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チェルノブイリ

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原子力災害とは何か?

                                                                      チェルノブイリ - 京都大学原子炉実験所 
 
                                          今中哲二
 
 原発大事故が 日本で起きたら とんでもない事態になる と、私たち原子力安全
研究グループが警鐘をならし始めたのは、今から 四半世紀以上も前のことであった。 当初机の上の安全論争が中心であったが、1979年3月の米国スリーマイル島事故
は、大事故が 実際に起こりうることを事実で示した。 といっても、スリーマイル島事故
は、原発で起こりうる最悪の事態と比較すれば、幸運にも 極めて 小規模な被害
収まった。 1986年4月に発生した チェルノブイリ事故では、瞬時に 原子炉とその建屋
が破壊され、膨大な放射能が直接環境に放出されるという、まさに原発で生じうる
最悪の事態となった。

 

 「 この大災害の被害者数の評価を最大限に減らすために、後日 専門家たちの

 国際的企(タクラ)みが行われるであろう。 この企みのためには、あらゆる国の

 イデオロギー、経済の論争を越えて、暗黙の共犯が行われよう。

 原則として どの国からも独立しているはずの 保健に関する国際諸機関は、実際

 には 大国の支配のままになっており、見かけの客観性と中立性を装いながら、

 大国介入の先兵となろう。 この事故は 大したものではなかった と彼らは結論する

 であろうが、そうなれば、いったい 今までの大騒ぎは 何だったということになる・・・

 ソ連の責任者は、キチュトム災害の時と同じように、完全沈黙を行ない、すべての

 情報の凍結を謀ることもできた筈であるとして、西側の専門家が ソ連の専門家を

 責めることも 後に起こるかも知れない。

 

  チェルノブイリ事故が発生してから 1週間も経たない 1986年5月1日に この文章を

発表したのは、フランスの物理学者 ベラ・ベルベオーク であった。

この15年間、各国行政当局 や 国際原子力機関(IAEA)などが結託した“国際原子力

共同体は、ベルベオークの言葉通り、事ある毎に「 チェルノブイリ事故は 原発開発史上

最悪事故であったが、周辺の人々にもたらした健康被害は大したことはなかった

という報告を繰り返してきた。

 

 

原子力共同体の見解

 

 1986年8月に ソ連政府が IAEAに提出した事故報告書は、事故の後始末は 順調

に進んでおり、破壊された4号炉は 「石棺」に封じ込められ、汚染地域の除染活動

も始められている、他の原子炉は 直に運転を再開するだろう、と述べている。

 

  その報告は、ウィーンで開かれた会議で西側専門家により承認された。その一方、

ソ連国内では チェルノブイリ事故に関する情報は 極秘扱いとされ、国外へは もちろん

汚染地住民にさえ 汚染の実態は知らされなかった。

 
 そうした状況に変化が起きたのは ペレストロイカ末期の1989年頃からである。
チェルノブイリから 200〜300kmも離れた所にまで 飛び地のように高濃度の汚染地域
が広がっていることが明らかになった(表1)。 政府の責任を追及し 汚染対策を
求める運動は、ソ連国内の民主化運動と相まって、社会的・政治的問題となって
いった。 苦境にたたされた ソ連政府は、西側に助けを求めることにした。
 
  IAEAに対し、現地に調査団を派遣して、事故の影響を調査し汚染対策について
勧告してくれるよう依頼したのである。 IAEAは 西側専門家を集めて国際チェルノブイリ
プロジェクトを組織し、1年間の調査を行い その報告会が 1991年5月に開かれた。
結論は、周辺住民への健康影響は認められず、ソ連政府の汚染対策は厳し過ぎる
くらいであり、現状で十分であるというものだった。
 
      表1 被災3ヵ国のセシウム137汚染面積(単位:平方km)
国名
セシウム137の汚染レベル(キュリー/平方km
5
15
15  40
40以上
1以上合計
ロシア
48,800
5,720
2,100
300
56,920
ベラルーシ
29,900
10,200
4,200
2,200
46,500
ウクライナ
37,200
3,200
900
600
41,900
合計
115,900
19,120
7,200
3,100
145,320
 
   各国のチェルノブイリ被災者救済法に基づくと
   ・ 40Ci/km2以上: 強制避難ゾーン
   ・  15〜40Ci/km2: 義務的移住ゾーン,
   ・  5〜15Ci/km2: 希望すれば移住が認められるゾーン,
   ・  1〜  5Ci/km2: 放射能監視が必要なゾーン.
         (今中哲二編「チェルノブイリ事故による放射能災害」、技術と人間、1998)

 

 1992年9月 ベラルーシの研究者らが、科学雑誌Natureに、ベラルーシで 子供の甲状腺

ガンが急増しているという論文を発表した。

西側専門家から すぐさま、増加は 見せかけのもので 事故の影響ではない、という

反論が寄せられた。 しかし、データが増えるとともに、甲状腺ガン増加の原因が

チェルノブイリ事故であることは 否定しようのないものとなった。 チェルノブイリ10周年に

あたる 1996年の会議で ようやく IAEAも、小児甲状腺ガン増加の原因は 事故の時

に放出された放射性ヨウ素による被曝であると認めるに至った。

 しかし、小児甲状腺ガン以外の健康影響は、事故処理作業者への影響を含めて

いっさい認められない、と結論している。

 

 チェルノブイリ事故で 最も大きな被曝を受けたのは、約80万人 といわれる 事故処理

作業者の集団であり、最近 彼らの間で 白血病やガン さらには循環器系などの

疾患が増加している という データが発表されている(Ivanovら、Health Physics、1998、

2000など)。 今年 6月に キエフで WHO(世界保健機構)主催の国際会議が予定

されており、そこで どのような結論が まとめられるか 注目される。

 

  「 科学的には 十分に証明されていない 」という言い方 “科学的権威”の常套句

であることに留意しておきたい

周辺住民に 1件の急性障害もなかった?

 1986年のソ連報告書によると、原発職員や消防士たち約200名に 大量の被曝

よる急性放射線障害が現れたものの、周辺の住民には 1件急性障害もなかった

とされている。

  その後の原子力共同体の報告書は、現在にいたるまで 基本的に その見解を

踏襲している。

 

          ※ Q2.事故から25年、住民の健康影響についてわかったこととは

                      長瀧 重信氏(ナガタキ・シゲノブ) 収録日:2011年3月28日

                 検証・25年経ったチェルノブイリ事故の健康影響の実態とは

           http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/Chernobyl-1.files/Gcir-25.gif周辺住民の急性放射線障害      <技術と人間97年4月号>

 

 放射線防護の専門誌 Health Physicsに 1994年、避難住民被曝量に関する ウクライナ

の研究者の論文が掲載された。

事故翌日の4月27日に避難した プリピャチ市住民の平均被曝量は 0.0115㏜で、

5月3日から避難をはじめた その他の避難民の平均被曝量は 0.0182㏜であった

と報告されている。急性障害は 通常 1㏜以上の被曝を受けた場合に現われると

考えられており、住民の間に 1件の急性障害もなかった という原子力共同体の

見解は、“科学的評価”によって裏付けられた。

 

 一方、ソ連崩壊直後の1992年4月、旧ソ連最高会議員だった ヤロシンスカヤ は、

チェルノブイリ事故当時のソ連共産党秘密議事録を暴露し、当時の最高権力機関に、

事故直後に 1万人を越える人々が 病院に収容されたり 子供を含む住民に急性

障害が認められると報告されていたことを明らかにしている。

秘密議事録の訳はhttp://www-j.rri.kyoto-u.ac. jp/NSRG/に順次掲載中)。

 

         http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/Chernobyl-1.files/Gcir-25.gif暴かれたチェルノブイリ秘密議事録     <技術と人間92年9月号>

 
  図1は、昨年暮れ 私入手した資料から作成した汚染地図で、事故から1カ月余り
後の1986年6月1日における チェルノブイリ原発周辺の放射線量を示している。
私の計算では、1カ月前の 5月1日の放射線量は 6月1日の値の約10倍となる。
図1では、原発北方の ウソフ村 や クラスノエ村は 毎時 200ミリレントゲンの線にかかって
おり、5月1日には 毎時 2レントゲン前後の放射線量があったことになる。
Health Physics論文によると ウソフ村の平均被曝量は 0.118㏜である。その値は、
図1に基づくと、ウソフ村住民が 5月1日に野外に 5時間余りも立っていれば浴びて
しまう量である。 
 ウソフ村やクラスノエ村をはじめ、1週間以上も放置されていた周辺住民の間にかなり
の数の急性障害があったと 私は確信している。
 
 “科学的手法”が 事実を明らかにする有効な手段であることは確かであるが、

時として 事実を明らかにしない方便にも使えることを強調しておきたい。

 

 

村や町がなくなり地域が消滅した

 
 以前の私は、チェルノブイリ事故の被害を明らかにする作業とは、事故によって
どれくらいの放射能が放出され、人々が どのように被曝し どのような健康被害が
もたらされるかを明らかにすることだ、と考えていた。
  しかしながら、何度か チェルノブイリ現地に行き、見たり聞いたり読んだりするうちに、
そうした放射能による 直接的な被害は、事故が 人々にもたらしたものの ほんの
一部にすぎない、と考えるようになった。
 
 チェルノブイリ事故がもたらした被害として まず第1に指摘したいことは、
表1示したように、福井県、京都府、大阪府を合わせた面積に相当する1万平方km
にも及ぶ広大な土地に 人々が住めなくなったことである。
事故直後に 原発周辺30km圏から 約12万人の強制避難が行なわれ、その後
明らかになった高汚染地域からも 20万以上の人々が移住を余儀なくされた。
約500もの村や町がなくなり、40万近くの人々が 住み慣れた土地から離れて 生活
することとなった。 地域社会が 丸ごと消滅してしまったのである。
  チェルノブイリ事故という原子力災害の 何よりの特徴は、広大な範囲の地域社会
が丸ごと消滅してしまったことである
 
 事故被害明らかにする第1歩は、故郷を失くしたり 汚染地で暮らさざるを
えない人々にもたらされた不条理な厄災について考えることである。 
どれくらい被曝し どのような健康影響がもたらされるか といった “科学的評価”に
よって 被害の全体を解明することができる などと思いこんでしまう と、原子力災害
というものの捉え方を誤ってしまうであろう。  
 
 
 

 
     放射線の人体に対する健康影響   長瀧重信  平成23年7月8日 於茨城県庁舎講堂
 
 P3    意図的に論文を集めれば、正反対のことでも 「科学的に正しい」と主張できる
      ・膨大な様々な科学的な発表・論文などから意図的に選択すれば、正反対のこ
       とでも「科学的に」と表現できる。
      ・現実には個人的な主張、利害関係者団体の主張を「科学的に」という錦の衣を掛けて
      主張できる。正反対の主張が、そのまま社会に出ると、社会は混乱する。
    ・日本の現状はそのような状態であるのか、なりつつあるのか。
    ・このような混乱を避けるという社会的な要請、あるいは 必要性から、国際的合意を
   定期的に発表する(国連科学委員会、UNSCEAR)と言う習慣が確立されている。
   ・この合意が金科玉条とは思わないし、間違いがないとも言えないが、この合意に対抗
   できる研究結果を持つ、あるいは反対の論拠を持つ個人の専門家は世界のどこにもいない。
  専門家は、個人の主義主張とは別に、国際的な科学的合意を社会に説明する義務がある。
 
             P28/53  国際機関からの最初の報告IAEA 1991年
      P36/53  2006 チェルノブイリ事故20周年のまとめ
         被曝者と考えられる人
           1. 原発勤務者・消防夫など 237名致死量にいたる
           2. 汚染除去作業者(1986-7) 24万人  >100mSv
           3. 強制疎開者(1986)   11万6千人  >33mSV
           4. 高線量汚染地27万人(1986-2005)  >50mSv
           5. 低線量汚染値500万人(1986-2005) 10-20mSv
         Demonstrated Health Effectsのある人
           1. 急性放射線障害の症状 134人(237人が入院)
                                3ヶ月以内に 28人死亡 その後20年間に 15人死亡
                        2. 小児甲状腺癌 約4000人以上
              そのうち死亡が確認された人 9名-15名
           3. 白血病も含め その他の疾患の増加は確認されていない
           4. 精神的な障害(subclinical)が 最大の健康影響 至急対策が必要
           5. 不確実ではあるが、事故の大きさの概略の印象のため、
           今後の死亡者数を推定すると4000人である。数十万、数万人ということはない。
 
 
               P37/53      表3 チェルノブイリ原発事故の人体に対する影響のまとめ
              2006年のIAEA、WHOなど八つの国際機関と三共和国合同の発表
              2011年2月の国連科学委員会(UNSCEAR)の報告書
          急性影響(原発内)
             134人の職員ならびに消防夫は急性放射線障害を起こした。
            このうち28人は高線量の被曝により死亡した。
            このうちさらに19人が2006年までに死亡したが、死因は被曝との関係
             は認められてはいない。
          晩発影響−1(原発周辺で作業した人たち)
             24万人が汚染除去作業で、100ミリシーベルト被曝した。
             健康影響は認められない。白血病の増加も認められない。
          晩発影響―2(原発外の周辺住民)
             11万4000人が強制疎開者で 33ミリシーベルト被曝
             27万人は高線量汚染地居住で 50ミリシーベルト被曝(>555kBq/m2)
             500万人は低線量汚染地居住で10-20ミリシーベルト被曝(>37kBq/m2)
          ・放射線に起因する健康影響のエビデンスはない
          ・例外は、汚染された ミルク を規制なしに飲んでいた被曝当時子供だった人たち
            の中から6000人以上という相当な数の甲状腺癌患者が発見されている
           (2006年までの死亡者は15人)。
          ・精神的な障害(subclinical)が最大の健康影響 至急対策が必要
 
       P52/53
               具体的には
            被害を受けている住民と住民に対応する行政との信頼関係が必須
            国民に、住民に信頼されるリーダーが、
               すべての情報を開示し、
            専門家が一致して分析する情報の解釈を示す。
          その上で行政は、住民とのきめ細かい対話を繰り返し、
            住民の被害を最小にする対策を決める。
                原発賛成、反対の議論で
            被害を受けている住民を犠牲にしてはいけない
 
 
 
  最後に
 福島第一原発事故を経て、私は 再び ベラ・ベルベオークの言葉を想起する。

 

 「 この大災害の被害者数の評価を最大限に減らすために、後日 専門家たちの

 国際的企(タクラ)みが行われるであろう。 この企みのためには、あらゆる国の

 イデオロギー、経済の論争を越えて、暗黙の共犯が行われよう。

 原則として どの国からも独立しているはずの 保健に関する国際諸機関は、実際

 には 大国の支配のままになっており、見かけの客観性と中立性を装いながら、

 大国介入先兵となろう。この事故は 大したものではなかった と彼らは結論する

 であろうが、そうなれば、一体 今までの大騒ぎは 何だったということになる・・・
 
 
 
  広河隆一 講演会
 チェルノブイリ と福島 で見た被曝
                http://youtu.be/tqkx3ajMvpU
 
      日時  2013年12月7日(土)
    会場  札幌教育文化会館305号室(札幌市中央区北1条西13丁目)
      講演   広河隆一氏(フォトジャーナリスト、ビデオジャーナリスト)
      主催:  広河隆一講演会実行委員会(北海道平和委員会
             - 日本平和委員会の活動ブログ
 
 
 いわゆる「保守」勢力は、このような講演会を 何故催さないのだろうか?!
  日本国の運命に責任をもつ意思が 彼らに 本当に あるのだろうか?
 
 
 
 
日本政府 及び専門家・有識者は、
スリーマイル事故(1979.3)やチェルノブイリ(1986、4) 大参事を軽んじて、
原子力の安全神話を 国の津々浦々に浸透させつつ、原発を増設していた矢先、
東海村JCO臨界事故(1999.9)を起した。
 
 JCO事故の約1年後には、
 
                                      2000年6月24日
   ・・・
   ここ10年ほど、日本の原子力施設では 「起きるはずのない事故」が続いており、その
  極めつけが昨年9月のJCO臨界事故であった。JCO事故の第一報に接し、日本の原子力
  関係者のほとんどが 「そんなバカなことが起きるわけがない」 と思ったはずである。
  日本の“原子力安全文化”のそうした実態を考えた時、チェルノブイリ のような事故が日本でも
  起こりうる、ということを本気で覚悟しておかねばならないであろう
   そして、日本で世界で この14年間、第2の チェルノブイリ のような事故が起きなかった
  幸運に対して、我々は感謝すべきであろう
 
のような警告も出されていたが、
日本政府も専門家・有識者も 経済問題等に没頭して
こうした言葉に耳を傾けることなく、
時は流れて 11年後、3.11の大災害に見舞われた。
 
 
そして、この間の国家政策に 深く加担していた者たちは、
己の為してきたことに 深刻な反省もなく、
一片の陳謝の言葉で済まして、以下の「建言」を出した。
 
                                  平成23年3月30日
   はじめに、原子力の平和利用を先頭だって進めて来た者として、今回の事故を極めて
  遺憾に思うと同時に国民に深く陳謝いたします。
  私達は、事故の発生当初から速やかな事故の終息を願いつつ、事故の推移を固唾を呑んで
  見守ってきた。 しかし、事態は 次々と悪化し、今日に至るも事故を終息させる見通しが
  得られていない状況である。既に、各原子炉や使用済燃料プールの燃料の多くは、破損
  或は 溶融し、燃料内の膨大な放射性物質は、圧力容器や格納容器内に拡散・分布し、
  その一部は環境に放出され、現在も放出され続けている。
 
    特に 懸念されることは、溶融炉心が時間とともに、圧力容器を溶かし、格納容器に移り、
  さらに格納容器の放射能の閉じ込め機能を破壊することや、圧力容器内で生成された大量の
  水素ガスの火災・爆発による格納容器の破壊などによる 広範で深刻な放射能汚染の可能性
  を排除できないことである。
  こうした深刻な事態を回避するためには、一刻も早く 電源と冷却 システムを回復させ、原子炉
  や使用済燃料プールを継続して冷却する機能を回復させることが唯一の方法である。
  現場は このために必死の努力を継続しているものと承知しているが 極めて高い放射線量に
  よる過酷な環境が障害になって 復旧作業が遅れ、現場作業者の被曝線量の増加をもたらし
  ている。
   こうした中で、度重なる水素爆発、使用済燃料プールの水位低下、相次ぐ火災、作業者の
  被曝事故、極めて高い放射能 レベルのもつ冷却水の大量の漏洩、放射能分析データ の誤り
  など、次々と様々な障害が起り、本格的な冷却システムの回復の見通しが立たない状況にある。
   一方、環境に広く放出された放射能は、現時点で一般住民の健康に影響が及ぶレベルでは
  ないとは云え、既に 国民生活や社会活動に大きな不安と影響を与えている。さらに、
  事故の終息については 全く見通しがないとはいえ、住民避難に対する対策は 極め重要な
  課題であり、復帰も含めた 放射線・放射能対策の検討も急ぐ必要がある。
   福島原発事故は 極めて深刻な状況にある。更なる大量の放射能放出があれば避難地域
  にとどまらず、さらに広範な地域での生活が困難になることも予測され、一東京電力だけ
   の事故でなく
既に 国家的な事件というべき事態に直面している
 
   当面なすべきことは、原子炉 及び 使用済核燃料プール内の燃料の冷却状況を安定させ、
  内部に蓄積されている大量の放射能を閉じ込めることであり、又、サイト内に漏出した
  放射能塵や高レベルの放射能水が環境に放散することを極力抑えることである。これを達成
  することは極めて困難な仕事であるが、これを達成できなければ 事故の終息は覚束ない。
 
   さらに、原子炉内の核燃料、放射能の後始末は、極めて困難で、かつ極めて長期の取組み
  となることから、当面の危機を乗越えた後は、継続的な放射能の漏洩を防ぐための密閉管理
  が必要となる。  ただし、この場合でも、原子炉内からは放射線分解によって水素ガスが
  出続けるので、万が一にも 水素爆発を起こさない手立てが必要である。
 
   事態を これ以上悪化させずに、当面の難局を乗り切り、長期的に危機を増大させないため
  には、原子力安全委員会,原子力安全・保安院,関係省庁に加えて、日本原子力研究開発機構、
  放射線医学総合研究所、産業界、大学等を結集し、我が国がもつ専門的英知と経験を
  組織的、機動的に活用しつつ、総合的かつ戦略的な取組みが必須である。
   私達は、国を挙げた福島原発事故に対処する強力な体制を緊急に構築することを 強く
  政府に求めるものである。

                                       
     青木 芳朗   元原子力安全委員
     石野 栞     東京大学名誉教授
     木村 逸郎   京都大学名誉教授
     齋藤 伸三   元原子力委員長代理、元日本原子力学会会長
     佐藤 一男   元原子力安全委員長
     柴田 徳思   学術会議連携会員、基礎医学委員会 総合工学委員会合同放射線
              の利用に伴う課題検討分科会委員長
     住田 健二   元原子力安全委員会委員長代理、元日本原子力学会会長
     関本 博     東京工業大学名誉教授
     田中 俊一   前原子力委員会委員長代理、元日本原子力学会会長
     長瀧 重信   元放射線影響研究所理事長
     永宮 正治   学術会議会員、日本物理学会会長
     成合 英樹   元日本原子力学会会長、前原子力安全基盤機構理事長
     広瀬 崇子   前原子力委員、学術会議会員
     松浦祥次郎   元原子力安全委員長
     松原 純子   元原子力安全委員会委員長代理
     諸葛 宗男   東京大学公共政策大学院特任教授
 
 
自分たちが為してきたことが 「国家的事件」を引き起こして なお、
彼らは 己が生き残りを計ろうとするのである。
 
専門家・有識者というものは、
どんな事態になっても 決して 懲りない面々である。
 
                                 合掌
 
 
 
 ジャドゥゴダ鉱山

ドイツの場合

 
   倫理観がないのは、どうも わが国だけではないようです。
   文明の先進国とされるヨーロッパ各国の行政も、
   やはり 本質的には 変わらないようです。
 
   これら「近代国民国家」は、背徳の上に成り立っているにもかかわらず、
   自らを 人類の知恵の結晶だと 我々に宣伝し、
   「他の国家」への選択肢を奪っているようです。
 
   ※ 近代国民国家の特徴は、
      その発祥が 植民地経済に依拠していたように、
     その外部の資源を収奪することで、はじめて自己を維持できる構造を
     もった国家でした。 
 
      その内部では、個人に「基本的人権」を与えることで、従来の共同体を破壊し、
     すべての住民を囲い込んで 「国民」として再編成し、
     彼らを国家目標に忠実な者に変えるべく、「公教育」を取り入れたのでした。
 
      この国家の主要な活動は、資本主義的経済活動であり、すべては 企業の利益を
     最大限に引き出すことが 国家の目標であり、そのために 法体系も作られたのでした。
 
      経済活動を妨害するような国家政策は、近代国民国家では 悪とされます。
     どれほど、人々or子々孫々に害が及ぶ企業活動であろうと、経済を犠牲にしてまで 
     現在 及び将来の国民を守る政策は、この国家は採れません。
 
      この近代国民国家の活動は、したがって それを進めれば進めるほど、
     外部不経済を拡大再生産することになってしまいます。
     つまり、都合の良いものばかりを 自己のうちに取り込み、都合の悪いものは
     自己の外に捨てていくという行動様式です。
 
      国家活動が 盛んになればなるほど、外部不経済も拡大していく・・・。
     否、今や 自己の内にまで 無視しがたい「外部」を作り出して、
     なおかつ、自己を貫こうとして已まないのが、21世紀の国民国家の姿でしょう。 
 
                                    合掌    
 
 
                      ドイツの放射能汚染  ← クリック
 
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放射能汚染はこれからどうなるのか    ドイツの体験から
                 おすと  えいゆ著                 
                                          2012年11月16日掲載
 
ドイツを横断した放射性物質
 チェルノブイリ事故後、ちょっと信じられないようなことが西ドイツで起こっています。
次の項で 詳しく書きますが、ドイツ南部のバイエルン州は 事故後 ドイツで最も放射性降下物に
よって汚染されました。バイエルン州は チーズの生産地で、当時ドイツのチーズの3分の2以上
が バイエルン州で製造されていました。
 
  チェルノブイリ事故後 牛乳に放射能汚染が検出されたことから、バイエルン州政府は 汚染が検出
された牛乳をそのまま出荷するのではなく、チーズ製造用の原材料として使うよう指導します。
牛乳から製造されるチーズでは、放射能濃度が汚染牛乳に比べて かなり減るからです。 ドイツ
連邦環境省は たとえ牛乳の放射能濃度が高くても、チーズにすると 放射性セシウムの濃度が
1キログラム当り50ベクレル程度に留まったと報告しています。
 
 チーズ製造の過程では、牛乳から乳脂肪とカゼイン(タンパク質の一種)を分離すると乳清(ホエイ)
と呼ばれる液体が残ります。 ヨーグルトの上に液体が溜まっていることがありますが、それが
乳清です。 汚染牛乳の放射性物質の多くは この乳清に残ります。州政府は その乳清を何とか
再利用できないかと、専門業者ミグレ社に 乳清を粉状(ホエイパウダー)にするよう要請します。
乳清から乳糖を分離して ホエイパウダーを生成しますが、粉状にすることによって放射性セシウム
がさらに濃縮され、濃度は 1kg当り 1800から8000㏃ と高くなってしまいました。
 
 困ったのは その専門業者です。 はじめてのことなので、ホエイパウダー をどう利用していいのか、
廃棄物として処分していいのかも判断できません。そのため ドイツ鉄道から使用されていない
貨車を借りて、貨車に汚染 ホエイパウダー を保管しはじめます。 チェルノブイリ事故後3ヶ月も経たない
うちに、汚染 ホエイパウダー は 5000トンになり、約250両の貨車の中に仮貯蔵されていました。
 ドイツ政府は 1986年7月末、突如として ホエイパウダーの汚染規制値を 1850㏃/kgに
引き上げました。 これは、チェルノブイリ事故後に規定された乳製品の規制値 370㏃/kgを 単に
5倍したにすぎません。
それによって 汚染ホエイパウダーの使い道を広げ、1850㏃/kgを超えるホエイパウダーは
流通させてはならないと規制したのでした。汚染の上限を引き上げるとともに、ホエイパウダー
を製造した業者に対して、法的に損害賠償請求権を認めます。 それによって、ミグレ社には
国から約400万ドイツマルク(約2億円相当)が補償されました。
 その間、汚染ホエイパウダーを焼却処分するか埋立て処分するかなど 処分方法が検討されました。
しかし、ドイツ全国 どこにも その引き取り手が見つかりません。 世界中から 汚染 ホエイパウダー を
買取りたいとの申し出があったともいわれています。
 
 最終的にまとまったのは、ドイツ人輸出ブローカとの取引です。ブローカは 汚染 ホエイパウダー を
汚染のない ホエイパウダーと混ぜ合わせて アフリカに売却し、例えば 家畜の飼料として再利用する
計画でした。 こうして、法的に出荷してはならないはずの汚染 ホエイパウダー も含めてホエイパウダー
の輸出が認められます。
 1987年1月末、汚染 ホエイパウダー を積んだ貨車が ドイツ北部の港に向かって動き出しました。
地元住民が すぐに貨車の行き先を察知し、行き先のブレーメン市当局に通報します。そのため、
汚染ホエイパウダーは ブレーメン到着後 すぐに押収されてしまいます。この事件は メディアでも
スキャンダルとして取り上げられ、たいへんな騒ぎとなりました。
 
 騒ぎを鎮めるため、バイエルン州の環境大臣が記者団の前で 汚染 ホエイパウダー を実際に舐めて
見せ、安全性をアピール。 しかし その直後、見るに見かねた国の環境省が 汚染ホエイパウダーを
買い取って 国の管轄下におき、国防軍基地2ヶ所に分けて 保管することになります。
 汚染 ホエイパウダー は その後どうなったのでしょうか。緑の党国会議員の質問に答え、ドイツ政府
は1990年末までに原発施設内でイオン交換器を使って放射性物質を取り除き、家畜の飼料に
再利用されたと報告しています。それまでにかかった費用は 6670万ドイツマルク(約33億円
相当)。 すべて 国家予算から支払われ、納税者負担となりました。
 
 ドイツの週刊新聞「ディ・ツァイト」が報じているところでは、汚染 ホエイパウダー は ドイツだけの
問題ではありませんでした。 オランダやデンマーク、イギリスは 汚染 ホエイパウダー をブラジルや
フィリピンに輸出しています。 オーストリアでは 汚染 ホエイパウダー を  ドナウ川に投棄していた
可能性もあるといいます。シンガポールでは ヨーロッパから次から次に たくさんの汚染食品が
運び込まれてくるので、チェルノブイリ事故から 6ヶ月の間だけで ヨーロッパ産の汚染食品を24隻
の船で ヨーロッパに送り返したといわれています。
 
 
 
 
 
       国家・社会や科学者(集団)が、その倫理性を取り戻すためには、
 
                    それが、
                     被曝による影響だと証明できない限り、
                放射線によるものとは考えるべきではない。  
 
                         から
 
  被曝による影響ではないと証明できない限り、
      放射線によるものとして考えるべきだ。 
 
                      への転換をすべきである。 
 
 
 
■遺伝的影響の兆し

 ミンスク遺伝疾患研究所では、これまでに 2万例以上の剖検例 と 2万例に近い染色体検査
行なってきたことは、すでに述べた。
1996年の資料を例にとると、汚染地区での染色体検査では、新生児 1543例中 152例 (9.9%)
に異常を認め、 妊婦の羊水穿刺では 1960例中 97例 (4.9%)に異常を認めた。
日本での出生時の染色体異常児の頻度は 約0.2%なので、それと比べても 現地での頻度は
極めて高い。
 
  遺伝疾患研究所では 数年来、胎児・新生児の剖検例 や 染色体検査例を整理した。
事故前 0.3〜1.3 ‰のダウン症が 事故後1年で 2.6 ‰に増加し、その後も ジグザグながら、
やや高値を示し、しかも その発生地域が、事故後のセシウム を含む雲の流れに沿っていることも
水文気象研究所との共同調査で確認された
 遺伝疾患研究所の資料から 209組の染色体異常児と、その親たちの染色体所見が抽出され
解析に供された。 209例中 64例が ダウン症で、残りの145例も 様々な染色体異常例である
汚染地区で 親に生じた突然変異型の性染色体異常により、その子供に ダウン症、クラインフェルター
症候群のような トリソミー(三染色体)の染色体異常の疾患が増加している。

 ダウン症の多くは 受精前の母親の卵細胞分裂時の染色体の「不分離」が原因。その誘因に
母親の高年齢出産が知られているが、これら現地の資料では 結婚、出産年齢は若く 35歳未満
の出産だけである
成書にも ダウン症 「遺伝による発生のひずみ」の範疇に明記されている。放射能による遺伝
的影響が生じる場合、突然変異による親の染色体異常を通じて 次世代に染色体疾患として
現れるのは 充分に考えられることだ。
UcidaとCurtisは カナダで、81例のダウン症と、比較として 81例の唇裂児の母親の妊娠歴を
調べ、今から約60年前の1947年に、妊娠中に 胃・腸管系や尿路系の診断のため腹部レントゲン
検査を 4回以上受けた母親から生まれた ダウン症は 81例中 23例(28.3%)、同様に 4回以上
レントゲン検査を受けた母親からの唇裂児は 81例の唇裂児中 3例(3.7%)で、放射線被曝で
ダウン症が増加することを示唆している。
 一方では、後述するように広島の被爆者の子供には、そのような結果が得られていないところ
から SchullとNeelらの異論もある。

 動物実験では、親の性腺に放射線を照射して 次世代に さまざまの奇形やガンを誘発させた
報告は多い。しかし、人類では どのような影響が現れるのか、経験や資料にとぼしい。今後も
長期にわたる観察が必要と考えるが、2003年 キエフで開かれたWHO、IAEAや3共和国主催の
チェルノブイリ被災者に関する国際会議の終了後に出されたまとめの決議文中には、ラジュク教授ら
の発表を踏まえて、高汚染地区に住む被災者に、奇形や遺伝性疾患の子供を出産するリスク
が増加している と明記された。


■チェルノブイリ・フォーラムは遺伝的影響も否定

 しかし、2006年版のチェルノブイリ・フォーラムは チェルノブイリの被曝線量では、遺伝的影響は起こり
えない としている。現場での地道な調査研究を経験していない 「彼ら」は 遺伝的影響が生じる
とすれば、奇形か ガン、或はメンデルの法則に従う優性、劣性遺伝性疾患などが生じるという
前提で考え、放射能による遺伝的影響が ダウン症のような染色体の疾患として生じているのを
承知していないのではないか?

 被曝線量について議論するならば、低線量被曝の影響については 不明の点も多い。
従来の定説としては、奇形は ある程度の 閾値を超えた線量の被曝でないと生じないとされた。
将来の奇形発生率の予測が難しいので 非確率的影響と呼ばれ、これに対して 遺伝的影響や
ガンの発生については、人類集団が低線量でも被曝すると将来、ある確率で発生するとされ
確率的影響と呼ばれている。即ち 低線量域でも遺伝的影響やガンは起こりうるとする説である。

 この点からすると、IAEAの「低線量では 遺伝的影響は起こらない」という説は成立しないこと
になる。さらには、放射線生物学の領域では 自然な突然変異によって生じる遺伝的変化を
倍増させる放射線量を 「倍加線量」と呼んでいる。動物実験結果などを外挿して国連科学委員会
は 1958年に 10〜100ラド(代表値 30ラド)と発表したが、1966年には 代表値を 70ラドに引き
上げた。そのことで 遺伝的影響を予測するための人為的ハードルは高まった。

 チェルノブイリの場合、1平方km当たり40キュリーの汚染地区に 20年住むと 約30レム(300m㏜)
の被曝線量と換算される。 しかし、倍加線量という かなり幅のある推定値を IAEAが遺伝的影響
を否定する理由の一つにしているとすれば、その上に 放射線感受性の個人差のバラツキも加味
されて、その根拠は 希薄と言わざるを得ない。
 人類は、他の種に比べて放射線に対する感受性が強く、個人差はあるが50m㏜以上で染色体
異常を生じ、原爆小頭症は 妊娠8〜15週の臨界期では 200m㏜以上で増加した。
 
  チェルノブイリの被曝によるガンの発生や死亡者数の推定には、原爆被爆者調査の結果が参考
に供されている。ガンや死亡数は、様々に推定されても 彼ら」には遺伝を語る根拠がない
なぜなら、原爆被爆者では 遺伝的影響については ポジティブなデータが得られていないからだ
被爆者の次世代の染色体の検索は、放射線影響研究所の阿波章夫遺伝学部長(当時)らに
よって精力的に行なわれた。1967〜1984年の結果では、被爆者 8322例、対照群 7676例が
調べられたが、両者間に染色体異常の有意差は認められなかった。
  ダウン症については 対照群にはみられず、被爆群に 1例認められた。人類で 遺伝的影響が
検討され立証されるためには、当然のことながら 男女が結婚し 次世代が生まれ、なんらかの
異常が認められなければならない。 原爆被爆者の多くは亡くなり、罹患し、或は 不妊となり、
或は 社会的経済的理由で結婚できなかった方も居られたであろう。調査の対象となった方々は
様々な自然的、人為的淘汰を乗り越えられた方々に相違ない

 その点、チェルノブイリでは 親の染色体突然変異を生じ得る低線量放射線が作用し、それを継承
した次世代が調査の対象となり得る条件が整っていたと思われる。遺伝的影響が 原爆被爆者
の白血病やチェルノブイリの小児甲状腺ガンのように多発することはありえない。流産や死産など
様々な淘汰が働くから、影響が生じたとしても ごくわずかな異常が散発的に生じるに相違ない

 現在は 人類の移動がさかんで、固定集団での人類遺伝学的調査は困難であるが、1958年
の北アイルランドでの Stevensonの調査では、一般の人類集団にみられる出生児の異常の頻度は
自然突然変異によって繰り返される遺伝性疾患、常染色体や性染色体異常の疾患、多因子性
の奇形、原因不明の異常なども含めて、それらが すべて同時に発生した場合を考慮しても上限
は 約2〜3%である。 仮に 放射線被曝によって 異常が「倍加」したとしても、その頻度は数%
どまりであろう。遺伝的影響の長期にわたる観察で重要となってくるのは、このわずかな異常を
察知しうる研究者とシステムの存在であろう。現場では すでに それが機能しているのである。
 
 以上の諸点を勘案すると、IAEAが遺伝的影響を否定したのは、早計で かつ 根拠に乏しいと
言える。
これまでの経過をみると、IAEAは 出先機関に相当する各国の国際学会や会議で公表、
承認された事項を 本部での会議を通じて無効にする不思議な機能を有している。
 
 
 
 
  ※ 2013.09.02 外国特派員協会 田中規制委員長 記者会見  
            http://www.youtube.com/watch?v=yHiq_SyW-WQ
 
 
 
                      
       国家・社会や科学者(集団)が、その倫理性を取り戻すためには、
 
                    それが、
                     被曝による影響だと証明できない限り、
                放射線によるものとは考えるべきではない。  
 
                         から
 
  被曝による影響ではないと証明できない限り、
      放射線によるものとして考えるべきだ。 
 
                      への転換をすべきである。
 
 
 
チェルノブイリ原発事故による先天異常と遺伝的影響の兆し
   −チェルノブイリ・フォーラムの姿勢を問う
             http://www.cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=421
           『原子力資料情報室通信』387号(2006.9.1)掲載
                                                         元広島大学原爆放射能医学研究所長 佐藤幸男 
 
                          (1)    
 
http://cnic.jp/files/event/che25/novozybkov.gif
   *1キュリー=370億ベクレル
          1〜5Ci/k㎡=37k〜185k㏃/㎡ ・・・文科省航空機モニタリング
                              [object HTMLMetaElement]
 
■チェルノブイリ・フォーラムは先天異常増加を否定

 2005年 9月、国際原子力機関(IAEA)、世界保健機関(WHO)など国連機関やロシア、
ベラルーシ、
ウクライナ共和国などが、チェルノブイリ原発事故 20年目に向けて 被災の状況をまとめた チェルノブイリ
・フォーラム の中で、ミンスク遺伝性疾患研究所のゲンナジー・ラジュク所長の資料として ベラルーシ
の非汚染地区での胎児・新生児の先天異常が、汚染地区での先天異常を上回っている図が
掲載され、「 現地での先天異常の増加は認められない 」との記事を見て、私は目を剥いた。
「 こんなことはありえない 」、私は声にならない言葉を吐いて絶句した。
  ・・・
 
■先天異常児が汚染地区で増加

 ラジュク教授らは 事故以来、汚染地区での先天異常の増加の有無を確かめる目的で 高濃度
汚染地のゴメリ、モギリョフなどの地区を厳密に設定し、対照地区には非汚染地区を選んだ。
被曝者としては、短期汚染地区居住者、移住者は除き、汚染地区に居住する親から生まれた
新生児、及び 自然・人工妊娠中絶胎児などが 顕微解剖や染色体検査の対象となった。
  その結果、汚染地区での先天異常の増加が認められた。その内容は、二分脊椎、唇裂口蓋裂
、多指症、欠指症、ダウン症、心臓や尿路奇形、複合合併奇形など 多岐にわたる。
これらの結果は アメリカ、ヨーロッパ 及び 2001年、2003年に キエフで開かれた IAEA、WHO、
被災3共和国などが主催した国際会議でも発表され、公認されている。

 因みに、ミンスク遺伝疾患研究所は 事故の19年前の1967年に設立され、奇形学や人類遺伝学
の研究、診断治療に取り組んできた。 事故前、事故後を通じて ヒト胎児・新生児の剖検数は
2万例を超え、末梢血や妊婦の羊水穿刺も含む染色体検査例は 2万例に近い。 ラジュク教授が
示している資料には、ヒトの試料収集の システム作りや長年にわたる地道な調査と研究の背景が
ある。
 
■不適切な汚染地区の設定が原因

 ラジュク教授の説明によれば、かねてから遺伝疾患研究所の調査研究に関心を寄せ、ミンスク を
訪れていたフランスの某研究所が 2〜3年前、IAEAからの支援を受け、ミンスクでの先天異常
調査を申し込み、汚染地区の設定を ラジュク教授とは異なる州単位を主とした区分けを提唱して
きた。
 それによると、汚染地区の中に 非汚染地区が混在し、同様に 対照地区の中にも汚染地区が
混在している。 ラジュク教授は このような区分に異論を唱えたが、得られた結果は ラジュク教授
の結果と相反し、先天異常の頻度が 汚染地区と対照地区で みごとに逆転している。
 フランスのグループは、両方を持ち帰ったが、チェルノブイリ・フォーラム報告書では ラジュク教授の
資料は消され、フランスグループのものだけが掲載された
 ・・・ ラジュク教授は IAEAに反論したが、結果は変わらないとのことであった。 何のために
新しい汚染地区の区分が行なわれ、その結果だけが採用されるのか?
 
■ IAEAの姿勢

 私が初めてチェルノブイリの被災の実状調査のため現地を訪れたのは 1990年 6月だった。
そのときの報告は、『憂慮される癌の多発 定住続ければ遺伝的影響も』とのタイトルで中国新聞
(1990年 8月4日付)に掲載された。
翌 1991年の調査時には、人口10万に1人位しかみられない小児甲状腺ガンが ミンスクの汚染
地区の子どもに 40例出現していた。 現地の医師や被災者たちは、早くからその異常に気づい
ていたが、意外にも 政府当局やIAEAから被災者の健康調査を依頼された日本の放射線影響
の専門家たちが被曝線量が不明、潜伏期が短い、統計処理が不備、発生のメカニズムが
不明などの理由で 認めようとはしなかった。
                                 < 小児癌の放射線リスク(2)
 線量の発掘、適切な統計処理、メカニズムの解明などは症例の収集を続けながら同時並行的
に行なわれるべきものである。希な小児甲状腺ガンが多発しているか 否か、一目見れば分る
簡単な現症について 長い間不毛の論議が続いた。そのため放射能災害に対処する政府や
医療関係者などに対して 不信の念が 現地や日本の識者らの間に浸透した。
数年間で 数百例もの小児甲状腺ガンが発生し、WHOは チェルノブイリ事故を除外しては考えられ
ない、とする消去法的説明で認めた。 
 
 IAEAやWHO 及び いわゆる「科学者」被災の実情を容易に認めない理由の1つに、ある
疾病や異常の発生に放射線依存性が認められないと、「科学的証拠」が立証されていないとして
切り捨てる姿勢がある。
 確かに放射能による疾病、異常、或は 死亡の原因究明には、線量測定、可能ならば個人被曝
線量を同定して 線量依存性を確かめることは重要な診断基準である。
このような作業は、広島や長崎の原爆被爆のように 爆弾中のウランやプルトニウムの量が
明らかで、放射能による災害が同心円状に広がった場合には 比較的容易に行なわれた。しかし
広島の場合といえども、アメリカ、日本の線量評価の専門家によって 長い期間検討され、2回も
線量修正が行なわれた。 原爆被爆者の調査によって 白血病や各種固型ガン、小頭症などを
惹起する放射線量の基準の設定には 貴重なデータが得られた。
 しかし、複雑な放射能汚染形態である チェルノブイリ災害に 同じ方式を適応して、それが得られ
なければ放射能が原因であるとは認めない とするのでは、放射能災害の全体像を知る上で
無策という他はない。被曝者群と対照群の比較において 被曝者群に特定疾患数の上昇が有意
に認められたならば 限りなく放射能の影響が疑わしいと考えるのは当然であろう。
 広島でも、爆心地から2km以内での被曝を被爆者、 2km以遠を対照例として統計処理されて
いる。個人被曝線量も すべての被爆者で判明しているわけではない。 10数万人の生存被爆者
中の約9万人であり、それは 日本の家屋モデルを用いて計算された推定値である。

■放射能災害を見る目

 1975年版NHK『核放射線と原爆症』の中で、故飯島宗一先生 (広島大学長、名古屋大学長を
務めた病理学者)は、ジョンス・ホプキンス大学の実験で 発疹チフスが ほとんど治癒したサルに
中等度の放射線を照射したところ、多くのグループで チフスが再発した。 広島の原爆被爆者に
見られた症状は、それが 原爆の故ではない と完全に証明されない限り、放射線が 直接、
又は間接的に身体に影響を与えたものと考えるべきである と述べられている。
私は このような考え方が 内科診断学、或は 病理診断学の真髄であり、この考え方や表現は、
決して放射線生物学や線量測定の専門家とも 相容れないものではない と考える。

 文中、「 広島の原爆被爆者 」を「 チェルノブイリ被災者 」と置き換えて考えてみても、まさに然り
である。 しかし 残念なことに、今まで 私が接した多くの日本の 「科学者たち」は、前記の表現
とは異なり、チェルノブイリ被災者に見られた症状は、それが チェルノブイリ事故の故だ と完全に
証明されない限り、チェルノブイリが原因だとは言えない というような表現をする。
放射能による影響を過大にも、或は 過小にも評価しないために、我々は それを見る立場と視点
をしっかりと押さえておかなければならない。

 IAEAに関係する人びとの発言には、被災の状況を過小評価する傾向があるのは、度々感じる
ところである。これは 常に 「科学的」という美名の下で、調査を行ない診断を下してきたばかり
ではなさそうなのだ。
キエフの国際会議で、原爆被爆者とチェルノブイリ の被曝の影響調査で功績のある某著名アメリカ人
学者から得られた情報によれば 「 人心安定と将来の補償問題も考慮して、事故の影響を
大げさに言ってくれるな 」共和国の政府関係者から頼まれたということであった。
原爆被爆者の調査研究で日本政府から表彰されたこともある この真摯な老学者の説明は端的
で分かりやすく、私は 信がおけるのだ。被災した共和国からの そのような「錦の御旗」の後ろ盾
があればこそ、原子力発電推進派が 被曝の状況を過小評価するのは、みっともないという
羞恥心も無きがごとくに振る舞える人もいるのであろう。


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