混沌の時代のなかで、真実の光を求めて

現代に生きる私の上に 仏法は何ができるかを 試そうと思い立ちました。//全ての原発を 即刻停止して、 別の生き方をしましょう。

現代の問題 1.〜科学

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(13) のつづき
 
 
                          (4)
 
   5.3 人為起源温暖化説は未だ仮説:実証の為には
     様々な変動機構の解明こそ重要
  草野
   ご返答ありがとうございます.近年における気候学の発展がめざましいもの
  である点において,私の認識は 江守様のご主張と重なります.しかし,様々な
  科学の歴史と比較し客観的かつ俯瞰的に判断するとき,気候変動の予測は
  未だ経験的手法に頼るものであり,人為起源温暖化説が実証された段階に
  あるとは考えられません.
   理解水準が低い過程を過小評価してよいか 江守様のご意見を私なりに解釈
  するならば,理解水準の低い過程を 敢えて モデルに含めなくても 20世紀の
  温暖化に似た振る舞いをするように モデルを チューニングできるので,理解水準の
  低い過程が主因となることは考え難いということになります.しかし,このことは
  仮説を実証したことにはなりません.
   広く知られているように 気候モデルの解の収束性は高くありません.CO2
  濃度倍加における平衡温度感度実験という理想的条件においてすら,IPCC
  報告書の結果によれば、上昇気温は 2度から 4.5度の幅をもっています.
  さらに,江守様のご著書1)によれば,この不定性は過去30年間に膨大なデータ
  が蓄積されているにも関わらず,ほとんど減少していません.
        1)江守正多;地球温暖化の予測は「正しい」か?,化学同人,(2008).
  これは経験的なパラメタリゼーションに基づくチューニングが本質的に大きな
  不確定性と(喩正しくないデータに対しても 解を チューニングしえる柔軟さとしての)可塑性
  を持っていることを意味しています.
   公表されている観測値によれば 平均気温は 1970年から30年間に 0.4度程
  上昇し,二酸化炭素濃度は 44ppmほど増加したようです.もし,この温度上昇
  の ほとんどが二酸化炭素による温室効果の結果であり,温度上昇とCO2濃度
  が比例関係にあると仮定すると,370ppmの二酸化炭素濃度が倍加したときに
  3.4度気温上昇することになります.この値は 複雑な気候モデルに基づいて
  得られた結果(2〜4.5度)の平均値(3.3度)とほぼ一致します.
  この一致は、気候モデルが過去のデータに基づいて構築されているので,
  ある意味当然の結果ですが,同時に 現在の気候モデルの結論が 1970年以降
  の温度上昇のほとんどが二酸化炭素温室効果の結果であるとする「仮説」に
  強く依存していることを意味しています.
   例えば、20世紀後半に活発化した太陽黒点活動による未知の気候変動要素
  が温暖化に寄与していたとしましょう.気候モデルの可塑性は これを柔軟に
  取り込むことができるでしょうが,その結果求められる気候感度は 今の予測
  より小さな値となります.すなわち,気候感度を経験的に求める限り,温室効果
  による気候感度は 温室効果以外の気候影響に関する我々の知見に強く依存
  せざるを得ません.このことが 未知の過程を過小評価してはいけないことの
  最大の理由です.
   温室効果の影響を正確に見積もるためには,温室効果以外の理解が温室
  効果の理解と同じほど重要であり,これを過小評価することは真の科学的
  理解にとって危険です.
   エアロゾル・雲過程の理解は進んでいる 私が「宇宙線が エアロゾルを通じて
  雲に与える影響が十分に検討されていない」ことのみをもって,「エアロゾル・
  雲過程の理解は不十分である」と主張しているとのご批判は 全く的外れで,
  心外でもあります.論点 5.1を予断なく読み直されれば 私が宇宙線のみならず
  プロトンイベントやTSI再現の不定性,自然起源エアロゾルの未理解,エアロゾル
  間接効果のモデル化の不十分さなど様々な問題を指摘していることを ご理解
  いただけるはずです.
   エアロゾル・雲の理解が進んでいることを 私は否定しません.しかし,研究
  が進展していることと,信頼できる予測が可能であることを区別せずに語る
  べきではありません.現在の雲モデル(少なくともバルクパラメタリゼーション)は
  本質的に経験的なモデルであり,その予測能力は非常に制限されています.
  コロラド州立大学のRandall氏らが “Breaking the Cloud Parameterization Deadlock
    と題する論文で解説したように,信頼性の高い雲モデルを構築するためには
  より第1原理的な新しい手法の開発が必要であり,それらは 未だ開発途上に
  あると考えるべきです.
   気候モデルによる予測は 真に検証されたか  Hansen et al.(1988)の業績を
  否定するつもりは 全くありませんが,その結果をもって 予測が真に検証された
  と江守様が判断されることには多少の驚きを覚えます.前記した通り 気候モデル
  にはチューニングの可塑性があり,予測値は その不確定性と共に認識される
  べきです. さらに,複数のシナリオを使って計算が行われたとき,いずれかの
  結果が その後の変動傾向と一致したとしても 不思議ではありません.
   極端な例なので不適切かもしれませんが,多数の宝くじ購買者の中で当選
  した人が未来を予測する能力を持っていたわけではありません.また,Hansen
  らの結果は 1960年代以降の温暖化傾向を用いて チューニングされたモデルです
  から,気温変動傾向が変わらない短期間の観測と比較しているだけでは,
  十分な検証はできないでしょう.
   予測を如何に検証すべきか では,短期間に経験的モデルの成否を確かめる
  ためには何をすべきでしょう.そのためには,チューニングに使った観測量とは
  独立の観測に基づいた検証が必要です. 平衡温度TSは 太陽放射ITSと黒体
  放射のバランスより,ステファン・ボルツマンの法則に基づいて
          4σTS4=ITS(1 - A)/(1 - g)
  から決まります.ここで,Aは 地球のアルベド,gは 規格された温室効果,σは
  ステファン・ボルツマン定数です.
  この式は 温度TSの決定において 太陽放射ITS と アルベドAの変動が温室効果
  gと同じ次数で寄与することを意味しています.気候モデルにおいて観測値で
  あるTSは チューニングのために,ITSは 入力データとして使われており,その結果
  として温室効果gとアルベドAを見積もることができます.
  そこで,Aを観測できれば,チューニングされた気温とは独立に モデルの妥当性を
  検証できるはずです.ただし,アルベドの観測は容易ではなく,月の地球照と
  衛星データから推定された値が一致しないなどの問題が残っているようです.
  検証は残された課題です.
   以上の通り,人為起源温室効果は 未だ実証されていない仮説と捉えるべき
  です.これを検証するためには二酸化炭素以外の気候変動効果を等しく解明
  する必要があります.
  気候学の枠組みを超えた学際的アプローチこそ重要であると私は考えています.
 
 
  5.4 宇宙線説等の理解により「実証」がもたらされるとは思えない
  江守
   草野様のおっしゃるのが,将来予測の定量的な精度向上のためには未解明
  の過程の理解が重要である,という意味であれば同意できます.学際的に
  様々な観点から研究することにも賛成です.
  しかし,未解明の過程が理解されなければ 定性的な予測( 21世紀に地球が
  温暖化するか寒冷化するか )さえ信じられないとおっしゃるならば,草野様と私の
  間には やはり根本的な考え方の違いがあるようです.
   まず その違いについて述べ,その後に 個別の点への応答を記します.
   我々の理解は「実証」に至るのか 草野様は,人為起源温暖化説は仮説
  であり,「実証」されるまでは それに基づく予測は信じないとおっしゃっている
  ようです.では,もしも 宇宙線説をはじめとする いくつかの過程が理解された
  としたら,複数のモデルの結果が ぴたりと一致したり,チューニングが必要なくなっ
  たり,hindcastが ぴたりと観測と一致して,我々の理解は「実証」されるに至る
  と お考えなのでしょうか.
  私には そんなことがそう簡単に起こるとはとても思えません.気候モデルの
  不確実性の原因は もっと複雑だからです.むしろ,草野様の論法に従えば,
    たとえ 宇宙線説等が理解されたとしても,他にも 未知の過程が働いている
  可能性が排除できない以上,やはり予測は信じられないという不可知論的な
  状況に陥るだけではないでしょうか.
   地球のような複雑なシステムを対象とする場合,我々の科学が100%満足な
  理解に到達することは原理的にありえません.このとき,現状の理解を疑い
  未解明の過程を調べることは もちろん 科学として重要ですが,同時に,現状
  の理解が どれだけ本質に至っているかを評価することも 重要な科学の営み
  です.
   20〜21世紀における世界平均気温の変化傾向の議論に関する限り,温室
  効果ガスを主因とする現在の理解は 本質に至っていると評価できます.
  根拠は 1.3や5.2で述べたとおりです.
   チューニングは 万能ではない  草野様は,気候モデルの チューニングについて
  まだ誤解しておられるようです.前掲の拙著を予断なくお読み頂ければわかる
  はずですが,気候モデルが物理法則と観測データに拘束されている以上,
  チューニングによってあらゆる解を柔軟に作りだすことはできません.
   草野様の二酸化炭素濃度変化と気温変化の比例関係による説明は意味が
  量りかねますが,もちろん 気候モデル研究者は そんな理由で予測を妥当と
  考えているわけではありません.
   エアロゾル・雲過程の理解度 草野様が引用されている Randall et al.(2002)
  が論じているのは,熱帯の季節内変動が再現できるかどうかなどの高い精度
  の話であって,たとえば 「宇宙線の効果も含む 第一原理に基づく雲モデルを
  開発しなければ,21世紀に地球が温暖化するか寒冷化するかさえ予測でき
  ない」といった極端な話に 都合よく一般化されることを著者のRandallは望んで
  いません(本人に確認済み).
   また,5.1の草野様の主張の私による読解が不十分であったようで失礼しま
  した.しかし,プロトンイベント云々はエアロゾル・雲とは別の節の記述である
  こと,自然起源および間接効果については理解の不十分さに関する草野様の
  記述が不的確であると 私が評価していることから,改めて読んでも 私の読解
  が的外れであったとは思いませんでした.
   Hansenの予測の意味 Hansenの予測を私が持ち出したのは,モデル開発・
  予測実施の際には 決して知りえなかったデータ(つまり予測実施後の実際の気候
   変化)による予測結果の検証という意味において,草野様が 5.1で要求されて
  いたものに合致すると思ったからです.そして,くりかえしますが,この結果は
  定性的には チューニングの詳細に依存しません.期間が短いので不十分で
  あると評価なさるのはご勝手ですが,もしも 1988年の時点で 太陽活動主因説
  に基づいて予測を行っていたら,その短い期間の温暖化傾向でさえ予測できて
  いなかった可能性があるのではないでしょうか.
   地球規模エネルギー収支による検証 草野様のご提案の詳細は よく理解
  できていませんが,地球規模のエネルギー収支によりモデルを検証することは
  確かに重要と思います.しかし,ご提案の方法では アルベド変化と温室効果
  変化が正しければ その理由が間違っていても わからないので,検証の決め手
  にはならないように思います.
   また,3.1,3.2で伊藤様と私が議論している観測データによる気候感度の
  推定方法の中には,まさに地球規模エネルギー収支に基づくものがあります.
  ただし,放射強制力の推定値を必要としますので,草野様のご提案とは異なり
  ますが.
   謝辞
  
  本稿の作成にあたり,気象研究所の吉村純様,コロラド州立大学のDavid Randall様
     の協力を得ました.
   
 
   5.5 相互理解のために
   草野
   ご回答ありがとうございます.サンフランシスコに今 到着し,メールを拝見
  いたしました.江守様の返答に対して対応する時間はもう残されていないと
  思いますが,いくぶんまだ誤解があるようなので,簡単に回答いたします.
  相互の理解の改善に役立てば幸いです.
  1.仮説と実証について あらゆる過程を100%理解することは不可能である
  というお話は その通りと思いますが,少なくとも提案されている仮説を検証する
  ことは科学的作業としてやらなければならないと考えます.
  もちろん宇宙線のみにこだわるわけではありませんが,例えば 宇宙線仮説は
  IPCC報告書にも取り上げられたプロセスの一つなわけですから,その検証を
  二酸化炭素説と共に進めることは意味ある取組であると考えます.
  2.チューニングはオールマイティではない もちろん,我々の知っている物理
  法則に従い チューニングをするわけですから,いくらなんでも チューニングで何でも
  できると 私が考えているわけではありません.しかし,多くの不確定性がある
  ことは確かなので,その範囲でチューニングの「可塑性」が生まれると考えています.
  3.宇宙線と雲 繰り返しますが,私は 雲モデルに関して 宇宙線のみに
  こだわっているわけではありません.従来の バルクパラメタリゼーション のような
  経験的な雲モデルそのものの不確定性を指摘したかったのであり,Randall氏
  の論文に関して宇宙線問題とからめて議論しようとする意図はありません.
  その点を読み取っていただけなかったことは残念です.
 
  5.6 人為起源温暖化説そのものの妥当性の議論と
   定量的な精度の議論を明確に区別すべき
  江守
   草野様が 5.3で 宇宙線説を意味していないところまで,宇宙線説について
  の主張と私が決めつけて 5.4で応答していたとのことで,その点は失礼いたし
  ました.しかし,宇宙線説を含むか含まないかに関わらず,草野様の主張され
  る未解明の過程,チューニングの可塑性,雲モデルの不確実性等が 「人為起源
  温暖化説そのものの妥当性を過小評価するもの」であれば,その主張の根拠
  を注意深く評価し,問題点があれば指摘させて頂く必要があります.
  一方で,もしも 草野様の主張が 「定量的な予測精度や不確実性評価を論じる
  もの」であれば,どの点についても全く同意します.
   草野様の5.3の主張が 少なくとも前者を含むことは タイトルから明らかでした.
  実際は おそらく両者を含んでいたのかもしれませんが,その区別は明確には
  わかりませんでした.この場合,両者が一緒くたになることで 読者の誤解を
  招く可能性に配慮すると,問題点の指摘を中心に対応せざるをえませんでした
  ので,その点はご理解ください.
   両者を明確に区別することにより,相互理解に向けた議論を より効果的かつ
  建設的に進めることができると思います.そのような議論を惜しむつもりはあり
  ません.
 
  5.7 定量的な予測精度や不確実性評価を論じることの重要性
   草野
   ご回答ありがとうございます.江守様のご意見が,議論の結果として どの
  ような結論に至るかを恐れることなく,定量的な予測精度や不確実性を論じる
  ことの重要性をご指摘されたとすれば,私も全く同意いたします.
   人為起源温暖化説の妥当性と不確定性の議論は その結果として与えられる
  べきものであり,過程と結果を明確に切り分けて議論するべきであると私も
  考えます.御主張をそうした意味に解釈させていただく限りにおいて,江守様
  のご意見に賛成です.
 
  5.8 相互理解に至ったかもしれません
  江守
   おっしゃるように解釈してくださって結構です.私は IPCCの結論に対して
  決して教条的になっているわけではありません.結論ありきではなく,虚心坦懐
  に未解明な過程・不確実な過程の研究を進めていくのが科学的な姿勢だと
  思います.現時点で得られている知見の総体に誤解なく照らしてI PCCの結論
  の妥当性を評価して頂けるならば,草野様と私の考え方の間に本質的な違い
  はなさそうです.
 
 
 
  6.今後の地域・局所気候を支配する因子
 6.1 地域的・局所的な気候変動の観点からはCO2は小物
    − しかし大物の理解は不十分
  伊藤  資料 
6.1
  ここでは,我々の暮らしに直結する地域気候・局所気候の変動について どう
 考えるかについて議論したいと思います.我々は 地球平均温度よりも 日々や
 季節の気温変動を敏感に感じますし,社会に直接影響する 日照りや大雪と
 いった現象は 地域・局所気候の範疇だからです.
     これまで議論しましたように,確かに IPCCは,地球平均気温を使って CO2の
 影響を「検出」することに ある程度 成功したと思います.地球平均気温を使う
 方法は,CO2の影響検出という目的と一致していただけでなく,現在の気候モデル
 の能力からも妥当な方法でした. もちろん,それでも 現在・将来の気温上昇に
 ついて 過大評価しているとは思います.
  では,CO2の影響が検出できて 話は終わったのでしょうか.IPCC第四報告書
 の後で語られた 「温暖化の科学は 決着が着いた」という意見は,まさに それを
 主張しています
 しかし 「検出」だけなら,前述したAMOや エルニーニョの影響を足し合わせるという
 簡単な方法でもできるでしょう(論点2.6).では,何のために大規模なモデルを
 走らせ続け,また観測網を発達させて 多量のデータを採り続けるのでしょう.
  それは,地球気候の詳しい理解が不十分だからに他なりません.もし 十分なら
 研究は必要なくなります.資料 図 6.1.1に その事情を示します.
 
  CO2を初めとする温室効果ガスは,気候変動の一因ではありますが,他にも
 多数の要因があります(論点1.2参照).人為的な要因としては,着色エアロゾル
 や土地利用が重要とされます.また,自然要因としては 太陽や火山,海洋・
 大気の大きな変動が重要です.
 図6.1.2に,文献6.1.1(論点3.1の参考論文3.1.6と同じ)の結果を示しておきます.
  最近125年間についての観測とモデルとの比較検討を行っていますが,結局,
 エルニーニョが増えたとも減ったとも言えないと結論されており,海洋の自然変動
 の複雑さが分かります
 これらの要因と CO2との大きな違いの一つは,空間的・時間的な不均一性です.
 CO2は寿命が長いために地球規模で均一になり易い結果,地球平均気温の
 議論にうまく乗った訳です.一方,例えば 人為的に放出されるエアロゾルは,
 図6.1.3のように 空間的な分布が 大変不均一な上,季節変動なども大きくなって
 います(資料1.2.13も参照).これでは,モデル計算も観測も難しいのは当然です.
  火山からのエアロゾルの影響を調べた例が興味深いので,ここに挙げます.
 図6.1.4は,1991年フィリピンのピナツボ火山が噴火した後に観測された地表気温
 (冬)の変化です(文献6.1.2).気温変化の不均一な空間分布が分かります.
 不均一さの幅は 5〜6℃もあるようです.日本付近は 冬の気温が1℃程度上が
 っています.しかし 東北大学 名誉教授・近藤純正氏によれば,ピナツボ山噴火
 の際,東北地方の夏の気温は 2℃も下がり,平成の凶作をもたらしました(図
 6.1.5,文献6.1.3). また,この気温低下は,大きな火山噴火の際に必ずといって
 よいほど観測されると結論されています.このように,不均一な影響を持つ因子
 では,平均値よりも 変化幅の方が重要です.
  論点1.2で示した太陽の影響に関連して,北極振動の影響も 地域性が高い
 要因の一つです.図6.1.6には,冬の北極振動指数と冬の地表気温の相関地図
 を示しました.北極振動が強いときには,ヨーロッパやシベリアで帯状に気温が
 高くなるのに対して,その南北の領域では 逆に気温が低くなっています.
     土地利用も 空間的な不均一性が大きい要因の一つです.図6.1.7,6.1.8には,
 Pielkeグループの地域気候モデルによる,米国フロリダでの植生変化に基づいた
 気温変化・降水量変化の見積もりを示します(文献6.1.4).大規模な農地開発
 による植生変化が,地域・局所の気候に大きな影響を与えることが分かります
  植物と気候との相互作用は複雑です.CO2についての議論では,対流圏の
 上部に置かれた熱源として 単純化する方法(放射強制力)を考えれば十分で
 した.しかし 例えば,植物の蒸散作用で気温が下がる作用は,非放射的なもの
 です.しかも,植物の個性や土地の性状,局所的な気象等に依存します.
 これは,これからの気候の理解には 必須な考え方だとされていますが(文献
 6.1.5),IPCC第四報告書でも不十分な扱いしかされていません.
 
  このように,地域・局所の気候に大きな影響を及ぼす変動原因の理解は足り
 ません.図6.1.1に模式的に示しましたように,これらの要因は 様々な形で気候
 に作用しますし,また その空間・時間スケールも様々です.この影響を,グローバル
 な気候モデルとローカルな気候モデルの組み合わせによって解析・予想できる
 ようになるというのが理想でしょうが,少なくとも現状では不可能です(文献6.1.5).
  これまで見たように,CO2は,特に 地域・局所の気候変動要因としては「小物」
 だと言わざるを得ません.平均気温による温暖化の議論は かなり落ち着いた
 かも知れませんが,これからは「大物」の追及を進める必要があります.
 その意味では,むしろ議論が始まったところなのではないでしょうか.
 
 
 
 
 
 
                        (つづく)
(12) のつづき
 
 
                          (3)
 
 3.2 気候感度が小さいという証拠は弱い
 江守
  伊藤様は 3.1で 観測から推定される気候感度は小さいという議論を再度展開
 しておられますが,説得力に乏しいと思います.以下にその理由を述べます.
 
  確率分布のどこに注目するか 伊藤様は,Forster and Gregory(2006)の場合は
 気候感度推定の確率分布の中央値ではなく ピーク値に「物理的に意味がある」
 とお考えのようです.しかし,確率分布のどこに注目するかは,その確率的情報
 を基に意思決定する際の考え方(確率は低いが被害は大きいという場合をどれくらい
 心配するかというようなリスク判断)に依存する問題ですので,物理的意味により
 決まるものではありません.したがって 「ピーク値で議論するのが妥当」とは
 言えません.私が 1.3で書いたのも「中央値で議論するのが妥当」という主張
 ではなく,「ピーク値だけ見るのではなく,たとえば中央値で見れば…」といった
 ほどの意味です.
  単に研究を例示するだけではだめ 一般に,IPCCに対する反論の中には,
 IPCCの結論に反する研究を一つ二つ例示して詳しく解説するという手法をとる
 ものがあるようです.しかし,例示された少数の研究が,IPCCの結論を導いた
 多数の研究を凌駕する説得力を持つかどうかを吟味しなければ,科学的な議論
 とはいえません.
  なぜなら,IPCCの結論は,相反するものも含めた多数の論文を総合的に評価
 することにより導かれているからです.
 伊藤様は Illisの研究を例示して,観測から推定される気候感度は小さいと再度
 結論していますが,IPCCが引用している2℃以上の気候感度を観測から推定
 した多数の論文[資料 1.3.5]のどれよりも この一つの研究が信頼できるということ
 を示さないかぎり,そんなことは言えないはずです.
 この Illisの研究は,エアロゾルの冷却効果を無視している,海洋熱吸収が考慮
 されていない,といった理由から,必然的に 現実よりも低い気候感度を導くと
 思われます.また,特に 低い気候感度を示唆する衛星の気温データを地表気温
 データよりも重用視されていますが,複数の衛星のデータをつなぐために衛星データ
 にも不確実性があることを忘れるべきではないでしょう.
 さらに この研究は まだ査読を経た論文として出版されていないようです.
  平衡気候感度と過渡気候応答 CO2濃度を倍増に固定して 十分に
時間が
 経ったときの気温上昇量である「平衡気候感度」と,年1%複利でCO2濃度を
 増加させていって倍増した時点(70年後)での気温上昇量である「過渡気候応答」
 の二つをよく区別して理解する必要があります.
 伊藤様は,実用上は 後者が重要で,その値は 前者より小さいのに,それがよく
 知られていないとおっしゃっています.しかし 正しくは,どちらも実用上重要です.
 長期的に気温上昇を止める目標(気候安定化目標)を議論するためには,過渡
 気候応答ではなく,平衡気候感度で議論する必要があるためです.
  謝辞
  本稿の作成にあたり,気象研究所の石原幸司様,海洋研究開発機構のJames D. Annan様,
  国立環境研究所の塩竈秀夫様の協力を得ました.
 
 
 4.太陽活動の評価
  4.1 太陽黒点数グラフの真偽を問う
  江守  資料 4.1
  他のところで 太陽活動度の話題が出てきましたので,それに関連して丸山様
 に一点質問させてください.丸山様の著書1)2)3)に現れる太陽相対黒点数の
 グラフで,出典が不明で,かつ近年のグラフ形状が信頼できる他のデータソース
 と比べて相当程度異なるものがあります[資料 4.1.1].
 丸山1)p.89の図8(図4.1.1-1)を 同じ丸山p.103の図13(図4.1.1-2)と比較すると,
 前者では 1990年頃のピークが 1980年頃のピークを大きく上回り,2000年頃の
 ピークも1980年頃のピークより高いです(図4.1.1-3).ところが,後者では 1990年
 頃のピークは1980年頃のピークと同じ位で,2000年頃のピークは さらに 低く
 なっています.
         1)丸山茂徳; 「地球温暖化」論に騙されるな!,講談社,(2008)
 国際標準であるベルギー王立天文台のデータと整合的なのは後者です(図4.1.1-3).
 丸山様は,前者のグラフに基づいて,太陽活動度は 近年低下し始めたばかり
 であると主張されているようですが,実際には 1990年代から低下していたのでは
 ありませんか.その場合 1.3の資料1.3.3で述べたのと同様,このことは1990年代
 以降の世界平均気温の上昇を太陽活動度の変動では説明できないことを意味
 します.
  つまり,丸山様の主要なグラフの一つは 何らかの理由で間違っており,正しい
 グラフに基づくと丸山様の主張は根拠が危うくなるのではありませんか.
 図4.1.1-1と類似のグラフは,丸山2)p.45,p.67,丸山3)p.47にも現れます.
              2)丸山茂徳; 科学者の9割は「地球温暖化」CO2犯人説はウソだと知っている
                                                              宝島社,(2008)
               3)丸山茂徳;地球温暖化対策が日本を滅ぼす,PHP研究所,(2008)
 これらのグラフの出典は明記されていないか,「Pang K. D et al 2002,IPCC,
 2007」あるいは「Karslow, Harrison and Kirkby, Science, 298」といった,そのときに
 より異なる文献名が出典として示されていますが,これらが指すと思われる文献
 (Pang and Yau ,Carslaw, et al.)を見ても このグラフを見つけることはできませんでした.
 このグラフの出典と,1990年頃からのグラフの形状が他のデータソースと大きく
 異なっている理由を,丸山様からご教示頂けますと幸いです.
   謝辞
  
 本稿の作成にあたり,気象研究所の吉村純様,東京大学の山本政一郎様,
    国立環境研究所の野沢徹様,塩竈秀夫様,山本哲様の協力を得ました.
   
   丸山氏の回答は 編集締切に間に合わず
 
 
第2部 今後の予測は?
5.数値シミュレーションの現状と能力
 5.1 未来予測における数値シミュレーションの信頼性
 草野
  数値シミュレーションによる予測モデルには大別して,第一原理的モデルと
 経験論的モデルがある. 前者では 普遍的な法則のみに従って予測計算が
 行われるのに対し,後者では 現象に関係すると思われる経験的なデータを
 モデル化することによりこれを実現することを目指す.
 両者を厳密に区別することはできないが,一般に経験的予測は 徐々に第一原理
 的予測に移行し,最終的に普遍化される道を辿る.
  日食や月食
などの天体力学現象の予測は,占星術から始まり,暦による経験的
 予測を経て 力学による第一原理精密計算の時代に達した.その結果,天体力学
 現象の予測性は「極めて高い」ことが,実際の予測を通して実証されている.
  これに対して,現在の全球大循環気候モデル(
GCM: Global Climate Model)は
 未だ経験的モデルに多くを依存する.第一原理に従って解くには 余りに複雑な
 物理化学生物過程が現象を支配しているためだ. それゆえ,数多くの人為的な
 最適化作業(パラメタリゼーションによるチューニング)無しには現象を再現できない.
 このため,計算精度のみならず,モデル構築者によるプロセスの選択と最適作業
 の指針が計算結果を大きく作用する.
 1.科学的理解度と不確定性
  モデルを構築する際,我々の「科学的理解度」が低ければ,そのプロセスを
 モデルに取り込むことはできない.しかし,留意すべきは自然現象におけるプロセス
 の「重要性」は、我々の「科学的理解度」とは 無関係にすでに決まっているという
 ことだ.IPCC第4次評価報告書では,幾つかの潜在的には重要と思われるプロセス
 が,科学的理解度が非常に低いと判定された上で,評価から外されている.
 未来予測の不確定性を正確に見積るためには,こうしたプロセスの潜在的重要性
 と「科学的理解度の低さに起因する不確定性」を掛け合わせた量を,最終的な
 予測の不確定性として加えるべきである.
  例えば,太陽黒点活動に起因する銀河宇宙線変調の雲に対する効果や太陽
 フレアに伴う高エネルギープロトンによる高層大気でのNOx生成とオゾンの減少
 などの影響については,その理解が十分で無いため モデルに全く取り込まれて
 いない.また,過去の太陽全放射(TSI: TotalSolar Irradiance)の再現についても
 不確定性が大きく,TSI変動やスペクトル変化に対する気候感度の見積りも十分
 ではない.
 2.エアロゾルと雲のモデル化の限界
  エアロゾルの間接効果は 最も大きな不確定性を生むプロセスとして広く認識されて
 いるが,そもそも自然起源(特に海洋性)エアロゾルについては その起源すら
 よく理解できていない.生物活動によるジメチルサルファイド(DMS: CH3SCH3)の
 生成は海 洋上の硫酸エアロゾルの主な供給源と考えられるが,DMSから雲核
 に至る過程の理解は不十分である.最近の微物理モデルが予想するように,
 宇宙線電離過程が そのプロセスの変動に数%の影響を与えることは 十分
 考えられる.
  さらに エアロゾルの種類や量の変化に対する気候システムの感度もよく理解
 されていない.エアロゾル数の増加は,ある場合には 降水量を増加させるが,
 多すぎると 水滴粒径が減少し 降水量が減る結果,雲の寿命が延び,アルベド
 を大きく変える.こうした雲微物理過程に起因したフィードバックが古気候変動に
 極めて重大な影響を及ぼした可能性も最近指摘されている.しかし,エアロゾル
 に起因した雲の性質と寿命の変化に関する考察は,第4次評価報告書では
 十分に実施されていない.
 3.予測可能性の評価方法
    第4次評価報告書においては 異なるモデルの相互比較と過去のデータの再現
 によってモデルの信頼性を評価している.しかし,最も効果的で説得力のある
 予測可能性の評価が これまでになされていない.それは,かつて古代ギリシャの
 タレスが日食を予測したように,未来予測そのものを実際にやってみることだ.
 また,短中期モデルや領域モデルでされているような,未来から過去への情報
 フィードバックを完全に遮断したhindcast実験(モデルによる過去の再現)による
 長期気候予測の評価も定量的になされていない.
 4.結論:人為起源温暖化説は未だ仮説段階
  これまでの議論をまとめると,日食を極めて正確に予測することができる天体
 力学の第一原理モデルに比べ,気候モデルは まだ経験的手法に頼る試行錯誤
 の段階にある.未だ予測に成功した実例もない.
 その意味で,人為起源温室効果ガスよって 未来の気候変動が支配され,今後
 単調に気温が増加し続ける可能性が高いとするIPCC第4次評価報告書の結論
 は実証されていない一つの仮説と捉えるべきであり,自然変動に支配される
 可能性も併せて 未来予測を考察する必要がある.
 
 
 5.2 予測モデルの信頼性は過小評価,未知の要因は過大評価されている
 江守
  資料  5.2
  草野様の主張は一般論としては予測モデルの限界を的確に指摘されている
 ようにお見受けしました.しかし,草野様の個別の考察は 残念ながら 不十分な
 認識に基づいており,予測の信頼性を過小評価されています.
 以下に,草野様の3点の考察に対応させて その根拠を具体的に述べます.
 
  理解水準が低い過程が主因とは考えにくい まず,IPCCの報告書を注意深く
 読んで頂ければ,理解水準が低い過程を排除しているわけではないことがお分り
 頂けると思います[資料5.2.1].それらの不確実性が評価されていないのは,
 理解水準の低さゆえに 不確実性が定量化できないためです.IPCCは出版された
 論文を基にしますので,材料となる論文が出ていなければ,不確実性を見積る
 ことはできません.
  次に,理解水準が低い過程の潜在的な重要性についてですが,過去の気候
 変動の要因推定の結果から,それらが 近年の気候変動の主因とは 考えにくい
 です. 1.3で述べたように,20世紀後半の観測された気温上昇は,人為および
 自然起源の既知の要因と,不確実性の範囲内で定量的に整合します.
 もしも 観測された変化が 既知の要因で説明不可能であれば,我々は見落とさ
 れている要因を血眼になって探す必要がありますが,現在の状況は そうではない
 ということです. 加えて,温室効果ガスの増加による放射強制力の科学的な
 不確実性は小さいです.もしも 近年の温暖化の主因が温室効果ガスの増加
 以外にあるとした場合,温室効果ガスの増加による放射強制力は 一体どこに
 いってしまうのでしょうか.
  以上から,理解水準の低い過程についての研究を進めることは もちろん重要
 ですが,その結果として 現在の理解が大きく覆されるとは考えにくいです.
 エアロゾル・雲過程の理解は進んでいる自然起源エアロゾル及び雲過程の理解
 水準に関する草野様の記述は誤解を招くものです.
 IPCC WG1 AR4第7章をご覧になればおわかりになるとおり,各種エアロゾルの
 地上観測,衛星観測,素過程研究,モデル研究は相当進んでいます.
 草野様は触れられていませんが,自然起源エアロゾルの大部分は海塩と土壌性
 ダストです.海上では 大部分が海塩とDMS起源の硫酸エアロゾルで,どちらも
 雲の凝結核になります.エアロゾルが 雲に与える影響の研究も 素過程レベル
 ではかなり進んでいます[資料5.2.2]. 草野様は,「宇宙線がエアロゾルを通じて
 雲に与える影響が十分に検討されていない」ことのみをもって,「エアロゾル・雲
 過程の理解は不十分である」とおっしゃっているようですが,その言い方は この
 分野全体の理解水準を的確に表していません.
  一方,宇宙線が エアロゾルを通じて 雲に与える影響を草野様は過大評価
 されているように思います.1.3で述べたように 1985年以降の気温上昇を
 宇宙線の変化は説明できませんし,宇宙線が雲を通じて地球の太陽光反射率
 を変えることにより 気温を変化させるのであれば,対流圏が温暖化する一方で
 成層圏が寒冷化することを十分に説明できません.さらに最近,宇宙線量が
 短期的に大きく低下する現象(Forbush decrease)に対する雲の応答に整合的な
 関係がみられないことが示されました(Kristjansson et al.).
  このように AR4以降の研究も含めて,宇宙線量の変動がもたらす雲の変動
 が近年の温暖化の主因になり得ないことの理解が進んできています.
  気候モデルによる予測が真に検証された例 草野様は真の意味で気候モデル
 の予測を検証した例をご存じないようですので,お示ししたいと思います.
 有名な例は,NASAのJames Hansenが1988年に発表した予測(Hansen et al.)の,
 その後の観測データによる検証です[資料5.2.3]. この例については,結果に
 合うようにモデルを作ったという批判が当てはまらないことは明らかです.この図
 の評価は 見る人の立場によりさまざまですが,われわれの議論の文脈上は
 「気候モデルは 観測された気温上昇を 20年前に予測できた」と評価すべきと
 思います.Hansenの3つのシナリオのどれが現実に近いか,それが現実の気温
 上昇量のデータとよく合っているかといった議論は,ここでは重要でありません.
 なぜなら,当時のモデルには 海洋の変化も エアロゾルの効果も極めて限定的
 にしか入っていませんので,定量的に現実と合うべき筋合いはないからです.
 ここで強調されるべきことは,温室効果ガスの増加に応答する気候変化が20年前
 から少なくとも定性的には 適切にモデル化されており,それが 近年の気候変化
 の主因であることが その後20年の実際の気候変化により支持されたということ
 です.このことから考えれば,現実に 近年の気候変化の主因が温室効果ガス
 の増加である限り,また その過程が適切にモデル化されている限り,それ以外
 のモデルの詳細(たとえば雲の表現)を観測データに合うようにチューニングしよう
 がしなかろうが,現実と大きく異なる解は出てこないでしょう.
  もっとも,定量的な気温上昇量の予測や地域的な予測はモデルの詳細に依存
 しますし,最新のモデルは 近年の観測データを見ながら作っていることは事実です.
 これらを踏まえた上で 予測をどのように信頼すべきかについては,拙著で解説
 を試みましたので,ご一読頂ければ幸いです.
   謝辞
   本稿の作成にあたり,九州大学の竹村俊彦様,国立環境研究所の塩竈秀夫様,
   海洋研究開発機構のJames D.Annan様の協力を得ました. 
 
                             (つづく)

 
研究会「温暖化問題」IPCC報告書 
  三村信男 茨城大学副学長、地球変動適応科学研究機関長   2014.4.17
                       YouTube
   研究会「温暖化問題」として、茨城大学副学長の三村信男教授が、横浜で行われたIPCC
  第38回総会の、第2作業部会で議論された内容について話した。気候変動に対する緩和策
  について、日本はもっとイニシアティブをとってやっていくべきだが、適応策については、
  各国の事情によって取り組み方が違ってくる」ことなどを説明した。
   温暖化についての懐疑論への対応なども説明し、「我々の世代の問題は、我々の世代
  で解決していくべき」と締めくくった。
 
  司会 小栗泉 日本記者クラブ企画委員(日本テレビ)
    日本記者クラブのページ  http://www.jnpc.or.jp/activities/news...
 
 
 
                            (未完成)
(11) のつづき
 
                       (2)
 
 
 江守     資料 1.3
  赤祖父様の主張は IPCC結論とは相容れない仮説の提示お見受けしました.
 一方,伊藤様の主張は IPCCの結論は確信度合が強すぎるという批判であり,
 結論を大きく覆すものではないとお見受けしました.
  赤祖父様は IPCCが太陽活動変動を過小評価したと(主観的に)主張されるのに
  対して,伊藤様は 過大評価したと主張されており,お二人の意見は互いに
 相容れない部分が大きそうです.
  次に,以下の2点については お二人のご意見に同意します.
  自然変動の重要性 実際に起っている気候変動の一部が自然起源であることは
 いうまでもありませんし,IPCCでも 当然 そのように認識されています.
 観測環境の劣化 世界地上観測地点の中で,周囲の環境の人為的な変化など
 により長期的な気温変化の時系列が正確に観測できていない地点が少なからず
 あることは,おそらく そのとおりです.
 
  さて,以上を前提とした上で,お二人の主張はIPCCの主要な結論に対して
 何ら本質的な批判になっていないことを以下に示します.
  温暖化は止まっていない 資料1.3.1に,1977年から2007年までの観測された
 世界平均気温の変化を示します.
 火山噴火やエルニーニョ,ラニーニャに対応した気温変化率の変動があるのが
 わかりますが,15年の変化率で見ると,近年に至るまで ほとんど同じ率で気温
 上昇が続いています.2007〜2008年も ラニーニャによる寒冷化が生じましたが,
 ラニーニャの終息により 現在では 気温上昇傾向が回復してきています.
  平均気温変化データの妥当性 観測環境の劣化は確かに問題ですが,世界
 平均気温の変化を計算する際には,周囲と大きく異なったり大きな不連続がある
 など明らかに不自然な時系列を示すデータは 除去 あるいは補正されています
 (例えば Peterson et al.1)). また,地表面積の7割は海洋が占めますので,世界
 平均気温の変化には 海上のデータの寄与が大きいです(ただし,後述しますが
 海上データにも一部補正が必要です).
 以上から,観測環境の劣化が世界平均気温変化の推定に与える影響は限定的
 と考えられます.
  自然変動の原因 自然変動といっても,「自然起源の強制力への応答」(
太陽
 活動変動や火山噴火への応答)と「気候システムの自励的な内部変動」(エルニーニョ
 南方振動,北極振動など)を区別する必要があります.
 お二人の少なくとも 本文の記述では この区別が明瞭でありません(但し,伊藤様
 がお考えのように 前者が後者に影響を与えることは,ありえないことではないでしょう).
 赤祖父様のお考えになっている自然変動がどちらにあたるか,そして 前者で
 あれば強制力は何か,後者であれば 内部変動のメカニズムは 何かを明確にして
 頂かなければ,科学的議論の質として IPCCに遠く及ばないと言わざるをえま
 せん. なぜなら,IPCCでは 過去1000年程度の気温変動の原因を定量的に
 議論しており,当然 その結果は IPCCの結論と矛盾しないからです.
    20世紀温暖化の原因  IPCCが20世紀後半以降の温暖化の大部分が人為起源
 である可能性が非常に高いと結論した 主な根拠は,伊藤様の資料1.2.1に示され
 ているとおり,自然起源強制力のみを与えた気候モデル計算では観測された
 気温上昇が再現できず,人為起源強制力も与えると再現できるということです.
  この際,内部変動の不確実性,強制力(特にエアロゾルの効果)の不確実性,
 気候モデル(気候感度)の不確実性が当然ありますが,人為起源強制力を与えた
 場合は不確実性の範囲内で観測と整合的であり,自然起源のみの場合は不確実
 性を考慮しても観測と整合的でない,という点が重要です.
  赤祖父様の説を含め,他の説にこのような定量的な整合性を客観的に議論
 できるものがありますでしょうか.
  太陽活動変動については,1985年以降の変動の影響は観測された気温変化
 と逆相関ですので(Lockwood andFrohlich2)),その振幅がどうであっても,近年の
 温暖化を説明できません.また,温室効果ガスの増加以外を主因と主張される
 ならば,観測されている成層圏の寒冷化の原因を整合的に説明して頂く必要が
 あります.
  なお,20世紀前半の温暖化についてはまだ不明な点があり,IPCCでも解明
 できたとはいっていません.しかし,過去にさかのぼるほど気温変化も強制力も
 データの不確実性が大きくなるので,20世紀前半の温暖化が解明されなければ
 後半の説明もできないとはいえません.
  たとえば,1940年代の気温ピークは海面水温の観測方法の変化による人為的
 なものであることが最近指摘されました(Thompson et al.3)).
 この問題が補正されると,1940年代のピークは今まで考えられていたより小さく
 なり,気候モデルの結果に近づくはずです.
  観測に基づく気候感度 伊藤様は「観測に基づく気候感度は1℃程度である」
 と理解しておられるようですが,これは誤りです.観測に基づいていても気候感度
 3℃前後を最尤推定 あるいは 推定の中央値とする論文は多くあります.
 逆に,気候感度1℃程度という論文の中には手法の誤りを指摘する多くの反論論
 文が出版され著者がを上方修正したものがあります.
 
 
2.温度測定の不確かさ
  伊藤  資料 2.1
 2.1  IPCCは結論を急ぎすぎ−拙速は危険
  まず確認ですが,現段階の私の立場は IPCCの議論への本質的な反論では
 なく,量を問うものです.それは,前項で書きましたように,平均気温を基にして
 CO2の影響を検出するということに議論を限ったからです.
  環境政策に直結する地域・局所の気候変動については,IPCCの議論とは
 本質的に異なってきます(詳細は後の項).
  ここでは温度測定について議論します.
 気温の機器測定と過去気温の代替指標,共に「?」です.まず機器測定に基づく
 GISS(Goddard Institute for Space Studies:NASAゴダード宇宙研究所)のデータ[江守
 資料 1.3.1参照]について.IPCCは 次のように主張しています.
 ①地表気温測定の誤差は考慮されているので問題ない.そして,②地表気温
 に問題があっても70%は 海なので問題ない.
  地表気温①については,誤差の性質の評価が誤っています.不自然な気温
 の跳びなら 機械的に取り除くことも可能ですが,都市化(特に田舎サイトのミクロな
 都市化傾向)が漸増する場合には,明確な跳びが見出せず,地表気温の測定に
 温暖化の偽傾向が生まれます.これを除くには,個々のステーションの現状を
 チェックして評価するしかありません[伊藤資料 1.2.5〜7参照]. さもないと,一部
 の誤差しか除けません.その点,機械的な補正に頼っているNASAの手法よりも,
 一つ一つのサイトを自分の足と目でチェックしている A. Watts氏の調査の方が
 信頼できると考えるのは当然でしょう.アメリカでの彼の調査結果をまとめた
 図2.1.1をご覧ください.
  対流圏気温 従って,詳しい検討に耐える気温測定データは,衛星で測定した
 対流圏下部気温が一番と思われます(期間は短い).資料2.1.2に 全球気温変化,
 緯度帯毎の平均気温,また気温変化傾向の空間分布を示します.
 GISSデータは 気温上昇傾向が強いようです.全球平均気温の上昇傾向には
 北半球の気温上昇の寄与が大きいですが,GISSデータで顕著なシベリアの高温
 が,衛星データでは弱くなっています.
 GISSデータを過剰に信頼するのは危険です[図 2.1.2-5 と その説明も参照].
  海洋温度海での温度測定最も信頼が置けるのは,ほぼ世界中の海に3000個
 散布されたArgoフロートでしょう[資料 2.1.3]. 他のシステムでは,温度計の誤差
 が大きく,海水温上昇のバイアスが生じていると報告されました[文献 2.1.3-1].
 温度が高めに出るXBT温度計のデータが使われる割合が増したためとされて
 います. Argoでも誤差は生じますが,補正の結果,海水温は 2003年以降あまり
 変化せず,むしろ下がり気味と見られています[文献 2.1.3-2,図 2.1.3-2].これは
 衛星による対流圏気温測定の結果と対応しています.
  過去気温過去気温の推定値[江守資料 1.3.2参照]についてです.機器測定より
 も困難が多いのは当然ですが,
 ①代替指標の質の問題 と ②代替指標と機器測定データをつなぐ部分の問題
 が大きいでしょう.
 ①には注意が必要です.図2.1.4-1は M. Mann(
ホッケースティック曲線で有名)が
 最近の論文で使用したデータです[文献 2.1.4-1].20世紀後半に急激に上がって
 いるデータがいくつかあります.Mannらの解析に異論を唱えるS.McIntyreの指摘
 [文献 2.1.4-2]によれば,これは 例えば 湖底堆積物の人為的な撹乱(農業の影響
 など)によるものです[文献 2.1.4-3]. 年輪データにも異常なものが見られ[文献
 2.1.4-2],これらが ホッケースティック度に寄与していた可能性は高いと思います.
  過去気候の代替指標として使えそうな最も新しい報告データは,中国中央部
 の万象洞の鍾乳石です[図 2.1.4-3 文献 2.1.4-4].スイスアルプス氷河との対応も
 良いですが,ここ20年の上昇傾向はありません.この資料では,太陽活動との
 相関がよいと報告されています.
  ②については,樹木年輪を含めて「気温代替指標」の多くは 実際には降水量
 の指標のようです.実際,万象洞のデータはそうですし,図2.1.4-1の中ほどに
 あるDongge(中国・董哥洞の鍾乳石)もそうです.この場合,降水量データとつなぐ
 方が適当かも知れません.なお,万象洞データとスイスアルプス氷河の対応が
 よいことは,後者の消長の原因が降水量変化であることを示唆していて興味深い
 ところです.
 
 江守
 2.2 不確実性はもちろんあるが,不確実性を示唆する知見にも吟味が必要
  伊藤様は 世界平均気温について IPCCの議論への本質的な批判をお持ち
 でないとのことですので,これ以上の詳細な議論は不要と思います.
 2.1で伊藤様が主張されたことに対する私の立場の確認と,若干の感想のみ
 記させて頂きます.
  観測データには もちろん不確実性がある伊藤様は 1.3の私の主張に基づき,
 IPCCはGISSのデータが問題無いと主張していると整理しておられます.しかし,
 1.3をよく読んで頂ければわかるように,私も IPCCも「問題無い」と言っては
 おりません.観測データには 当然ながら定量的な不確実性があると思います.
 1.3で説明させて頂いたのは,観測環境の劣化があるからといって,それが
 直ちに IPCCの議論の本質的な問題を意味するわけではない,というだけです.
  不確実そうな知見を並べるだけでは だめ ところで,一般に,IPCCに対する反論
 の中には,不確実性を感じさせる知見をたくさん並べたてて,なんとなくIPCCが
 間違っているような印象を与える手法をとるものがあるように思います.しかし,
 提示された個々の知見が IPCCの結論に どのような定性的,定量的な影響を
 与えるのかを吟味しなければ,科学的な議論とはいえません.
  失礼ながら 伊藤様の資料を例にしますと,たとえば 図2.1.2-5は観測データの
 処理のミスを指摘していますが,同様の データセット を作っている機関はGISSだけ
 ではありませんし,これだけ明らかなミスであれば このデータが たとえば 次の
 IPCC報告書に反映されるまでには 外部から指摘されるまでもなく 修正が施され
 ていたでしょうから,明らかに IPCCの議論の不確実性とは関係ありません.
 
 
3.気候感度の大小
 伊藤  資料 3.1
 3.1 観測による気候感度の見積もりは,やはり小さめ
  ご指摘の気候感度「測定」についてです.
 主要点は 2つでした.① CO2二倍時の気温変化(ΔT 2 x C O2)として,例えば
 Forster & Gregory[文献 3.1.1]のように ピーク値が 1.6℃であったとしても,
 誤差範囲が高い値のほうに裾を引いているので,中央値は大きくなる.
 ②3℃が得られている「観測」もある.
  まず ①です.形式的にはその通りですが,Forster &Gregoryは 通常の気候感度
 の逆数(フィードバックパラメーター,Y)を使って解析したので,ピーク値と中央値は同じです.
 したがって,通常の気候感度に直したときの分布の中央値に物理的な意味を
 持たせるのは困難であり,ピーク値で議論するのが妥当だと思います.
 なお,Yを用いる理由は,各寄与成分に分けた議論が し易いからです.
  ②については,観測では やはり低い気候感度が出るということを強調したい
 と思います.ここでは,最近出された比較的分かり易い解析例を紹介させて頂き
 ます.これは,Anthony Wattsのブログ(Watts Up With That)で紹介されたBill Illis
 の方法です[文献 3.1.2]. Illisは,毎月の地球平均気温を,海洋の大規模な自然
 変動に基づいて再現することを試みました. 具体的には,資料図3.1.1に示した
 ように, CO2濃度( の対数), AMO ( Atlantic Multidecadal Oscillation 大西洋数十年
 振動)指数,ENSO(El Niñ o Southern Oscillation エルニーニョ・南方振動)指数を足し
 合わせ,回帰分析により 地表気温や衛星測定気温を再構成します.
 CO2濃度の寄与分から T2xCO2が求まります.モデルでは再現できないエルニーニョ
 とAMO,しかも 月毎の詳しいデータを使った解析だというのが味噌でしょう.
  資料図 3.1.2に 文献 3.1.2のデータの一部を示します.衛星測定データから得た
 熱帯の対流圏下部気温(南北緯度±20°)と,地表気温データについて,回帰
 モデルと比較した例です.回帰モデルは 気温データを良く再現しており,両者の
 相関係数は0.9近くあります.
 これは,Illisのアイディアがうまくいっているということを示しています.特に,通常
 は必須と思われる火山や化石燃料燃焼からのエアロゾルを考えずに済んでいる
 というのは不思議ですが,結果が全てを物語ります.
 例えば,エアロゾルの冷却効果と加熱効果が打ち消しあっていると解釈できるのかも
 しれません.
 なお,対流圏の熱帯データを使う意味を資料図3.1.3に示します.まず,南半球気温
 に比べて北半球気温の上昇傾向が大きくなっており,人工的廃熱[文献3.1.3]や
 土地利用[文献3.1.4]の影響ではないかと指摘されていますので,それが除ける
 可能性があります.また,エルニーニョの影響が熱帯に出やすいことを考えると,
 自然変動の寄与の評価に便利と思われます.
  資料図3.1.3のような解析結果に基づき,ΔT2xCO2が見積もられます.地表気温
 では,英国ハドレーセンターとGISS(Goddard Institute for Space Studies: NASAゴダード
 宇宙研究所)のデータから1.85℃,NCDC(NationalClimatic Data Center: 米国気象データ
 センター)のデータから1.6℃,RSS(Remote Sensing Systems: 米国,リモートセンシングシステムズ)
 の熱帯対流圏データからは0.6℃となります.
 この結果についてIllisは,地表気温データには廃熱などの影響や気温測定誤差
 (2.1参照)が含まれているので,衛星気温データの方が信頼できるのでは,として
 います.
  他の研究者による同様な試みもあります.例えば エルニーニョ指数と火山由来の
 エアロゾルを使い,1℃以下の値のΔT2xCO2が報告されています[文献3.1.5].
 AMOを使うIllisの解析と比べて どちらがよいかは,まだ分かりません.
  当然ながら,Illisの解析への批判もありえます.まず,AMOやエルニーニョに
 CO2の影響が入っているだろうからIllisの解析はCO2の影響を過小評価している
 かもしれません.しかし 実際には,AMOもエルニーニョも,CO2の増加に伴う漸増傾向
 は観測されていません.エルニーニョについては最近,観測でも モデルでも増えた
 のか減ったのか不明である,と報告されました[文献3.1.6].
 AMOに関しても,赤祖父先生ご指摘のように,20世紀前半と末期に観測された
 海流の変化は大変似ていることから,CO2の影響は少なそうです.
  もう一つの批判は,海洋の熱慣性を考慮していないというものでしょう.これは,
 海洋の応答は20〜30年と長いので,今は気温上昇が見られなくても 後で現れて
 くる,というものです(注の平衡気温感度参照).しかし,このような長い応答は気候
 モデルで顕著ですが,観測によれば気候システムの応答はせいぜい10年であり,
 またこれよりも短い応答の成分もかなり大きいようです[文献3.1.7].このような
 場合,後から来る気温上昇は,あったとしても小さいでしょう.
   このように,「観測」による気候感度の見積もりは,やはりかなり小さな値を与える
 ようです.なお,気候感度に関する詳細は,拙著1)を参照していただけますと
 幸いです.
 注.江守様との個人的なe-mailのやり取りの中で指摘され,改めて気付いたことがあります.
  IPCC 第四報告書の図10.25の一番上で,気候感度の平衡値(何百年も経ったとき)と実際
  上重要な過渡値(CO2二倍時)を比べています[図3.1.4].
  代表的なプロットを見ると,前者は2〜5℃ですが,後者は1〜3℃と小さいです.これは
  一般に報道されていないでしょう.
 
 
                        (つづき)
                           
(10) のつづき
 
 
   赤祖父俊一 米国アラスカ大学名誉教授
   伊藤公紀 横浜国立大学工学研究院教授
   丸山茂徳 東京工業大学理工学研究科教授
   江守正多 国立環境研究所地球環境研究センター温暖化リスク評価研究室長
   草野完也 海洋研究開発機構地球シミュレータセンタープログラムディレクター
 
1.各討論者の立場の予備的調査
  まず各討論者の立場を相互に明らかにするため,IPCCの要約から代表的な5項目
 について,同意するか否かの回答をいただきました.表1がその結果です.
 この調査は大雑把な3択ですので,本質的に微妙なニュアンスは表現しえません.
 また回答者の基準も異なりますので,あくまでも目安程度に考えていただきたいと思います.
 ただ,表からいえる最小限のことは,
  ・5氏全員が認識を共有する項目はないこと
  ・江守氏はIPCCの立場から全項目を肯定すること
 の2点です.
 
 
IPCC第4次評価報告書第1作業部会報告書政策決定者向け要約(気象庁訳)
① 世界の二酸化炭素,メタン及び一酸化二窒素の大気中濃度は,1750年以降の人間活動の
 結果,大きく増加してきており,氷床コアから決定された,工業化以前何千年にもわたる期間
 の値をはるかに超えている.世界的な二酸化炭素濃度の増加は,第一に化石燃料の使用
 及び土地利用の変化に起因する一方,メタンと一酸化二窒素については,農業による排出が
 主な要因である.
② 気候システムの温暖化には疑う余地がない.このことは,大気や海洋の世界平均温度の
 上昇,雪氷の広範囲にわたる融解,世界平均海面水位の上昇が観測されていることから
 今や明白である.
③ 古気候に関する情報によって,過去半世紀の温暖な状態が,少なくとも最近1300年間に
 おいて普通ではないとの考察が裏付けられている.
 20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは,人為起源の温室効果
 ガスの増加によってもたらされた可能性が非常に高い.識別可能な人間の影響が,気候の
 他の側面(海洋の温暖化,大陸規模の平均気温,異常高低温や風の分布)にも及んでいる.
⑤ 温室効果ガスの排出が現在以上の割合で増加し続けた場合,21世紀には さらなる温暖化
 がもたらされ,世界の気候システムに多くの変化が引き起こされるであろう.その規模は
 20世紀に観測されたものより大きくなる可能性が非常に高い.
 
  表1      (〇:同意 △:部分的同意 ×:非同意)
                     赤祖父、伊藤、江守、 草野、丸山

       ①              〇   〇   〇   △    ×
       ②              〇   △    〇   〇    〇
       ③              ×    △   〇   ×    ×
       ④              ×   ×    〇   ×    ×
       ⑤              ×    △   〇   ×   ×
 
 

 第1部 20世紀後半の気温上昇の原因は?
1.導入討論
 1.1 温暖化が止まった
 赤祖父
  地球平均気温は 1800〜1850年頃から連続的に上昇してきた.その上昇率は
 0.5℃/100年であった.このことは上昇は炭酸ガスに ほとんど関係がないという
 ことである (炭酸ガスが急激に増加し始めたのは 1946年からである.即ち,
 炭酸ガス急増の100年前からほとんど同じ上昇率であるということである).
  ところが,この上昇が 2001年頃より止まっている.炭酸ガス放出は依然として
 上昇しているにもかかわらずである.
  国際気候変動パネル(IPCC)によれば 気温は上昇し続けているはずである
 ので,気温上昇は大部分 炭酸ガスの温室効果によるとする彼らの仮定が誤って
 いる可能性が高い.IPCCのどの シミュレーションも 温暖化が止まるという例はない.
 上昇が止まって降下ぎみということは「温室効果より大きい何か」が作用している
 ということである. この「何か」は 自然変動しかない.
  筆者は 過去1000年からの自然の(すなわち 人類が放出している炭酸ガスに
 無関係の)気候変動の研究から,今までの気温上昇の大部分は地球が1400年
 から1800年頃まで経験した「小氷河期」からの回復(すなわち温暖化,変化率
 =0.5℃/100年)によるということを主張してきた.この回復に乗って約30〜50年
 周期の自然変動(準周期変動と呼ぶ)もあり,この変動は 1975年からポジティブ
 であり,2000年頃 ピークになっていた.この準周期変動が ピークを過ぎてネガティブ
 になり始めている.( IPCCは,この1975年からのポジティブの変化は 大部分
 炭酸ガスにおる温室効果であるとした.)
  この準周期変動の変化率は 0.1℃/10年以上であるので,短期間(50年程度)
 では,この影響が気温変化を大きくコントロールする.これが原因で温暖化が
 止まった可能性が高い.この準周期変動の振幅は 北極圏で非常に顕著である
 のでわかりやすい.
  過去では この準周期変動は 1910年から1940年頃まで ポジティブであり 1940年
 から1975年まで ネガティブであった(炭酸ガスの放出量が1946年から急速に上昇
 したにもかかわらず).
 
  IPCCは1910年から1940年までの自然変動を十分研究せず,特に 1975年から
 の上昇を炭酸ガスによるとした.従って,2000年後も上昇を続けるはずである
 にもかかわらず,気温上昇が止まってしまったということは(炭酸ガスの放出量
 は現在も増加しているにもかかわらず),1975年からの上昇は自然変動(主として
 準周期変動)による可能性が高い.しかも 準周期変動であるためネガティブに
 なり得る.そのため 2000年後温暖化が止まり,その後,ネガティブになりつつある
 可能性が高い.
  これを 一時的なもの(ラニーニャ)とする説があるが,JPLの観測は準周期変動
 としている.(編集者注:この一文は 校正段階の12月19日に追加)
  ここで注意すべきことは,IPCCが 2000年までの気温上昇が炭酸ガスによる
 としたのは仮説にすぎないということである.彼らがその仮説を スーパー・コンピュータ
 により証明しようとするのはわかるが,いつの間にか この仮説が「事実」にすり
 替えられてしまってきた.事実であるという観測的確証はない.このすり替えが
 地球温暖化問題を世界の三重大問題にし,将来の大災害が本当に起きるとして
 報道されてきたのである.
 
  それでは 太陽活動は,地球温暖化,および この温暖化が止まったことに関係
 あるのであろうか.現在太陽は「冬眠中」である.黒点周期23は すでに2年ほど
 前に終わり,2007年から周期24が始まっているにもかかわらず,2008年1月に
 一つの黒点が太陽の北半球の高緯度に現れたにもかかわらず,その後 消えて
 しまったようである(新しい黒点周期は黒点が高緯度に現れることで始まる).
 現在 光球面でははっきり見える黒点はない.最近,太陽風も過去50年最低の
 レベルという報告もある.周期24が遅れているだけのことかもしれないが,気に
 なることである.
  それでは 過去に長期間太陽黒点が現れないことがあったであろうか.実は
 過去1650年頃から1700年の初期まで黒点がほとんど現れなかった期間が
 あった.この期間を1900年の始めの頃活躍した英国の天文学者モンダーの名
 をとって「モンダー・ミニマム」と呼んでいる.
  太陽黒点と光球面から光線によって運ばれるエネルギーには関係がある.
 黒点が黒く見えるのは,温度が低いためである.したがって 黒点が多いときは
 この エネルギーは 少ないと考えられていた.それを研究する人工衛星が1980年代
 に打ち上げられた.予想に反して,逆であった. 太陽黒点の数が多い時期の方
 が,太陽が発するエネルギーは高いことがわかった.黒点が多い時の方が太陽
 の活動が活発であるということである.
  黒点周期で変化する量は全量の 0.1%ほどであり,モンダー・ミニマムから
 現在までの増加は0.5%ほどであるとされている.モンダー・ミニマムは1400年頃
 より1800年頃まで続いた小氷河期中に起きたため,小氷河期は太陽の不活発
 が原因ではないかという説がある.
 そして,その後 太陽が活発になり始めた1800年頃からの地球温暖化,即ち
 小氷河期からの回復であるとする論もある.しかし,太陽黒点の変化と気候変化
 の相関はあまりよくない.むしろ,周期が正確に11年ではなく,変わることが気候
 変動に関係しているという研究結果もある.
  さらに,IPCCの計算によると,このエネルギー増加は温暖化にあまり寄与して
 いないようである.もっとも IPCCは「 現在の温暖化は炭酸ガスによる 」と主張
 したいので,太陽の影響を少なく見積もりたかったのかもしれないので,この計算
 をもう一度やり直した方がよいのではないかと思う.0.1〜0.5%といっても膨大
 なエネルギー量のことである.
 太陽からのエネルギーは 光球面からのエネルギーだけではない.太陽風も 光
 のエネルギーに比較すると極めて少ないが粒子がエネルギーを運び出している.
 太陽風は地磁気嵐を起こすことから 地磁気嵐と気候変動の研究が 100年近くも
 行われてきた.しかし この間には 簡単な相関関係が見られないため,結論が
 出ていない.地球磁気嵐は 高さ100km以上の超高層の温度を高くするが,
 これが成層圏や対流圏まで伝わる可能性は極めて少ない.
 黒点の11年周期で 紫外線が大きく変動し,電離層やオゾン層に影響を及ぼす.
 その変化が対流圏に及ぶかどうかはわかっていない.これからの研究が必要で
 ある.
  一方,宇宙から降り注ぐ宇宙線が比較的低い雲を作る可能性があるらしい.
 地磁気嵐を起す太陽風嵐は「磁気雲」と呼ばれ,太陽系外から侵入する宇宙線
 を遮蔽する傾向があるので,太陽活動と気候が複雑に関係しているとする理論
 もある.
  このように気候変動と太陽活動との関係は まだ結論に至っていない.地球の
 気候の変動と太陽活動の関係は 今後も研究を強力に続ける必要がある.
 
 
 1.2 温度上昇= 自然変動+ 人為影響+ 観測誤差
  伊藤    資料1.2 
  「地球平均気温」意味〜まず,地球平均気温を問題にする意味を確認したい
 と思います.出発となるのは,言うまでもなく,人間にとって地表気温が重要だ
 という事実です.しかし,これは「平均気温」に注目する理由にはなりません.
 それは,局所的な気温や降水量などの方が人間にとって重要だからです.では,
 「地球平均の地表気温」の意味はなんでしょうか.それは「温室効果ガスの影響
 の検出」です.CO2などの温室効果ガスは 寿命が長いため,地球レベルで均一
 になりやすいという特徴を持っていますから,地球平均を見ると影響が検出し
 やすくなります.気温に対する温室効果ガスの影響を,平均的な放射強制力で
 置き換えた議論をIPCCが採用しているということも,それを表しています.
  一方,局所的な気温・降水量の変化への影響が大きい因子もあります.寿命
 が比較的短いエアロゾルや局所的な土地の利用などが代表です.火山噴火や
 太陽活動の影響も,かなり空間的に不均一です.各因子についての評価として
 は「地球平均気温」への影響だけを見るのは不十分です.
 しかし,温室効果ガスの影響を「検出」するためなら,このような要因の影響を
 地球平均するのは良い方法です.これは,日々の潮汐の影響などを除いて得ら
 れる海面変化データの場合と同じです.
  気温変化−20世紀前半 さて,IPCC報告書は,20世紀前半の地球気温上昇
 を自然変動(火山と太陽)に,後半については 温室効果ガスに帰属しました
 これは気候モデルの結果と観測を照らしての結論です.
  まず,「20世紀前半は自然変動」についてはどうでしょうか.これには大きな仮定
 があります.太陽光度変化が かなり大きめ(100年規模で 0.5%程度)に見積も
 られているということです.太陽の光度変化についての議論には 困難もあります
 が,かつて考えられていたほど,太陽光度変化は大きくない(約0.1%)ようです.
 従って,20世紀前半の平均気温上昇を自然変動で説明できたというIPCCの結論
 は間違っています.「説明はできないが自然変動に違いない」というのが正直な
 言い方でしょう.
  気温変化−20世紀後半 次に後半についてです.CO2濃度の増加の程度から
 考えて,その気温への影響を観測できると期待されます.そこで,CO2の影響を
 検出する際の精度や妨害因子について考えます.
  まず観測誤差についてです.地球全体の観測による衛星データは1979年以降
 しかありません.そこで,世界各地で行われてきた地上・海上での地表観測が
 主になりますが,最近,地表気温観測の問題点が指摘されています.
  地上2mでの観測値の妥当性 と 観測環境の劣化です.
 ①では,地上2m測定は 気温変化を過大評価するという理論的検討結果があり,
 地表気温の上昇は割り引いて考えるべきだと指摘されています.
 ②では,特に アメリカでの現場報告例が目を引きます.誤差が1℃以下の環境
 良好な観測点は10%程度しかありません.特に問題なのは,基準となるべき
 田舎観測点の劣化です.住居のそばに自動観測器を置いた結果,廃熱の影響
 や駐車場の影響などを受け,ミクロな都市化が進んでしまっています.このため,
 系統的な温暖化傾向が出ていると疑われます.日本の観測点でも誤差が大きい
 そうです.また,海上の測定にも誤差が指摘されていますが,陸データとの関係
 が興味深いところです.
  次に自然変動と他の人為的要因についてです.空間的に均したとしても,
 自然変動は大きいようです.例えば 20世紀前半を含む過去の気温変動は,
 北極振動の影響を受けているという指摘があります.なお,筆者の検討によれば
 ,北極振動は太陽磁気活動の影響を受けます.この機構を解明して,気候モデル
 に入れることができれば,20世紀前半の気温変化を説明できるのではないかと
 考えています.同様に 20世紀後半の気温上昇への寄与も評価できると思い
 ます. 大西洋数十年振動(AMO: Atlantic Multidecadal Oscillation) や太平洋
 十年規模振動( PDO: Pacific Decadal Oscillation), 大気・海洋の大きな振動も
 平均気温変化に効いているようです.実際,ここ 30年の気温変化は エルニーニョ
 ・ラニーニャ のパターンで大きく支配されています.
 地球平均しても気温への影響が大きくなる人為的要因として,エアロゾル,特に
 ススを含む着色エアロゾルが重要です.IPCC第四報告書が出た後,着色エアロゾル
 の影響が想像以上に大きいと報告されました.
  CO2の気温への影響は 検出できたか 〜以上のような要因を考え合わせると
 「検出した」と明確に言うのは憚られます.しかし,CO2の寄与が 10年で 0.1℃
 程度の気温上昇であると考えることは不自然ではないでしょう.ちなみに,これは
 モデルの気候感度の下限に近く,観測に基づく気候感度とは対応しています.
 
 
                             (つづく)

 
NHK のスタンス
   BS1
 徹底討論・地球温暖化対策 (2007)
 
  山口光恒(東大)、鮎川ゆりか(WWFジャパン)、永里善彦(旭リサーチセンター)、植田和弘(京大)、
  クリスチャン・エゲンフォッファー(欧州政策研究所)、斎曄(精華大学)
 
     8/10     http://www.youtube.com/watch?v=w7sE_nFPp64
     9/10     http://www.youtube.com/watch?v=6QzR_NxrLpc
         10/10     http://www.youtube.com/watch?v=6VdEvKZcB0U
 
 
 
     2009年11月にイギリスにあるイースト・アングリア大学(UEA)の気候研究ユニット
    (CRU:Climate Research Unit)がクラッキングされ、地球温暖化の研究に関連した
    電子メールと文書が公開されたことによって発生した一連の事件。
   クライメートゲート事件 - 環境省   平成22年(2010)7月8日
 
 
   ヒマラヤ地球温暖化『地球危機2008』鈴木亮平
 
 地球温暖化データにねつ造 ヒマラヤ氷河
                                 2010年1月21日   読売
  【ワシントン=山田哲朗】国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は20日、声明を
 発表し、2007年 第4次報告書でヒマラヤの氷河が2035年までに解けてなくなる可能性
 が非常に高いとした記述は科学的根拠がなく誤りだったと陳謝した。
  世界中の科学者が協力して作成した報告書は信頼性が高く、IPCCはアル・ゴア元米副
 大統領と2007年にノーベル平和賞を受賞したが、地球温暖化の懐疑派は「報告書の信頼
 は揺らいだ」と攻勢を強めている。
  欧米の気象学者らが20日、独自に発表した分析によると、報告書は問題の部分を
 世界自然保護基金(WWF)のリポートから引用した。WWFは英国の一般向け科学雑誌
 ニュー・サイエンティストが1999年に掲載したインド人研究者についての記事を引用した。
 しかし、この研究者の論文は未公表で、氷河消失の時期も予想していなかった。
  「2035年」という時期は、別の文献の「2350年」を写し間違えた可能性があるという。
 分析は「査読を経た論文を基礎に置くという科学の基本を守れば回避できた間違い」と指摘
 している。
 
                           (未完成)
(9) のつづき
 
地球温暖化の科学と政治経済 
          2009年07月07日  赤祖父俊一氏
 
 
                              (2)
 
 氷河の後退 
   アラスカ  (1799年 露米会社が勅許を受け、ロ領アメリカ
             1867年3月30日 アメリカ、ロシアより買収)
      ロシア領だった時 グレイシャーベイは すっかり氷河に覆われていたが
     1800年から氷河の後退は始まっていた。つまり、小氷河期から戻って
     いたのだ。
 
   ニュージーランド
       タスマン氷河(Tasman Glacier) 〜 1990年と2007年
       (NZで最大の氷河,世界でも中緯度域のものとしては最大規模の山岳氷河
                                 
       1990年代以降,タスマン氷河は縮小を続けていて,氷河の先端は毎年平均180m
      も後退している.近年 この後退スピードがさらに上昇しており,あと10〜20年で消滅
      してしまう可能性もあるとされる.
       一方,氷河湖であるタスマン湖は,そもそも40年前には存在すらしなかったが,
      タスマン氷河の融解に伴って成長し,現在では長さ 7km,幅 2km,水深 250 mの
      大きな湖となっている.
 
   ヒマラヤ
 
                                                中国通信社 2006
     ヒマラヤ氷河スキャンダルとその後   藤田耕史 日本雪氷学会 2013
      IPCC 第四次報告書 第二作業部会(WG2)報告書(2007)の10章6.2節において,
     ヒマラヤの氷河が取り上げられ,「ヒマラヤの氷河が 現在 世界のどこよりも速く縮小
     しており,2035年までにそのほとんどが消失すると見込まれる」という記述に対し,
      2009年11月発行のScience 誌において,「ヒマラヤのメルトダウンの兆候なし」との
     刺激的な タイトルによる レポートが掲載され,所謂「グレーシャーゲート/ヒマラヤ氷河スキャンダル
     のきっかけとなり、・・・ほぼ同時期に発覚した,イーストアングリア大学気候変動ユニットを
     舞台とするE メールのハッキング・流出事件(クライメイトゲート事件)と合わせ,IPCC
     報告書の信頼性を揺るがす一大スキャンダルとなった. 
 
      中国科学院チベット高原研究所が推進しているプロジェクト「ThirdPole Environment」
     の一環としておこなっている氷河質量収支のモニタリングの成果をまとめた.
     湿潤な東チベット〜ヒマラヤでは,氷河縮小速度は顕著であるものの,カラコルム〜
     パミールにかけての中央アジアでは,氷河縮小の程度は小さく・・・。
 
   アルプス
      1800〜50年に氷河が急速に後退し、1850年から氷河が回復している。
 
     20世紀を通じての傾向を見ると、すべての氷河が後退したと言ってよい。最大の
    大アレッチ氷河は 2kmも後退した。・・・これらの氷河の変化の歴史をもう少し詳細に
    見てみると、必ずしも 20世紀を通じて 単調に後退が進んだ訳ではないことが分かる。
    まず、小氷期より解放されたばかりの20世紀初頭には 全氷河の8割で後退が見られ
    たが、1910年代の第一次世界大戦にかけての寒冷化の時には 全氷河の5割で前進
    見られた。ヨーロッパは 1930年から40年代終わりにかけて かなり急激な温暖化
    経験するが、この時には 全氷河の9割が後退したこの温暖期も 1950年代いっぱいで
    終わりを告げると、氷河は その後 すぐに前進を始め、1970年代終わり頃には 約6割
    氷河が前進していた。
 
     氷河は かなり忠実に温度変化に反応していたといえる。この20世紀中葉の寒冷化
    は、ヨーロッパに限って観測されたものではなく、世界中多くの地域で同じ傾向が見られた
    地球規模での現象であり、1940年から70年までの30年間続いた ヨーロッパでは
    この寒冷化は 全球的傾向から10年ずれて起こり、1950年代から80年頃まで続いて、
    先に記した氷河の前進を引き起こした。
     その後 現在まで 既に 四半世紀、観測時代に経験のない急速な気温上昇が世界的
    規模で起きている。20世紀中に全球平均気温は約0.6℃上昇したが、その内の半分に
    当たる0.3℃は 世紀末の20年間に起こっている。
 
 
 

 
   
  温室効果に大きな影響を持つ水蒸気について、
 今日の科学では、未だ
 水蒸気から どうやって水滴ができるか、雲ができるか、
 どうやって 雲から雨が落ちるかも よく分かっていない。
 
  それにもかかわらず、スーパーコンピューターで 未来の気候を予測する
 ということは 不可能なことだ。
 
 
 
   もし、私(赤祖父氏)が正しければ、温度は 後 2,30年上がらないと思うが、
 IPCCは もう 1年待ってくれ、もう 1年待ってくれと言って、もう 3年経つのだから、
 もうよかろう、お前たち 手(白旗)を挙げろと言っている。
 
  IPCCは、温度が上昇しないのは 「一時的」なことだと言っている。
  最近 宇宙から温度を計ったものは、太平洋の中央部の温度が下がっている。
 これを上げることは 大変なことで、簡単に上げられず 一時的変化ではない。
 永年変化である。
 
 
  1.気温上昇の停止
     地表面付近の気温の上昇、つまり地球温暖化は、1970年頃から加速し
    2000年まで続いていたが、2000年以降、停止している。
    気候モデルを用いた地球温暖化予測実験の結果は、2000年以降も温暖化
    は進行すると予測していたが、2000年以降、この予測に反して 地球温暖化
    が一時的に(?)停止している。
     
          http://www.metoffice.gov.uk/media/image/3/i/compare_datasets_new_logo_normal.png
                英国気象庁 Global average temperature anomaly(1850-2012)
 
          気象庁 | 世界の年平均気温 (1891〜2013年)  最終更新 2014/2/27
           2013年の世界の年平均気温 (陸域における地表付近の気温と海面水温の平均) の
    1981〜2010年平均基準における偏差 +0.20℃ (20世紀平均基準における偏差は
    +0.57℃) で、1891年の統計開始以降、2番目に高い値となりました
    世界の年平均気温は、長期的には 100年あたり約0.69℃の割合で上昇しており、特に
    1990年代半ば以降、高温となる年が多くなっています。
         細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差
         太線(青):偏差の5年移動平均
         直線(赤):長期的な変化傾向。基準値は 1981〜2010年の30年平均値。
 
 
 
 
  2.海面上昇停止
 
      海面上昇の主な原因は海水の熱膨張、次いで南極グリーンランド
    の氷床、山岳氷帽融解とされる。
 
   世界の過去及び将来の海面水位変化IPCC第5次評価報告書より
               最も長期間連続するデータセット(黒線)の1900〜1905年平均を基準
            とした世界平均海面水位の長期変化(全データは、衛星高度計データの
            始めの年である1993年で同じ値になるように合わせている)。
 
       ・1901年から2010年の期間に、世界平均海面水位は0.19 [0.17〜0.21] m上昇した。
       ・海面水位の代替データと測器によるデータは、19世紀末から20世紀初頭にかけて、
       過去2千年にわたる比較的小さな平均上昇率から、より高い上昇率に移行したこと
       を示している(高い確信度)。
       ・世界平均海面水位の上昇率は20世紀初頭以降増加し続けている可能性が高い。
       ・世界平均海面水位の平均上昇率は、1901年から2010年の期間で 1年当り1.7
        [1.5〜1.9] mm、1971年から2010年の期間で 1年当り2.0 [1.7〜2.3] mm、1993年
       から2010年の期間で 1年当り3.2 [2.8〜3.6] mmであった可能性が非常に高い。
       ・21世紀の間、世界平均海面水位は上昇を続けるだろう。
       ・世界平均の海面水位は21世紀末(2081〜2100年)には、1986〜2005年の平均
       海面水位に対して、RCP2.6シナリオの場合0.26m〜0.55m、RCP8.5シナリオの場合
       0.45m〜0.82m上昇すると予測される。
 
           地球の長い歴史をみると、顕著な海面上昇と海面低下は何度も発生している
    これは 260万年前以降の第四紀にもみられ、特に氷期が終わって間氷期に向かい
    温暖化していく時期に、数10mもの海面上昇が起こったと推定されている。
    6000年前までの約1万年間にも、間氷期開始に伴う100m近い海面上昇が発生している。
    しかし、ここ数千年では大きくは変化せず、過去3千年間は平均0.1 − 0.2mm/年程度
    の上昇量であった
 
 
 
  3.太陽活動の低下(黒点の数の減少)
 
     ※ 太陽表面に観測される黒点の数は約 11年の周期で増減し、黒点の数が多い時
      には太陽活動も激しくなる。ただし、最初の 11年と次の 11年の間には 黒点の磁場
      の極性が反転するため、磁場の極性まで含めると太陽周期は約 22年周期。
       また、活動性の周期の開始時 ( 活動の極小時 ) には 黒点は太陽の高緯度の
      ところに現われるが、時間の経過とともに活動性が高くなり、黒点の数が増えるに
      従って低緯度のところに出現するようになる。周期の終わりには活動性が弱くなり
      黒点もほとんど見られなくなるが、出現する際は ほとんど赤道の辺りに現われる。
       活動が活発なときは太陽の表面に黒点や白斑、フレア(太陽表面の爆発現象)
    などが多く観察され、太陽から地球に降り注ぐ日射エネルギーの量も増え、
    プラズマ(電気を帯びた粒子)の流れである「太陽風」も強くなる。
 
      IPCCは、気温上昇に 太陽の影響はないと言っている。
    太陽黒点の数は 11年周期で増減を繰り返しているが、現在 2005年から
    新しい周期が始まっているはず。
 
      最新の極大期は2001年から2002年にかけてだった。11年周期から
    すると、2012年から2013年にかけて極大期を迎え、沢山の黒点が出現する
    はずだった。ところが これまでのところ、予想したほど黒点は現れていない。
 
        http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/0/07/Ssn_yearly.jpg/520px-Ssn_yearly.jpg
  太陽黒点の400年間の歴史。黒点の数をウォルフ黒点相対数の値で集計。
   1790年から1820年は ダルトン極小期1645年から1715年は マウンダー極小期
 
 
 
         
                太陽黒点数と地球の平均気温の経年変化  
       http://www.geocities.jp/widetown/japan_den/jpg/Image27.gif
 
     
    スベンスマーク効果:地球には太陽系外からの「宇宙線」(高エネルギーの粒子)
  が降り注いでいるが、太陽活動が活発になると太陽風が強くなり、宇宙線が地球
  に入りにくくなる。
   地球に入る宇宙線が減ると、雲粒の核ができにくくなって、雲の量が減り、
  雲による日射の反射が減り、地球が吸収する日射の量が増えるとされる。
   東京工業大学の丸山茂徳氏や海洋研究開発機構の草野完也氏が この効果を
  重要視している。
 
 
           黒点数は、多い時(極大期)には100〜200に達するが、少ない時(極小期)はゼロ
        近くなる。組織的な太陽観測が始まった1750年から数えて第23番目の黒点周期は、
        1996年頃の極小期に始まり、2000年頃 極大期(黒点数120程度)となり、 2007〜2008年
        頃の極小期で終わった。2010年末の現在は、次の第24周期が始まってから既に2〜3年
        経過しており、通常であれば そろそろ極大期にさしかかる頃だが、黒点数は まだ少ない
        ままである。私は晴天の休日には小さな望遠鏡で黒点観測をしているが、近頃も黒点数
        ゼロの日が多い
  
 
     ☟ 
  地球の気候、当面寒冷化
 

 
 
   太陽活動の弱まりは 1985年頃から始まって、現在まで続いている。この間、地球
 に降り注ぐ日射エネルギーは減少(図中段)。また、太陽風の弱まりに対応して、
 地球に降り注ぐ宇宙線は 8797年の期間で増えている(図上段)。
  スベンスマーク説が正しければ、この宇宙線の増加は 地球の気温を下げる効果を持つ
 はずだが、この期間に地球の気温は長期傾向として上昇し続けている(図下段)。
 もしも太陽活動の弱まりのせいで気温が下がるとしたら、その傾向は85年頃から
 表れなければならない。
  この事実から2つのことがいえます。1つは 近年の地球温暖化の主要な原因が
 太陽活動の変動によるものではないこと。もう1つは、最近の太陽活動の弱まりが
 地球温暖化を打ち消すほどの大きさの効果をもたらしそうにはないこと。
  

 
http://www.sukawa.jp/kankyou/icecoregraph.jpg

      南極ドームふじ氷床コアから得られた過去34万年間の
           二酸化炭素とメタンの濃度と南極の気温との関係
                        (未完成)
                 

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