とは事故・犯罪死など]

 ベラルーシの住民の死因のうち 主なものは 心臓病と悪性腫瘍である。最大死因である
心臓病が統計的に有意な増加を示していること、中でも チェルノブイリ原発事故の後処理に
関わった人びとの間で増加していることには不安を禁じえない(図2-9)。
食物から永久的・慢性的に摂取される状況下において、放射性核種セシウム137は 甲状腺、
心臓、腎臓、脾臓、大脳など、生命活動のために重要な臓器に蓄積される。これらの臓器
が受ける影響の度合いは 様々である。

           図2.9 ベラルーシ共和国における心臓病患者数推移

                                        
           図2.10 ベラルーシ共和国 住民10万人あたりの悪性腫瘍発生率
 
                                                              
        図2.11 ベラルーシにおける甲状腺がん新規発生数の推移 
                                           
       1 –心筋, 2 –, 3 –肝臓, 4 – 甲状腺, 5 –腎臓, 6 –脾臓, 7 –骨格筋, 8 –小腸
      図2.12 1997年及び1998年に行われたゴメリ地方住民の死体解剖時の
       放射測定データによる成人(青)と子ども(赤)の臓器別セシウム137含有量

 
                               (つづく)
                              
 
  山下俊一氏の論文 (2000年)
 
 
 

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