混沌の時代のなかで、真実の光を求めて

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放射能汚染と どう向き合うか

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     「どうみる?甲状腺がん 講演と討論」
       3月27日(日)13:00〜
       会場:大田原市総合文化会館
       講演: 鈴木元氏  講演(国際医療福祉大学大学院教授)
           津田敏秀氏 講演(岡山大学大学院環境学研究科教授)
    

    (前半)
    


        (後半)
       



     
                     ourplanet   01/19/2016
      京大大学院医学研究科・小泉昭夫教授報告(ノーカット版)
     2013年に南相馬市内で収穫された米から、国の基準値を超える放射性物質が
    検出され­た問題で、周辺地域で放射性物質のモニタリングを続けてきた京大大学院
    医学研究科環境­衛生学分野の小泉昭夫教授は17日、
    東京電力福島第一原子力発電所で行われた同年夏の­ガレキ撤去による粉塵の拡散が
    原因であると結論づける研究結果を地元農家などに報告し­た。
     ・・・
     この問題では、農林水産省が独自の調査によって、粉じんが飛散した可能性を指摘
    していたが、原子力規制委員会が否定。その後、政府による調査は打ち切り状態と
    なっており、原子力規制委の田中委員長が11月に南た相馬相馬市長と会談した際
    についても、「ガレキ撤去の影響ではない」と持論を展開していた。
     これについて、小泉教授は、実証実験をせず、シュミレーションだけで結論を導いた
    原子力規制委員会と田中委員長の姿勢を批判。今回の研究成果は、査読を経て、
    国際学会誌「Environmental Science & Technology」に掲載されたと説明した上で、
    「この論文に反論するなら、田中委員長も国際学会誌に反論を投稿すべきだ」と述べた。
    さらに、住民と信頼関係を構築するためにはバイアスのない丁寧な手法をとるべきだ、
    現在の規制委員会の手法を厳しく批判した。
    







(3) のつづき
 
2013.9.22
崎山比早子氏講演会  
   低線量リスクが無視される背景
                ― 国会事故調が明らかにしたこと
               http://www.youtube.com/watch?v=ph2pDDyPE38
 
         ⋆ 元放射線医学総合研究所主任研究官、医学博士、現高木学校所属
 
                             (4)
 
 ( 1:10:49〜 )
 
  「 100m㏜以下では がんになる証拠はない 」と言っているが、
 その根拠は 疫学調査。 
 
 ――― それは 本当なのか?
 
  ■ 世界的に最も信頼されている疫学調査は、原爆被爆者の生涯追跡調査。
  これは、被爆が起きてから 5年後に始まって 一定期間ごとに論文を発表して、
 がんや病気が被爆線量と どう関係しているか ということを報告している。
 
  被爆者追跡集団は 約87,000人、その対照群は 爆心地から3〜10km圏内。
    平均被曝線量は 200m㏜、 50%以上が 50m㏜以下。
 
 
  追跡期間が 1950年から 2003年までだが、放射線感受性の高い人は 被爆後
 この調査が始まる 5年の間に亡くなっているので、この調査自体が 選択バイアス
 がかかっている
   しかし、この調査集団は 87000人と大きな集団だし、調査期間が 53年間
 と長く、被爆線量が 比較的信頼性が高い というようなことで、世界的にも
 信頼されている疫学調査である。
   ※ ただし、対照群の取り方に問題があると指摘されている。
                      参考:   <原爆の惨禍の下で ②   ⑪  ⑫  ⑬
 
  原爆被爆者の固形がん死の過剰相対リスク
     ( 過剰相対リスク ERR: 対照群より どれだけ リスクが大きいか
 
     縦軸のERR 0.0 を通る 横線(点線)を 対照群の固形がん死数として、
    横軸 0.0〜3.0 Gyの被曝における 固形がん死数が どれくらい増えているかを示す
    のが、図中の黒点。
           colon dose:結腸被曝量
           L:線形モデル, LQ:線形―2次モデル, どちらのモデルが相応しいかを検討したもの
  
    この黒点を どうしたら、被曝線量と固形がん死の関係が表せるかというと、
   ある一定の線量以下だと 過剰相対リスクが 0になるという線量はなく、
   線量に比例して がん死が直線的に増えるという 「しきい値なし直線モデル」
   (図中の L)が、一番 適切という結論になっている。
 
    この図では、100m㏜以下は あまりよく分からないが、
   ここを 線量あたりのリスクで示したのが ☟    
 
   線量あたりの全固形がんの過剰相対リスク
 
                 ↑          ↑
               20mGy               200mGyまでのERR:0.56/Gy
                         Colon dose 結腸線量(Gy=㏜)
                                    縦軸ERR/Gy 0.0 : 対照群と同じ
                           0.42:  全領域のERR
                               〜 1㏜浴びると がん死率が1.42倍増える
 
    200m㏜以下の線量になると、線量当りのリスクが、全体(全領域のERR
  より高くなっている。低い線量になると 線量当りのリスクは上がってきている
  200m㏜以下を 1つにまとめると 0.56/Gy(1㏜当り がん死率が1.56倍増える
 
   この論文の著者たちは、
  「 放射線が安全なのは 線量が 0のときのみだ 」と結論している。
 
   しかし、
  専門家は、(100m㏜以下だと)誤差範囲が広いから 統計的有意差がない
  と言っているが、実際 これ位増えているのに これが分からないというのは、
  チョット オカシイ。 
 
 
 ■ 他にも 
  疫学的に 低線量の被曝で がんor白血病などが増えているという論文は 
  いくつもある。
 
   小児CT検査(20歳以下)による白血病と脳腫瘍の発症(英国 2012 )
     後ろ向きコホート調査
      178,604人中  74例の白血病
      176,587人中 135例の脳腫瘍
     線量と白血病・脳腫瘍の間に相関関係があった。
     過剰相対リスク(ERR)
      白血病: 0.036/mGy (95%CI 0.005‐0.120 p<0.0097)
      脳腫瘍: 0.023/mGy (95%CI 0.010‐0.049 p<0.0001)
 
     5mGy以下の患者に対する相対リスク(RR)
      白血病: 累積線量 少なくとも30mGy(平均線量:51.3mGy)
            3.18 (95%CI 1.46−6.94)
      脳腫瘍: 累積線量 50〜74mGy(平均線量:60.42mGy)
            2.82 (95%CI 1.33−6.03)
 
 
     CT検査による線量依存性白血病と脳腫瘍リスク
                  縦軸:相対リスク    横軸: 上は 骨髄線量、下は 頭部線量
 
                上は 白血病、下は 脳腫瘍が 線量(mGy=m㏜)に比例して
      直線的に リスクが増えている。しかも、白血病は全部 100m㏜以下だ。
 
 
         参考: 20歳未満でのCT検査で癌リスクが有意に上昇  日経メディカル
                  オーストラリアMelbourne大学    2013年5月21日
              
http://www.asyura2.com/09/iryo03/msg/691.html
         調査は、オーストラリアのメディケア医療記録から1985年1月1日に0〜19歳だった、
        もしくは 85年1月1日から05年12月31日までに誕生した 1093万9680人のうち、85〜05年
        の間に CT検査歴がある患者 68万211人(6.2%、曝露群)を対象とした。
        このうち、複数回のCT検査を受けていたのは 18%、5回以上の検査を受けていた患者
        も 0.8%存在した。

                  CT検査の標的部位は、脳が 59.4%、顔面骨が 13.1%、四肢が 9.5%、脊椎又は首

        が 8.6%、腹部又は骨盤が 5.0%などだった。癌罹患に関する追跡は、同国の癌登録

        を利用して 07年12月31日まで行った。

         主要転帰評価指標は、CT検査から 1年超経過後に 癌と診断された患者の割合に

        設定し、CT検査歴を受けていない対照群(非曝露群)と比較した。

        追跡期間の平均は、曝露群が 9.5年、非曝露群は 17.3年で、曝露群では 3150人、

        非曝露群では 5万7524人(合計6万674人)が 癌の診断を受けていた。

                  全体として癌罹患率は 非曝露群に比べ 曝露群で 24%高かった。年齢,性別,出生年

        で調整した罹患率比は 1.24(95%信頼区間1.20-1.29、P<0.001)だった。

         07年12月31日時点における、曝露群の全ての癌の絶対過剰罹患率は10万人年当たり

        9.38で、CT検査で 癌罹患者は 608人増えたと推定された。内訳は、脳腫瘍が147人、

                 他の固形癌が 356人で、白血病 又は骨髄形成異常が 48人、その他のリンパ系腫瘍が

        57人だった。

         CT曝露と癌罹患の間には用量反応関係が見られた。CTスキャンを1回受けるごとに

        罹患率比は 0.16(0.13-0.19)上昇していた。

                曝露から 1年超ではなく 5年超経過後の癌罹患を非曝露群と比較したところ、罹患率比

        は 1.21(1.16-1.26、P<0.001)になり、10年超経過後の癌罹患を比較しても 1.18(1.11

        -1.24、P<0.001)と有意差が見られた。

         癌罹患率比は、より低年齢で曝露した患者で大きかった(傾向性のP=0.009)。

        初回曝露が 1〜4歳、5〜9歳、10〜14歳、15歳以上だったグループの罹患率比は

        それぞれ、1.35(1.25-1.45)、1.25(1.17-1.34)、1.14(1.06-1.22)、1.24(1.14-1.34)だった。

         癌のタイプ別に CT曝露による罹患リスク上昇を分析したところ、消化器、軟部組織、

        女性器、尿路、脳、甲状腺、メラノーマといった固形癌と、ホジキンリンパ腫、白血病、

        骨髄形成異常、その他のリンパ系腫瘍の罹患率比が 有意に上昇していた。

         最も罹患リスク上昇が大きかったのは 脳腫瘍で、脳のCT検査後の脳腫瘍の罹患率比

        は 2.44(2.12-2.81)、それ以外の場所を対象とするCT検査後の脳腫瘍の罹患率比は

        1.51(1.19-1.91)だった。

         また、検査の対象となった部位によって、癌の罹患率比は異なっていた。あらゆる癌の

        罹患率比が高かったのは胸部の検査(1.62、1.22-2.14)と腹部/骨盤の検査(1.61、

        1.38-1.88)だった。胸部の検査で最もリスクが上昇したのは軟部組織の癌(4.64、1.74-

        12.4)で、腹部/骨盤への照射で最もリスクが上昇したのは、白血病と骨髄形成異常

        (3.24、2.17-4.84)だった。

         あらゆる臓器に対する スキャン 1回当たりの実効線量の平均は 4.5mSvと推定された。

                 小児に CT検査が行われる理由として最も多いのが頭部の外傷で、CT検査を依頼する
        医師の多くは放射線科医ではない。85〜05年の当時 使用されていた放射線量よりも、
        現在のCT検査で必要な線量は低い。しかし、リスクがあることは確かなので、CT検査は、
        検査の必要性が明らかな症例に対し、診断に有用な画像を提供できる最低の線量を
        用いて行うべきであり、患者やその家族の協力も得て、利益がリスクを確実に上回る
        ような活用を目指す必要があると著者らは述べている。
 
 
   また、 
      イギリスの自然放射線が高い所で 小児白血病が増えているという資料がある。
 
      英国における自然放射線と 1980‐2006年の小児白血病 及び他のがん
     の罹患率の関係 ―記録を基にした症例対照研究―
              kendall G.M. et al. Leukemia online 6 July 2012
      ●症例:英国で 1980‐2006年に生まれて 白血病と診断された 27,447例
      ●対照:マッチさせたがんのない 36,793名(小児腫瘍国家登録)
      ●線量推定:子供の出生時における母親の居住地より推定
 
            上: Leukemia(白血病)  下: 白血病以外の全がん 
            縦軸: 相対リスク  横軸: 累積γ線量(m㏜)
            赤線 ――:対照群(コントロール)
 
     白血病は 5m㏜になると有意差が出て、これを越えると 線量に応じて
    増えている。白血病以外のがんについては 有意差がない。
 
    これまで、英国における小児がんと自然放射線と(ラドン、γ線)が相関を
    示さない論文は いくつかあったが、欠陥(統計的解析力が不足)があった。 
 
   このように、
  疫学調査でも (100m㏜以下で)有意差があるという論文は いくらでもある
 
   
 
  問題 
    高線量・高線量率による リスクを、低線量・低線量率(<100m㏜、<5m㏜/h
   のリスク推定に適用可能か?
 
    線量率: 単位時間当たりの線量
   高線量率: 広島・長崎の被爆者
   低線量率: 自然放射線、放射線作業従事者、放射性物質汚染地域の住民
          (テチャ川流域住民や福島住民など)
      ・・・ 例えば、100m㏜を いっぺんに浴びるのが 高線量率、
               100m㏜を 1年かけて 毎日少しづつ浴びるのが 低線量率
 
    国際放射線防護委員会(ICRP)は
    同じ線量でも、高線量率の方が リスクが高いので、
   広島・長崎の高線量率リスクに 1/2を掛けて 低線量・低線量率のリスク
       (線量・線量率効果係数 DDREF:2)としており、
   これをもとに、
   日本政府は 100m㏜当り 0.5%がん死率が増える と言っている。
 
   しかし、1/2を掛けるというのが妥当かどうかには、いろいろ異論がある 
 
 
    低線量・低線量率被曝による がんリスク
                          GLL :慢性リンパ性白血病
      ケース         線量当りの過剰相対リスク(ERR)        平均被曝線量
                    固形がん       白血病  
    広島・長崎        0.42/Gy    男 3.9 女 4.6/Gy     200m㏜
    テチャ川流域住民   0.92/Gy            6.5/Gy(除 GLL)      40m㏜
  15か国核施設労働者   0.97/Gy        1.93/Gy(除 GLL)     19.4m㏜
英国自然放射線地域(γ腺)   有意差なし     0.12/mGy(15歳以下)
  原発周辺の小児白血病            RR: 1.44(5歳以下)  原発から 5km以内
   (英・独・ベルギー)                              と 15km以遠を比較
  小児CT検査    0.023/mGy(23/Gy)  0.036/mGy(36/Gy) 
  チェルノブイリ事故処理者             1.26/Gy            132m㏜
                                              78% <100m㏜
  セミパラチンスク核実験場   1.71/Gy 
 
    固形がんをみると、
   テチャ川流域住民や核施設労働者は、広島・長崎のERRの倍以上あり、
   広島・長崎のERRに 1/2を掛けるというのは 疑問である。
 
  むしろ、低線量率の方が リスクが高い可能性もある。
 
 
   因みに、線量・線量率効果係数(DDREF)は、
 
   国際放射線防護委員会(ICRP) :2
   米国科学アカデミー電離放射線の生物学的影響に関する委員会」BEIR VII報告:1.5
           radi-beir executive new.pdf 
   欧州放射線リスク委員会 (ECRR) : 1
 
      ☟
    20m㏜被曝で 1万人当りのがん死数
        ICRP     : 10人 (0.05×20/1000×10000=10
        BEIR Ⅶ : 13人 (0.05×20/1000×10000×2/1.5=13.3
        ECRR    :  20人 (0.05×20/1000×10000×2=20
 
      低レベル放射線の健康影響を考える場合、実効線量で100mSv以下の線量では
     がんや遺伝性影響といった確率的影響だけが対象となる。低レベル放射線による
     がんのリスクを評価する場合は、主に 広島・長崎の原爆被爆者集団の疫学調査の
     結果を用いているが、線量 と がん発生の関係は およそ100mSv以上では、ほぼ
     直線的に線量とともに リスクが上昇することが明らかである。
      しかし、100mSv より低い線量では、直線的にリスクが上昇するかどうかは明らか
     でない。また 原爆のように短い時間に高い線量を受ける場合に対して、低い線量を
     長時間にわたって受ける場合(低線量率の被ばく)の方が、被ばくした総線量が同じ
     でも影響のリスクは低くなるような傾向が、実験動物や培養細胞の実験研究で明らか
     になっている。低線量や低線量率で効果が低くなる程度を示す値として線量・線量率
     効果係数(DDREF)が用いられる例えば DDREFが 2である場合は 低線量・低線量率
     のリスク係数(単位線量当たりのリスク)が高線量での値の2分の1であることを示す。
     国際放射線防護委員会(ICRP)では、低線量の放射線被ばくの リスクを推定する場合、
     このような科学的な情報をもとに、放射線による確率的影響は、線量と反応が比例
     する しきい値なしの直線モデル(LNTモデル)を放射線防護の目的に採用し、その
     最新の主勧告である ICRP 2007年勧告においても LNTモデルの利用の妥当性を説明
     しているこの勧告では、これまでの広島・長崎の原爆被爆者集団などの調査研究の
     結果をもとに、このLNTを用い、DDREFの値を 2として推定したリスク係数を1Sv当り
     5.5%(成人のみの集団では4.1%)であるとしている。例えば ICRPの公衆の1年間の
     線量限度である 1mSvを 10万人の集団が受けた場合、生涯で 約5人ががんで死亡
     すると推定されることを示している。現在の我が国の放射線障害防止に関する法令
     の基準は ICRP1990年勧告の基準に準拠しているが、2007年勧告では1990年勧告で
     示されたリスク係数と大きな変化はないとし、線量限度など主要な基準値は変更され
     なかった。
 
 
 
 
                       (つづく)
 
 
 
 
(2)  のつづき
 
2013.9.22
崎山比早子氏講演会  
   低線量リスクが無視される背景
                ― 国会事故調が明らかにしたこと
               http://www.youtube.com/watch?v=ph2pDDyPE38
 
         ⋆ 元放射線医学総合研究所主任研究官、医学博士、現高木学校所属
 
                             (3)
 
 ■ 放射線によるDNA損傷 〜 その修復とがんの発生  53:10〜
 
  放射線によって どういうふうに 体にがんができてくるか?
 
  放射線がDNAに当ると?
                       
   低線量被曝の場合
 
    分子・原子の化学結合のエネルギーは 5〜7eV。
   DNAを作る分子・原子は、非常に弱いエネルギー(力)で結びついている。
    これに比較して、  
   放射線のエネルギーは たとえば 診断用Ⅹ線は 100,000eVで、
   化学結合のエネルギーの 1万5000倍から2万倍くらい大きい エネルギーが、
   放射線を浴びると (体の中に)入ってくる。
 
   ○ エネルギーの大きさを線の長さで表すと、
         ・  ☜   化学結合のエネルギー
     ――――――――――――――――――――――――――――― 1
    ――――――――――――――――――――――――――――― 2
    ――――――――――――――――――――――――――――― 3
                 ⇊       
    ―――――――――――――――――――――――――――――100  Ⅹ線のエネルギー
  
 
 
    ここで どういうことが起こるか?
 
   我々の身体の大部分(60〜80%)を占める水分子 H2Oは、
    (水素原子 H が 半分以上の 60.3%、次いで 酸素分子 O が 25%を占める) 
  
     酸素(O) 1原子と水素(H) 2原子が、一番外側の電子の軌道を共有すること
  で 水分子ができ上がっており、それが 5〜7eVのエネルギーで結びついている。
 
                             http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/research_highlights/no54_img/fig2.png

図2.水分子および共有結合の模式図
 
                  酸素原子の外側の電子軌道には 6個の電子が、又、水素原子の電子軌道には
          1個の電子が入っている。酸素原子1個に 水素原子2個が結合し 水分子H2Oをつくる
      時、それぞれの水素原子は、なけなしの電子1個を酸素の電子軌道に供与する代りに、
      酸素からも 自分の電子軌道に 電子1個を供与してもらい、互いに しっかりと結び付く。
        水素原子は その電子軌道に2個、酸素原子は 外側の軌道に 8個の電子が入った状態
      になると安定するため、共有結合と呼ばれる水素2個と酸素1個の強い結び付きが起こる。
 
 
   ここに 放射線が当たると、電離作用が起きる。
 
    ⋆ 電離: 電荷的に中性な分子を、正or負の電荷を持ったイオンにする操作or現象。
      或は 分子(原子or原子団)が エネルギーを受けて、電子を放出したり、逆に 外から得ること。
                                    電離放射線 - ATOMICA -
       β線が物質を通過中に起こす相互作用には、電離励起制動放射散乱がある
              光子(Ⅹ線、γ線)或は 電荷を持たない中性子線は、原子や原子核との相互作用を
      介して荷電粒子線を発生させ、二次的に発生した荷電粒子線が電離作用にあずかる。 
 
   光電効果  
      物質に光(光子)を照射すると、その全てのエネルギーを原子に与えて 電子(光電子)が物質
     の表面から放出される現象 (生体中では 100 KeV以上の光子では ほとんど起こらない)
 
    コンプトン効果 
      光子(Ⅹ線やγ線)を物質に当てたとき、散乱光子の波長が入射Ⅹ線の波長より大きく
      なる現象 (1MeV前後で、コンプトン散乱が起こりやすい)
      : 光子が 粒子の衝突のように 物質内の電子を跳ね飛ばして、電子に運動エネルギー
      の一部を与え、自身のエネルギーが減るため 散乱後の光子の振動数が減少し波長が伸びる 
 
     
   Ⅹ線やγ線が 水の分子に当ると、その電子は弾き飛ばし、弾き飛ばされた
  高速の電子は また傍にある分子に当って 電離や励起を起す。
   生体の中は ほとんど水なので、放射線が入ってくると 水分子を電離して
 
     活性酸素は 1 日に細胞当り 約10 億個発生し、これに対して 生体の活性酸素消去能力
     (抗酸化機能)が働くものの、活性酸素は 細胞内のDNAを損傷し,平常の生活でもDNA損傷
     の数は、細胞当り一日 数万〜数10 万個になるが、このDNA損傷は すぐに修復される。
 
    放射線による化学結合の切断には、
  この水が電離してできた 反応し易い活性酸素がぶつかって DNAを傷つける
  場合(間接作用:DNA損傷の大部分は これ)と、たまではあるが 放射線が 直接
  DNAに当って傷つける場合(直接作用)がある。
     DNAの直径:2nm   (1nm=10-9 m=0.001 µm = 0.000001 mm=10 Å
 
     ※ Ⅹ線やγ線の様な低LET放射線では 直接作用によるDNA鎖の切断と 間接作用
      による種々の塩基への傷害を起こす。
       また、中性子α線などの高LET放射線による傷害のほとんどは 直接作用が
      原因である。
 
    飛跡    
            霧箱使った動画: α線の飛跡   β線の飛跡   γ線の飛跡
              Ⅹ線やγ線も電磁波なので、霧箱で直接見ることはできないが、
             原子を回る電子をたたき出すので、飛び出した電子の飛跡で 間接的にγ線の
             存在を見ることができる。    霧箱で見る放射線 - うみほしの部屋
 
 
 
     α線(ヘリウムの原子核)は、長くは飛ばないが 電離が密に起こる。
   そのため、Ⅹ線やγ線、或はβ線と比べると 生物に与える影響は、
   同じ線量でも 20倍ほど大きい。 DNAの損傷も 非常に複雑になる。
 
    DNAは 2本の対が らせん構造なっているが、片一方だけが切れた場合
   (一本鎖切断は よいが、2本とも切れた場合(二本鎖切断)は 修復が非常に
      難しい。
             http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/09/09020202/02.gif         
          核酸構成単位にもなる低分子生体物質塩基と糖が N‐グリコシド結合
         したものを ヌクレオシドと呼び,ヌクレオシドの糖部分に リン酸がエステル結合
         したものをヌクレオチドと呼ぶ。
          塩基部分は プリン塩基,又は ピリミジン塩基で,糖部分が リボースのもの
         を リボヌクレオチドデオキシリボースのものを デオキシリボヌクレオチドと
         呼ぶ。これらは 重合して,前者RNA後者DNAを形成する。
         
          放射線のDNAへの影響 (ATOMICA)
            DNA損傷の模式図  
 
 
   二本鎖切断の修復
                                               DNA修復 - Wikipedia
                                                        放射線によるDNA損傷とその修復機構   長崎大学
 
     一本鎖切断であれば、片方の塩基を鋳型として 正しい修復ができるが、
   二本鎖切断が起った時には、鋳型がないので 切れた端を 適当につなぐ
   ことになり、正しい修復が起こる場合(相同組み換え修復) と 間違った修復
   が起こる場合(非相同末端結合修復)があって、後者の方が 頻度が高い。
    つまり、二本鎖切断が起こった場合は、間違った修復を起す場合が多い。 
 
 
   二本鎖切断部位の検出方法 (蛍光抗体法)
 
    低線量で 二本鎖切断が起こるかどうかということは、随分 分らなかったが、
   2003年に発表された論文があって、それで 低線量でも二本鎖切断が起こる
   ということがハッキリした。
 
   DNAは ヒストンという タンパク質の周りに 2回巻き付いて これが折り畳まれて
  染色体になっている。
 
       クリックすると新しいウィンドウで開きます
 
     ヒストンは H2A, H2B, H3, H4 の4種類(コアヒストン)のタンパク質があり、
    それぞれ 2分子ずつ集まって タイコのようになっていて(ヒストン八量体)、
    これに DNAが巻き付いている。
 
                     コアヒストンの種類とヌクレオソーム構造
 
 
                   
 
     二本鎖切断が起こると、H2Aというタンパク質に 必ず リン酸がくっつく
   (H2AⅩがリン酸化して γH2AⅩになる)。
   したがって、γH2AⅩというタンパク質があるかどうかを調べれば、
   二本鎖切断が起っているかどうかが分かる。それで、これにしか結び付か
   ない抗体を作り、この抗体に蛍光をつけると、この抗体が結びついた所に
   蛍光が見える。 
    こうして、二本鎖切断を数えることができる。
 
           2Gy照射のときの 蛍光画像  (ビデオ 1:03:14〜 参照) 
 
    この蛍光抗体法を使って、
      どの位の線量で どれ位の二本鎖切断ができるかが分かった。
                   ☟
図2MRC-5ヒト繊維芽細胞でのDSBの発生
γ-H2AX集合体は照射後3分の時点で計数した。○印はγ-H2AX集合体数の平均値。△印はパルスフィールド電気泳動によって求めたDSB数。          
                     注.両対数グラフになっている
     この実験での最少の線量は 1.3mGyだったが、これで すでに二本鎖切断
   が起っている。
    致死量の7Gyを浴びると、1細胞当り 200個の二本鎖切断が起きる。
      
 
   二本鎖切断が起った時、
  細胞は それを直すが (切断されたままでは 細胞は死んでしまう)、それが 正しく
  直るか 直らないか・・・。 二本鎖切断の場合は、正しく直らない頻度が高い。
   そうすると、そこに変異が起こる。 変異が いったん細胞の中に起こると、
  元には戻らない。この細胞が生きている限り、変異というものは そこにある。
  細胞が死んでしまうと それで終わりだが、この細胞が分裂すると、その時
  DNAの複製が 非常に忠実に行われるので、その変異は 新たな細胞に引き
  継がれる。
   この細胞が 被曝すると、また 二本鎖切断が起き その修復の間違いが
  起きる・・・ というふうに 他の遺伝子にも変異が起きて、変異が 細胞の中に
  蓄積される。
   つまり、放射線の危険性は 蓄積するということ
  そして がんにつながっていく。
 
   したがって、電力会社側が 
  「 放射線のリスクは 蓄積しない 」 ということが分かれば 規制緩和ができる
  と言っているのは、ムダな希望である。
 
   被曝によって DNAが損傷し、その修復ミスで 突然変異が起きるが、
  また 放射線を浴びた細胞は 遺伝的不安定性(変異を起し易い)も獲得する
  が、これも 一度 起こると元に戻らないこれも 新たな細胞に伝わっていく
  ――→ 発がん
 
   また、放射線は エネルギーが大きいので、一本通っても DNAを 複雑に損傷
  し得るため、発がんに結びつく可能性がある。
   
 
    
                       (つづく)
 
 
 
(1)  のつづき
 
2013.9.22
崎山比早子氏講演会  
   低線量リスクが無視される背景
                ― 国会事故調が明らかにしたこと
               http://www.youtube.com/watch?v=ph2pDDyPE38
 
         ⋆ 元放射線医学総合研究所主任研究官、医学博士、現高木学校所属
 
                             (2)
 2.国会事故調で 明らかにしたこと
 
  ■ 緊急医療体制の不備     44:57〜
 
   日本の緊急医療体制は、
 
           三次被曝医療機関 (放射性医学総合研究所)
                                    
       地域三次被曝医療機関             地域三次被曝医療機関
          広島大学(広島)              放射線医学総合研究所(千葉)
             ↑                         
     西日本原子力施設立地・隣接11府県    東日本原子力施設立地8道県
        二次被曝医療機関               二次被曝医療機関
             ↕                    ↕
       初期被曝医療機関                初期被曝医療機関
 
   となっており、初期被曝医療機関で治療できなかった人を 二次被曝医療機関
  に回し、ここで治療できなかった人を 三次に回すというふうになっている。
  三次被曝医療機関は 広島と千葉に たった2カ所ある。
    ここで、原発立地県の分布を 地図で示しながら、チェルノブイリ事故の際 原発職員
     や消防士ら300人が運ばれたモスクワ第6病院の今中哲二氏の写真を出して、
 
   急性症状で 非常に重傷な患者300人が ここ(モスクワ第6病院)に運ばれ、
  26人が骨髄移植を受けたが、みな亡くなった。
   もし、チェルノブイリのような事故が わが国で起きた時、 第3次被曝医療機関
  の収容能力は 
 
                              収容可能患者数
   東日本:放医研     重症患者 4名(+協力病院16人)、 中症患者 10人
   西日本:広大(除染施設建設中)        重傷患者 10人、 中症患者 11人
 
  という状況で、
  事故が起きて 重傷患者が出た場合、医療の面でも対処できない。
 
   福島には、初期被曝医療機関は 5つあったが、その内 3つが福島第一原発
  から10km圏内にあった(双葉町 1、大熊町 1、富岡町 1 の3カ所)。
  被曝医療機関ではない一般病院も 10km圏に 2カ所(浪江・大熊)、20km圏
  では 南相馬に 2カ所あった。
   しかし、これらの医療機関は みな 避難区域になり、入院患者を避難させる
  過程で 多くの人が亡くなった。
 
   では、他の地域の初期被曝医療機関の立地はどうか?
 
    全国の初期被曝医療機関と原発との距離
 
      10km圏内      23%
      10〜20km圏内   35%
      20〜30km圏内    6%
 
   全国の初期被曝医療機関の64%が 30km圏内の避難区域に位置している。
  つまり、事故の際は 新たに患者を受け入れるどころではなく、自分自身が
  避難しなくてはならない所に こういう医療機関があることになる。
 
    ※ 予防的防護措置を準備する区域(PAZ : 原子力施設から 概ね5km
      防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲(EPZ: 〃 半径約8〜10km
      緊急時防護措置準備区域(UPZ) : 概ね30km
 
   また、入院・受け入れは、
 
     初期・二次被曝医療機関の最大受け入れ人数アンケート
                                  ( )内 : 回答率
        初期被曝病院(36%)   二次被曝病院(76%)
     0人         13%              4%
     1人          59%             46%
     2人     16%             33%
    3〜5人      13%             17%  
 
 
   のように、
   放射能汚染が懸念される患者の 一度に受け入れ可能な人数は、
  1〜2人と答えた病院は、初期被曝医療機関で 75%、2次被曝医療機関で
  79%で、1人とか 2人とかが大部分である。
 
   我々が病気になって 大きな病院に行くと、大体 1日仕事。ずっと待たされて
  1分か2分の治療して帰ってくる。たくさん患者が待っているわけで、例えば
  がん だといって 手術しようとしても、ベッドが一杯で 半月とか何ヶ月か待た
  なくては イケナイという病院の状況である。
  こういう時に 事故が起こって 除染や入院しなくてはならないような患者が
  病院に来たとしても、ほとんど対応できない状況がある。
 
  また、病院自身のキャパシティー以外に 被曝医療のできる医者が ほとんど いない。
 放医研が 全国から医師を呼んで 被曝医療の研修会を開いたが、ほとんど
 参加者がなかった。何故かと言うと、医者は それぞれ病院で忙しくて そういう
 いつ起こるかもわからないような被曝医療の研修会に行く時間がない。
 
  だから、再稼働をしたり 今の福島第一の状況下で、被曝医療をしなくては
 ならなくなったら、ほとんど お手上げの状況。
 
 
 
  結論
   福島第一原発事故の際、
   ・ 病院避難の結果 60名の患者が死亡
   ・ 緊急被ばく医療体制は ほとんど機能しなかった
   ● その状況は 今も 変わっていない
   ● 医師不足・放射線教育などの医療の現状を考えると
    改善は難しい
       
  再稼働により 過酷事故が起きたら?
 
    医療一つとっても、再稼働に堪えられる体制にはなっていない
   ということになる。
 
  
 
 
 
 
 
広島大、「緊急被曝医療チーム」を現地に派遣
                                                        【産経ニュース】2011.3.15
http://sankei.jp.msn.com/images/news/110315/scn11031520480003-n1.jpg
 
 東京電力福島第1原発の避難指示区域から移動した人たちが過ごす避難所では2・9μ㏜を検出
  =15日午後、福島県郡山市
                       放射能漏れ関東に拡散 北風で通常の100倍も [ 3月15日 ]
            東日本大震災に伴う東京電力の福島第1原発事故を受けて、関東各地で15日、通常より
         高い放射線量が観測された。北風が強かった午前中は、原発の南側にある栃木や茨城、
    群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川の各都県で場所によっては、通常の100倍や20倍という
    高い数値を記録。東風が出た午後は、西側にある福島県郡山市で午前の130倍以上となり、
    新潟県南魚沼市では通常の約10倍に上昇した。
     各地の高い数値は、放射性物質が風に乗って拡散した結果とみられる。いずれも人の健康
    に影響する水準ではないが、都道府県に観測を委託している文部科学省は15日、監視強化
    のため観測回数をできるだけ増やすよう要請。測定結果をまとめ、1日2回公表することを
    決めた。
     原発事故で放射性物質が放出されると「放射性雲」が発生。風に乗って流れる雲が上空を
    通過する際に、放射線量が上昇するとされる。

     福島第1原発では、原子炉格納容器の圧力を下げるため放射性物質を含む蒸気を放出。
    3号機付近では15日午前、毎時400m㏜の放射線量を検出。14日に最高値だった3130
    μ㏜(約3m㏜)に比べると桁違いに高い数値が観測された。
     文科省が15日公表した14日午後5時〜15日午後5時の測定結果によると、福島に隣接
    する栃木では、最大で毎時1・318μ㏜を観測した。過去の平常値は最大でも0・067μ㏜で、
    20倍に迫る数値となった。
     東京では0・809μ㏜を記録。大気中からは原発で生まれる放射性物質であるヨウ素、
    セシウムを検出した。この他 群馬は0・562μ㏜、埼玉は1・222μ㏜、神奈川は0・182μ㏜、
    千葉も0・313μ㏜と、通常の2〜20倍程度だった。
     一方、福島県郡山市では15日午前は0・05〜0・06μ㏜で推移していたが、風向きが東風
    に変化すると数値が急上昇。午後2時には 8・26μ㏜に跳ね上がった。
     茨城県東海村にある東京大の研究施設の敷地内と、日本原子力研究開発機構の敷地内
    では15日朝、通常の約100倍の毎時約5μ㏜を観測。東大では午前7時46分から約20分間、
    毎時約5μ㏜が続いた後、毎時約3μ㏜より低い値で推移した。両機関は通報の基準を超え
    たとして国に通報した。
                      
 
 広島大病院(広島市)は15日、「緊急被ばく医療チーム」を被災地に派遣することを決めた。
6日に医師や放射線技師らを現地に派遣し、被曝者の治療などを担う。
同病院は重度の被曝患者治療にあたる国指定の3次被曝医療機関。国の要請を受けて医師の
派遣や重症患者の受け入れを行う。
 
 同病院では 神谷研二緊急被ばく医療推進センター長を委員長とする緊急対策委員会を12日に
設置。すでに 医師や看護師ら7人を被災地に派遣し、放射性物質の除洗作業指導などを行っている。
 16日に派遣するチームは 血液内科医や救急医、放射線技師ら8人で、2次被曝医療機関福島
県立医大で患者の治療を行う予定。  
           彼らは 事故直後の血中放射性ヨウ素などを調べて 被曝の程度・規模の
            情報をもっているということである。
 
 同病院には 被曝患者に対応するため、重症患者4床、中軽症患者4床の計8床がある。ほかに
県立広島病院や、広島赤十字原爆病院など 周辺の6医療機関にも受け入れ態勢を整えるよう
求めている。
 
 神谷センター長は 「非常に深刻な事態と思っている。重症患者が出た場合に備えたい」と
話している。
 
 一方、広島県や医療機関などでつくる「 放射線被ばく者医療国際協力推進協議会(HICARE) 」も
15日、福島県から緊急要請をうけ、放射線量測定チームの派遣を決定。技師や看護師ら7人が
放射線測定機器7台とともに16日、現地に向かう。
 
 
 
 
 
 
                            (つづく)
 
2013.9.22
崎山比早子氏講演会  
   低線量リスクが無視される背景
                ― 国会事故調が明らかにしたこと
               http://www.youtube.com/watch?v=ph2pDDyPE38
 
         ⋆ 元放射線医学総合研究所主任研究官、医学博士、現高木学校所属
 
                             (1)
 
   今日の話題
  1.原発サイトの現状 :解決されない汚染水問題
  2.国会事故調で 明らかにしたこと
     低線量リスクが分らないとされている背景    19:40〜
     ヨウ素剤は なぜ服用されなかったのか           36:27〜
     緊急医療体制の不備
  3.文部科学省による放射線教育の問題点
  4.無視され続けてきた非がん性疾患
 
 
  1.で 「アンダーコントロール」にない原発サイトの現状における
 日本政府と東電、県の お金の使い方のまずさ と その非倫理性について
 概観したのち、本論2.に移る。
 
               ◇ ◇◇               ◇ ◇◇
 
 
 ■ 低線量リスクが分らないとされている背景
 
  福島原発事故以後 大きくなった低線量放射線リスク評価は、
 
  ・ 100m㏜の被曝で 0.5%のがん死率上昇だけで、放射線によるがんを
  疫学的には証明困難 (タバコや生活習慣病によるリスクに隠れてしまう)
  ・ 100m㏜以下は病気との明らかな関連を示す証拠なし
   ―→ リスクは解らない ―→ リスクはない という言い換えがなされた
  ・ 被曝による がん以外の疾患は認められない
  ・ 放射線より それを心配する精神的ストレスの方が 有害
 
  ――― これは 本当か?
 
  
   これは、事故以後 急に声高に言われだしたが、
   しかし 事故で はじめて言われだしたことではない。
 
  『一段と重要性が増した放射線教育』 では、
                     
  ① 原子力の安全性とは、つまるところ 放射線の安全性に他ならない
  ② 現状を放置しておくと、人々が わずかな放射線を恐れて、原子力の需要
   が進まず、エネルギー問題の観点から 日本の前途が危うくなる恐れがある
 
  と言っている。
                 放射線教育フォーラム事務局長 松浦辰男   2005
 
  このNPO法人は 文科省からお金をもらっている外郭団体で、今の名誉会長は
 前東大総長の有馬朗人氏(文部大臣になった)。 ここは、学校の先生などを
 集めて放射線教育をやっている。
  毎年 文科省に報告書を出すが、非常に露骨に書いているので分り易いのが
 上の2003年の報告書の文。こういうコンセプトで先生に教育してきた。
 
  ①は 原発を推進して行けば 必ず放射線は出てくるので その通り。
  ②は 原子力は今 全部止まっているが 停電も起らず 「危うくなって」いない。
  この頃(2003年)は、原発が止まると 日本は江戸時代に戻るというようなことを
 言って、学校の生徒には 漫画の本を配っている。原発が止まったら みな
 馬に乗って行ったり、家庭では竈に槇をくべたり、夏は暑くてヘタっているような
 漫画を描いて学校に配っている。 原子力がないと こうなるんだよと さんざん
 教えられてきて、この中(講演の参加者)にも ‘もしかしたら’ と思われた方も
 いらっしゃるかもしれない。‘そんなことはないだろう’ と思っても、今くらい
 影響が少ないという現実を ちゃんと想像した人も少なかったかもしれない。
  (文科省の)教育が いかにデタラメだったかがわかる。
 
    ※ これは、戦前の 「満蒙は日本の生命線」 という 政府・マスコミ 挙げた世論誘導を
           想起する。これらは、国内の一部勢力が 己が利益や臆断を追求して 国を牛耳る
     ことを許したために起ったことである。己が為したことの責任を 自ら取れないような
     者たちが この国を牛耳ってきたのである。 有馬氏はじめ 自ら責任を取るべきだし、
     彼らが 自分の尻拭いをする気がないなら、強いてこれをさせなくてはならない。それが
     彼らを責任主体として 尊重する唯一のことである。彼らを 自らの責任が自覚できない
     脳軟化症の者と見なすなら、そういう者として 彼らを扱わなくてはならない。
      
  
  
  国会事故調報告書 5.3.1 東電資料より
  ( 国会事故調の国政調査権を背景にして、東電や電事連に調査に入った )
 
  東電原子力部門にとってのリスクとは?
  ● 原子炉の長期間停止
   自然災害の リスクも 規制強化やプラントの長期停止の リスクとして捉えており、
   シビアアクシデントの起因要因としてではない。
    ●裁判に負けること
 
   この二つのリスクを避けるために規制当局に働きかけを行っている。
 放射線についても 同様。規制強化を極力避けようとしている。
 
 
  我々が心配するのは、自然災害が起き 原発で事故が起きて 放射能が
 外に飛散して被曝することだが、東電にとっては 原子炉の長期停止。
  事故が起きるかもしれないような 原子炉やその周辺機器の弱い所があるか
 どうかを調べるためには、長期的に原子炉を止めなければならない。調べて
 もし 何かあった場合 それを直さなくてはならず、そのために 長期間原子炉
 を止めておかなくてはならない。
 そういうことが、東電にとっての最大のリスクである。
 
  また、裁判。 東電を相手取って起こした裁判で 勝ったモノは ほとんどない。
 例えば、厚労省で放射線との因果関係が証明されて 労災を認定された人が、
  東電を相手取って裁判(多発性骨髄腫)を起こしたが、東電はあらゆる手を使って
 裁判に勝とうとした。厚労省が認定したのに、文科省が 東電の側に立った。
 それで いろいろな圧力がかかり、裁判に負けてしまった。
 東電を相手取った裁判は、ほんとうに大変なこと。
 
  東電は このようなリスクを負わないために、規制当局(原子力安全委員会とか
 経産省の保安院とか) にロビー活動をして、規制のレベルを緩めてもらうということ
 を ずっとやっていた。これ(規制される側が規制する側を虜にしている)を 国会事故調
 では「規制の虜」と表現している。
 
   ※ シビアアクシデントそのものがリスク管理の対象とならなかった理由として、武藤副社長
    安全ではないという前提を置いてスタートすることは我々にはできないことである[111]
    と述べている。「原発の安全は もともと確保されている」という前提が置かれているの
    ならば、シビアアクシデントに至るリスクを真剣に管理しようとする動機が生じるはずもなく、
    形骸化するのは自明である。こうした前提が払拭されない限り、健全なリスクマネジメントの
    実現は困難である。
 
   又、こういう機器の方だけでなく、放射線のリスクについても、規制強化を極力
 避けるような働きかけをやっている。
 それは どういうふうにやっていたかというと、
 
   国会事故調報告書 5.2.3  電事連資料より
 
  電事連の 放射線被ばくリスクに関する働きかけ
  ● 電事連が ICRP委員を含む放射線専門家、原子力安全委員会に規制を
   緩めるよう働きかけを行い、成功している。
   (2007年勧告等に電力の主張が全て反映された
  ● 電気事業者連合(電事連)が 放射線影響協会を通して ICRP委員の
   国際会議出席旅費を負担している
 
  
  国際放射線防護委員会(ICRP)が出す勧告によって、各国は 国の規制値を
 決めているので、ICRPの勧告が非常に厳しものであると、(国の)規制を厳しく
 しなければならないことになるから、それを緩めることは 電力会社にとっては
 非常に 利益になる。
 こういう働きかけを行っていた結果、2007年勧告等に電力の主張が全て反映
 されたという記載が(電事連の資料)にある。
 
  どういうふうにして成功させたのかというと、電事連が 放射線影響協会を
 通じて、ICRPの委員の国際会議の出席旅費を 全部 負担していた。
 だから、ICRPというの、日本だけではないが、電力の影響下にあると言える。
 
 
  電事連は また 研究分野にも目を光らせていた。
 
  電事連が 研究分野を監視
   ・ 東電、武藤副社長:「 悪い研究者に乗っ取られて悪い方向に向かわないように、研究
               の動向を監視しておくこと 」
   ・ 非がん性影響についても 、過度に厳しい放射線防護要求とならないよう研究を進める
     必要がある。
   ・ 放射線影響が蓄積しないことがわかれば、大幅な規制緩和が期待できる。
 
   電力にとって あまり利益にならないような研究は してもらっては困る
  ということで、研究費の分配に (電事連は)かなりの影響力を持っていたという
  ことになる。
   非がん性疾患は、特に 今 ヨーロッパで問題になっており、チェルノブイリの
  報告書を見ると、これは かなり増えていて 注目を集めている。
    もし これに注目が集まって、過度に 厳しい防護要求にならないように、
  そのような研究を進める必要があると言っている。
  だから、非がん性疾患はないというふうにすれば、防護要求も緩くなること
  になる。 
   また、放射線の影響は蓄積しないということが分かると、防護要求も 大幅に
  緩和できる。サイトで働いている労働者は みな線量計を着けているわけだが、
  例えば 0.1μ㏜ 今日あって、明日も 0.1μ㏜・・・、そういうものが 全部
  0(影響が蓄積しないということ)になれば、今日の被曝は無視してよい、昨日のも
  無視してよいことになる。その日だけを考えればよいということになるから、
  規制は 非常に緩くなる。
 
   電気事業者や当局からの こういう圧力に堪えて、放射線の専門家が
  研究したり 発言したりしていくことは、日本の現状では かなり難しい。
  それで、‘御用学者’と みなさん仰る人たちが、たくさん増えてきてしまう
  ということになる。
 
 
 ■ ヨウ素剤は なぜ服用されなかったのか
           国会事故調報告書 4.4.2 防護策として機能しなかった安定ヨウ素剤
 
  ヨウ素剤は なぜ飲むか?
    ヨウ素は、食事と吸入によって 体の中に入ってくる。
     食事は 消化管から吸収されて血液の中に入る。
    血液の中に入ったヨウ素は 甲状腺に蓄積される(吸収量の10〜30%)。
    甲状腺は 甲状腺ホルモンを作る臓器で、1分子の甲状腺ホルモンを作るには
   4原子のヨウ素が必要。このホルモンを作るために、甲状腺は 一生懸命 血液
   の中からヨウ素を取り込む。
    甲状腺は ヨウ素を取り込むときに、化学的な性質は変わらないので、
   放射性であるなしにかかわらず取り込んでしまう。
    その際、ヨウ素剤を飲んで、血液中の放射性でないヨウ素(安定ヨウ素)の
   濃度をあげておくと、相対的に 放射性ヨウ素の濃度が下がり、甲状腺が
   取り込む放射性ヨウ素を少なく抑えることができる。
    そのために、安定ヨウ素剤を飲む。
 
  その時、ヨウ素剤を飲むタイミングが重要。
 
    ヨウ素剤は いつ飲むのが効果的か?
 
     放射性ヨウ素が取り込まれる
       24時間前〜同時に飲むと         93%阻止
                2時間後では                 80%阻止
        8時間以降では            40%阻止
       24時間後では             7%阻止
 
           配布基準: 等価線量が100m㏜になると予想される時
      (大気中の放射性ヨウ素が 4200㏃/m3のとき、24時間 その空気を吸い続ける
        と 100m㏜になる) 
 
        なので、
     ヨウ素剤は 手元に置いておいて、いざという時に すぐ飲めるように
    しておくのが 一番よいが、日本では 避難所で配るように決められている。
    また、避難所にあっても  飲むよう勧告を出すのは 原子力安全委員会。
 
     安全委員会は、この度の場合 災害対策本部に 飲ませるようファックスを
    送ったが、ところが 現地対策本部は そのファックスを受け取っていない
    という。そのファックスは 未だに どこへ行ったか分からない。
     また、安全委員会は 福島県庁にもファックスを送った。ところが、県庁の
    方は ごった返していて、ファックスが着いたことを誰も気付かず、二日後
    位に ようやく見つけた。その時は 飲まなくてはならない地域の人たちは
    すでに避難していたため、飲んでも仕方がないということになった。
     本当は 県知事が飲む勧告ができたが、事故調ヒアリングで 佐藤知事
    「自分が 指示を出すことができたという意識がなかった。安全委員会から
     指示が来るのを ひたすら待っていた。と答えた。
  
     このように 3つの ルートが全然動かなかった現地の市町村の中には
    三春町のように 空間線量が分からず 服用のタイミングが分からない中で
    各避難所で医師の立会いはなかったが、ヨウ素剤を配布・服用した所も
    ある。
 
     http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3856371/naiic.go.jp/wp-content/uploads/2012/08/7fd4cf3647537c87caa8e3ef2889f870.png
                  図4.4.2−1 ヨウ素剤の服用・配布した市町村の状況
 
    
     
     いわき市などは配布はしたが、副作用を恐れて 飲みなさいとは言えなかった。
 
    ヨウ素剤検討会というのが ずっと前にあって、山下俊一氏が主査だった。
  ヨウ素剤を いつ どのように配布するかという検討をした。その時、ヨウ素剤
  が 非常に副作用があるということを強調した。
   ヨウ素剤には注意書きがあり、「副作用」ということを ずっと強調してきたので、
     医療関係者がいなくて もし副作用が起きたら 自分たちの責任になるという
  ことを恐れて、指示を出さなかった。
 
   本当に 副作用はあるのか?
 
   ヨウ素剤は 非常に安全な薬で、副作用と言うのは ほとんどないと言ってよい。
  チェルノブイリの時 ポーランドでは 150万人位の子供に飲ませたが、副作用の報告
  は ほとんどなかった。 
   1錠5円位で 安全だが、これを 副作用を恐れて出さないということはあっては
  ならない。
                       5:10〜 ヨウ素剤 飲み過ぎの注意
           日本で売られているそのヨウ化カリガンは、1錠が50mg、その中に含まれる
          ヨウ素の量とすると42mgぐらい。KI(ヨウ化カリウム)は劇薬だが、1錠あたり
          0.35g(350mg)以下、1錠あたりのものは劇薬指定から外れている。
           したがって、今 日本で市販されている、このヨウ化カリガンという薬に関しては
                      医者の処方箋なしで使える薬というふうに分類されている。

 
      参考: 葉隠 ②   ③   ④
 
                            (つづく)
 

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